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「戦争法の危険なねらいと国民連合政府」―文化講演会の第142回例会(2016年11月21日講演)【日本共産党文化講演会機関紙「あげ潮」2016年1月20日号】

 文化後援会の第142回例会(11月21日)は、参議院議員の井上哲士さんをお招きし「戦争法の危険なねらいと国民連合政府」と題して、約2時間にわたって講演していただきました。その要旨をご紹介致します。戦争法の危険性と「国民連合政府」の展望を学び、今年行われる参議院選勝利への、大きな力にしていきましょう。

 ご紹介いただきました井上哲士です。

 さて、一昨日11月19日は戦争法が強行されてから2カ月目でした。私も参議院の安保特別委員会の委員でしたので、そのたたかいをご紹介をしながら、戦争法とはどういうものか、それを廃止するための「国民連合政府」にどういう反響があり、今後どういうたたかいが必要なのかをお話ししたいと思います。

●戦争法----許せない前代未聞の強行採決

 参議院の採決に先立ち、9月17日に安保特別委員会での強行採決があり、NHKで中継されましたが、いったい何が行われていたのか誰にも分からない。 

 大体強行採決とは、予定された質問が一通り終わり、与党が質疑打ち切りの動議を出す。それを委員長がすぐ採決をやろうとするので、野党が抗議して混乱するのがよくある形なんですね。しかし今回の強行採決はその跡形もなかったんです。

 委員長が野党の徹底審議要求を押し切り、締めくくり質疑をやろうとして、解任動議が出されました。解任動議のときは委員長に代わり、与党の筆頭委員が委員長席について議事が進められ、残念ながら与党の多数で否決されました。ここで速記を止めて委員長が席に戻ったんです。委員長が席に着いたので、「これからどういう議事を進めるんですか?」と、私たち野党の理事が委員長の席に行こうとしたら、いきなり、委員でもない与党の議員がわっと委員長を取り囲んで、それ以降は速記録にも、議場騒然、聴取不能、これしか記録には残っていないんです。議事録には質疑打ち切りの動議もなければ、何を採決したのかさえ残っておりません。私も国会議員になってから14年ですが、ここまでひどいのはありませんでした。

 強行採決の前々日に埼玉で中央公聴会、翌日に横浜で地方公聴会が行われました。公聴会というのは、重要な法案について国民の皆さんに意見を聞き、その意見に基づいて議論をするためにあります。地方公聴会には、特別委の委員45名中20名しか参加していません。まず、委員会に地方公聴会の報告が行われ、その後質疑も行われる、これが当たり前のルールです。ところが、その報告・質疑もやらずに打ち切られたという例は過去にはない。それほどまでに、国民の声、国会のルールをないがしろにした、前代未聞の暴力的な採決でありました。

 ところがその後、正式の議事録には委員長の判断によって、〝委員会ではこうこうこういう採決が行われて、この法案は可決するべきものと決した。〟とする付帯決議も付けられた議事録が作られてしまいました。こんなことになれば、委員会でどんなことがあっても捏造することができます。私たちは、これは二重三重に憲法を蹂躙する、絶対に許せないという思いを強めております。

 参議院に先立ち衆議院でも強行採決が行われました。そのときに総理は、「衆議院では与党の質問時間が短かったが、参議院ではもうちょっと長くできるから、国民の皆さんの理解を求めます」といいました。ところが、参議院で与党の質疑が長くあっても、やればやるほど行き詰まりがあらわになり、衆議院でやっ

ていた答弁と参議院の答弁が、180度変わるということがいくつも起こりました。その結果、委員会の審議が114回、衆参合わせて225回も審議が止まって、いっそう追い込まれ、審議を通じて、これは憲法違反だという国民の声がさらに広がっていきました。まさに国民世論に論に追い詰められる中で、だったら「やってしまえ!」というのが、あの強行採決だったのです。

