国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2009年・171通常国会 の中の 外交防衛委員会

外交防衛委員会

shitsumon201111.jpg・イラクやアフガンに派遣されている米海兵隊が、グァムに戻る際の住居まで日本が負担することをただした。


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 海兵隊のグアム移転によって大幅に沖縄の負担軽減になると強調されてきました。しかし、減るのは実数ではなくて、定員が八千人減って一万人になるだけだと。沖縄には一万三千人前後しか海兵隊いませんから、移転する実数は二、三千にとどまるという可能性があります。

 そこで、まず外務大臣にお聞きしますが、米兵による犯罪などの沖縄県民の負担と苦しみというものは実数が減らないと解消できないんじゃないでしょうか。定数が減っただけで解消できるとお考えでしょうか。

外務大臣(中曽根弘文君)

 海兵隊のグアム移転によりまして、これが実現することによりまして定員数が一万八千人から一万人へと削減されるわけでありますけど、この定員数は、海兵隊の部隊の配置とかあるいは活動の基礎となる数字でありまして、今後の実数の削減においても極めて大きな意味を持つものと考えております。

 また、人口の密集地に多く存在をしております嘉手納飛行場以南にあります五つの施設それから区域、先ほどからお話ありますけど、八百九十五ヘクタールのこれの全面返還及びキャンプ瑞慶覧の部分返還が実現することにこれでなるわけでございますが、このような返還の実現は、これはもう一九七二年の沖縄返還以降最大規模のものでございまして、これは沖縄の経済振興にとって大きな機会を提供することだと考えておるところでございます。

 私、一月の三十一日から二月の一日まで沖縄県を訪問しまして、米軍関係者による事件とか事故とかあるいは騒音、こういう問題を含めまして沖縄県民の皆さんの負担というものを私自身改めて実感をしたわけでありますが、そのときに、ジルマー米四軍調整官に、事件、事故の再発防止を含めて、沖縄県民の皆さんが安心して暮らせるように申入れを行いました。

 その上で、沖縄全体の負担を大きく軽減するためには、普天間飛行場の移設・返還、それから在沖縄海兵隊のグアム移転や、さらには嘉手納飛行場以南の施設・区域の土地の返還などの米軍再編を是非とも実現しなければならないと、そういう思いを強くしたところでございます。

井上哲士君

 定数は実数が減る基礎になるということでありますから、まさに実数が減ってこそ負担軽減につながるわけですね。

 ところが、実数は八千人も減らないじゃないかということは我々はしばしば指摘してきましたけれども、政府は答弁では認めるようになりました。しかし、今なお国民には実数が八千人減ると思わせるような言い方、宣伝がされております。

 昨日、沖縄に調査行きましたけれども、一番このことで関心を持っている宜野湾の市長さんですら、今回の国会審議を通じて明らかになったように、実際には何名がグアムに移るのか分からないということでは沖縄の基地負担軽減に結び付くとは思えなくなりましたと、こういうことを言っていらっしゃるわけですね。なぜ、減るのは定員なんだと正確にかつ正直に言われないんでしょうか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 政府は、二〇〇六年五月に合意したロードマップに至る協議の中において米側からは、沖縄に駐留する海兵隊の要員については常に変動する実員ではなく機構上の定員であると説明を受けております。この点は、累次の国会答弁においても政府として明確にしてきております。

井上哲士君

 国会では言っても、国民向けには実数が減るような言い方をしてきているから、多くの沖縄県民もそう思っているんですよ。ですから、やっぱり巨額の負担を納得させるためにあえて誤解を招く言い方を意図的にしてきたんではないかということを言われても仕方がないと思います。

 じゃ、定数の意味についてお聞きします。

 今日も若干議論がありましたが、この新たな定員一万人というのは今後沖縄に駐留する海兵隊員の上限だと、これより一人でも多くならないということで確認できますか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 これも先ほど来御答弁を申し上げておりますけれども、海兵隊の定員というのは、このグアムにほぼ恒常的に駐留するであろうプレゼンスの言わば基礎となるものでございます。したがって、全体の状況が平準化すれば定員が充足され、ほぼこの数と近い実数になるであろうということが予想されるわけでございます。

