国会質問

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財政金融委員会(法人税改革)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法人税改革を中心に質問をいたします。
 安倍政権の法人税改革は、前回、二〇一五年税制改革から始まりましたけれども、最大の目玉は法人実効税率の引下げで、二年目の今回の税制改正で目標としていた二〇%台となる二九・七四%を前倒しで実行することとなります。
 経団連は、二〇一一年の税制改革からアジア近隣諸国並みの引下げを要求し、現在二五%を要求をしております。安倍政権の法人税改革もこの要求に沿ったものとなっております。
 政府は、この実効税率の引下げとともに、その財源の確保策として、課税ベースの拡大を進めるとしてきました。この課税ベースの拡大をよしとしないのが経団連でありますが、この点で大変興味深いインタビューがお手元に配付をしております税務弘報という雑誌に掲載をされました。
 これは、経団連の税務の担当者である阿部泰久常務が昨年三月のこの雑誌に二〇一五年度の税制改正の政策決定のプロセスを赤裸々に語ったものであります。この税務弘報をお手元に配付しておりますが、こう言っております。
 昨年の夏頃から、税率引下げのために課税ベースの部分をどこまでできるかということを詰めていて、欠損金、受取配当、減価償却、政策減税の見直しと案を全部出していきました。課税ベースでどこまでできるかということを主要企業データによるシミュレーションに掛けて、ここを直したら増税幾ら、減税幾らと、税率と課税ベースの範囲を見極めながら、できるだけ凸凹ができないように考えました。特定のところに負担が集中してしまうと、税率は下がったけれども課税ベース拡大で結局増税だというところも出てきてしまいます。できるだけそれを避け、減税までにはならなくても、少なくとも増税でないというふうにしたいのですと、こういうふうに述べております。
 これが事実とすると、私は大変重大だと思うんですが、経団連の主要企業については個々の企業データで試算を行って、税率の引下げと課税ベースの拡大の差引きで増税は駄目という方針で税制改正をしたということでありまして、経団連の主要企業には減税だけ及ぶように制度設計をしたと。
 ここで述べられていることは事実なんでしょうか、いかがでしょうか。

○国務大臣(財務大臣 麻生太郎君) 御指摘の今この記事というのは、これは経団連の事務方だと、この阿部さんという人は知らぬので、事務方の人だと思いますが、法人税改革の検討過程において、主要企業への影響について試算を行い、各企業への影響ができる限りなだらかになるように述べた、というように検討したと述べているんだとは理解しますけれども、これは、経団連としては、傘下におられる様々な企業の検討を行うのは、これは当たり前の話であって、私どもから特にコメントすることはありません。
 それから、法人税改革の具体案を検討していく際には、経済界にも課税ベースを拡大させていただく、例えば、何でしょうか、例えば外形標準課税等々ありましたけれども、私どもとしては、課税ベースの拡大によって法人税の表面税率を下げるという話プラス、何というの、それを減らした分だけ他方では課税を増やすという、課税の対象を広げるということを基本的にしておりましたので、そういった意味では財源確保ということで理解を得るために私どもとしては経団連に対して様々なレベルで議論を重ねたことは事実でありますけれども、政府において個別企業ごとに影響を勘案して検討を行ったという事実はありません。

