国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2017年・193通常国会 の中の 外交防衛委員会(日・インド原子力協定)

外交防衛委員会(日・インド原子力協定)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 前回の質疑で、インドはNPT未加盟国であり、六条の核軍縮義務を負っていないということを確認をいたしました。一方、NSGでインドへの原子力関連資機材の移転を例外的に認めたことについて、インドを国際的な不拡散体制の中に取り込み、原子力の平和利用に責任ある行動を取らせるものだ、こう繰り返し答弁がありました。
 お聞きしますけれども、このNSGの例外化措置以降、インドが保有する核弾頭の数は減ったんでしょうか。
○政府参考人(梨田和也君) インド政府は、最小限の核抑止力を保持する旨表明しておりますが、保有する核弾頭の数の詳細については明らかにしておりません。したがって、我が国としてお答えする立場にはございません。
○井上哲士君 よくそんな無責任なこと言いますよね。幾らでも報告出ているじゃないですか。ストックホルムの平和研究所の報告御存じないですか。
○政府参考人(梨田和也君) ストックホルム国際平和研究所の報告書については承知しております。
○井上哲士君 ひどいですよ、こんな答弁は。
 去年の六月の報告によりますと、例えばアメリカは二〇一六年一月末までに七千発の核弾頭を保有したけれども、保有したけれども、これは二百六十発前年より減っていると。ロシアは七千二百九十発の核弾頭を保有し、昨年より二百十発減ったとしているんですね。これらの国は近代化も進めていますから数だけでは判断できません。しかし、減っているのは事実でありますし、NPT六条の義務を果たせという世界の世論と運動がもたらしたものだと言えると思うんですよ。
 一方、パキスタンは百十から百三十発、インドは百から百二十発の核弾頭を保有していると御報告をしております。
 この研究所の二〇〇八年版の年鑑では、インドの保有数は六十から七十発とされているんですね。つまり、この例外化措置以降、六十から七十発のインドの保有は百から百二十発になっているというのが、これがこの研究所の報告ですよ。国際的にも権威ある報告ですよね。
 外務大臣、お聞きしますけれども、知らないなんて言わないでくださいよ、知らないなんて。そんな無責任な答弁してほしくないんですが、例外化措置以降、インドは保有する核弾頭をほぼ倍加させているということですよ。何でこれで国際的な不拡散体制に取り組んで責任ある行動を取らせたと言えるんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) ストックホルム国際平和研究所のこの報告書、これについては私も承知しておりますが、こうしたインドの状況の中で、インドをこのまま国際的な不拡散体制の全く外側に置き続けていくということが国際社会として建設的な取組なのか、この点を考えていかなければならないと思います。
 その中にあって、このNSG決定というもの、この核実験のモラトリアム、あるいはIAEAの保障措置の適用、こうした厳格な条件の下に例外化を決めたわけです。この国際的な取組の下に、先ほど委員の方から御指摘がありました、インドという国をできるだけIAEA保障措置の下に取り込む努力をしていく、このことによってできるだけ軍事用に核物質が使用される可能性を減らしていく、透明性を高めていく、これは国際的な不拡散体制を前進させる上でこれは意義があるのではないか、こういった考えに基づいて各国が、NSG各国が努力をしているわけです。日本としてこうした取組に参加し、この取組を重層的なものにする、こういった努力は意義ある取組であると認識をいたします。
○井上哲士君 いや、そういって例外化したけれども、その後、核の保有数をほぼ倍加させているんですよ。そのことを何にも問題にしないんですか。それが被爆国の政府の態度ですか。
 一方、これは日印協定を結んだら実質的に不拡散体制に参加させることになると、これも繰り返し答弁されてきました。じゃ、この協定の中にインドの核開発を実質的に歯止めを掛け、保有する核弾頭を減らす、そういう確信、ことが何か担保されているんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 今御審議いただいているこの協定ですが、これはインドに原子力関連資機材の平和的利用を義務付ける、そして様々な法的な責任を負わせる、こうした内容であります。