●国会論戦を通じて何が明らかになったのか----立憲主義を根底から破壊

 では、この国会の衆・参の論議を通じて何が明らかになったのか。

 今回の戦争法は、60年間にわたって政府自民党自身が積み重ねてきた解釈を、一内閣の閣議決定でくつがえしました。これに対して、衆議院の憲法審査会で、三人の憲法学者の参考人が全て「これは違憲だ」と発言し、自民党が推薦した憲法学者までもが声をあげたということが大きな転機になり、憲法学者の圧倒的多数が「違憲」という声をあげました。菅官房長官は苦し紛れに「この法案を合憲だという憲法学者もいっぱいいる」と言いましたが、三人しか名前を上げられなかった。

 そして「学者の会」が作られ、憲法学者だけでなく、いろんな分野の学者の皆さんが幅広く続きました。佐藤学さんが「秘密保護法の時にも学者の皆さんは声をあげたが、あの時は呼びかけ人だけが名前を出して、数だけだった。今回は大学名も実名も出して声をあげている」、こういうことは今までなかったことで、ものすごいことです。

 これに対して政府は、「憲法学者の多くはそもそも自衛隊は違憲だと思っている。だから集団的自衛権も違憲だと言う」とケチを付けましたが、衆議院中央公聴会では小澤隆一先生が「いろんな説はあるが、この集団的自衛権は違憲だということ。今回の閣議決定に合理性、整合性がないことは、立場の違いを超えて広い一致点がある」と述べられました。非常に大事な点だと思います。

 それから全国の全ての弁護士会が反対の意思表示をし行動に立ち上がり、日弁連も理事会で全会一致で反対。憲法違反という見解を示しました。また、内閣法制局長官を務められた方が三人、国会の公述人や参考人として「違憲」の声をあげられた。従来の政府の憲法解釈を支えてきた方々が、正面から異論を唱えたのは極めて異例なことです。

 政府は「憲法学者にしても、元法制局長官にしても、法律の専門家だけれども、安保の専門家ではない。法律の番人というのは最高裁なんだ」と反論したのですが、その直後に、山口繁元最高裁判所長官が、新聞のインタビューで、「この法律は違憲だ」と明確に言われ、大変な衝撃を与えました。

 政府はこうしたさまざまな声に慌てて、「砂川判決や、72年の集団的自衛権の見解の枠内だ」と言い訳を行いましたが、これも国会の議論で、まったくそれには当たらないということが明らかになりました。

 わが党の宮本徹議員に答えた横畠内閣法制局長官は、「砂川裁判で色々述べている部分は、裁判について結論を出すための直接的なものではない」と認めたのです。そして参議院の採決直前に行われた中央公聴会には、浜田元最高裁判事が来られ、「72年見解を集団的自衛権の行使が出来ると読み替えるのは、とても法律家の検証に耐えられない」とまでいわれました。

 ですから衆議院・参議院の審議を通じて、今回の戦争法、とりわけ集団的自衛権の行使容認が、立憲主義を根底から破壊するものだと明確になり、政府のあれこれの言い訳は、まさに総崩れになったのです。

●集団的自衛権行使----海外での武力行使に歯止めなし

 その上で、法律の個々の中身についてはどうなのか。まず集団的自衛権の行使について、政府は、「他国防衛と自国防衛の集団的自衛権がある」といいました。法律では、「存立危機事態においては、存立危機武力攻撃を排除しつつ、そのすみやかな終結を図らなければならない」と規定しています。

 つまり、「日本は攻撃されていなくても、他国に対する武力攻撃によって、日本の幸福の追求の権利が根底から脅かされるという事態が起きたときには、その原因となっている存立危機武力攻撃を排除し終結を計れ」と政府に義務づけているわけです。政府は、これで「行使」が非常に限定的になり、あくまでも自国の防衛のためだと、さかんに言っている。果たしてそうなのでしょうか。

 まず、どういう場合に存立危機事態だと認定するのか? たとえば「B国がA国から攻撃を受けている。そのA国が日本に対しても今後攻撃を加えてくる、こういう意図が認定できなかったとしても、総合的に判断すれば、存立危機事態と認定することがあり得る」という答弁でした。さらに「存立危機事態が認定される場合、同時にわが国に対する武力攻撃が予測、又は切迫していると認められない場合がある」ともいっています。そうしますと、まさに時の政権が恣意的な判断で、認定の幅をどんどん広げていくことが可能になるというのが第1です。

