国会質問

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法務委員会

shitsumon201111.jpg・刑法等一部改正案などの審議。同法案により急増する保護観察所の業務にふさわしい体制拡充を求めた。


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 この二つの法案については、一昨年の臨時国会で二回質問もし、そして参考人の質疑もいたしました。ですので、今日は、法案の中心点である受刑者の再犯防止や社会復帰の促進の観点から、社会内処遇を拡充する上での必要な施策や体制の問題中心に質問をいたします。

 まず、検察の問題です。この犯罪者の社会復帰とか再犯防止というのは、どちらかというと矯正、保護、それから厚労などとの連携ということが専ら言われてきましたけれども、実は検察自身の課題でもあると。

 今年二月の検察長官会同で、小津検事総長も犯罪者の社会復帰や再犯防止に目を向けた検察運営ということを強調をされております。具体的にはどういう基本的な考え方と取組が必要とされているとお考えでしょうか。

 まず、大臣からお願いします。

国務大臣(谷垣禎一君)

 今、井上委員がおっしゃいましたように、私も今回法務大臣となりまして、昔法律を勉強し、司法修習生などで検察で修習した時代に比べますと、保護、矯正と検察との間の連携というものが大分進んできたといいますか、その重要性を随分強調するようになったなということを感じております。

 もちろん、検察当局においてもかねてからそれぞれ事案に応じた相応の処分あるいは科刑というものを、相応の科刑というのを実現を目指してきたのは、これは当然なことだと思いますが、それに加えて、要するに、捜査をし、起訴をし、公判をする段階から、犯罪者の社会復帰であるとか、あるいは再犯防止をどうやって図っていくかということを考慮に入れながらやっていこうという流れになっているように思います。それで、そういうことに向けた関係機関の連携というのも意を用いてやろうという機運が高まってきて、私はこれは非常に結構なことだと思っております。

 今年、検事総長が二月に全国の検察長官に対して、犯罪者の社会復帰、再犯防止に目を向けた検察運営を行うことが必要であると述べられておりますが、こうした流れを踏まえた検事総長の御発言だったと思っておりますので、私どももそういう認識の下にこれから取り組んでまいりたいと、このように考えております。

井上哲士君

 具体的に、例えば東京地検では今年の四月から社会復帰支援室というのを発足をされておりますし、仙台、大津、長崎の各地検では、福祉の専門家らが集まる民間組織との連携も進めているというふうに聞いておるわけですが、具体的にどういう取組がされていて、これを、私はいいことだと思うんですが、全国的に広げていくという点ではどういうことをお考えでしょうか。

政府参考人(稲田伸夫君)

 ただいまお話ございました東京地検におきましては、本年一月から社会福祉士の方を非常勤の職員として採用させていただき、関係機関との調整などを行ってもらい、被疑者らを釈放した後に、この被疑者らの受入先の確保につなげようという取組をしているというふうに承知しております。

 また、お話ございましたように、長崎でありますとか仙台、大津などの各地検では、知的障害者らの支援に詳しい外部の福祉あるいは医療関係者らによって構成される委員会と連携をいたしまして、検察官が被疑者の処分を検討するに当たりまして専門的な観点から、例えば、その被疑者の方の障害の程度でありますとか、受入先があるかないか、その存在などの個別的な事情を踏まえまして、社会内での更生支援が可能か否かなどのことにつきまして助言を受けるなどの取組をしているというふうに報告を受けております。

 検察当局におきましては、先ほど大臣のお話もございましたように、このような取組をできるだけ進めていきたいというふうに考えているところでございまして、これらを通じまして再犯防止のために適切に対処していくものと承知しております。

井上哲士君

 まさに刑事司法の入口から出口にかけて、そしてまた政府全体としても取組が進められているわけでありますが、是非こういうことを強化をしていただきたいと思います。

 その上で、主に保護の問題でお聞きをするんですが、この薬物事犯の処遇プログラムについて先ほども質問がありました。前回質問した際には、一部猶予制度の導入によって保護観察期間が長期化することが見込まれるために、それに応じた専門的な処遇プログラムを開発し、さらに試行、検証を行った上で検討したいと、こういう答弁でありました。