○井上哲士君 これ、単なる事務方という話ではありませんで、経団連のこうした税務を担当してきた常務理事の方なわけですね。経団連は、政府の経済政策の司令塔である経済財政諮問会議に役員を出しておりまして、法人実効税率を二〇%台とする昨年の骨太方針の決定にも参加をしているわけですね。
 ですから、この発言というのは、単なる事務方とかいうことではなくて、政策決定に参加した当事者の発言であり、外部の人間が推測で物を言っているのとは違う重みが私はあると思うんですね。全体として引下げと、そして課税ベースの拡大ということの枠の中で、やはり個々の、とりわけ大企業について、そこが増税にならないようにということで様々な調整をしたということが公然と語られているわけですね。
 そうしますと、国民から見えないところでこういう税制の重要問題が決められるということになりますと、民主主義の根幹にも関わる問題でありますし、税制に対する国民の不信を更に大きくすると思うんですね。
 今、一部大企業が大きなもうけを上げながら大変な減税がされているということなどなど様々な声がある中で、やはり税制に対する国民の信頼をしっかり勝ち取るということが必要と考えるのであれば、実際にこういう発言がどういうことだったのかということは、私はもう少し踏み込んで事実関係等を調べて明らかにするべきだと思いますが、改めていかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 重ねて申し上げるようで恐縮ですけれども、今般の法人税の改革というものは、これは我々としては必要な改革を行ったものであって、経団連の話をいかにも丸のみしたかのごとく話は全く指摘が当たらぬと思っております。
 例えば、内容を見ましても、この九月ですか、発表された御提言では、外形標準課税の更なる拡大は行うべきではないとされておりましたし、また減価償却の見直しについても慎重に検討することが必要とされておりましたけれども、二十八年度の税制改正におきましてはそれらの改革についても盛り込んでおりますのは御存じのとおりであります。
 更に言わせていただくと、委員の御指摘の記事におきましても、これは二十七年度の税制改正に関してだと思いますが、経団連として意見を出したが、だからといって経団連の諸要求が全て満足になったというとそうでもないと書かれておりますので、これらのことから経団連の要望を丸のみしたことはないということははっきりしておると思いますし、私どもは、経団連に限らずいろんな企業の方々から、これは商工会議所を含めていろんな方々の団体というものと私どもはいろいろ話をさせていただいて情報収集に努めておるところでありますので、企業の個別にというのは、とてもそんな手間も掛けられませんし、大体まとめられたところからのお話以上を細目にわたって聞くというのは、ちょっと物理的にもなかなか難しいと存じます。

○井上哲士君 後ほど議論しますが、やはり研究開発減税などを見ましても特定の大企業に非常に固まっているという姿を見たときに、私はこういう発言が一方でされているということは国民のやはり今の税制への不信を一層広げることになるということは指摘をしておきたいと思うんですね。
 この経団連がこうやって制度設計に関わってきた課税ベースの拡大について具体的に見てみたいと思いますが、マスコミで大きく取り上げられて関心を呼んでいるのが政策減税、特に研究開発減税です。
 一昨年の六月の政府税調のディスカッショングループの報告では、この研究開発税制については、大胆に縮減すべきと、こういうことだと提言をしております。ところが、政府は、二〇一五年改正では若干アリバイ的な改正を、見直しをしただけで、結局、今回の改正では全く手を付けておりません。経団連は税制改正要望で、前回も今回も研究開発税制には手を出すなと、こう要望しているわけで、それに応えたものになっていると思うんです。結局、トヨタ一社に一千億円を超える大減税で、減税総額全体の六分の一を占めるという非常に偏った状況がこのままになっているわけですね。
 その一方で、この課税ベースの拡大として進められたのが地方税の法人事業税における外形標準課税の拡大であります。
 総務省にお聞きいたしますが、今回と前回の二年にわたって、法人事業税においては実効税率引下げのための所得割の引下げと財源確保のための外形標準課税の拡大が行われました。中小企業についてはこの外形標準課税拡大の対象にしなかったと言われますが、しかし、資本金一億円以上というような中堅クラスでありましても、赤字企業は所得割引下げの恩恵を受けずに増税だけがのしかかってくることになります。
 そこで、この二年間で、いわゆる中堅企業のうちの赤字企業、それから利益一億円以下の企業についてどれぐらいの負担増になったのか、それからそれぞれの企業数、その結果負担増の総額はどうなったか、お答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(総務省官房審議官 税務担当 時澤忠君) お答え申し上げます。
 お尋ねのありました影響額等でございますが、資本金階級別及び所得階級別の課税標準で平成二十五年度の課税実績を基に機械的に試算をいたしますと、資本金一億円超十億円以下のいわゆる中堅企業につきまして、欠損法人は約四千八百社で、平均四百万円の負担増、総額で二百十億円の負担増、それから所得一億円以下の法人数は約六千社で、平均四百万円の負担増、総額で二百四十億円の負担増となるところでございます。

