国会質問議事録

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外交防衛委員会


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 沖縄本島東側海上での米軍ヘリの墜落事故について、一昨日の安保特に続いて質問をいたします。
 防衛省によりますと、この訓練は在沖縄米陸軍部隊によるもので、陸上自衛隊中央即応集団特殊作戦群が参加をして、二〇〇九年度より続けているということでありました。日本が参加したこの訓練が具体的な実施の年度と時期についてまず明らかにしてください。

○政府参考人(防衛省人事教育局 局長 真部朗君) 特殊作戦群所属の陸上自衛官は、平成二十一年度より米陸軍特殊部隊の訓練を研修しております。具体的な研修時期について申し上げますと、まず平成二十一年度が三月の上旬でございます。平成二十二年度につきましては同じく三月の中旬でございます。平成二十三年度は二月下旬から三月の上旬。平成二十六年度が十一月の上旬から下旬。そして、今年度が四月の上旬から中旬、それから、今般の八月上旬から中旬ということでございます。

○井上哲士君 おとついの答弁では、墜落事故の際には米陸軍特殊部隊が特殊作戦能力を自衛隊に実演をしていたということでありました。
 この在沖縄、それから本土、米本土、それぞれからこの訓練に参加をしていた米軍の特殊部隊、部隊名はどういうことでしょうか。

○政府参考人(真部朗君) 米側によりますれば、ヘリコプターにつきましては米陸軍の第一六〇特殊作戦航空連隊、こちらの基地が所在がアメリカのケンタッキー州のフォートキャンベル基地所在でございます。
 それから、その他の訓練参加部隊があるわけでございますが、そちらにつきましては陸軍の特殊部隊であるというふうに承知をいたしておるところでございます。

○井上哲士君 この訓練自身は、在沖縄米陸軍部隊でありますから、ヘリは本土から来たという以上は在沖縄の特殊部隊ということになると思うんですが、そうしますと、トリイ通信施設のグリーンベレーということになるんじゃないんですか。

○政府参考人(真部朗君) 先ほど米陸軍特殊部隊が訓練参加部隊であると申しましたが、この点につきましては、詳細な部隊の名称、これにつきましては今回は米側が具体的内容を公表しておりません。
 私どもの陸上自衛官、陸上自衛隊は、あくまで米軍の実施する訓練の研修として参加していたということでございますので、米側が発表していないことを踏まえまして、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

○井上哲士君 沖縄にある陸軍の特殊部隊というのは限られるんですからね。それすらも明らかにしないというのはひどいですよ、こういう事故が起きているのに。
 過去の訓練、全てこのアメリカの一六〇特殊作戦航空連隊が参加をしていたということでよろしいですか。

○政府参考人(真部朗君) その点につきましては、申し訳ありません、これまでのところ米側は必ずしも明らかにしておりませんので、申し訳ありません、お答えは恐縮でございますが差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 まさに秘密主義なんですね。
 自衛隊の参加は、今回、八月の一日から十五日の十五日間、防衛省の資料によりますと実施場所は沖縄県内の米軍施設・区域とされておりますが、事故のあった洋上の訓練以外にも、つまり施設を使った地上訓練も行っていたということでよろしいですか。

○政府参考人(真部朗君) そのほかにどのような訓練を米側が行っていたかということにつきましては、これも申し訳ありません、繰り返しになって恐縮でございますが、米側自身は明らかにしておらないところでございまして、私どもの方から明らかにするということは差し控えをさせていただければと思っております。

○井上哲士君 いや、防衛省の資料に米軍施設・区域とされているんですね。今回の事故があったのは水域ですから、つまり施設をやった訓練をやっているんですねと確認しているだけなんですから、それは答えてください。

○政府参考人(真部朗君) 私ども、今御指摘のように、米軍施設・区域と御説明しているかと思いますが、その点は私どもの用語法ということになるかと思いますが、水域も含めて施設・区域というふうに御説明をしてきているところでございます。

○井上哲士君 結局、墜落事故でもう明らかにせざるを得なくなった、そのことのみしか明らかにしない。これは、本当に沖縄県民の皆さんそして国民にとっても、こういう秘密裏で行われているということ、私重大だと思うんですね。
 二〇〇九年度以降自衛隊が参加をしてきたということでありますが、今回の訓練につきますと、日本が依頼をしたのか、それとも向こうから要請があったのか、その経緯、そして、それは二〇〇九年度以降もどういう経緯だったのか、大臣、お願いをいたします。

○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) 経緯につきまして資料も提出をさせていただきましたけれども、今回の研修につきましては、平成二十七年一月に特殊作戦群より米側に訓練の研修を打診をいたしまして、同年の四月に米側より当該研修の受入れ可能との回答を受け、さらに同年七月に特殊作戦群より研修参加の意向を米側に回答し、実現したものでございます。