 もうひとつ、ではこれをどう行使していくというのか。個別的自衛権と、集団的自衛権の限定的行使容認というのは決定的に違うんです。個別的自衛権は、日本が攻められている場合です。それを日本の領土・領海から排除する、排除したら追っかけたり相手国までいって攻撃したりしない。排除以外はやらないと非常に明確なんです。

 ところが集団的自衛権での存立危機武力攻撃というのは、基本的に他国の領土・領海で行われる。これを排除しようと思ったら、相手の国に入っていかなければできないし、どこまでやれば排除が終わったのか区切りが出来ません。必要最小限と言ってもまったく意味が違ってくるんです。ですから、集団的自衛権の限定的ですみやかな終結と言うことは、結局戦争に勝たないと出来ない。最小限の武力行使と言っても最大限の武力行使をすることになるんです。 

●事実上の先制攻撃----「抑止」ところか国民を危険にさらす

 総理の答弁では、「海外派兵は一般に許されないが、例外がある。それがホルムズ海峡の機雷掃海の場合だ。今これしか頭にはない」といいました。では、それを誰が判断するのか。

 時の政権が判断するという答弁でしたが、どういう場合が例外なのかと聞きますと、「事態の個別的状況を勘案し総合的に判断するので、これを法律で規定することは困難だ」というんです。ですから、認定も、認定した上でどういう攻撃をするかも、結局時の政府の総合的判断という言い方で、どんどん恣意的に進んでいき、まさに歯止めがないということが浮き彫りになりました。

 それでも政府は、これを行使できることによって抑止力が高まるんだ、戦争しないんだと盛んに言いましたが、日本が武力攻撃をされていないのに、他国が武力攻撃を受けているからと日本が反撃したら、相手国から見れば先制攻撃なんです。阪田雅裕元法制局長官は、「結局、進んで戦争に参加することで、相手に日本攻撃をする大義名分を与えて、むしろ国民を危険にさらす結果しかもたらさない」といっていますし、大森元内閣法制局長官は「第3国に武力行使の矛先を向けると、その第3国は我が国に攻撃の矛先を向けてくるのは必定。集団的自衛権の抑止力以上に、紛争に巻き込まれる危険を覚悟しなければならない。政府のいう抑止力が高まるというのはバラ色、そんなことは到底期待できない」と正面から明解に批判をなさいました。 

●立法事実は喪失

 法律が強行された直後のNHKの世論調査でも、国民の6割が政府の説明に納得できないという声をあげています。また、国会の論戦で明確になり、立法事実や根拠がことごとく覆えりました。

 まず、日本の国を守るためだけの限定的集団的自衛権と言う問題です。これはわが党の宮本徹さんが、「他国が攻撃されたことで、自分の国の存立が脅かされたといって、限定された集団的自衛権を行使した例は世界的にあるのか」と聞きました。岸田外務大臣は、「そういう事例は存在致しません」とハッキリ認めている。さらに、「そもそも限定された集団的自衛権という用語が、国際法上は存在しません」と白状しました。日本政府が勝手に考えた虚構なわけです。

 それから典型として、ホルムズ海峡がイランによって機雷で封鎖され、石油などが途絶えて日本の国民の命が大変なことになる。この場合は例外的に海外派兵をして、機雷を掃海できるというんです。しかし、イランはもともと石油輸出国なので、封鎖したら自分に被害が返ってきますし、いま、アメリカの関係も改善していますから、そんなことはありえない。イランの外務省やイランの大使の方が、イランがそんなことをやると想定しているのはけしからんと、抗議の声をあげました。

 そんな中で、参議院の質疑の最終段階では、「今現在の国際情勢に照らせば、現実の問題として発生することを想定していません」となって、衆議院の典型例が、180度変わってしまいました。

 もう一つは、「海外で突然紛争が発生して、そこからアメリカの軍艦に乗って逃げる日本人の家族の命を守るために、その艦船を守らなくていいのか」と、何度もイラストのパネルを持って見せられたわけです。これも参議院の最後の段階で、「集団的自衛権としてアメリカの船を防護する際に、日本人が乗っているかどうかは、絶対なものではありません」と認めてしまい、総理も、「日本人が乗船していない米軍も守りうる」とまで言った。何のことはない、実際にはアメリカの艦船を守るためなんだというわけです。

