国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2017年・193通常国会 の中の 外交防衛委員会(日・インド原子力協定)

外交防衛委員会(日・インド原子力協定)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 インドとの原子力協定は、日本が結ぶ十四番目の二国間協定であります。しかし、インドとの協定は、日本がこれまで協定を締結したどの国との協力にもなかった極めて重大な問題があります。今日も指摘されてきましたように、世界の核不拡散に反してNPTに加盟せずに核開発を行った核兵器国への協力を行うものであり、世界の核廃絶に真っ向から反すると言わなければなりません。NPTの下で原子力の平和利用の推進という従来の日本政府の立場とも全く整合しないと思います。
 では、インドにとってはどうか。インドは九か国と二国間原子力協定を締結しておりますが、日本との協定はその他の国とは比較にならない重要性があるに違いないわけです。それは、日本が唯一の戦争被爆国だからです。世界の核廃絶、核軍縮にも核不拡散にも反して二度の核実験を行って核兵器保有国になったインドは、この保有を不問にした協力を得られるだけでなく、唯一の戦争被爆国に核保有を認められることになるというのがこの協定だと思うんですね。
 そこで、外務大臣にお聞きしますけれども、唯一の戦争被爆国として、インドと原子力協定を結ぶことによってその核保有を認めるというのは、私は重大な誤りだと思いますが、世界の核軍縮に反すると考えますけれども、まず、大臣の見解を伺います。
○国務大臣(岸田文雄君) 委員の方から、この協定を結ぶことによって、インドの原子力の保有を認めるということになるのではないかということでありますが、我が国の立場は、午前中から申し上げておりますように、NPTの普遍化を目指す、核兵器のない世界を目指す基本的な立場は全く変わっておりません。この現実の中で、インドを国際的な不拡散の体制、不拡散体制に実質的に取り込むためにどうあるべきなのか、こういった議論を積み重ねた結果として、こうした協定についても締結を国会にお諮りしているわけであります。
 我が国のこの基本的な立場は全く変わることなく、これからも引き続き、インドにもNPT本体への加入等しっかり働きかけを続けていきたい、このように考えます。
○井上哲士君 その変わらないという基本的立場と大きく矛盾をすると思うんですね。
 インドがモラトリアムを宣言をしていると言いますけれども、これはいろんな事情の中で実験を止めているだけにすぎないわけで、二度とやらないと宣言をしたわけでもありませんし、核の保有は続けるわけですね。その下でこの協定を結ぶということは、結局は私は、日本はこの核保有を是認をしたことになると思います。少なくとも国際社会にそういうメッセージを発することになると思いますけれども、改めて、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、インドへのこの原子力の平和的な利用に対する協力については、NPTを前提とするNSGの決定、これがこの基本になっています。この基本に基づいて我が国としての協力を考えてきた、これがこの議論のありようであります。
 インドを実質的に国際的な不拡散体制の中にしっかり取り込むためにはどうしたらいいのか、こうした問題意識の下に様々な議論が行われてきたわけでありますが、結果として、原子力の平和利用においてインドに責任ある行動を取らせることになる、そして、IAEAの保障措置の適用範囲を現状よりインドにおいて拡大することにつながるなど、これ実質的な意味で、現状と比較した場合において、よりNPTの理想の形に近づくことになる、このように認識をいたします。
 是非、こういった意味で、この現状を前進させるためにインドとの協定をしっかりと活用していかなければならない、このように考えます。
○井上哲士君 様々言われましたけど、先日の参考人質疑の際も、核兵器の禁止条約にも反対をして交渉会議もボイコットする、そして、インドとのこの原子力協定を結ぶことに対して世界のNGOや国々から厳しい視線が向けられているということもお話がありました。
 更に聞きますけれども、インドは、このNPTの規定によって核保有国に課される核軍縮の義務というのを負っていないんじゃないですか。
○国務大臣(岸田文雄君) インドは、御指摘のようにNPTには加入しておりません。よって、このNPTの第六条の核軍縮の義務、これは負ってはいないというのが現状だと思います。
 この中にあって、インドに責任ある行動を取らせるためにはどうしたらいいのか、こういった観点から、NSGを始め国際社会が取組を進めていると理解しています。
○井上哲士君 条約に入っていないわけですから、当然第六条の核軍縮義務は負っていないわけですね。ですから、核保有国としての条約上の核軍縮の義務は負わない、一方で、この協定によってNPT加盟国と同様に平和利用の権利を受けるということになるわけですよ。
 我々は、NPT体制、様々な意見を持っておりますけれども、政府は核軍縮の政策に位置付けてきたわけで、そこに例外を認めるということは、やはりこれまでの立場をないがしろにするものだと私は思います。
 先ほど、NSGの決定が基礎にあるというお話がありました。二〇〇八年のNSGでのインドの例外化措置の承認は、二〇〇五年にインドと原子力協定を締結したアメリカが、実際にインドと原子力関連貿易をするために必要だったから行われたという流れでありました。ですから、アメリカ主導で始められたNSGの議論は大激論になって、午前中の質疑でもありましたけれども、数度にわたって延長や中断をしたわけですね。当時、アメリカ主導によるNSGの崩壊政策だといって、オーストラリアやアイルランド、ニュージーランドは強く反対いたしました。オランダやノルウェーなども反対をいたしました。日本も強い懸念を表明をしたわけですね。
