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2005年3月17日(木)

法務委員会
「下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案」(質疑・採決)

  • 貸金業者の取り立てに悪用されている公正証書について、本人出頭の原則化や教示の義務化など改善を要求。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 昨年の臨時国会の管轄法案の審議の際にも、簡裁等を舞台にした諸制度の悪用について取り上げまして、公証、公正証書の問題を質問をいたしました。

 商工ローン業者などによって、本人が知らずに、又は債務者や保証人の意思を反映をしない委任状が作られ、これにより公正証書が作られて強制執行がなされていると、このことを指摘をして、本人出頭の原則化、教示の義務化ということを求めたわけですが、その後、この問題はどのように改善をされているんでしょうか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 この問題は、公正証書の信用あるいは公証人の信用にかかわる問題でございますので、私どもも極めて深刻に受け止めているわけでございます。

 もちろん、一群の、ある特定のタイプの問題でございまして、公正証書全般にかかわるわけではございませんけれども、しかし、問題の性質からすると相当に深刻だというふうに受け止めているわけでございまして、そこで今年の二月に公証人の施行規則を改正いたしまして、代理人の嘱託により公正証書を作成する場合の事後的な本人への通知について改めて規定をいたしまして、その書式を法定いたしました。

 また、実際上これが問題になりますのは、執行証書、つまり執行受諾文言が付いているもの、公正証書でございますので、この書式中でこの執行を受諾するということはどういう意味があるのかということを一般の方々にも分かるように説明して、この通知を受け取られる債務者の方々の理解というものにプラスになるように計らったわけでございます。

 また、同時に、通達を民事局から発出いたしまして、この通知の励行を厳しく求めるとともに、具体的な事案において公証人が疑わしいと、例えば判こを、形式的には合っているけれども、実際にはどうも手書きの文言が同一人が書いたようなものがあると、そういう疑わしい具体的な事情が生ずる場合には、事案に応じまして公正証書の作成前に書面等によって債務者本人の意思を確認するように求めるということにいたしておりますし、併せまして印鑑証明を求めておりますが、その印鑑証明書の有効期間も三か月に短縮しております。

 そういう措置をとったわけでございます。

井上哲士君

 指摘をした問題で、通達等などで改善を求めておられるのは前進だと思います。

 ただ、悪徳業者の方はどんどん手口を進めているわけですね。通達の中では、例えば複写による委任状作成についても指摘をしているんですが、商工ローン大手のいわゆる旧商工ファンドですね、SFCGというのはこういう複写の方法は去年からもうやめております。問題になった社員を代理人にして公正証書を作るというのもやめておりまして、司法書士とか行政書士を代理人にして行うということもやっております。ですから、今の対策ではまだ十分とは言えませんし、日弁連も法改正も含めた改善を求めております。

 実際に問題も起こっているわけでありまして、最近この貸金業者の公正証書の作成について司法書士が処分をされたという例があると聞いておりますけれども、どういう事例でしょうか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 おっしゃるとおり、今までのように社員を代理人とするのではなく第三者が利用される場合があり、そのうちに司法書士がこれに関係しているという御指摘があることは私どもも承知しております。

 今お話しになられました例は、公正証書の作成の嘱託の代理人となった司法書士について、同じ事務所に所属する別の司法書士を債権者の代理人として債務者の意思を直接確認することなく債務者の代理人として大量の債務弁済契約の公正証書の作成を嘱託したということのようでございまして、その司法書士が所属する司法書士会が司法書士法の六十一条に基づきまして注意勧告をしたという報告を私ども受けております。

井上哲士君

 依頼した業者は問題になっている大手の商工ローン業者だと私どもは承知をしているんですが、この事案を見ましても、業者が司法書士を使って外面は繕っているけれども、実際は相変わらず本人の意思を反映をしない委任状の取り方をして、結局それをうのみにしたままの公正証書作成というのが、十分な審査もせずに作られたということを示しているわけですね。しかも、最近の報道でもありますように、公証役場の検閲報告書では公証人の六割に何らかのミスがあって、その中には委任状の中身と作成された公正証書が違うということも指摘もされております。

 問題は、同様の指摘が繰り返されていることなんですね。私は二十年前に出されました東京法務局作成の公正証書ハンドブックというのを見ましたけれども、このときも今回のこの検閲報告書で指摘されている事項と同じようなことが書かれているわけです。なぜこれが改善をされないのか。公正証書は確定判決と同様の効力を有するわけでありますから、ある意味、公証人はもう裁判官よりも厳格な事実認定も行わなくちゃいけないと思うんですけれども、なぜこういう事態が繰り返されているんでしょうか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 今、公証人の六割に何らかの意味での過誤があったという御指摘をいただきまして、そのような事実が現にあるわけでございます。これは六割の公証人に何らかの意味での過誤があったということでございまして、公正証書の六割が間違っているということはございませんが、しかし、公証人の中に何らかの意味でのその過誤があったということは相当深刻に受け止めなきゃならないというふうに考えているわけでございます。

 で、私ども監督する立場でございますので、常々この公証人が任命する際、あるいは全国に公証人が一堂に会する機会、様々な機会をとらえまして、この公証人の信用というのは、基本的には正しい公正証書が、有効な公正証書が作成されると、紛争の予防に役立つということにあるのであるから、そういうミスがあってはならない。で、具体なミスの形態も御指摘申し上げて、それについての撲滅をお願いし、何らかの意味での改善というのを図っていただくように求めているわけでございます。

 しかし、今日までそれが根絶しないというのは大変残念なことでございまして、私どもとしてはなお一層の努力が必要だろうというように思っております。大半は運用上の、このレベルの方々であればきちっとやっていただけるはずのことでございますので、そういう意味での一層の励行というのが、どういうようなことでより一層効果的になるのか十分に検討してもらいたいというふうに考えております。

井上哲士君

 利息制限法に基づいたらもうほとんど残債がないとか、逆に過払いが生じているというケースでも、当初の契約どおりの違法な高金利を前提とした公正証書が作られて、それに基づいて差押えが行われるという場合もあるわけですね。中には、裁判所における特定調停によって十七条決定どおりに債務を完済したその直後に保証人に対して差押えを行ったと、こういう例もあるんです。報道などでも、最高裁は利息制限法遵守を厳しく求める判決を出したと。一部の高金利業者はこれに対して、訴訟を避け利息制限法超過金利を迅速に取り立てる事実上の脱法手段として乱用していると、こういうこともあるわけです。

 こういう問題は、やはり本人に面接して意思確認をきちんと行うということをやれば防げるわけですから、私はこの方向に更に足を踏み出すべきだと思いますけれども、この点で大臣の御所見を伺いたいと思います。

国務大臣(南野知惠子君)

 お答えを申し上げますが、嘱託者本人の意思の確認につきましては、印鑑証明書付きの委任状による確認又は具体的な事案による個々の公証人による釈明、さらには代理人の委嘱により公正証書を作成した場合の本人に対する通知の制度を通じまして、債務者の意思に反する公正証書が作成されることがないような制度となっているものと考えております。

 公正証書の制度は国民の紛争の予防のための重要な制度であるとも考えております。したがいまして、法務省としましても、御指摘のようなことがないよう本人確認の重要性等について改めて公証人に啓発し、今後とも適正に公証事務が行われますよう厳正な指導監督に努めてまいりたいと思っております。

井上哲士君

 終わります。


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