   〔委員長退席、理事堀井巌君着席〕
 よって、この核弾頭の数を規制する、こういった規定はないわけでありますが、ただ、こういった取組自体が、先ほど申し上げました、国際社会の取組と協力することによって、インドにおいて核物質を軍事的に使用する可能性を減らしていく、透明性を高めていく、こういったことにつながる、こういったことからこういったこの協定は意義がある、こういった説明をさせていただいております。
○井上哲士君 いや、透明性高めると言ったって、インドは核保有数を発表していませんと、だから知りませんという答弁じゃないですか。どこが透明なんですか。
 そして、これだけじゃないんです。結局、インドからの拡散を防ぐことのみであって、核兵器の保有数、核爆弾の保有数を増やしていても、結局それ不問に付しているわけですよ。そして、この協定を結んでいるわけですね。そんなルールでいいんでしょうか。しかも、それだけじゃありません。インドは核弾頭搭載可能のミサイル発射実験を繰り返しておりますけれども、この実態についてはどのように把握されていますか。
○政府参考人(梨田和也君) お尋ねの核弾頭搭載可能ミサイルの開発につきまして、インド政府、具体的内容を発表しておりません、明らかにしておりませんが、一方で、自ら試験発射した場合についての公表されたものとしては承知しております。
   〔理事堀井巌君退席、委員長着席〕
○井上哲士君 具体的に述べてください。
○政府参考人(梨田和也君) 一例を挙げれば、平成二十六年一月二十日のケースと、それから平成二十九年六月二日のケースについて承知しております。
○井上哲士君 インドは、昨年だけでも、三月十四日に次世代型の短距離ミサイル、アグニ1の発射実験が成功したと発表しております。昨年の十二月二十六日には長距離弾道ミサイル、アグニ5の四回目の発射実験に成功したと発表しているんですね。これは、インドでは最高の性能を持つ地対地大陸間弾道ミサイルで、二〇一二年に初めて実験していますね。二〇一三年に二度目の実験を成功させたときには、米、ロ、英、仏、中に続く完全な核・ICBMクラブのクラブ入りをしたと、こういうふうにも評されたんですよ。
 このアグニ5を今年にも実戦配備をするという見通しでありますし、射程はこれ五千キロ以上で北京にも達するということで、中国が大変懸念をしていると、こういうふうに言われております。そして、昨年のアグニ5の四回目の実験のときに、モディ首相はツイッターで、この実験成功は全国民の誇りだと、こう述べたんですよ。どうしてこれが責任ある行動なんですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) インドの弾道ミサイルの発射については、一九九八年に、核弾頭搭載可能な弾道ミサイルについても開発の中止等を当時のインドに対して安保理決議第一一七二号によって求めた、こういった経緯があります。そしてその後、インドは、度々議論に出ております核実験モラトリアムの継続等を含む約束と行動と呼ばれる政策を表明し、これを着実に実施したわけですが、ミサイル開発については、我が国としては別途二国間協議の場において、不拡散に加え、地域の安全保障環境及び軍縮の観点から、インドに対してミサイルに関する国際的な枠組みへの参加を求めており、その結果、インドは二〇一六年六月、弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範、そしてミサイル技術管理レジーム、MTCR、こういったものに参加をいたしました。
 こうした取組を含めて、引き続きインドに、弾道ミサイルへの対応についても軍縮・不拡散の見地から前向きな行動を求めていきたい、このように考えます。
○井上哲士君 その後に、去年の十二月に四回目の実験をやっているんですよ。そして、それが全国民の誇りだと言っているんですよ。全然やっていないじゃないですか。元々この決議一一七二号というのは日本が共同提案しているんですね。そして、核兵器開発の中止、弾道ミサイルの開発などの中止を求めているわけですよ。全然守られていないわけですね。逆行していますよ。