 こういう具体例で、どんどんボロが出る中で、参議院では与党が中国脅威論をさかんにあおり立てました。これにも、わが党の大門議員が、日中の経済関係の深まりとか、過去の日中のさまざまな協定が外交的解決を求めていると質問しました。宮澤経産大臣は、「中国との今の経済的結びつきは、更に将来的な経済を考えるとまさに大事な市場である」と答え、外務大臣は、「我が国は中国を脅威と見なしておりません」と言ったんです。

 ですから、政府自民党自身が理由をあげていたものが、ことごとく質疑を通じてぼろぼろになり、日本を守るための集団的自衛権ではなく、アメリカの要請があればこれに応えるしくみを作るためと言うのが、非常に浮き彫りになった国会の質疑でした。 

●「戦闘地域」軍事支援の拡大----決定的に高まる「殺し、殺される」危険

 今回の戦争法では、戦争中の他国軍に対する自衛隊の支援の拡大が盛り込まれました。これまでもイラク特措法などで、戦争中の他国に対する支援が行われましたが、あくまでも非戦闘地域という枠組みだったのです。今回は、現に戦闘が行われていなければ戦闘地域でも支援ができるということになりました。しかも、支援する中身も大幅に拡大されるということになりました。

 これまでの枠組みを超えて支援をする以上、これまでの支援がどうだったかと検証するのは当然の順序です。私たちは国会で、「イラク復興活動支援行動史」を入手して質問しました。政府は黒塗りの資料しか出さなかったんですが、我々は黒塗りのないものを入手したんです。

 それには、あのイラク派兵は、実際には「純然たる軍事作戦」だったと明確に書かれています。そのなかには、群衆に自衛隊が取り囲まれて、まさに発砲寸前になっていたとも書かれていました。ところが政府は黒塗り資料しか出さない。最後には黒塗りのない資料を出すと言いましたが、出てきたのは、衆議院で強行採決をやった後なんです。これはまさに国会を愚弄する話です。

 戦闘地域まで日本の自衛隊が行く、これは明らかに戦闘行為と一体です。当然狙われる。その時、自己の命を守るために武器を使うと、安倍総理はハッキリと言いました。そうなれば戦闘に入って行くわけで、まさに殺し殺される危険が決定的に高まるわけです。

 また、これまでできなかった兵站、武器・弾薬の輸送や、発信準備中の戦闘機にも給油ができることになりました。日本が輸送する武器・弾薬に、何か法律上の制限があるのか質問したんですが、防衛大臣は「特段配慮する規定はありません。輸送であれば否定はしておりません」と言いました。在日米軍は劣化ウラン弾ですとか、クラスター爆弾を持っていますから、日本が輸送を依頼されるということは十分にありえます。日本はクラスター爆弾禁止条約に加盟しているわけですが、政府の判断で非人道的兵器を輸送することがありうるのです。

 もう一つの、発進準備中の戦闘機に対する給油、これはテロ特措法の時には「できない」と確認されていました。その時の法制局長官の大森さんが参議院の参考人に来られ、「戦闘行為へ発進準備中の戦闘機への給油は、典型的な一体化だと何度も言った。外務省ができないと言うことを法律上明確にしたくないために、アメリカからニーズがないということで、当時は収めた」とハッキリ言われました。これはまた、私たちが入手し小池さんが質問した、自衛隊の内部文書でも明らかになりました。海上自衛隊の「平和安全法制について」という文書に、敵の潜水艦をアメリカのヘリが攻撃しており、このヘリが、海上にいる日本のヘリ空母に戻り、給油をしてまた戦争に行くというイメージ図がある。実際に検討していたのです。

 また、ドーンブリッツという日米合同訓練に、日本は2013年から参加していますが、これを『航空ファン』という雑誌が特集しました。この時に日本のヘリ空母「ひゅうが」が参加し、その甲板にオスプレイが着艦しています。この時初めて日本の自衛艦に、アメリカのオスプレイの着艦・訓練が行われたんです。これはもう、今回の安保法制を先取りして、

