国会質問

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予算委員会

shitsumon201111.jpg・村山談話、閣僚の靖国神社参拝、日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)の「慰安婦は必要」との発言を取り上げ、侵略戦争と植民地支配について安倍総理の認識を質した。


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 総理に歴史認識の問題で質問をいたします。

 総理は、日本の植民地支配と侵略について謝罪をしたいわゆる村山談話について、安倍内閣としてそのまま継承しているわけでないとこの場で答弁をされました。これに対して米国も含めて様々な懸念の声が広がる中で、菅官房長官は十日の会見で、安倍内閣として侵略の事実を否定したことは今まで一度もない、談話全体を歴代内閣と同じように引き継いでいくと、こういうふうに述べられました。ところが、十二日には自民党の高市政調会長は、侵略という文言を入れているのは私自身しっくりきていないと全く逆のことを言われたわけですが、安倍政権は一体どちらの立場なんですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 私の立場でありますが、日本は過去多くの国々、特にアジアの国々に対して多大の損害を与えたことについて反省をしているわけでありまして、痛惜の念を持っているわけであります。そうした安倍内閣は歴代の内閣の立場を引き継いでいるわけでありまして、引き継いでいるということについては、これまでの歴代の立場の全体を引き継いでいるわけでございまして、これについては今までも申し上げてきたとおりでございます。

 高市政務調査会長の発言について、私は詳細については掌握をしていないわけでございますが、今、内閣としての立場は今述べたとおりでございます。

井上哲士君

 じゃ、確認しますが、村山談話全体を引き継いでいるという菅官房長官の発言どおり、植民地支配と侵略という言葉も含めて受け継いでいると、こういうことでよろしいですね。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 繰り返しになりますが、私は今まで侵略とかあるいは植民地支配について否定したことはないわけでございます。

 一方、歴史認識については、これは歴史家が決めるものであって、それを政治問題、外交問題化するべきではないと、このように考えているところでございまして、今ここで私がそういう認識について神のごとく判断をするべきものではないと、我々は謙虚に考えなければならないという立場であるということも申し添えておきたいと思います。

井上哲士君

 別に総理に神になれなんて私は言っておらないわけで、村山談話そして小泉総理のときも表明されたこの言葉を曖昧にする、むしろ後退をさせるということがむしろ今政治問題になっているわけです。そして、この植民地支配と侵略への反省ということと、閣僚による靖国参拝というものは本来相入れません。

 総理は、国のために命をささげた人に敬意をささげるんだと、こういうふうに言われますが、靖国神社というのは普通の戦没者の慰霊施設とは違います。(資料提示)靖国神社には遊就館という軍事博物館が併設をされておりますが、今、特別展、大東亜戦争七十年展というのをやっております。その趣旨を見ますと、アジア諸国の解放と共存共栄の新秩序を確立すると、こういう先人たちの御事蹟、つまり成し遂げたことを参拝していただくと、こういうふうに書いているんですね。つまり、あの戦争はアジア解放の戦争だったと、こういうふうに美化するということを存在意義とする特殊な施設なんですよ。こういう神社を閣僚が訪問をするということは、自らを侵略戦争肯定という立場に身を置くということになるんじゃありませんか。いかがですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 ここには、この機会に是非御拝観いただきたく存じますと、こう書いてありまして、これは参拝してくださいということではなくて、これを是非見てくださいということなんだろうと思いますが、いずれにせよ、これは靖国神社の場所にある遊就館の展示でございまして、私はこの展示は拝見はしていないわけでございますが、まさにこうしたことについてコメントをすべきではないだろうと、こういうことでございまして、歴史については歴史家に任せるべきであって、歴史とは、まさに長い歴史の中において様々な年輪とそして試練を経ていく上において、歴史家の中において明らかになっていくものであろうと、このように思うところでございます。

井上哲士君

 この特別展だけじゃないんですよ。遊就館というのは明らかに特定の歴史観に立っているわけですね。この図録の中でも靖国神社の宮司が、自存自衛のため、アジア解放のための正しい戦争だったと、そういう歴史観を述べているわけですね。こういう神社を閣僚が参拝をするということは、事実上、この主張に政府としてお墨付きを与えることになるんですよ。そのことをよく認識をしていただきたいと思います。

 そして、この侵略戦争の中で起きたのが従軍慰安婦の問題であります。

 日本維新の会の橋下代表が、戦場での軍人の休息のために慰安婦制度というものが必要なのは誰だって分かると、人間に、特に男性に性的要求を解消する策が必要だと、こういうふうに述べました。従軍慰安婦制度を公然と正当化をされたわけであります。女性を男性の性のはけ口、道具だと、これが当然だと。そして、戦争を進めるための道具として当然だと。これは二重の意味に異常でありますし、今なお大きな苦しみを抱えて日本の政府の謝罪を求めている、この日本軍による性的被害者の尊厳を更に傷つけるものです。そして、女性全体の人権を踏みにじって、人間の尊厳をおとしめる暴言だと私は思います。許せない。

