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航空自衛隊経ヶ岬分屯基地への米軍Xバンドレーダーの配備と弾道ミサイル防衛への対応等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十五年六月二十五日

井上哲士

参議院議長 平田健二 殿 

航空自衛隊経ヶ岬分屯基地への米軍Xバンドレーダーの配備と弾道ミサイル防衛への対応等に関する質問主意書

本年二月二十六日、政府は弾道ミサイルを追尾する米軍の「Xバンドレーダー」(TPY―2)を、京丹後市の航空自衛隊経ヶ岬分屯基地を候補地として追加配備する計画を発表した。京都府内に初めて米軍基地を置こうとするものである。現在までに地元関係自治体や住民に対する説明会がおこなわれたが、地元からは、そもそもなぜ京丹後市・経ヶ岬なのか、配備の目的は何か、生活環境への影響などについて十分な説明がない、肝心の問題については「防衛上のことなので答えられない」、「米国に要望する」といった回答しかされないなどの声が上がっており、住民の不安はいっそう広がっている。

 以下、具体的に質問する。

一 Xバンドレーダー追加配備の目的等について

1 防衛省はⅩバンドレーダーの追加配備について、「このレーダーで得られた情報は、日米で共有され、日本に向かう弾道ミサイルをより精密かつ確実に探知・追尾するために活用されることにより、我が国の弾道ミサイル防衛能力の向上に寄与」(本年四月防衛省説明資料「TPY―2レーダー(「Xバンド・レーダー」)について」)するとし、「日本の防衛に資する」との立場をことさらに強調している。

一方、米国では、本年五月九日の米上院軍事委員会戦略軍小委員会公聴会においてジェイムス・シリング米ミサイル防衛庁長官が議会証言に立ち、追加配備について「米本土の防衛のために、より強力なセンサー範囲を提供することを目的として二つめのTPY―2レーダーを日本に展開するために日本と協力をすすめている」との説明がされているところである。

米国による追加配備は、前記証言にあるとおり、米本土及び米領土の防衛能力の強化を念頭に判断されたことではないのか。

2 既に青森県つがる市車力分屯基地に米軍のXバンドレーダー基地が置かれている。この配備に先立って、元自衛隊幹部らでつくる「Xバンドレーダー検討会」が二〇〇六年三月にとりまとめた「Xバンドレーダー検討結果報告書」と題する文書がある。そこには「仮にXバンドレーダーがない場合でも、早期探知や、その他の特性がXバンドレーダーには及ばないとは言え、FPS―XXや前方に進出するイージス艦のレーダー等により弾道ミサイルへの対処は可能である。」との認識が示されている。政府はこの報告書をどのように認識しているのか。

3 防衛省の京都府への説明でも、日本のレーダーシステムやイージス艦配備、PAC3配備などに触れ、「我が国の防衛体制はできている」と説明している。なぜ、車力分屯基地に配備した上に、さらに経ヶ岬分屯基地への追加配備が必要なのか、その理由を明らかにされたい。また、なぜ経ヶ岬が最適の地であるのか、具体的に明らかにされたい。

4 レーダー基地が置かれることで「攻撃の標的にならないか」という不安の声に対し、防衛省の説明は「攻撃を意図する国家や組織にとって、多大なコストとリスクを強いることになることから、攻撃を抑止する効果が十分に働いている」、「TPY―2レーダーの配備は、(中略)我が国の防衛能力の強化に寄与することから、弾道ミサイルによる我が国への攻撃の抑止力を高めるもの」(本年四月二十四日付け、防衛省近畿中部防衛局の京都府からの質問に対する回答。以下「回答」という。)としている。この点に関しては、京都府知事が三月二十二日に防衛省の説明を受けて述べたように「そんなに高性能のレーダーなら真っ先に狙われる危険があるのでは」との懸念が生じるのは当然のことである。実際に、過去にはイラク戦争や湾岸戦争において、レーダー基地が真っ先に攻撃の対象となった。

政府が「危険がない」、「安全」と説明する論拠を示されたい。

5 回答によれば、「当該一つのレーダーを無効化してもシステム全体の対応能力を減殺し、弾道ミサイル防衛に重大な支障が生じるような効果を得ることになりません」としているが、レーダー基地が攻撃されることも想定しているのか。また、レーダー基地が無効化されても支障を生じないとするなら、現状でも十分機能は果たせるということであり、日本の防衛上は追加配備の必要性は生じないということではないか。

6 政府は米国の構想のもとに、米国と一体となってミサイル防衛の態勢の整備・強化を図ってきている。今回の追加配備を含め、軍事的な「脅威」に対して、軍事的対応能力を高めることをもって対処しようとすれば、北東アジア地域において、かえって他国の軍事技術開発を誘発し、この地域でさらなる軍備・軍事力の拡大を招きかねないのではないか。

二 電磁波の人体、環境などへの影響について

1 防衛省は、電磁波の影響について「熱被害以外の健康被害はない」として安全性を強調しているが、世界保健機関(WHO)の付属機関である国際がん研究機関は二〇〇二年、超低周波磁界について「人に対して発がん性の可能性がある」との評価をおこなっている。また、高圧線のような低周波だけでなく、高周波の帯域でも携帯電話を中心に健康被害が確認されているのが国際的な研究の到達点となっている。政府は電磁波による健康被害についてどのように認識しているか。日本の高周波規制値は国際比較で見て異常に高いと言われるが、この点をどう認識しているか。