 お聞きしていますと、いわゆるコアプログラムというのを五回やって、長期の方には更にフォローアップをやるというふうに言われるんですが、私は、長期の方にはそれにふさわしい別プログラムということも必要ではないかなという思いをしているんですけれども、その辺も含めてどのような検討をされているでしょうか。

政府参考人(齊藤雄彦君)

 お答えいたします。

 今委員の方から御指摘ありましたように、平成二十三年に薬物依存治療などの専門家から成ります薬物処遇研究会というものをつくりまして、覚醒剤だけではなくて薬物全般に汎用性のある新たなプログラムを作りまして、これを昨年十月から全国の保護観察所で試行しているところでございます。その内容、もう先生御案内のように、五回のコアプログラムと、あと一か月置きぐらいにずっと継続していくという内容のフォローアッププログラムから成っておりまして、一応長期に対応したというふうなものになっております。

 今年、先ほどの薬物処遇研究会の構成員とほぼ同様の構成員で薬物地域支援研究会というのをまた立ち上げておりまして、この研究会におきまして、保護観察期間の長期化を見据えて、現在やっておりますプログラム、長期化に対応するプログラムについて問題点とか検討すべき部分、さらに効果なども検証していただくということにしております。その結果なども十分踏まえさせていただきまして、更にプログラムが効果的なものになるように検討を加えていきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 是非、検討を更に深めていただきたいと思うんですが、こうしたプログラムを進める上でも、先ほど森議員より予告をしていただきましたが、保護観察官の体制強化が非常に重要だと思います。

 この更生保護法が作られたときの、二つの法律をくっつけたときの附帯決議でも保護観察官の大幅増員と、こういうふうに言われておりますし、この法案が一昨年の参議院の委員会で一旦可決されたときにも同様の附帯決議もあります。毎年請願も採択をされているわけですが、この間、どのようにこの観察官の体制整備が行われてきたでしょうか。

政府参考人(齊藤雄彦君)

 お答えいたします。

 平成二十年六月の更生保護法の施行以降、再犯防止対策の充実強化のために保護観察官の増員を図らせていただいておりまして、また増員を付けていただいているということでございます。

 具体的に申し上げますと、管理職を除いて保護観察所で実際に処遇をしている保護観察官の数でございますが、平成二十年度は八百五十二人でした。その後は、平成二十一年度になりまして八百八十一人、二十二年度は九百二十一人、二十三年度は九百五十四人、平成二十四年度は九百八十人、平成二十五年度は九百八十二人となっておりまして、平成二十年から五年間で百三十人増加させていただいているというところでございます。

井上哲士君

 全体厳しい中でも増員は進んできたわけでありますが、ただ、それ以上に業務が増加をしているという実態だと思うんですね。

 私、これ今年の三月に保護局が編集、発行された更生保護の新たな施策・取組メニューブックというものを手に持っておるんですが、これA4、百八十七ページもある大変大部なものでありますが、これ大臣は御覧になったことありますか。

国務大臣(谷垣禎一君)

 全部は読んでおりませんが、斜めには拝見いたしました。

井上哲士君

 これ保護司用というふうになっていますが、お聞きしますと、実際は保護観察官の方もこれ持っていないと今の全体の業務について分からないというぐらい、この間、非常に増えているわけですね。

 この目次から、新しい法律が施行された後に導入された主な施策、取組をちょっとピックアップして手元に、資料に配りました。段階別処遇、特別観察期間、特定暴力対象者に対する処遇、専門的処遇プログラム、再犯防止のための住居と就労の確保、自立促進センター、社会貢献活動、贖罪指導プログラム、保護者に対する措置、所在不明者対策、犯罪被害者等の施策などが並んでいるわけですね。

 これが入ったことによってどのようにその保護観察官の業務が変わっているかということを現場で聞き取りをいたしまして、資料二にまとめてみました。

 例えば、段階的処遇ですけれども、従来は、担当保護司による毎月二回程度の面接されていたのが、このA段階に段階処遇になりますと、主任官による少なくとも三か月に一回の面接及び往訪があると。それから、四番、専門的処遇プログラム。先ほどありましたけれども、これでも面接の回数、おおむね月八回程度があるとお聞きいたしました。これにフォローアッププログラムが加わりますと更に面会の数が増えると。それから、再犯防止のための住居と就労の確保になりますと、自立準備ホームであるとかハローワーク、自治体との連携強化ということで、そことのいろんな連絡が、これも年間四十五回程度増えると。こういうお話を伺いました。