 そして、公的立場にある人としてのまさに資格が厳しく問われますが、総理はこの見解についてはどういうお考えでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 安倍内閣としては、慰安婦に対しては、もう既に累次お話をさせていただいておりますように、慰安婦の方々の苦しみに対して心から同情をするものでありますし、胸が痛むわけでございます。二十世紀は、戦争、あるいは女性の人権が著しく侵害された時代であり、日本もその中にあったわけでございますが、二十一世紀はそういう時代にしないという決意の下に我々は今日の歩みがあるわけでございまして、これは安倍政権の方針でございます。

 橋下市長の発言につきましては、これはまさに他党の代表の発言でございまして、今御紹介をいただきましたが、全体について、私は詳細について存じ上げる立場ではございません。論評する立場にはないと、このように思っております。

井上哲士君

 各党の党内問題じゃないんです。重要な政治問題なんですね。

 今のお話では、従軍慰安婦制度が必要だったということについては見解が違うのか同じなのか、全く分かりませんでした。

 昨日、この橋下発言に対して各大臣が会見で述べております。下村文部科学大臣は、歴史認識における日本の政治家の発言が世界で誤解されている中で、橋下氏の発言はタイミングが非常に悪く、あえて発言することにプラスの意味があるのかということでありました。そして、谷垣法務大臣は、従軍慰安婦は橋下氏の言うように当時は必要性を感じていたからこそあったんであろうと思う、しかし今の時点で必要性を強調する必要があるのかは大変疑問だと、こういう発言ですよ。

 これは、橋下氏の発言は、タイミングは悪いけれども中身は問題はないということになるじゃないですか。これは安倍内閣の立場なんじゃないですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 先ほどの質疑の中におきましても、私や安倍内閣とは立場が違うということは申し上げているとおりでございます。

井上哲士君

 何が違うんですか。明確に言ってくださいよ。

 じゃ、当時、従軍慰安婦が必要だったということは立場が違うのかということを明確に述べていただく必要があるんですね。(発言する者あり)言っていないですよ、全く。

 いいですか。何か他党の代表のコメントだからといって人ごとのように言いますが、世界はそう見ておりません。韓国のKBSは、日本政界の妄言はここまでひどいのかという水準だと言いました。アメリカのワシントン・ポスト、日本の戦争を美化する一連の日本人政治家の発言に続くものと書きました。今朝の毎日新聞、「強制連行認めず 安倍首相の認識踏襲」と、こういう見出しの記事を書きました。つまり、この橋下氏の発言というのは総理の言動と連動、一体のものだと世界は見ているんですよ。

 しかし、慰安婦問題というのは、これは、軍がつくった慰安所で女性を拘束して軍人の性行為の相手を強いたというものであります。国連人権委員会なども、このこと自体を問題にして、女性を人間として扱わず、人権を著しく侵害した犯罪行為として、日本政府に加害者の追訴、謝罪と補償などを求める勧告を出されているわけですよ。

 こういう従軍慰安婦制度が当時必要だったという発言は間違いだと、そういう立場ならはっきり述べてください。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 ですから、既に何回も述べておりますように、私も、また安倍政権の立場も、この橋下党首、橋下代表ですか、の言わば発言している内容、私は詳細全て把握をしているわけではございませんが、今委員が指摘されている点とは立場は異なるということでございまして、これが政権としての立場でございます。

井上哲士君

 先ほど言いましたように、各大臣が言っているのは、タイミングが悪いとか今の時期強調する必要があるかということであって、従軍慰安婦が必要だったということに対しては誰も述べていないし、今も総理も述べていないんですよ。当時従軍慰安婦制度というものが必要だったということは間違いだと、なぜ言えないんですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 もう既にこれは述べているとおりでございまして、そもそもこれは他党の党代表の発言でございまして、我々とはそもそも立場が違うわけでございまして、これは再三申し上げているとおりでございまして、これは是非委員は橋下代表とそういう議論をしていただきたいと、このように思うわけでございまして、基本的に、申し上げておりますように、我々は立場が違うということでございますし、何回も申し上げておりますように、慰安婦の方々のそのときのつらさ、苦しさを思うと胸が痛むわけでありますし、痛惜の念も抱いているわけであります。そうした我々の立場については繰り返し述べているとおりでございまして、繰り返しになりますが、立場は違うということは申し上げておきたいと思います。

井上哲士君

 従軍慰安婦が必要だったということを否定する発言は結局、総理からは一度もありませんでした。

 今この従軍慰安婦を肯定することと侵略戦争の否定とは一体ですよ。戦後の国際政治はこの侵略戦争を否定するということに成り立っているわけでありまして、そのことを否定するということは、日本が今後世界で生きていく足場をなくしていくことになる、そのことを私は厳しく指摘をいたしまして、質問を終わります。

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