国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 外交安保・核廃絶 の中の 外交防衛委員会閉会中審査(北朝鮮の核・ミサイル開発問題)

外交防衛委員会閉会中審査(北朝鮮の核・ミサイル開発問題)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 北朝鮮の五度目の核実験は、同国の核・ミサイル開発の放棄を求めた累次の国連決議、そして六か国協議の共同声明、日朝平壌宣言、いずれにも違反する暴挙でありまして、世界の平和と安定にとって重大な脅威であり、厳しく抗議をするものであります。
 しかも、今、核兵器の禁止条約を求める国際的な流れが大きく広がって、被爆者の皆さんが、命ある間に核のない世界をということで初めて国際署名を呼びかけられて取り組まれているというこういう状況にある、その中での核実験でありまして、被爆国としても許すことができない暴挙であると考えます。
 そこで、まず防衛大臣にお聞きいたしますが、重大なことは、北朝鮮が核弾頭の実戦配備化を誇示をしているということでありまして、朝鮮の核兵器研究所は、今回の実験で核弾頭を弾道ミサイルに装着できるように標準化、規格化を確認をし、小型化、軽量化、多種化されたより打撃力の高い各種の核弾頭を必要なだけ生産できるようになったと、こういう声明も発出をしておるわけですが、こういう彼らが誇示をしている実戦配備能力について、今、政府としてはどのように評価、判断をされているんでしょうか。


○国務大臣(稲田朋美君) 委員御指摘のとおり、今回の核実験を含む北朝鮮の行動は断じて許すことができないものです。
 そして、初めて北朝鮮が核実験を実施してから既に十年近い年月が経過し、今回、今年は二度の核実験を行ったわけであります。北朝鮮において技術的な成熟が予見されることなどを踏まえれば、北朝鮮が核兵器の小型化、さらには弾頭化の実現に至っている可能性も考えられるというふうに分析をいたしているところでございます。
 北朝鮮による核兵器開発は、弾道ミサイルの長射程化などの能力増強を行っていることと併せれば、我が国を含む地域、国際社会の安全に対する重大かつ差し迫った脅威です。米国や韓国とも緊密に連携しつつ、引き続き緊張感を持って北朝鮮の軍事動向等について情報の収集、分析に努めてまいります。

○井上哲士君 北朝鮮の意図は明白だと思うんですね。核やミサイルで周辺諸国を脅して現体制を維持をするということだと思います。
 今日も敵基地攻撃能力の議論もあったわけでありますが、こうした挑発行動に対して軍事対軍事の悪循環に陥るというのが私は一番危険なことだと思います。政治的、外交的解決に全力を挙げるということが求められていると思います。
 そこで、外務大臣にお聞きするんですが、前回の核実験の際の、三月の三日に全会一致で国連の安保理の決議が採択をされております。この中で、北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射を最も強い言葉で非難をして制裁措置の強化を決定をいたしました。そして、その上で、六か国協議への支持を再確認し、その再開を呼びかけ、二〇〇五年九月の共同声明での誓約への支持を再表明するということを述べております。このことは非常に私は重要だと思うんですね。これに基づいて、やはり北朝鮮をきちっと対話のテーブルに着かせるということがいよいよ急務だと思います。
 国連安保理は今回の核実験を受けて非公式の緊急会合を開いて、今後、制裁の強化も含めた安保理での新しい決議の採決等を含めた対応が協議をされるということになっているわけでありますが、日本政府としてはこの協議に当たって、前回の決議に盛り込まれた六か国協議、そして二〇〇五年九月の共同声明、この重要性ということを引き続き盛り込んでいく、確認をしていく、こういう立場が必要かと思いますが、そういうことで協議に臨んでいらっしゃるということでよろしいでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 九月九日、核実験が実施された後、我が国としましては、国連安保理におきまして至急緊急会合の招集を働きかけました。そして、緊急会合を開催し、プレスステートメントをすぐ発出いたしました。その上で、適切な制裁措置を含む新たな決議の採択に向けて議論を開始する、こういったことで国連安保理において一致をいたしました。議論が今続いています。
 そして、その中にあって、御指摘の六者会合についてですが、今年三月の決議二二七〇を含めて一連の安保理決議、北朝鮮の挑発行動をめぐっては今まで五つ決議が出ていますが、その五つの決議全てにこの六者会合という文言は含まれています。そういった経緯はあるわけですが、ただ、今回のこの決議については、今申し上げたように今議論が進んでおりますので、具体的な中身について我が国から何か公の場で申し上げることは、この議論に予断を挟むあるいは支障を来す、こういった点から控えなければならないと考えています。
 いずれにしましても、我が国としまして、六者会合は今でも有効な枠組みであるとは認識をしています。ただ、対話のための対話であってはならないとも考えます。対話、六者会合を行うということであるならば、北朝鮮が非核化に向けた真剣な意思あるいは具体的な行動、これを示すことがまず重要であると認識をしています。

○井上哲士君 制裁の実効性ということも先ほど来議論があるわけでありますが、やはり国際社会が中国等も含めて一致結束をして、制裁措置の全面的で厳格な実施をするということ、そして、その強化を含めて政治的な外交的な努力をすることが必要だと思います。
 北朝鮮は今年五月に実に三十六年ぶりに朝鮮労働党大会を開いているわけですが、その中で、責任ある核保有国ということを宣言をして、核兵器の開発によって軍事費が減って経済発展を成し遂げることができるという並進路線を引き続き行うという宣言をしているんですね。やっぱりこれが間違っていると。北朝鮮が核武装化強化の道を進むことは、いよいよ国際的な孤立を深めて、北朝鮮自身にとっても未来のない道なんだと。逆に言えば、核武装をやめて六か国協議声明の道を進んでこそいろんな意味で未来も開かれるんだということをいろんな形で認識をさせるということが私は非常に国際的努力で必要だと考えますが、その点での大臣の認識をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、北朝鮮に並進路線、これはあり得ないということ、これを諦めさせるということ、これは大変重要なことであります。そして、挑発行動には必ず代償が伴うものであり、拉致、核、ミサイル、こうした諸懸案を解決しない限り北朝鮮は明るい未来を描くことができない、こうしたメッセージ、我が国政府としましてこれまでも公にしているわけですが、こうした認識をしっかり北朝鮮に伝えるということ、大変重要であると考えます。
 まずは、今、この現状において、北朝鮮に対して圧力を強化していくことが重要であると認識をいたします。是非そういった点から安保理においても各国と連携していかなければならないと思いますし、我が国独自の措置についても、諸懸案を包括的に解決する上で何が最も効果的なのか、こういった観点から検討を進めていくべきであると考えます。

○井上哲士君 国際社会がやっぱり一致結束をして北朝鮮に対話の場に戻るよう求める政治的な外交的な努力、その中で日本政府が積極的な役割を果たすべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。

ページ最上部へ戻る