 全体として、この仕事の種類と量が増えて、しかも非常に困難、専門性の必要な事案が増えているということが見て取れるわけですね。その結果、一人一人の保護観察官の仕事がどうなっているのかとお聞きいたしましたのが資料三でありますけれども、確かに人数は一定増えましたので担当する保護観察の事件の数は百八十件から百件に減り、環境調整事件も百二十件から百件に減っておりますが、月当たりの面接回数、先ほど申し上げたようないろんな施策に伴って従来十回程度だったのが四十回になったとお聞きするんですね。大体一回面接するのに、準備で一時間、面接で一時間、報告で一時間ぐらい掛かるというふうに言われておりました。それから、月当たりの往訪回数も三回から十回に、それから関係機関との協議が従来六回ぐらいだったのが五十回になると。これに加えて、更にいろんな施策による業務が増えていると。

 こういう状況でありまして、私は、本当に今保護観察官の方々の献身的な奮闘に支えられておりますが、今の増員の状況でも、現在の仕事、業務量からいってももっともっと体制強化が必要だと思っておりますけれども、まず現状認識を保護局長にお聞きしたいと思います。

政府参考人(齊藤雄彦君)

 今委員から詳細に御説明がありましたように、新たな施策がここ数年次々と出てきておりまして、もちろんそれらは当然必要なものなんですが、現場には相当の負担になっていることも事実でございます。さらに、これらの施策を十分実施するために必要な体制の整備にこれまで努めてまいりましたが、今後ともそのような体制の整備に努めていきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 そこで、大臣にお聞きするんですが、今でも非常にこういう状況があります。これに刑の一部執行猶予が加わるということになりますと、先ほど、二千から三千人ぐらい増えると、対象者が、こういうお話がありました。しかも、全部執行猶予と違って一部執行猶予の方は犯情も重い方が多いわけでありますし、非常にそういう点では処遇に様々な困難もある方もいらっしゃるでしょう。しかも、最長五年間の保護観察期間でありますから、積み上がっていくとどんどん増えていくという可能性もあるわけであります。

 私は、この新しい制度が効果が上がるまでにはやはり一定の期間が要ると思うんですが、問題がいろいろ出てくるのは、割と、例えば一部執行猶予期間中に重大事件を起こすとか、そういうことが重なりますと問題が非常に早く浮き彫りになるということがありまして、やっぱり出発の段階からきちっとした体制を取るということなしにこの制度への国民的信頼というものも勝ち取れないと思うわけで、実際に動き出すまでに今の状況に加えて、新たに増えることを考えて、どういう体制でいくのか。それから、更に増えた上でどこまで目指していくのかというきちっとした計画を持って進めることが必要かと思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(谷垣禎一君)

 井上委員から大変今の保護観察の業務、保護観察所の業務について分かりやすくまとめていただき、あとの資料も大変有益な資料を付け加えていただきました。心から感謝申し上げます。

 それで、今、先ほどからも御議論してまいりましたように、今度の新しい一部執行猶予制度が取り入れられますと、年間二千人から三千人程度観察対象者が増えるというふうに予測しております。それから、委員が指摘されましたように、累積して積み上がっていくということもあると思います。それから、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、これ、今業務が増えてきておりまして、それぞれ懸命に取り組んでもらっておりますが、相当ぎりぎりのところで仕事をしているなという認識も持っております。

 それで、先ほども御答弁申し上げましたが、この法律を通していただいて実施までには若干準備期間もあるわけでございますが、その間にいろいろ業務の、何というんでしょうか、適切な業務の推進とかいろいろやらなければならないこともありますが、やはり人というものは大事だろうと思います。今おっしゃるように、計画的にこれは取り組んでいかなければ、場当たりでは対応ができないんだろうと思います。

 定員、予算等々いろいろございますので、今の段階でまだ十分御答弁することはできませんが、私としても力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。

井上哲士君

 これは累次、全会一致の附帯決議も付いている、請願も採択されていることでありますので、是非よろしくお願いいたします。

 終わります。

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