まさにアメリカと一体になって戦争に参加する危険性が高まっていると思います。 

●PKO法改定による現実的危険----自衛隊が紛争当事者に

 今回の法律で、PKO法が改定され、国連が直接統括しないミッションにも参加することになり、駆けつけ警護、安全確保業務という新しい業務を遂行するために武器使用基準の拡大が盛り込まれました。

 特に、現実的にあるのは南スーダンPKOです。これはすでに派遣されているわけですが、南スーダンPKOは、スーダンから南スーダンが独立して、その後にできたミッションです。すでに独立後なので、いわば武力紛争はないという前提で自衛隊が派遣され、部隊は半年ごとの交替ですが、今事態は大きく変わっています。南スーダンでは、2013年に大統領派と副大統領派の抗争がおき、民族・部族の争いとからまった内戦状態になっています。その結果200万人以上が避難していて、政府軍が反政府軍を根絶やしにする目的で村を焼き尽くし、子どもが殺害されたり、一部は少年兵として登用され、女性はレイプされた後、家屋に閉じ込められ焼き殺されたり、こういう悲惨な事態になっている。いわゆる停戦合意などの5原則が満たされていないんじゃないかと質問しますと、政府は、「独立しているからそもそも武力抗争はない。今起きている事態は、武力紛争とは考えておりません」と言う。現にこういう事態が起きているじゃないかと聞いても、あくまでも武力紛争ではないんだと言い張っているんです。

 そしてこの11月から、新しい部隊が入れ替わりで派遣されるわけですが、その間に戦争法は施行されますので、駆けつけ警護などの新しい任務を付けるんじゃないか。入手した自衛隊の内部文書では、そのことが掲載されていました。大きな反対の声が上がりまして、中谷防衛大臣は、今回派遣する部隊については、新しい任務は付さないと明言しました。

 これは、参議院選挙前にいろんな事態が起きたら困るという思惑があると言われていますが、国民の世論をそれほど恐れていることの裏返しでしょう。そういう思惑だけでなく、そもそもこういうことが出来ないように、この法律は廃止していくことが一層必要だと思います。 

●本質はガイドライン実行法----米軍の戦争にいつでも、どこでも、どんな戦争でも

 日米ガイドラインは、1997年に結ばれ、日本に対する武力攻撃および周辺事態として、地域は一定程度限定されています。今回の改訂は、「アジア太平洋地域およびこれを越えた地域」、そして「地球規模」に範囲が広がります。また、前回のガイドラインでは、「日本の憲法上の制約の範囲内において」となっていますが、今度のガイドラインでは「憲法に従って行われる」となって、かつては制約であった憲法がもう制約ではありません。このように解釈を変え、しかも「切れ目のない」力強い実効的な対応という、平時から一体化を一層強化する中身になっています。このことは、私たちが明らかにした自衛隊の内部文書でも明らかになりました。

 一つは河野統幕長の昨年(2013年)の12月の訪米記録。二つめは統合幕僚監部が作っていた文書で、衆議院で戦争法の本会議質疑が行われた日に、350人の自衛隊幹部を集めた会議が行われた時のもの。そして三つめが6月の海上自衛隊の文書。この三つです。時系列的には今の順番ですが、国会での暴露は逆の順番になりました。その順番で入手したからです。

 最初に海上幕僚監部の文書を見たときに、これは海上幕僚監部防衛課幹部学校作戦法規研究室というところの作成なんですが、説明にきた防衛省の幹部が、「こんなことを検討していたとは、私たちは全然知りませんでした」としらばっくれたわけです。しかし、この1カ月前の5月に、統合幕僚監部が、この新ガイドラインと戦争法案を受けて、具体的な検討を指示しており、それにもとづいた文書だったわけです。

 さらに言えば昨年の12月の段階で、自衛隊のトップである河野統幕長が訪米し、米軍幹部に、「(衆議院選で)与党が勝ったので、夏までには法律が出来るでしょう」、「集団的自衛権の行使が可能になり、アメリカとの同盟関係がより深化する」と言っている。これは組閣をする前、与党の協議をする前ですよ。その段階でこんな発言をし、自衛隊が検討に入っていた、恐るべき軍部の独走とも言える事態が明らかになったわけです。