○井上哲士君 過去の、過去の。

○委員長(片山さつき君) 追加、真部局長ございますか。

○政府参考人(真部朗君) 過去につきましても、基本的に我が方から研修の受入れについて照会をいたしまして、米側がそれを受け入れ、調整の上、訓練の研修を行ってきておるところでございます。

○井上哲士君 いずれも日本側から要請をしたということでありますが、在日米軍の十三日付けの発表文書では、米特別作戦部隊は特殊作戦能力等を自衛隊員に対してデモンストレーションをする一環として洋上演習を行っていましたと米側は発表しております。
 これ、どういう意味なんでしょうか。元々行われていた訓練に自衛隊が参加したのではなくて、自衛隊のデモンストレーションを目的とする、そういう演習だったという意味なんでしょうか。

○政府参考人(真部朗君) 私どもの認識では、米軍の訓練の研修に参加したと、研修として参加したということでございまして、確かに、これは推測になりますけれども、米側からすれば、その点は研修の対象となっている訓練でもあるということを米側としても認識していたということの、今のデモンストレーションという言葉はですね、その表れではないかと思われます。

○井上哲士君 そうすると、日本側の要請に基づいて行われたということではなくて、元々やられていた訓練であると、こういう理解でよろしいんですかね。

○政府参考人(真部朗君) 厳密に言いますと、私どもそこら辺を確認をしているわけではございませんが、私どもの認識では、訓練が行われる予定のものがあって、それに研修が適当というか参加ができるもの、あるいは適当なものと、そういったものを調整が行われ、今回のような訓練の研修になったということだと理解しております。

○井上哲士君 自衛隊はあくまでも、今も研修研修と言われるわけでありますが、訓練参加をするということに何か法的な問題があるということなんでしょうか。

○政府参考人(真部朗君) 法的な問題というのは特にないかと存じます。

○井上哲士君 そうすると、今回新ガイドラインでも協力の強化が盛り込まれたわけでありますが、今後は訓練への参加ということもあり得るということですか、絶対ないと言えますか。

○政府参考人(真部朗君) あくまで今具体的な計画等があるわけではございませんが、そういったことは将来的に排除されるということではないというふうに理解しております。

○井上哲士君 将来的には研修名目ではなくて訓練への本格的な参加も排除されないと、こういう答弁でありました。
 しかし、このアメリカ軍の特殊作戦部隊には様々な、今アメリカ国内でも問題になっております。おとついも指摘しましたけど、例えばビンラディンの殺害作戦の際は、潜伏先だったパキスタン政府にも通告せずに行って、パキスタン政府は、国際法と国家の尊厳が侵害されたと強く抗議するという事態になりました。
 六月六日付けのアメリカのニューヨーク・タイムズを見ますと、この作戦に参加をした特殊部隊などについて、秘密主義の防塁のために、民間人犠牲、あるいは部隊要員が作戦を行う国での根強い怒りを含め、その行動の記録及び結果を十分に評価することが不可能だと、この特殊作戦のミッションはほとんど公の議論もなされることなく米国の戦闘に組み込まれてきたと。
 つまり、秘密裏に行われて検証ができないということが大変な大問題になっているわけですけれども、こういう部隊であるということについて、大臣はどういう認識をされているんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 米側は、様々な任務があり、様々なオペレーションを実施をしているということで、これは米国の国内の要請に応じて実施をされているというふうに認識をいたしております。
 ただし、自衛隊といたしましては、個々の隊員の知識、技能、これを向上を図るために、こういった米軍の訓練の研修、これは、これに参加することによりまして、技能の向上を図り、また今後の教育訓練の資とすることを目的といたしておりまして、今般の特殊作戦群の所属の陸上自衛官は今後の教育訓練の資とするために米陸軍の特殊部隊の訓練の研修、訓練を研修していたものでございます。

○井上哲士君 アメリカの特殊部隊の秘密性、違法性にアメリカでも様々な問題があったとも言われているということについて、様々な行動があると言われましたけど、結局、先ほど来ずっと聞きましてもほとんどまともな答弁がありません。具体的事実さえ明らかにされない。その秘密主義が自衛隊の訓練参加についても結局一緒なわけでありますから、私はこういうところとのこういう共同を強めていくというのは大変大きな問題だと思うんです。
 さらに、外務大臣にお聞きしますが、今回訓練水域で事故が起きました。歴代政府は、いわゆる第三国、つまり米国以外の外国軍隊などによる日本米軍の施設・区域の使用は安保条約上認められないという見解を取ってきたと思いますが、これは変わらないということでよろしいですね。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) 在日米軍の区域・施設は、安保条約六条、そして日米地位協定に基づいて、安保条約の目的の達成のために米軍に使用を認めているものであります。よって、第三国人が訓練の目的で在日米軍施設・区域を使用すること、これは安保条約上認められない、こうした政府の考え方は全く変わりません。