 日本は、今回のこの協定交渉に当たって、こういう安保理決議にも反しているということは問題にしなかったんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、ミサイル開発につきましても、二国間協議において、我が国として、インドに対してこの国際的な枠組みへの参加、これを求めてきています。いずれにしましても、ミサイルにせよ、そしてこうした核抑止力の保持につきましても、現状のようなインド、このまま国際社会として全く関わらず放置をしておくということが国際的な軍縮や国際的な不拡散体制を前進させる上で適切なのかどうか、これは考えなければなりません。その中にあって、NSG決定に基づいて、各国として少しでもこうした国際的な不拡散体制にインドを取り込むべく努力をしている、こうした取組に我が国も参加をする、これは意義あることではないか、このように認識をしております。
○井上哲士君 そういってさんざん言って例外化措置やったけれども、今申し上げましたように、それ以後、核弾頭は増やし、そしてミサイル開発、ICBMもやっているわけですよ。結局、そういう下で日本が協定を結ぶということは、こういう核開発、そして核・ミサイルの開発を容認するということになるじゃないですか。これが被爆国日本の、私はこの核兵器廃絶の姿勢の根幹が問われると思いますよ。
 この間もお聞きしましたけれども、一方で、こういう北朝鮮に核・ミサイルの開発の中止を求めるということと、国連決議に反して、核弾頭を増やし、核ミサイルを作っているインド、これと不問に付して協定を結ぶということは、ダブルスタンダードになるんじゃないですか、北朝鮮問題の解決に逆行するんじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(岸田文雄君) インドの場合は、二〇〇八年九月に表明した約束と行動と呼ばれるこの政策、すなわち核実験モラトリアムの継続等、こうした政策を明らかにし、これを着実に実施をしています。そうしたインドに対してNSGとして例外的に原子力の平和利用への協力を可能とした、これがインドに対する国際社会の対応であります。こうした協力については、核実験モラトリアムの継続、あるいはIAEAの保障措置の適用、こういったものを前提にしているものであり、これは、国際的な不拡散体制にインドを取り込む上でこれは大変意義ある取組であると思います。
 こうしたインドと、北朝鮮、今現在も引き続き挑発行動を続けている、今、今年に入っても九回も弾道ミサイルを発射している、今やこの脅威は新しい段階の脅威になっていると、国際社会としても、先日、G7においてこういったことを確認したわけです。こうした北朝鮮とインド、これは同列に論ずることは、これは不適切であると考えます。
○井上哲士君 同列なんかしていないですよ。北朝鮮に迫る上でも、現実に国連決議に反しているインドに対しても毅然たる態度を取らなかったら駄目じゃないかということを私言っているんですよ。どこを同列にしているって言うんですか。いいかげんにしてほしいと思うんですね。
 今、NSGの、盛んにIAEAの保障措置のことを言われていますけれども、その下でこの例外化措置をしたこととインドの核軍拡は、私、密接不可分だと思うんですね。インドは過去、産出量が少なくて、質の良くない国産のウランを軍事用と民生用に振り分けてきました。これは、結果、一時原子力発電の稼働率を大幅に低下したわけですね。これを、民生用については国際的な協力が得られるようになって、輸入ウランは民生用、国産ウランは軍事用と、こういうことができるようになるじゃないかと。軍事用プルトニウムが量産されることになりかねないという、こういう指摘があったわけです。
 そこで、再処理の問題について聞きますけれども、この保障措置というのは、IAEAの、先ほどありましたように、軍事用と民生用に区分して、民生用の部分だけが保障措置対象となります。保障措置対象の施設が十四、軍事用が八ということでありますが、このどの施設を保障措置の対象にするかというのはインドとIAEAが協議するんでしょうか、それともインドが決めるんでしょうか。それからまた、現在建設中のカルパッカムの高速増殖原型炉は保障措置適用の対象の施設になるんでしょうか。