 その具体的中身ですが、同盟調整メカニズム、それから今までは検討といっていた日米の共同行動計画を策定するというのです。軍軍間で(自衛隊がいつから軍になったのかという声もありましたが)調整すると言うことが、この統幕文書の中に含まれていたわけです。

●共同司令部の下で自衛隊が平時から米軍指揮下に

 昨日、私たちは6人で自衛隊の横田基地に調査に入りました。これまでは府中にあった航空自衛隊の航空総隊司令部が、2年ほど前に米軍横田基地の中に移ったので、そこを初めて調査に行ったのです。米軍基地の中にあるわけで、我々も米軍の許可を取って入ります。6人で登録をして、その後で仁比議員も行きたいということで申請したんですが、アメリカ側から、もう締め切ったのでダメですと言われてしまった。アメリカの施設を見るんじゃないんですよ。米軍基地にある自衛隊の基地を調査に入るために、国会議員が行っても米軍がダメだと言ったら入れない。こういう実態なんですね。

 行ってみますと、航空総隊司令部があり、その80メートルくらい裏がわに、箱のような形で米軍の第5空軍の司令部があるんです。これは地下で通じていると言うことなんですが、いままで5キロも離れていたが、顔を合わせての会議がしょっちゅう出来るようになった。米軍基地で生活することによって、より一体感、近密度が高まったと自衛隊の幹部が言っておりました。

 しかも、それを先取りした日米共同訓練が実施されているんです。たとえば、今年の1月、カリフォルニア州の、50㌖×70㌖という鳥取砂丘の90倍もあるような広大な砂漠の訓練場で、日本の自衛隊と米軍が一緒に訓練をしております。そのなかには中東を模したような集落があってモスクがある。ご丁寧に、住民役としてアラブ系のハリウッド俳優がいる。住民の顔をしたテロリストがいることもあるからということなんですが、なんで専守防衛といいながら、中東における砂漠の戦車作戦をアメリカ軍と組んでやっているのか。

 それからこの間、沖縄で米軍のヘリコプターが墜落しましたが、日本の自衛隊の特殊部隊員が2人乗っていたことが大問題になりました。実は、アメリカの特殊部隊の訓練に、研修と称して参加していたんです。このアメリカの特殊部隊は、例えば、主権侵害だとパキスタン政府が抗議していたビンラディン殺害事件とか、そういう国際法に反する作戦をやっている部隊なんです。今度、横田に配備されるCV22というのは、米軍の特殊部隊のオスプレイです。これ、米軍が世界中に配備している33機、そのうちの10機を横田に配備するという、まさに横田が特殊部隊の出撃基地になるわけです。日本の首都東京でこういうことまで行われているわけで、さまざまなアメリカとの一体化が進み、そのために自衛隊の装備も変わってきているという事態ではないでしょうか。

●戦争法廃止の「国民連合政府」の実現を----国民のたたかいがつくりだした提案

 こういう事態を見たときに、運用をどうにかしろとか、暴走を監視しろと言うことではなく、こういう法律は廃止していかなければならない。だから私たちは、廃止のための多数派を作り、戦争法廃止の「国民連合政府」を作ろうと呼びかけたわけです。これには、非常に大きな反響が起きています。

 そしてこれは何か私たちが頭の中で考えて出したものではありません。みなさんにも話をお聞きしますと、毎日のように国会行動に行っていたという声がありましたけど、あの場にいられたみなさんが、「本当にこの法律は止めてほしい、そのために野党は力を合わせてほしい」という多くの声をあげられました。そのたたかいの中から出てきた提案なんです。

 大きかったのは、総がかり行動実行委員会が、去年(2014年)の12月に出来ました。これまでいろんな運動も、それぞれがやっていたわけですが、それでは安倍の暴走に勝てないと言うことで決断して、全労連などが参加する共同センター、1000人委員会、市民運動などの実行委員会のみなさんで、総がかり行動というのを始められた。これがきっかけで、普通の人が自分の意思表示に集まることができる。さらにこれが新たなつながりをつくって行くということが起こりました。

 この総がかり行動の最初の大きな集会が、5月3日の憲法集会で、横浜でやったんですが、2万人の目標が3万人来たんです。わが党は志位さん、民主党は長妻さん、社民、生活も来ました。そのときに、みんなで手をつないで上げましょうとしたときに、民主党の代表がそれはちょっととできなかった。しかし、国会最終版は各党首がみんなで手を組んであげることが、当たり前の姿になりました。