○井上哲士君 つまり、合計一万社以上、負担増の総額では合わせますと約四百五十億円ということになるわけですね。赤字の中堅企業の中には、円安による急激な原材料高で苦しみながら、雇用を何とかして守って地域経済を支えている企業もたくさんありますが、こういう企業は外形標準課税でダブルパンチを受けることになります。
 それぞれ従業員がどのぐらいいるかということもお聞きしたんですが、そういう統計はないということでありました。ただ、一億円以上十億円未満資本金の会社が約五百八十万人で、赤字そして利益一億円以下という企業は大体六割でありますから、単純に計算しますと三百万人を超える労働者がここで働いている、そこに影響があるということになるわけですね。
 そこで、大臣に認識をお聞きしたいんですが、政府の中からもこの有効性に疑問があるから縮減すべきと、こういう声が出ているような研究開発減税はそのまま残す一方で、こういう赤字の中堅企業、地域経済を支え、雇用を支えているところにこの増税を押し付けるということをどうお考えなのかと。
 最高水準の利益を上げている巨大企業一社に一千億円もの研究開発減税をしながら、低迷する中小・中堅企業一万社以上に四百五十億円の増税を課すというのは、私は国民目線から見ても、そして日本経済の発展ということから見ても、また雇用と賃金の確保で経済を底上げしていくという点から見ても、どうも逆行していると私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 重ねて申し上げますけれども、今回の法人税改革というのは、いわゆる今の研究開発税制含めまして大企業に恩恵を与えるといったものではなくて、課税ベースのまず拡大によって財源をしっかりと確保しながら税率を引き下げると。外形標準課税はその中の一つです。それで、法人課税をより広く負担を分かち合うという構造へ改革するというものでありまして、経済の好循環を確立していくにはこれは必要なものだと、まず基本的にそう思っております。
 研究開発税制ですが、企業に恩恵を与えるためということよりは、まずは将来の経済成長の礎となりますのは、何といっても企業における研究開発投資というのを後押しするための租税特別措置であります。
 同時に、これは金額ベースではおっしゃるように大企業の利用が多くなっているんですが、これは御存じのように、その研究開発をしている会社をこっちが指名するのではなくて、その研究開発をやっておられる企業が申告をしてこられるあれでありますから、我々から見ますと、件数ベースで見ますと、中小企業も含めて現実問題としてこれを利用しておられる件数から見ますと八千三百八十三件で約六七%、大法人では三三%というのが実態でありますんで、そういったことを含めまして、法人税改革では課税ベースの拡大の一環としてやらせていただいておりますが、同時に、租特の見直しというものもやらなければならぬのではないかということも併せて検討させていただいておるところです。
 いずれにしても、これは、政策の効果なんというのはよく見ませんといかぬところだとは思っておりますが、適切に見直しをやっていかなければならぬというのは、これは租特全てに言えることだと思っております。
 またさらに、外形標準課税、これ今総務省の時澤審議官の話が出ていましたけれども、外形標準課税の拡大を行いつつ税率を引き下げるということによって、何回も申し上げておりますように、稼ぐ力の高い企業というものの税負担が減り、同時に赤字の大法人にとりましても黒字化した場合の税負担の増加度合いが緩和されるというものでありますんで、こうした改革などによって企業に対して収益力を高めようというインセンティブをもたらすということもあろうと思いますんで、収益力拡大に向けた前向きな国内投資とか、持続的なかつ積極的な賃上げの可能性があるという、そういった体質に企業が変わっていくという意味においても、私どもとしては大いに期待をいたしておるところであります。
 なお、外形標準課税の拡大に当たりましては、もう御存じのように、資本金一億円以下の中小零細企業は対象といたしておりませんが、今、中堅企業というのは多分一億から十億の話をしているのが多分、今一から十億の規模のものにおいては、負担増が生じる場合においてはその一部を軽減するということもさせていただいておりますので、必要な配慮も行われているものと考えております。