 それでは、在日米軍あるいは在沖海兵隊につきまして、安保条約の目的達成との関係で部隊の運用等日々変動しているわけでございます。こういう変動の中で一万人を一人たりとも瞬間的に超えることがないのかといえば、それはそういうことは十分あり得るのではないかと思います。

井上哲士君

 つまり、定数があってもそれを上回る駐留もあるということでありますが、じゃ、定数は変わらないのかと。そもそも駐留米軍の定数について日本はアメリカ側から日常的に報告を受けているんでしょうか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 在沖縄海兵隊を含む在日米軍は、安保条約及び地位協定に基づきまして我が国及び極東の平和と安全の維持という目的を達成するために日本に駐留しているわけでございます。実員につきましては、我が国を含む全世界に展開する米軍の軍種別人数という形で一定期間ごとに対外的に公表されているわけでございます。日本における定員について、合同委員会等の場を通じて日本政府が恒常的に報告を受ける仕組みというのがあるのかといえば、それはございません。

 しかしながら、このロードマップに係る協議の過程で、沖縄に駐留する米海兵隊の定員数につきましては米側から約一万八千であるという説明があり、本件グアム移転が実現した後の在沖縄海兵隊の定員数は約一万人になるということを確認をしているところでございます。

井上哲士君

 恒常的に報告を受ける仕組みはないけれども、今回のロードマップの議論の中では数が出されたということでありますが、じゃ今後、アメリカ側が駐留米軍の定数を増やすという場合に日本に対しての合意というものが必要なんでしょうか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 在沖縄海兵隊を含む在日米軍は、安保条約及び地位協定に基づきまして我が国及び極東の平和と安全の維持のために日本に駐留をしておりますけれども、その在日米軍の定員数を何人とするというようなことについては、そもそも日米間で合意をするということにはなっておりません。したがって、在日米軍の定員を変更するに当たっても、これは基本的に我が国の同意は必要とされないわけであります。

 しかし、現実には、在日米軍の運用については日常からいろんな意見交換が行われております。したがって、そこにおいて、大きな部隊が変更する、そういうようなことについてはいろいろ連絡を受けるということになっております。

井上哲士君

 同意は必要ないということであります。

 そして、今、日米間で様々、騒音防止協定などを結んでいても守っていないという実態があるわけですね。今後、そういうことで相談があると言われても、これは、はいそうですかと言うわけにいかないわけであります。つまり、安保条約、地位協定において、これについて日本が合意したり協議をするという仕組みはないと。

 じゃ、今回のこの協定の条文の中に八千人定数を削減して一万人にするというふうに書き込んだらいいんじゃないですか。なぜそれができないんでしょうか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 これも累次御説明しておりますとおりに、今次協定は、ロードマップの実施ということをこれから日米両政府は進めていくわけでございます。そのロードマップの実施の中の一つの案件でありますグアム移転事業がある。そのグアム移転事業につきまして、そのまた真水事業について、主としてその資金の移転に係る部分について権利義務を定めたというのが今次協定でございます。

井上哲士君

 つまり、条約上の削減の縛りを掛けたということには全くならないわけですね。ですから、実数も定数を上回る場合がある、今後定数を増やす場合にも日本の合意は条約上必要ない、そして今回の協定でも削減をして一万人にするという縛りは何もないと、これが実態なわけですね。

 元々アメリカは自分の戦略的判断で軍の配置を決めてきたわけで、日本が定数を変えるとかいうことを拒否する仕組みもないわけです。結局、だから沖縄の海兵隊員の実数にしろ定数にしろアメリカの自由なわけでありまして、その下で日本は八千人の移転分の財政負担をさせられるということだけなんじゃないですか。いかがですか。

外務省北米局長(梅本和義君)

