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原点かみしめ60歳に

5月5日に60才になりました。節目の年齢を迎えるにあたり、被爆二世としての自らの原点をかみしめようと連休中に広島に帰ってきました。

 広島平和公園では2ヵ所を訪問。一つは、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館で開催中の企画展「星は見ている 全滅した広島一中一年生・父母の手記集」です。同校はわが母校広島国泰寺高校の前身。建物疎開へ動員されていた先輩達は原爆で命を奪われました。

遺族がまとめた追悼集『星は見ている』を題材に展示と映像が行われ、投下直後に探し回り、やっと見つけた、衣類の名前でしか確認できない姿の我が子がやがて亡くなっていった――無念と憤りがあふれていました。

 もう一つは「平和の子の像」。2歳で被爆し、小6の時に白血病と診断され、折り鶴を折りながら亡くなった佐々木禎子さんをしのび、友人たちが平和願いをこめて呼びかけて建立されたたもの。実はその建立日は、私の誕生日と全く同じです。

 それを知ったのは、2010年のNPT再検討会議で国連本部を訪れ、「サダコの折り鶴」の語り部をされている方にお会いした時。この像に込められた平和への思いを受け継ぐのはお前の使命だと突きつけられた思いでした。

 核兵器をなくし、誰もが亡くなる瞬間まで人間らしく生きられる世の中にしたい――先輩たちの無念をかみしめつつ、「原爆の子の像」と一緒に60歳を迎え、決意を新たにしました。

 

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