○井上哲士君 いろいろ言われましたが、それこそ収益力を上げたいと思ってもがいているけれども現在赤字の中堅企業にとっては、その努力に対してのむしろ逆行に私はやっぱり今回のものはなっているということを思うんですね。
 それで、研究開発減税、中小企業などにも全部開かれているというようなお話がございました。じゃ、実態がどうなっているのかということですけど、政府税調も特に総額型について問題にしております。これは、研究開発費を増やさなくても、続けているというだけでも減税になりますから、増加のインセンティブにはならないということも指摘をされているんですね。大臣は既に、この総額型も含めて研究開発税制の全般にわたり様々な観点から検討を行うということをこの間答弁をされております。それ必要だと思うんです。問題は中身なんですね。
 繰り返しになりますが、やはり巨大企業に集中している状況を是正する必要があります。配付資料の二枚目を見ていただきたいんですが、これは企業規模別の研究開発費をOECD諸国の国際比較をしたものであります。色の濃い部分が従業員数五十人未満の企業、それから薄い部分が従業員数五十人から二百五十人未満の企業なんですね。
 国別に見ますと、例えば、そういう企業がビジネス部門の研究開発費の中でどういう割合を示しているのかという資料なんです。トップのニュージーランドの場合は、全体の研究開発費のうち、今の従業員二百五十人未満までの企業で実に六七・四四%になるんですね。ところが、フランスで二三・四七%、アメリカが一四・九一%、それからドイツが一一・九九%、日本は極端に低くて四・七六%ということになっております。もちろん、各国でいろんな経済構造の違いということはあると思うんですが、日本の研究開発費が他国と比べて非常にやはり中小企業が少ないと、これはやっぱり様々な支援が少ないことの私は一つの反映だと思うんですね。
 ですから、やはり将来のことも考えて、こういう中小企業などがせめて外国並みにきちっと研究開発ができるように、こういう中小企業向けの支援を拡大をして大企業向けを縮減をしていくと、こういう見直しが必要かと考えますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 井上先生のこの配付資料で、日本の企業部門の研究開発費のうちで中小企業の割合が低いという話でありますけれども、これはもう間違いなく中小とか中堅、ベンチャー含めまして、イノベーションの担い手としての期待というのはこれはもう様々なもので、これは大企業の研究室だけで頼っていたってとてもできる話じゃありませんので、そういったのは、今新しい開発、随分いろいろ出てきていますけれども、びっくりするような開発も地方で、何も東大に偏っているわけじゃありませんので、今度のノーベル賞のトキタ先生も、あれは東大の大学院だけでほかの大学ですし、その他の方もあれは埼玉大学ですし、最近、東大は最後だけ名前出ていますが、その前の大学は全部違う、地方大学ですからね、あれ。この間、東大の人にはっきりおたくらじゃないですよと、大学は全部地方の大学だったでしょうと言ったら、皆認めておられましたけれども、そういった意味で、地方でそういったものが出てきているのは確かなんだと思うんですね。
 私ども、この研究開発税制について申し上げさせていただければ、中小企業向けにつきましては、これは税額控除の上乗せということをさせていただいておりまして、通常ですと八から一〇%の税額控除ですけれども、中小企業向けはこれを一二%に上乗せ。それから、実際に件数ベースで見れば、中小企業には幅広く利用されておりますので、先ほど申し上げたとおりですが、さらに、大企業と中小企業とで共同で開発する、共同開発という場合には、これは重点的に支援をさせていただきますということをさせていただいて、二十七年度の税制改正でこれは一二%のものを二〇%まで引き上げていると思いますので、そういった意味では、中小企業の研究開発というのを促す仕組みとしていろいろやらさせていただいているというので、御指摘のとおり、これは非常に大事なところなものですから、これは日本にとって、これで飯を食っていくという、何というのかな、基本がないと、基本的に、何となく、いろんな特許やら何やらおかげさまで日本からの出願数というのは物すごく増えてきているのは物すごくいい傾向なんだと思いますし、そういったものを物にしていく、ただ机の上で考えたんじゃなくて、それを実物のものにしていくというところに関しましても、日本の場合はこれは中小企業の方が圧倒的に優れていると私どもそう思っておりますので、これは今後とも後押ししてまいりたいと思っております。