2 電磁波の影響について防衛省は、「細胞の遺伝子を損傷したりすることのない周波数帯を使用」、「自動車の速度測定や気象レーダー、船舶や航空機搭載のレーダーでも使用される帯域」と説明し、「影響ない」、「安全」、「熱被害だけ」としているが、出力が大きいとみられるXバンドレーダーの場合、「安全」と言えるのか。政府は「安全」性を証明できる実証データを持っているか。

また、米国防総省は電磁波の基準があり、それを上回らない限り安全としているが、日本も米国の基準に合わせているのか、それとも独自の規制基準で判断しているのか。米国防総省の情報資料(二〇〇〇年六月)は家庭のテレビやラジオへの影響が生じる可能性を指摘しているが、日本政府はどのように認識しているか。

3 防衛省はレーダーの出力を明らかにしようとしない。秘匿を続けることは、レーダーが及ぼしうる影響について国民に対する説明責任を果たそうとする態度とは言えないのではないか。見解を示されたい。あわせて、秘匿は米側からの要請によるものなのか、防衛省の判断によるものなのかも明確にされたい。

三 環境アセスメントについて

1 米国では、Xバンドレーダーの配備に当たっては、環境アセスメントの実施が義務付けられ、米国内で行われた環境アセスメントの結果が米国防総省ミサイル防衛庁のホームページで公開されていると承知している。米国では環境アセスメントが実施されているにもかかわらず、日本においては「不必要」というのは合理性がないのではないか。政府が「環境アセスメントの必要はない」と判断した理由も含め、見解を示されたい。

2 在日米軍は施設・区域内の環境管理のための「日本環境管理基準(JEGS)」にもとづいて環境管理行動をとっているとされる。Xバンドレーダーの追加配備に当たって、当該基準は配備先に適用されるのか。米側は配備先の環境管理のために、この基準にもとづいて何か具体的な措置をとるのか。具体的に示されたい。

四 候補地周辺住民の健康、暮らしの不安について

地元で実施された住民説明会の中では、健康、暮らしなどへの影響について様々な不安が出されており、それに対して防衛省からは、「要望している」、「検討中」という回答が少なからずあったと承知している。

1 防衛省は住民から出された不安や要望を米側に伝えたのか。米側はこれらの問題にいつ回答する予定であるか、明らかにされたい。

2 ドクターヘリの運用について、「レーダーの停波も含めた柔軟なヘリの運航を可能とする措置について米側及び関係機関と確立することを考えています」としているが、車力基地の場合どのような手順をとって停波されるのか、だれとだれが相談し、だれがどのように判断するのか具体的に明らかにされたい。また、「停波も含めた措置をとる」ことを米側は確約しているのか。

3 一日当たり五十トンの水が必要になるとの説明がおこなわれたが、何のために必要なのか。また、どこで確保しようと考えているのか。温排水処理については、環境への影響が出ない対策をどう考えているのか。この点で車力基地ではどのようになされているのか。この問題についての回答も、「要請している」との回答になっているが、米側には伝えたのか。米側の回答はどのようなものか。

五 SM―3ブロックⅡAミサイルに関する対応及び弾道ミサイル防衛(BMD)関連経費について

1 日米両政府は現在SM―3ブロックⅡAミサイルの共同開発をおこなっている。シリング米ミサイル防衛庁長官は、前記一の1の公聴会に提出した書面証言において、「日米両国は、米国と日本のイージス艦による準中距離弾道ミサイル(MRBMs)及び中距離弾道ミサイル(IRBMs)への射撃を可能にするため、共同してSM―3ブロックⅡAの開発を継続する」と表明した。これは米軍のみならず自衛隊のイージス艦への配備も示唆するものだが、政府は将来の自衛隊への導入・配備をおこなうことを前提に共同開発をすすめているのか。

 二〇〇五年十二月二十四日の内閣官房長官談話ではSM―3ブロックⅡAについて、「配備段階への移行については、日米共同開発の成果等を踏まえ、判断することとします」とされ、政府は現在まで配備するとの方針は公に示していないものと承知しているが、既に米国に対しては、将来自衛隊に配備する意向を伝えているということか。明確にされたい。

2 SM―3ブロックⅡAは、現在自衛隊がイージス艦に配備しているミサイルと比べて、より航続距離の長い弾道ミサイルを迎撃することが可能になると言われている。日本がSM―3ブロックⅡAを導入・配備すれば、日本の領土領空をこえて他国へ向かう長距離の弾道ミサイルを迎撃する能力を持つことになるのではないか。日本は集団的自衛権を行使しないのであるから、そのような兵器の導入は不要ではないかと考えるがどうか。政府の見解を示されたい。

3 これまでにかかった弾道ミサイル防衛(BMD)の関連経費について、一九九〇年度から二〇一二年度まで、日米共同技術研究、開発、BMDシステム整備(装備品の初度費も含め)等に要した費用を含め、その金額(年度別及び項目別)を明らかにされたい。あわせて、二〇一三年度について予算額を示されたい。

右質問する。

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