 NSGは全会一致が必要であります。ですから、大激論の末にこの問題を採択をして、結果、全会一致が崩れればNSGが崩壊をしてしまう、それを意味すると、だから各国は独自の判断でインドとの貿易を実行する、それを可能とするということにして、このインドの例外措置を決定したという経過だったと思うんですね。
 午前中来、当委員会にこのいろんな経過に関わっている人の名前がたくさん出てまいりましたが、このNSGの決定が国会で議論になった直後、国会で議論になったときの外務大臣は中曽根外務大臣だったわけでありますが、採決に当たって、大局的観点からぎりぎりの判断としてコンセンサスに加わったと、こう言われております。
 ぎりぎりの判断というのは、どういう趣旨だったんでしょうか。それが、なぜ、これを乗り越えて積極的にインドとの原子力貿易をするということに転換をしたんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、これまで国際社会としてNPTに参加していないインドを国際的な不拡散体制の中にどうやって実質的に取り込むのか、何よりも、この原子力の平和利用において責任ある行動を取らせるためにはどうしたらいいのか、こういったことで議論が行われてきました。
 御指摘のぎりぎりの判断についてですが、インドの原子力関連資機材等の移転を例外的に可能とするNSG声明は、二〇〇八年九月のNSG臨時総会において、参加各国による激しい議論の結果、コンセンサスで採択されたものであります。
 その中での我が国の立場や考え方ですが、我が国は、唯一の被爆国として、特にインドによる核実験モラトリアムの継続を重視しつつ、インドの例外化に係る議論を参加し、そして、このNSG決定は、国際社会がインドの核実験モラトリアムの継続、IAEA保障措置の適用、厳格な輸出管理措置等を含む約束と行動を重視した結果であり、我が国として、それまでの議論の結果を踏まえて、仮にインドによる核実験モラトリアムが維持されない場合には、NSGとしては例外化措置を失効又は停止すべきこと、また、NSG参加各国は各国が行っている原子力協力を停止すべきであるということ、これらを明確に表明した上でコンセンサスの採択に参加した、こういった経緯でありました。こうした取組につきまして、ぎりぎりの判断という表現で説明されたものであると考えております。
○井上哲士君 日本自身も、このNPT体制が崩れていくということで懸念を表しながらも、先ほど言いましたように、個々の国が判断をしていくということになった中でぎりぎりの判断ということもあったんだと思うんですね。
 先ほど反対した国を挙げましたけれども、反対した国々の中で、その後、インドと原子力協定を結んだ国はありません。特に、強く反対したオーストリア、アイルランド、ニュージーランド、これは核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議の提案者となるなど、核なき世界に向けて大きな役割を果たしているわけですよ。ですから、当時、ぎりぎりの判断、懸念を示した日本だけが全く逆の方向に進んでいるということが私は今実態だと思うんですね。
 更に聞きますけれども、インドだけ、核兵器を保有しているにもかかわらず平和利用を認めても構わないと特別扱いをするのはどういう理屈なんでしょうか。他の国が同様の協力を求めてきたら、一体どう対応をするんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、国際社会としてNPTに参加していないインドを国際的な不拡散体制の中にどのように実質的に取り込むのか、原子力の平和利用において責任ある行動をいかに確保するのか、こういった観点から国際的な議論が行われてきたわけであり、そしてその結果が、先ほど御指摘がありましたNSG声明のコンセンサス採択にもつながったと考えます。
 そして、その他の国が原子力協力を求めてきた場合どうするのかという部分でありますが、これは、インドの場合は御案内のように厳しい条件の下に例外を認めたわけでありますが、その他の国がもし求めてきた場合、これは、核不拡散の観点、相手国の原子力政策等を総合的に勘案し、個別具体的に改めてNSGにおいてこの議論が行われる、そこから国際的な取組のありようが確認されていくことになると考えます。
○井上哲士君 やはり、一度例外をつくれば、私は、他の国から二重基準と言われることがあっても仕方がないですし、核廃絶に例外を認めるようなことは、やり方は重大な禍根を残すと思います。
 今、北朝鮮の核問題でも、日本は国際的な一致した圧力、そういう中での対話による解決ということを我々は求めてきたわけでありますが、こういう北朝鮮に対しての核保有に対しても国際的な圧力を掛けていくという点で、一方で、こういう、インドの保有している国とこういう協定を結ぶということは、こういうやっぱり国際的な取組についても私はマイナスになると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 元々、インドはNPTに参加していませんでした。よって、国際的な核不拡散体制の外側に存在していた国であります。この国をいかに実質的に国際的な不拡散体制の中に取り込むのか、こうした観点から議論が行われてきたと思います。
 元々、こうした管理体制の外側にいた国を実質的に取り込む、インドに原子力の平和利用に関する責任ある行動を取らせる、核実験が行われたならば協力を停止をする、そしてIAEAの保障措置の適用範囲をより拡大させる、こういったことを実現することは、現実問題、かつてのインドの置かれた立場と比較して、これは国際的な不拡散体制を充実させる上でこれは前進であると認識をいたします。
○委員長(宇都隆史君) 時間が来ております。
○国務大臣(岸田文雄君) 厳しい国際環境の中で、是非一歩でも二歩でも現実を前進させることは重要であると考えます。
○井上哲士君 北朝鮮の問題の解決に逆行するんじゃないかという質問だったんですが、お答えはありませんでした。また、次回ただしたいと思います。
 以上です。

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