 一万八千人の定員を一万人にする、八千人の定員の海兵隊を沖縄からグアムに移転するということは、ロードマップの中で明確に合意をされているわけでございます。

 このロードマップについては、2プラス2の外務大臣、防衛大臣、国務長官、国防長官で合意をされ、さらに、その後の累次の首脳会談においても、これは日米両首脳がこのロードマップに従って米軍再編を進めるということを確認しているわけでございますので、両国政府としてこれを、一万八千人を一万人の定員にしていくということについては明確にこれを進めていくという意思が両方で確認をされているということでございます。

井上哲士君

 ですから、条約上も、そして今回の協定からいっても、はっきりしているのは日本が八千人分の移転の財政負担をさせられるということだけなんですよ。

 さらに、じゃ聞きますが、衆議院の答弁で、家族住宅も最大で三百戸として日米間で協議中だと、米側の見積もった戸数を前提に交渉しているわけではないというふうにされました。そうしますと、沖縄の負担軽減ということでやっているわけですが、日本側が負担する隊舎や家族宿舎の建設戸数は沖縄から移動した海兵隊員の実数の範囲内になるんでしょうか。

防衛副大臣(北村誠吾君)

 お答えします。

 日本の分担で整備することになっている隊舎及び家族住宅の棟数や戸数といった所要数につきましては、現時点では結論が出ているわけではございません。引き続き日米間で協議を行っておるところでございます。

 その所要数の算定に当たりましては、日本の分担する事業は在沖米海兵隊の沖縄からグアムへの移転に伴う所要の増大に対応するものとの考え方に基づきまして、基本的には、定員数としての八千名の海兵隊員の移転を前提としつつ、今後日米間の協議等を通じ具体化をしていくというものでございます。

 いずれにいたしましても、これらの所要数や整備に必要な経費につきましては、引き続き日米間で協議を行い、日本政府としてしかるべく精査をいたしました上で予算を計上し、国会での御審議を賜るということと考えておるところであります。

井上哲士君

 実数は二、三千しか減らなくても八千人の定員が減るという前提でその所要を考えるということでありますが、そうしますと、現在は例えばイラクやアフガニスタンに展開しているけれども定数としては沖縄の枠内だと、こういう部隊がグアムに移転する際の隊舎や宿舎まで日本が負担をすると、そういうことでいいんですか。

防衛省防衛政策局長(高見澤將林君)

 お答えいたします。

 これは衆議院でも議論があったところだというふうに思いますけれども、今回の隊舎、家族住宅の検討の前提というのは、基本的には定員の枠組みというものの変更に伴ってグアムへの所要が増大すると、それに対応するものを整備するという、そういう考え方でやっているところでございます。

井上哲士君

 ちゃんと質問に答えていただきたいんですが、要するに、現在イラクやアフガニスタンにいるけれども、定数としては沖縄の部隊というものがグアムに移転した場合も隊舎、宿舎を整備するということでいいんですか。

防衛省防衛政策局長(高見澤將林君)

 ですから、基本的にグアムへの移転というのは定員の枠組みで考えておりますので、実際に現在、沖縄のまさに定員の中でどういったところにいるかというときに、すべての沖縄の海兵隊の定員の枠組みで常に沖縄に所在しているわけではございませんので、そういうことを前提にして今回の議論も行われているということでございます。

井上哲士君

 沖縄の定数が充足していないのはアフガニスタンやイラクに展開しているからという答弁をさんざんされているわけですね。これはとんでもない話だと思うんですね。

 イラクやアフガニスタンにいる部隊、定数だけは沖縄にあるかもしれませんけれども、アメリカの都合で戦争をしに出ていっているわけですよ。言わば日本の国外に出ていった部隊なんですね。なぜこういう部隊が、アメリカの部隊が任務を終えてアメリカの自分の国の基地に帰るというその際の隊舎や宿舎まで日本がどうして負担しなくちゃならないのかと。海外に出ている部隊は現に沖縄の県民の負担になっているわけじゃないんですよ。なぜその分の負担をしなくちゃいけないんですか。

防衛省防衛政策局長(高見澤將林君)