○井上哲士君 ところが、八月十二日のオディエルノ米陸軍参謀総長の会見では、幾つかの国との特殊作戦部隊の訓練中だったと、こういうふうに言っているわけですね。幾つかの国との訓練中だったわけでありますから、まさに第三国が訓練に参加をしていることを認めた発言だと思います。重大だと思いますが、一体どこの国が参加をしたのか、日本は照会をしているんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 今回の事故につきまして我が国としましては、事故原因を含む情報提供を米側に明確に申し入れております。そういった形で意思疎通をしっかり行っているわけですが、外務省として第三国の軍人が本件訓練に参加したということは承知をしておりません。

○井上哲士君 いや、外務省は承知していないけれども、参謀総長は幾つかの国との訓練中だったと会見ではっきり述べているんですね。
 それだけではありませんで、先ほど紹介しました在日米軍の十三日付けの発表文書では、これらの訓練は米太平洋軍司令部の軍組織間の交流プログラムの一環であり、米国と太平洋地域の多くの国々の参加により行われるものですと在日米軍が発表しているんですよ。ですから、第三国、それ以上に多くの国々の参加があったんじゃないですか。アメリカが公式に発表しているんですから、認められないんだったらちゃんと照会をすべきだと思いますが、なぜしないんですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 着艦に失敗したヘリには米軍人と自衛隊が搭乗していたこと、これは当然承知をしております。そして、それ以外、情報、事故原因等を含む情報提供をしっかりと米軍に求めなければならないということで意思疎通はしっかり行っていますが、その中にあっても、それ以外の国の軍人が訓練に参加していたという情報は、外務省としては得ておりません、承知しておりません。

○井上哲士君 それは向こうは言わないかもしれませんよ。しかし、申し上げましたように、陸軍の総長の記者会見、そして在日米軍の発表で、これはアメリカと太平洋地域の多くの国々の参加により行われるものですと、はっきり言っているわけですよ。にもかかわらずそういう情報が伝えられないならば、この発表はどうなっているんだと。実は第三国の参加があったんではないかと。例えば、自衛隊は事実上の訓練参加でありますけれども、研修という目的、名前でやられています。例えば、第三国が研修という名目も含めて参加をしていたということではないんですか。そういうことはちゃんと聞かないんですか。なぜ聞かないんですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 情報提供については、今までも求めてきていますし、引き続きこれからも求めていかなければなりません。そうした中で、我が国として第三国の軍人が参加していたという情報には接しておりません。そういった事実は承知しておりません。

○井上哲士君 繰り返しになりますけど、向こうからないと。しかし、日本に直接なくても、会見でも発表文書で言っているわけですから、これはどういうことなんですかと、第三国の参加はなかったんですかと明確に聞くべきじゃないですか、情報が来るまで待っているんじゃなくて。相手が発表しているんですから、これは。推測じゃないんですから。これはどういう意味なんですかと聞くということを約束してくださいよ。

○国務大臣(岸田文雄君) 米側のそうした関係者の発言については、その意図は承知しておりませんが、ただ、この事故に関しましては、事故の原因も含めて情報提供は引き続き米側に求めていかなければならないと思います。現状、御指摘のような第三国の軍人の参加という情報は得ておりません。しかし、引き続き情報提供は求めていきたいと考えます。

○井上哲士君 関係者の発言じゃないんです。在日米軍の発表なんですから。公式に発表しているんですから、どうなんだと聞くのは当たり前じゃないですか。情報に接するまで待つ、本当に私、ひどい態度だと思いますよ。
 最後、もう一回聞きますが、こういう多くの国々の参加で行われるような、発表文書で言うアメリカ太平洋軍司令部の軍組織間の交流プログラム、こういうものに提供施設を米軍が使用する、多国間の交流プログラムに、これは認められるんですか、安保条約上。

○政府参考人(冨田浩司君) 安保条約六条、それから地位協定との関連で、第三国人による訓練に関してどう考えるかということにつきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。
 その上で、施設・区域内における米軍の活動に第三国人が参加すると、そういうことがいかなる態様でも日米安保条約上禁じられているかどうかということにつきましては、個々の事案に即して判断する必要があるというふうに考えております。

○井上哲士君 まさに、そうなると歯止めがなくなるわけですね。私は、もう新しいガイドラインに先行して日米の軍事一体化が進行、進んでいるということがこの事故でも明らかになりましたし、それをさらに法律化するという戦争法案については、これはもう認められないということを改めて強調いたしまして、質問を終わります。

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