 そして、「本気で止める」というスローガンがシールズのみなさんからあげられた。それは我々もそうなんです。「本気で止める」「本気でなくすためには何が必要なんだ?」ということです。これは国会で、国民の意識とはねじれた多数派が数をたのんでやった以上、やっぱり国会で反対の多数派を形成し、廃止のための政府を作る、本気で考えたらこれしかないという思うんですね。

 発表直後にいろんなマスコミから、「共産党はどういうメリットがあるんですか。公明党が自民党とやっているように、選挙区は何票廻すから、比例は共産党へ何票よこせとやるんですか」とか聞かれます。「いや、私たちはあの国民のみなさんの声に本気で答えなければ、政党としての役割が果たせない、これは責務だと思って打ち出したんだ」といいますと、「なるほど、そうなんですか」と納得されていました。

 実際に法律を廃止する、その法律の根っこにある閣議決定を撤回する、この二つの仕事を実現しようと思えば、政府を変えなければ出来ません。この提案は分かりやすい提案だと思います。まさに政策を議論する立憲主義が壊されているときに、立憲主義を取り戻すというのは、何よりも優先する課題だからです。ですから私たちは、この二つの仕事を新しい政府に求めますが、それ以外の一致しない政策については新しい政府に求めない、現状で行く。そう言う意味では二つの任務をやる特命政権であり、暫定政権なんですね。それをやって再び解散選挙をやる。ですから、志位委員長も、政策の大きな違いを棚に上げるのではなく、違いも横に置いて、大同につくんだということを言っています。

●誠実な話し合いで----カギは国民の声と運動

 マスコミなどでも誤解があるんですが、この間も地方で演説しましたら、私がしゃべったこととして「小さな政策の違いはあるが、大同につくんだ」と書いてある。小さななんて言っていませんよ。個々の政策に大きな違いはある、しかし大きな政策の違いがあるからと言って、安倍政権の憲法じゅうりんを許すわけにはいかないということになれば、違いは横に置いて、立憲主義を取り戻し、戦争法を廃止する。これが最も現実的ではないでしょうか。その本気度がそれぞれの党に問われているんです。

 民主党の中には、いろんな声もあります。しかし参議院選では、32ある1人区で安倍政権・自公を打ち負かしていくためには、野党間の協力は必要だという、基本的な認識は広がっていると思います。

 既に与党からは、野合批判というのがあるわけです。それに対して、こういう大義があるんだ、これをやる政府を作るんだとしっかり示さなければ、力が出ません。率直に言って、政党として、「これをやるんだ」ということをしっかり決めて、候補間の約束も含めて協力していることを国民に示してこそ、本当に力も発揮されるし、支持も得られると思うんです。

 私たちは、沖縄では小選挙区の1区から4区まで、まさに辺野古の基地は許さないという大義で、オール沖縄が勝ちました。1区の赤嶺政憲さんは、これは最後までなかなか厳しいとマスコミも言い、自民党なども、オール沖縄と言っても、赤嶺政賢は共産党じゃないかと言う。でも、それにひるまなかった。反撃の先頭にはオール沖縄でたたかった経済人の方、保守の方々が起ってくれたんです。オール沖縄のために一番頑張っているのが共産党じゃないか、その赤嶺さんがなんで悪いんだと。だからこそ1+1が3にも4にもなったわけです。

 私たちは、そう言う力を発揮するという点でも、大義を掲げた協力の実現のために力を尽くしたいと思います。その上でも、野党間の誠実な話し合いをしておりますけれども、やっぱりカギは国民の声だと思うんです。

 11月19日は沖縄で集会が行われました。実はその日に野党5党と、戦争法に反対してとりくんできた諸団体の、第2回目の意見交換会が開かれたんです。この交換会は第1回目は民主党の呼びかけでした。戦争法案反対のたたかいの中でも、いろんな共同はありましたが、基本的には日弁連であるとか、総がかり行動であるとか、シールズであるとか、そう言う運動体がやっている集会に、各党が行って挨拶をして各党が共同で手を上げる、こういうことだったんです。

