国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2016年・190通常国会 の中の 外交防衛委員会(潜水艦「そうりゅう」艦内隊員自殺未遂事件)

外交防衛委員会(潜水艦「そうりゅう」艦内隊員自殺未遂事件)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 給与法案については賛成です。
 十四日に防衛省が公表した、海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」艦内で上官から執拗な暴力を受けた自衛隊員が二〇一三年九月に艦内で拳銃で自殺未遂を図ったと、この問題についてお聞きをいたします。
 最初の質問がこの自衛隊員のいじめ自殺問題になることは非常に残念に私は思っております。質問時間は極めて限られておりますので、既に衆議院で答弁した事実関係などは結構ですので、端的にお答えいただきたいと思います。
 資料をお配りしておりますが、この事件で海上自衛隊は事故調査委員会をつくって、昨年七月に最終の報告書を発表し、十月に事件に関わった上官三人を処分をしましたけれども、これ非公表にしてきました。隊員の家族が上官によるいじめだったなどとして国を提訴するということを十三日に記者会見をして明らかにしましたら、翌日やっと防衛省も公表をしたわけであります。衆議院では、公表しなかった理由を、家族の一部から公表を望まない旨の希望があったと答弁をされましたが、家族はこれに対して、海自の担当者から公表すれば騒ぎになると言われたと、公表しないように希望したことはないと会見で明確に述べられております。
 大臣は、この事件の内容、それから公表しないということをいつ報告を受けているのか、そして、その報告とこの家族の会見と食い違っていると思いますが、どういう対応をされているんでしょうか。

○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) まず、高い志を持って自衛官になられた前途有為な隊員に対して上司から暴力を伴う不適切な指導があり、また、同隊員が自殺未遂に至らしめたことにつきまして、誠に申し訳なく、防衛大臣として心からおわびを申し上げたいと思います。
 本事件につきましては、この事案が発生した平成二十五年九月二日中に当時の小野寺防衛大臣に対して速やかに報告をされたところでございますが、その後、調査、懲戒処分の検討の後、平成二十七年十月二十六日月曜日に、この事案の内容、公表を行わないこと等につきまして私に報告がございました。この不適切な指導を行った上司等につきましては平成二十七年十月二十六日に処分を行いましたが、処分の公表につきましては、自殺未遂をされた二等海尉の御家族の一部から公表を望まない旨要望がありまして、懲戒処分の公表基準の公表の例外に該当するために公表をしなかったものでございます。
 今回、公表につきまして御家族の了解が得られたということから、平成二十八年一月十四日に関係者の処分について公表いたしました。
 なお、公表すれば騒ぎになるということで公表を控えるように要望したということでございますが、事実関係といたしましては、海上自衛隊から御家族に対して公表を控えるように要望したという事実はないと報告を受けております。

○井上哲士君 いや、家族は公表をしないように希望したことはないと会見で述べられている、これとの食い違いについて聞いています。

○国務大臣(中谷元君) 私につきましては、十月二十六日に処分の内容等を報告を受けましたが、その際、二等海尉の御家族の一部から公表を望まない旨要望があったということで公表をしなかったわけでございます。
 そして、一月の十四日、これで御家族の了解が得られたということで、この処分についての公表をしたということでございます。

○井上哲士君 御家族は今の答弁聞いて一層不信を招かれると思うんですね。自分たちはそういうことを言っていないと言われているわけでありまして、事実関係を更に解明をしていきたいと思います。
 これ、調査報告書については速やかに公表していただきたいと思いますが、それはいかがでしょうか。

○政府参考人(防衛省人事教育局長 深山延暁君) お答え申し上げます。
 本事案の事故調査につきましては、海上幕僚監部監察官を委員長とする事故調査委員会が、事案の発生日である平成二十五年九月二日から関係者の聞き取り等の調査を開始いたしまして、平成二十七年七月二十一日に最終的に事故調査報告書を取りまとめました。
 一般に、自殺に関する事故調査報告書、実はこれは自殺未遂でありますが、未遂に関することも含めまして、その取扱いには慎重な対応が必要だろうと認識しております。
 しかし、既に衆議院の御質疑におきましても、国会においても開示すべきであるという御指摘があったところでもありますので、現在、その取扱いについて検討いたしておるところでございます。