○井上哲士君 今後とも後押ししていきたいと、こういう答弁でありました。
 ただ、これは先日の朝日の報道ですが、結局、研究開発減税の減税額で見ますと、二〇一二年度と一四年度を比べますと、額は一・七倍でありますけれども、大企業向けが七四パーから八〇パーにむしろ拡大をしているということがあるわけですね。
 いろいろ御答弁ありましたけど、結果として、中小企業の研究開発がこれによって大きく広がっていないという現状があるわけですから、更に後押ししていきたいということは、更にいろんな制度的なことも含めた改善は必要だと、こういう認識でよろしいでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) これは、今いろいろ政策効果というのがよく言われるところではありますので、私どもは、二十八年度末にこの期限が到来いたします、例えば増加型とか高水準型のほか、総額型も含めました研究開発の全般にわたりまして、例えば新しい需要の創出につながるといったような研究開発投資などは、いわゆる研究開発の質を高めるというものとなっているといった観点から、単なる額の話じゃなくて、質としてどうかというような観点から検討を行ってまいりたいというので、私どもの表現としては全般にわたりという表現を使わせていただいておりますけれども、きちんとしたそういった方向で、私どもにとって、一番将来の飯の種、米、何というの、一番飯の種になるところはこれだと思っておりますので、私どもとしてはきちんと応援をしてまいりたいと考えております。

○井上哲士君 しっかり中小企業を応援する方向への改定をお願いしたいと思います。
 最後に、研究開発減税を見直して増税に踏み込むとなりますと、経団連は実効税率の引下げを更に要求していくと、こういうことになろうかと思われるんですね。経団連の方針は、大企業への増税はもってのほかで、減税と差引きで少なくとも増税はさせないというものであります。
 この点で、財務省の立場を確認しておきたいんですが、こういう法人税の政策減税、租税特別措置などの見直しによる増税は実効税率の引下げによる減税とセットでないと認められないというような、こういう経団連の立場でありますけれども、財務省としてはこういうセット論というのはどうお考えなんでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 今、井上先生御指摘のありましたとおりなんですが、この研究開発税制を含めまして、租税特別措置、いわゆる租特ですけれども、これは特定の政策目的を実現するために有効な政策手段となり得るということは間違いないんですが、一方で、税負担にゆがみが生じるという面があることから、これは本当に必要なものにかなり限定をしてやっていくということが一番大事なのであって、私どもは期限が到来してくるものを中心にゼロベースでの見直しを行っていく、例えば先ほど申し上げた、二十八年度末に来ますので、ああいった三つを申し上げましたけど、その方向で考えております。
 御指摘の経団連の事務方の意見について、私が特にコメントすることはありませんけど、いずれにしても、税率引下げとセットで見直しは行わないと考えているわけでは全くありません。
 それから、関係省庁の間でもこれいろいろ政策を詰めさせていただいておりますので、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、増加型とか高水準型とか、いわゆる総額型のものが二十八年度末に参りますので、そういったものにつきましては、私どもとしては、先ほど、繰り返すようですけど、質が一番問題なのであって、妙にゆがんだものになってきているのであれば、それはそれでもう打ち切るという形にさせていただければと思っております。