 お答えいたします。

 米軍の運用にかかわることになりますけれども、基本的には、もしこういった定員の枠組みの変更というものがなければそれは沖縄に帰ってくるということになるかと思いますので、まさにそういう定員の変更というものがあって具体的な部隊なり装備の運用というものが変わっていくと。それを、グアムに移転をするということで沖縄の負担の軽減を図ろうというのがそもそもの考え方でございます。

井上哲士君

 そんないいかげんな答弁しちゃ駄目ですよ。

 梅本局長は衆議院での答弁で、仮に定員が充足されていないものがあっても、それは根っこが沖縄からグアムに移りますので、将来、定員が充足されるような事態になってもそれは沖縄には来ないと、それはグアムに行くんだということでございますとはっきり言っているわけですよ。沖縄には来ないんですよ、帰ってこないんですよ。なぜその分の負担までしなくちゃいけないのかということです。

外務省北米局長(梅本和義君)

 今の定員が一万八千人ということでございます。それについては定員が必ずしも充足されていないということで、実数がそれより大分乖離をしているというのが現状でございます。

 しかし、その一万八千人の定員がいるということで沖縄にはそれに必要な施設というものがあるわけでございまして、これはその定員がいずれ平準化して充足されるようになればまたその施設を本来は使用するということで、一万八千の定員の部隊がそこにいることになるわけでございます。この一万八千のうちの八千の定員の部分をグアムに移すということでございますので、今度そういう状態であれば、仮に定員がまた充足されるようなことになれば、それは沖縄において充足されるのではなくてグアムの方において充足をされることになりますので、グアムにそれだけの設備というものが必要になってくるということで、ただいま防衛省の方から御答弁をしているように、そちらの方の施設整備が必要になるということでございます。

井上哲士君

 それはアメリカの国土でアメリカ軍によって必要になるわけですから、アメリカが造ったらいいんですよ。なぜ日本が負担しなくちゃいけないということを問題にしているんです。

 そもそも外国の領土にある外国の基地に日本政府が負担をすること自身が前代未聞ですけれども、政府はどういう説明したかといえば、これは負担軽減のために日本側が要望したものだということが一つですね。

 それから、これ、防衛省が平成十九年二月に出した在沖米海兵隊のグアム移転についてという説明文書ですと、在日米軍が日本国内で部隊を移転する場合、施設整備の費用は基本的に日本が負担しますと、今回は海外に移転しますが、海兵隊の任務には依然として我が国の防衛が入っています、したがって、移転先が日本国内でないから負担はしなくていいということにはならないと考えますと、こういうふうに言っているんですね。つまり、日本防衛の任務を持っているから払うんだというのが大きな理由の一つなわけですね。

 しかし、中東で戦争をしている部隊に日本防衛の実態などないんですよ。ですから、政府が説明をしてきたことからいっても、このイラクやアフガンの作戦に従事しているアメリカの部隊がアメリカの基地に移転をするための費用を日本も負担などは、必要は私はないと思いますが、これ大臣、答えてください。外務大臣、いかがですか。

外務大臣(中曽根弘文君)

 各地で活動をしているこの米軍の部隊がそこで固定されているわけじゃなくて、またいろいろな状況の変化によって、この日本を中心として、あるいはこのアジアを中心としてこの米軍が活動をしているわけですから、行ったり来たりしたり戻ったりするわけでありまして、そういう意味では、イラクに行ってきたから、この部隊はもうイラク専門だから、この沖縄なりあるいはグアムなり、我が国が造った施設に入っちゃいけないと、そういうことには私はならないと思うんですね。やっぱりその状況によって出動する場所とか人数が違いますし、これは地域全体の安全保障のための米軍でございますから、そういう意味で私は支障ないと、そういうふうに思います。

井上哲士君

 ですから、地域全体の安全保障の米軍が自分の国に戻るときの基地の負担を日本がする必要がないんじゃないかということを言っているんです。

 政府の説明は、沖縄県民の負担になっているということ、そして日本の防衛の実態があるということなわけですね。じゃ、現に今、イラクやアフガン作戦に従事をしているアメリカの海兵隊が日本の防衛の任務持っているんですか。

外務大臣(中曽根弘文君)