 今度は総がかり行動やそれ意外にもいろんな29団体が一緒になって、2000万人署名を提起しましたね。これまでれぞれの団体がやっていた署名を、一緒にやろうというわけです。いままでこういうことはなかった。この意見交換会のような懇談というのは戦争法案の質疑の時には出来なかったけれども、第1回目の時に引きつづきやろうとなって、2回目が行われた。さらに参議院選挙のことを考えれば、もっとテンポを上げ、2週間に1回やろうということまで合意したわけです。運動体の共同、野党の様々な協力というのは、法案の審議の時よりむしろ発展していると思います。

 さまざまなハードルはあります。しかしハードルは乗り越えられる。私は実は、参議院の視察でベルリンの壁の跡を見てきましたが、壁だって壊せますよ。そうでなくてはいけないと思っております。

 私たちがこういう形で選挙協力を呼びかけるというのは初めてのことですから、相手も戸惑うし、急がなくちゃいけませんが長い目で見ることも大事です。国民の中から広がった運動に、私たちも参加していこう、政党も応援していこうじゃないか、ほかの野党も一緒に合流していこうじゃないか、そのために私たちは、こういうことが必要だと呼びかけているわけです。

●参議院選を第一歩に----自公を少数派に。日本共産党の躍進を

 そのなかで、来年の参議院選挙が大きな一歩になります。もちろん政権交代には、最終的には衆議院選挙が必要です。私たちは解散を求めていますが、これは相手が判断することです。衆参同時選挙を狙っているという話もありますが、決まっているのは参議院選挙です。そこで自公を少数派に追い込むことが、戦争法を廃止する大きな一歩になる。そして同時にこの選挙で、日本共産党自身が躍進する、それが確かな力になるということだと思います。

 今回の提案が、これほどまでに大きな反響になったのは、この間の参議院、衆議院での躍進があったからだと思います。党が落ち込んで14議席しかなかった時にこういう提案をしても、他党もマスコミも「勝手に言っている」と、相手にしなかったと思うんです。その躍進と一体なんですが、議席数を生かし、大いに存在感を発揮してきたことも大きかった。戦争法で言いますと、論戦の中身、自衛隊の内部文書を連続して明らかにしたことも大変注目されました。 われわれ、あの資料を入手したときに、非常に驚きましたし、資料が間違っていると大変な反撃を受けるわけですから慎重に検討もしました。これは内容的に確かなことだ、勇気を持ってこの資料を送って下さった方の思いに、答えなくてはいけないということで、国会で追及しました。そうすると、共産党はやってくれたと言うことで、次の資料、次の資料と寄せられてきたと思うんです。あの一連の資料は、戦争法についてのアメリカとの関係を暴露する大きな力になりました。

 また、国会の質問の時間が大きく増えました。参議院では、10人未満の議員団というのは交渉会派として認められていないんです。日本共産党が一昨年の参議院選挙で11人に躍進したこと、それからみんなの党などが自壊し、その後、維新がばらけてしまいましたので、名実共に野党第2党です。

 躍進前の通常国会での本会議の質問は、3回しか立てませんでした。この前の通常国会は95日の延長がありましたけれども、33回立っているんです。私自身も6回立ちました。みなさんの力で伸びたことによる発言力の増加。声が大きいだけじゃなく、中身もしっかりやっているから、ああいう資料も寄せられ、それがまた大きな力になっていくということです。

 そういう点では、今度の参議院選挙で自民公明を少数派に追い込む、そのために1人区でしっかりとした選挙協力を行うと同時に、比例でも、そして東京など3人区以上(京都は2人区ですが)の選挙区でも、しっかり日本共産党の議席を獲得する、そのことがこの連合政府を実現する上での、最も確かな力になると思っています。私たちは大いに共同を拡げながら、共産党の議席の値打ち、そして私たちの本気度、覚悟、これをしっかり国民の中に拡げて、なんとしても参議院選挙での躍進と、戦争法廃止の連合政府実現のために、頑張っていきたいと考えております。そのために文化後援会の皆さんの、大きな奮闘もお願い致しまして、私からの訴えとさせていただきます。どうもありがとうございました。〈拍手〉   (文責・編集部)

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