○井上哲士君 終わります。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法人税の引下げについて総理にお聞きいたします。
 二年度連続で法人実効税率の引下げが行われて、二九・七四%まで引き下げられることになります。この実効税率の引下げは、安倍総理が一昨年の初頭のダボス会議で法人実効税率を国際的に遜色のない水準まで引き下げると宣言したことから始まるわけであります。
 今回、一昨年末の与党税調で掲げた二〇%台が実現をするわけですが、この二九・七四%という数字は、総理としては国際的に遜色のない水準になったと、こういう御認識でしょうか。それとも、まだそこまでなっていないので今後更に引き下げる可能性があるということでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国際的に遜色のない水準であるかどうかということでありますが、国際的に遜色のない水準に移行できたと、このように考えております。

○井上哲士君 今後については注視をしていきたいと思っております。経団連などは更に下げろと、こういうことを言っているわけでありますから、今の答弁はしっかりテークノートしておきたいと思います。
 それで、経団連はアジア近隣諸国並みの二五%までの引下げを求めておりまして、今後も政府への働きかけ、強めることが予想されるわけですね。この点、先日の本会議で我が党議員の質問に対して、今回の法人実効税率の引下げが他国に対しての法人実効税率の引下げの圧力にはならないという趣旨の答弁をされましたけれども、なぜそういうことが言えるのか、この根拠はどういうことでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般の法人税改革は、日本の法人実効税率が国際的に見て高いと指摘されてきたことを踏まえまして、これを国際的に遜色のない水準まで引き下げることを目指して取り組んできたものでありまして、諸外国よりも殊更に税率を低くしようとするものではありません。
 また、単に税率引下げだけを行うものではなくて、課税ベースの拡大等により財源をしっかりと確保しながら税率を引き下げることとしておりまして、このことから諸外国との税率引下げ競争あるいは減税競争の引き金となるような改革ではないということは明らかであると、このように思っております。

○井上哲士君 引き金になるかどうかはありますが、圧力としてどうなるかということはしっかり他国の動向を私は見る必要があると思うんですね。
 例えば、お隣の韓国では、今法人税は国税で二二%でありますけれども、引き上げるかどうかで今議論が行われております。特に野党や市民団体が、福祉財源の確保のために、また急速に進む少子高齢化社会への備えとして法人税の引上げを求めているわけですが、政府・与党は国際的な法人税引下げ競争を理由として引上げに反対しているんですね。
 具体的に、例えば昨年の二月の四日、日本の財務大臣に当たり副総理も務めておられます企画財政部長官の崔ギョン煥氏は国会審議の中で、法人税の引上げを求める野党に対して、法人税の問題は国際間の競争であるとして、日本は財政状況が我々よりはるかに悪いにもかかわらず法人税を更に引き下げる計画を持っていると、こういうことを言って、日本を取り上げてこういう引上げに反対をしているという答弁をされているわけですね。
 日本よりも法人実効税率がはるかに低い韓国でもこういう議論をしているわけで、明らかに私は日本の法人税引下げがこういう競争の圧力として働いていると、こう思いますけれども、総理の認識とは違うんではないでしょうか。いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば、議論する際、諸外国で様々な議論が行われたとは思います。特定の国の議論についてコメントは差し控えたいと思いますが、昭和三十年度には二九・七四%ともなるわけでありますが、ただ、今おっしゃった、例として挙げられた韓国とはこれは大きな差があるわけでございますから、そうした点をよく冷静に分析をしていただければ、決して日本が法人税を下げていく競争に参入をする、あるいは、日本よりもはるかに低い国を意識して下げているのではないということは御理解いただけるのではないかと、こう考えております。
 日本といたしましては、国際競争力を維持していく、あるいは獲得していく上においては、これは法人税だけではなくて様々な面から競争力をこれは高めていく努力をしなければならないと、こう考えているところでございます。