○井上哲士君 速やかに公表していただきたいと思います。
 私、一昨年には「たちかぜ」乗務員の自殺に関する海自の隠蔽問題を取り上げました。お手元に資料もありますが、同じことが繰り返されているんですね。「たちかぜ」事件では、いじめが自殺につながる可能性を認識していたことを示す証拠となる乗務員へのアンケートが存在しているにもかかわらず、情報公開請求にも破棄したと虚偽の回答をした。その後、組織的に隠蔽したことが大問題になって、関与した三十四人が処分をされております。このことが高等裁判所で控訴審で問題になっているそのさなかに同様の事件が起きているわけですね。
 表を見ていただきますと、一二年の十月に今回と同じ「そうりゅう」の艦内で三等海曹の自殺事件があって、翌一三年に同じ横須賀の護衛艦内で自殺事件が発生し、そして九月に「そうりゅう」艦内で今回の自殺未遂事件があったと。ですから、連続しているわけであります。
 護衛艦内での自殺事件は、家族が希望しないことを理由に艦名などを特定しない形での公表になったわけでありますが、今回は一切発表をしなかったということでありまして、私は、こういう事実を明らかにしない隠蔽というやり方が続いているし、そのことが教訓や改善を徹底する妨げになってきたかと思いますが、その点、どうお考えでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 「たちかぜ」の事案についてでございますが、この事案につきましては、発生当日である平成二十五年九月二日に、海上自衛隊呉地方総監部において、報道機関に対して自衛隊員が拳銃を使用して負傷したという事案の発生について説明をしております。
 この事案の原因の調査につきましては、海上幕僚監部監察官を委員長とする事故調査委員会が、発生日である平成二十五年九月二日から関係者の聞き取り等の調査を実施をしまして、平成二十七年七月二十一日に事故調査報告書を取りまとめをいたしました。
 この事故調査の結果、上司による暴力を伴う不適切な指導が行われたことが自殺未遂の要因であったということが判明をしまして、それを踏まえた懲戒処分を行いましたが、懲戒処分の公表に際し御家族の意向を確認したところ、御家族の一部から公表を望まない旨の要望がありまして、懲戒処分の公表基準の公表の例外に該当するために公開をしなかったということでございます。

○井上哲士君 この「たちかぜ」事件の際の情報公開請求に対して、破棄したとうそをついて組織的に隠蔽したことについて、情報公開・情報保全審査会答申は、防衛省全体に、組織全体として不都合な事実を隠蔽しようとする傾向があったと厳しい批判をしておりますが、今の答弁からはこの指摘に真摯に向き合っているとは到底思えません。
 最後、家族が提訴する大きな問題は、自衛隊が今回の自殺未遂の原因を上官によるいじめと認めていないということであります。そして、処分が軽過ぎると。
 お手元に、二〇〇五年九月に出された、二〇一五年ですかね、防衛省におけるパワー・ハラスメントの防止等に関する指針がありますが、これまでのパワハラ、いじめというものを、幅広く対象にしてきたものを、階級、職権、期別、配置などの権威、権力や職場の優位性を背景に、職務の適正な範囲を超えて、隊員に精神的、身体的苦痛を与える、又は職場環境を悪化させる行為、これをパワーハラスメントと定義をすると、こういうふうにしているわけですね。
 防衛省は、今回の事件を暴力を伴う不適切な指導としているわけでありますが、この定義から見ても明らかなパワハラであり、従来でいういじめ、パワハラ等にそのまま当てはまる行為だと思いますが、なぜ認めないんですか。

○政府参考人(深山延暁君) まず、今回のことにつきましては、累次御答弁したように、上司からの暴力を伴う不適切な指導であったということについては我々としても全く認めておるところでございます。
 いじめ、パワーハラスメントについて、我々、厳密に定義をしているわけではございません。いじめに該当するかというお尋ねでありまして、必ずしもいじめというのは明確に定義しているわけではございませんが、これはパワーハラスメントに当たるかと言われた場合には、我々がこの指針で書いておりますパワーハラスメントに当たり得るものであると考えております。

○井上哲士君 時間ですので終わりますが、今回提訴された家族は、暴行した上官と軽い処分への強い怒り、自衛隊の隠蔽体質を改め、暴力のない組織になってほしいという思いを広く訴えたいということで会見で語っておられます。この思いを正面から受け止めるべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

ページ最上部へ戻る