国会質問

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法務委員会

shitsumon201111.jpg・ハーグ条約国内法に関する参考人質疑


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。

 まず、明尾参考人と吉田参考人にお聞きいたします。

 DVから日本に子供を連れ帰ってきていると、その場合に非常にその証明が難しい、どうするのかというのは、これも一貫した国会の審議のテーマでもあるわけですが、そういう中で、明尾参考人が、外国でそれはきちっと証明できるんだというお話は大変参考になったわけですが、これ、バンクーバーのケイト・ブース・ハウスというシェルターなんですかね。その辺のカナダのシステム、公的なものなのか民間か、どうなっているのかとか、それからどの程度の都市にあるのかとか、費用の問題等々、教えていただきたいなと思っております。同時に、一方で、こういうのが整っていても、やっぱりここにアクセスできない方も相当いらっしゃるんじゃないかなというふうに思っておりまして、その辺の実態はどうお考えかというのが明尾参考人です。

 吉田参考人については、この問題で、資料五で外国でDVを受けている方の実態も詳しく出していただいていますが、こういう方々が実際証明できるような向こうの実態があるのかどうか、その辺りを教えていただきたいと思います。

参考人(明尾雅子君)

 私、アメリカのことはちょっと分からないんですが、カナダに関しては、そういうふうな、まず、DVシェルターというふうに言わなくて、トランジションハウスと言いますけれども、そこには割と簡単に入れます。なぜかといいますと、住所は秘匿してあるんですけれども、インターネット上にまず電話番号が載っています。費用は一切掛かりません。大体一か月ぐらいそちらの方に滞在した後に、次の、いわゆるこちらで、日本で言う母子寮というところに入れるシステムがあります。その場合にも費用が掛かりません。

 そういうところが多々あるのかというふうな御質問なんですけれども、私からすると、道路を歩いていても、そういう虐待を受けた場合に駆け込むところは非常に目に付きました。私がそういうふうな状態じゃなかったときには気が付かなかったんですけれども、そこに行くと、それぞれの、老人虐待とか子供虐待とか女性虐待とかそういう機関が多数あり、医療費もそこで全て無料で受けるというふうなことがあります。ということでよろしいでしょうか。

参考人(吉田容子君)

 御質問ありがとうございました。

 米国やカナダでどのような証拠収集方法があるのかという御質問には、済みません、私、端的に答えることができないんですが、ただ、資料一の八ページを少し御覧いただきたいんですが、ここにパワーとコントロールの車輪というのがあります。これ、元々この車輪はアメリカのどこかの州のDV介入プロジェクトがつくった車輪なんですね、DVの構造を示すものとして。

 これ御覧いただいたら分かりますように、一番外側は身体的暴力になっていて、これは比較的、たまたまその場に居合わせれば見えるよねというところが外側ですね。でも、そこに誰かが居合わせなかったら、あるいは写真とか、何かそういうものが残らない限りはこれすら見えない。さらにその内側は、全くこれは見えないものです。なので、こういうところを、やはりこれ、つまりアメリカでも同じような問題が証拠収集の関係ではきっとあるんだろうと思います。

 だからこそ、先ほども申し上げましたけれども、そうはいっても周りに間接的な証拠が少しずつちりばめられているかもしれないので、そういうものを丹念に見て、先ほども言いましたように、たくさんの人が死んでいる、アメリカは日本よりもっとたくさん死んでいるはずです。つまり、制度があったからといってそれが機能しているとは限りません。なので、十分暴力があり得るんだということを前提にして、丹念にいろんな間接的証拠を集めていくしかないのではないかと思います。

井上哲士君

 ありがとうございます。

 磯谷参考人にお聞きしますが、最初の御意見いただいたときに、第三の音声の送受信というところを飛ばされたんですが、この点、お話しいただいたらと思います。

参考人(磯谷文明君)

 お話しする機会をいただきましてありがとうございます。

 先ほど飛ばした、レジュメの方でいきますと第三点というところでございます。

 これは、要するに今回の手続の中で、必ずしも裁判所に来ていなくても、遠隔地の通信手段を使って手続に参加をするというふうなことが定められて、それはよかったと思うんですが、問題は、外国にいる当事者がそういう手段で手続を進めることができるか、手続に入ってくることができるかという点について、少なくともこれまでの国の、政府の方の御説明というのは、いや、それは国家の主権の問題があるので難しいというお話なんですね。

 しかし、実はそれはLBPにとって利益になることなわけですよね。つまり、わざわざ日本にお金を掛けて来なくても、自分の国にいる中で通信手段によって意見を言えるということは利益になることで、それをその国が反対をするということは恐らく余りないのではないかと思っていて、ですから、抽象的に国家の主権というふうなことであるとすれば、そこは締約国の間で議論をすることで、そういった方法を使っても効率的に審理ができるようにできるんではないかと、こういうふうなお話でございます。

井上哲士君

 ありがとうございます。

 次に早川参考人にお聞きしますが、最初のお話の中で、連れ去りをなくしていく上で自力救済の仕組みというのが必要で、それが日本はなかなか整っていないという外国との比較のお話がありました。ちょっとこういうお話は私初めて聞いて大変参考になったんですが、もう少しこの点を詳しくお話をいただけないでしょうか。

参考人(早川眞一郎君)