○井上哲士君 先ほどの、前の質疑のときも財務大臣から、BEPSなどを挙げて、法人税引下げ競争をやっても意味ないという議論が行われているというお話もありました。
 OECDにおいても、際限のない税収の減少や福祉切捨て、庶民増税につながるという懸念が指摘をされて、BEPSなど多国籍大企業への課税逃れを防ぐための先進国や新興国が協調して対応する機運が高まっているということでありますから、私は、これから急速な少子高齢化を迎えるアジアの近隣諸国に対して減税競争のターゲットとなるような圧力を加えるようなことではなくて、引下げ競争を防ぐための国際的な協調とか持続可能なアジアをつくっていくための協力関係の強化が求められているということは指摘をしておきたいと思います。
 次に、研究開発減税についての総理の認識についてお聞きいたします。
 麻生大臣は研究開発税制について、今後も総額型を含め様々な観点から検討すると、こういうことを答弁をされました。課税ベースの拡大の議論の中で、結局トヨタ一社に一千億を超える大減税で、この研究開発減税の総額の全体の六分の一を占めるという極めて偏った状況はそのままにされたまま、一方、中小・中堅企業一万社以上に総額四百五十億円の増税を課すことになりました。
 国民目線から見ても、地域経済の再生や賃上げから見ても政府の方向とも逆行すると考えるんですが、この研究開発減税の総額型に対して、総理の認識、今後どのようにするとお考えなのか、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政策税制については、特定の政策目的を実現するために有効な政策手法となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があります。そのことから、必要性や政策効果を見極めて、真に必要なものに限定していくことが重要と考えています。
 二十七年度及び二十八年度税制改正においては、こうした観点から見直しに取り組んだところであり、今後ともしっかりと対応してまいりたいと思います。
 御指摘の研究開発税制についても、二十七年度税制改正において、課税ベースの拡大に取り組む中で、質の高い研究開発投資を促進する観点も盛り込んで、共同研究などに支援の重点をシフトするといった見直しを行ったところであり、今後については、現時点で具体的なアイデアがあるわけではありませんが、引き続き様々な観点からその取扱いについて検討してまいりたいと思います。

○井上哲士君 確認しますが、総額型も含めて見直しを検討していくと、こういうことでよろしいですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今後とも、この必要性や政策効果を見極めて、真に必要なものに限定していくことが重要と、こう考えていると、こういうふうに先ほど申し上げた、政策税制については申し上げたところでございますが、研究開発税制についても、今後については、現時点で具体的なアイデアがあるわけではありませんが、様々な観点から検討してまいりたいと思っております。

○井上哲士君 是非しっかりとした見直しをお願いしたいと思います。
 最後に、先ほど来、スティグリッツ氏などを含めた、様々な学者も入れた国際金融経済分析会合が行われたことについてお話がありました。この席上、スティグリッツ氏は、消費税を増税するタイミングではないと、こういうことを言われました。
 私たちはそもそも増税に反対でありますが、特に今の状況でこれはやるべきでないということは申し上げてきたわけですね。
 総理は、大変良い示唆をもらったと、こういう発言をされたということでありますが、ただ、スティグリッツ氏はこれだけを言ったわけじゃないんですね。例えば、成長の果実は一部のトップ層に偏って格差が一段と拡大しているという指摘もされておりますし、景気低迷の原因は需要不足にあって、平等性を高める政策は需要を増やして効果的だと、こういう強調もされておりますし、具体的には、賃金上昇や労働者保護を強める政策、財政出動ならば教育や若者の健康への政府支出と、こういうことも言われております。
 総理、大変良い示唆をもらったということでありますが、こういうことも含めて考える必要があると考えますけれども、総理の御認識はいかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) スティグリッツ教授は、日本の現状に対してというよりも、これは世界経済、あるいは米国を中心とした傾向等に対して様々な警鐘を鳴らされたんだろうと思いますが、日本におきましてもスティグリッツ氏の指摘した点は大変重要なものであると、傾聴に値すると、このように考えたところでございます。

○井上哲士君 我々は、消費税の増税は中止をすべきだと申し上げてまいりましたが、それに加えて、まさにスティグリッツ氏の指摘は、私はアベノミクスそのものへの転換の必要性を示していると思います。そのことも併せて強く求めまして、質問を終わります。

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