 今はイラクやあるいはあの周辺地域で活動しているということかもしれませんが、任務によってはまた違う地域、あるいは日本の近くで活動するということもあり得るわけでありますから、先ほど御答弁もそういう意味で、私は沖縄なりあるいはグアムなり、そういうところへ行ってきた部隊がまたそういうところへ入っても問題はないんではないかということを申し上げているんです。

井上哲士君

 先ほど申し上げましたように、そういう部隊は将来定員が充足されるようになっても沖縄には来ないんだ、グアムに行くんだということを梅本局長も言われているわけです。政府は沖縄の海兵隊が日本防衛の任務を持っていると言いますけれども、イラク戦争を見ても明らかですが、敵地の制圧に真っ先に乗り込むのが海兵隊の役割なわけですね。沖縄は、アメリカが世界のあちこちで戦争をするための出入り自由の出撃基地として使われて、これを政府許してきたというのが実際のところでありまして、それを日本の防衛などと口実を付けてイラクやアフガンの戦争に行った部隊がアメリカ本国の基地に戻るための経費を日本が負担するいわれはないと、これは許されないということを改めて強調したいと思います。

 最後、防衛大臣にお聞きしますが、ロードマップを承認した直後に当時の額賀長官は日本の負担額について、これからきちっと積算していくと、我々もコストダウンを図る、合理化を図る、効率化を図る中で、更に予算をできるだけ少なめにしなくてはならないと述べて、詳細については今後更に積み上げて、きっちりと精査をした上で説明をするというふうに述べておりましたが、それから三年たったわけですが、金額は変わっておりません。

 今年度予算で真水負担の一部が初めて計上されたわけですが、この部分について、当初計画より、かつて額賀長官が言われたように、どういう合理化、効率化による経費の削減ができたんでしょうか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 我々としましては、我が国が二十八億ドルを上限に真水による負担行為を行うこととしておりますけれども、政府としては国民の皆様の御理解を得るべく、我が国の真水による負担額について各年度ごとに精査の上、最も効率的な形で所要額を計上し、国会の審議を賜りたいと考えておるところでございます。

 この考えに立って、政府としては平成二十一年度予算に計上された真水経費については、米側の提示した経費見積りを基に日米間でより効率的なものとすべく協議を行い、我が国として精査することにより、例えばグアム島などでの過去の米軍建設事業におけるより安価な実績単価を使用するなどの工夫によって効率化を図ることができたと考えております。

 なお、協定においては、我が国が提供した真水資金について事業の執行過程で生ずる未使用残高、すなわち効率化分は原則として日本政府に返還される旨規定されており、政府としては事業の執行過程においてもより一層の効率化が図られるよう、適切に対処してまいりたいと思っているところであります。

井上哲士君

 今回の真水負担の中にあるアンダーセン基地やアプラ港の基盤整備事業というのは当初の計画からは読めないんですね。日本が仮に節減をしても、その分、上限二十八億ドルの中で新たな事業が加わっているんではないかというようなことも思うわけですね。

 どういう積算が最初に行われていたのかということが示されないと、どういう経費節減がされたのかも、そして、もしかしたら新たな事業が加わったのかということすら国会としては判断できないわけですから、これは何も分からない、審議できないと。やはり全体の積算の根拠をまず示していただいて、その上で年ごとにどういう合理化努力が行われたのか、こういうことが当然議論をされるべきだと思います。全体の積算を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

防衛省防衛政策局長(高見澤將林君)

 お答えいたします。

 我が国が負担する真水事業の対象ということにつきましては、司令部庁舎、教場、隊舎及び学校等生活関連施設を前提とするという考え方に立ってこれをやっております。具体的には、精査をしながら各年度ごとに事業を見積もって国会の予算の形で御承認をいただくということでやっておりますので、そういう全体の考え方に立って年度、年度で十分に御説明をしていきたいというふうに考えております。

井上哲士君

 年度ごとの説明では十分でないので、二十八億ドル全体についてしっかりした積算を示していただきたいと改めて求めまして、質問を終わります。

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