 ありがとうございます。

 私、ちょっと言葉足らずだったかもしれませんけれども、日本では自力救済が言わば認められているけれども、それは望ましくないんではないかというのが私の話の全体の趣旨でございます。自力救済というのは、要するに、例えばDVに遭った女性が子供を連れて逃げると。子供を連れて逃げるのを取りあえず私は自力救済と呼んでいるわけです。

 要するに、じゃ、諸外国ではどうなっているかというと、これは国にもちろんよるんですけれども、そういう場合に、自分で言わば法的な手段を使わずに逃げるのではなくて、法的な手段を使ってその立場から救済をしてもらえることができると。言わば他力救済の手段が整備されていれば自力救済はしなくていいだろうと。自力救済をすると、やはり一般的には自力救済というのは望ましくない、現代の社会では望ましくないというふうに考えられているわけですから、自力救済しなくていいような環境をつくる方向を考えるべきではないかというのが先ほど申し上げたかったことでございます。

井上哲士君

 ありがとうございました。

 吉田参考人にお聞きいたしますが、吉田参考人、人身売買をなくすという点でも尽力されまして、かつて法整備のときにも随分御意見をお聞きしたんですが、そういう人身売買などで日本国内に連れてこられている女性のいろんな救済を日本にある在外の大使館などといろいろやってこられた経験があると思うんですが、そういう角度から、日本の在外公館が邦人保護のためにやるべき中身として参考になるものとか、そういうものがあれば、いかがでしょうか。

参考人(吉田容子君)

 ありがとうございます。

 国名を出していいのかどうか分かりませんが、日本にある、人身取引に関しては、特にタイ大使館が、タイとあとコロンビア大使館が非常に尽力をされていました。そこには本当に被害に詳しいケースワーカーの方がいまして、いつでもそこに当事者が、被害者が何かのルートで電話を掛ければ、わざわざその大使館の方から迎えに行くなりしてそこでちゃんと保護をするというようなことをしていましたし、それから相談だけじゃなくて一時保護、それから帰国費用の支援までしていたということがございます。

 そういう点で、先ほどからもちょっと申し上げましたけれども、日本の在外公館も、何か通り一遍にこの国の制度はこうですよとか、いや、弁護士さんがここにいますよということじゃなくて、本当にちゃんときちんと受け入れられる、もちろん大使館の中にきちんとしたケースワーカーを置かれるのが一番いいかもしれませんが、まあ全部というわけにもいかないでしょうから、地元の本当に経験のあるNGO、NPOを使って、そういうところの方がその国の制度も詳しいはずですので、そこに是非委託をして、日本政府が、そこできちんと相談とか一時保護とか同行支援とか、あるいは帰国支援も必要になる場合もあるかもしれません、そういうことをきちんとしてやっていただきたいなというふうに思います。

井上哲士君

 ありがとうございます。

 もう一点、吉田参考人にお聞きしますけれども、先ほど来ハーグ条約と共同親権のことが話題になっておりますけれども、この点は吉田参考人、どのようにお考えでしょうか。

参考人(吉田容子君)

 ハーグ条約は御承知のとおり、不法な連れ去り又は留置があった場合に子を返還する、それによって国際裁判管轄を常居所地国に確保するという、そういう手続の条約であります。したがって、親子法制の在り方は本来、各締約国に委ねられていることで、別問題だというふうに思っています。

 日本で昨今、共同親権あるいは共同監護という議論があることは承知しておりますけれども、まず親権という言葉がありますけれども、オヤケンと書きますよね。だけど、今の民法の普通の教科書を見ますと、あれは親にとっては権利でありむしろ義務である、義務の方の側面が強いんだよと、あるいは義務、責任といいますけれども、ということもありますし、その中身もどうなんだという議論がされています。だから、まず共同、共同という前に、まずその親責任、私は責任だと思いますけれども、そういうところを見据えてきちんと考えるべきなのかと思います。そういう意味でいきますと、今、共同親権あるいは共同監護という言葉、いろいろ言われていますけれども、その内容が使う人によって様々であって、はっきりしていないような気がします。

 それから、諸外国は共同親権だというふうなお話もありますけれども、これもいろいろ制度が様々ですし、それから、一回そういう制度をつくってみたけどちょっと具合が悪いなということで見直しをしている国も既にございます。

 さらに、弁護士の間でも賛成意見と反対意見、様々あります。

 それから、更に言えば、結局、係争案件、つまり裁判手続によって、つまり法律の規定に従わなければ自分たちの離婚もなかなか決められない、そういう父母を想定する、想定せざるを得ないんですが、そのような方たちが子供の養育監護についてだけ協力し合えるのかというのは、私ども実務家の感覚としてはなかなか難しいと思います。とりわけ今日お話ししたようなDV案件はたくさんありますので、そういう場合には居所すらなかなか知られたら不安で仕方がないということになりますので、共同で監護するのは大変難しいと思います。

 ですから、法制度を論じるときに私は思うんですが、ある意味では理想論かもしれないんですが、理想論だけで論じるのはちょっとどうなのかなと、実際の法律の適用の結果、何が起こるのかということを具体的に想定、想像して、その上で慎重に考えるべきだというふうに思います。

 以上です。

井上哲士君

 ありがとうございました。終わります。

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