○政府参考人(相川一俊君) 最初の質問に対してお答え申し上げます。
 インドとIAEAの保障措置協定では、IAEA保障措置協定の対象施設はインドが自ら決定し、IAEAに通告すると、こういう立て付けになっております。
○政府参考人(梨田和也君) 委員御指摘のカルパッカム高速増殖炉につきましては、現在に至るまで研究開発及び試験的運転が行われていると承知しておりますが、まだ実用には至っておりません。そして、現時点でIAEA保障措置協定の下には置かれていないと承知しております。
○井上哲士君 置かれていないんですよね。するかどうかはインドが決めるわけですよ。
 そうしますと、軍事用の八つの原発からの使用済核燃料、これを再処理をしていく、さらに軍事用に転用されていく、こういうことはこの保障措置の下で規制ができるんでしょうか。
○政府参考人(梨田和也君) 本協定に基づきます我が国が協力を行う再処理ということにつきましては、厳格な条件の下でのみ認められておりまして、将来建設される再処理施設、かつIAEAの保障措置の下に置かれるものだけで再処理は行われ、また貯蔵、使用といったものもIAEA保障措置が適用されることになっておりますので、我が国の協力が軍事転用されることはないと承知しております。
○井上哲士君 いや、日本の協力のことを言っているんじゃないんですよ。例えば、インドが国産用ウランを使ってこういうところで再処理を、使ったものを、核燃料を再処理したりする、それが軍事転用されると、インドの国産ウランを使って。それが規制できるんですかと聞いているんです。
○政府参考人(梨田和也君) 随時御答弁申し上げているとおり、インドへの原子力協力というものは軍民分離を前提としております。ですので、IAEAに通告した民生用の原子力施設又はこれらの核物質に関わる物質等についてIAEAの保障措置の適用、平和的目的の利用の義務を負うということでございます。
 我が国としましては、インドを不拡散体制の外に置くより、原子力施設を可能な限り民生用原子力施設として特定してIAEA保障措置の下に置くということで、原子力施設の数を減少させる、保障措置の外にある施設を減少させる、これによりインドの原子力活動の透明性を高めていくことが重要であると考えております。
○井上哲士君 その保障措置の、置くかどうかはインドが決めるんでしょう、さっき答弁あったように。そして、その下では結局手は出ないわけですよ。何の監視もできないわけですよ。その点から協定がインドによる再処理を容認していることは非常に重大だと思うんですね。
 日本が供給側になる二国間協定で再処理を認めた例はありません。先ほど来言われていますように、少なくとも我が国の協力した物質等においては保障措置の下に置かれて軍事転用が行われないことを保障していると、こういう答弁をされて、もうインドは既に技術があるんだからいいんだと、こういうふうに言われています。
 しかし、日本が民生用に支援をすれば、インドはその分、自国産の核物質を民生用から核兵器生産用に回す余裕ができるわけですよ。結果的に核兵器開発の支援につながっているんじゃないですか。大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(岸田文雄君) インドの原子力の平和利用に関してどのような協力をしていくのか、各国が様々な努力をしているわけですが、その中で、先ほど申し上げておりますように、この協力は、軍民分離、これを前提にしています。よって、これ、IAEAの保障措置の外側にある部分がある、これは御指摘のとおりだと思いますが、IAEA保障措置に置かれる部分をできるだけ大きくし、そしてその措置の外側にある部分をできるだけ小さくする、そのことによって核物質を軍事用に使用する可能性を減らし、透明性を高めていく、こうしたことは大変重要であると思います。
 そして、事実、こうした取組が進む中にあって、二〇〇八年の九月五日声明の段階と今とを比べますと、保障措置の中にあったこの施設、かつては六しかなかったわけですが、それが、保障措置の中にある施設、今や二十二に増えました。一方、保障措置の外側にある施設、かつては十六でありましたが、これが今、八に減少しました。このように、具体的に保障措置の適用される施設のありようは変化しています。前進をしています。
 こういった取組を続けていくことはインドを全く国際的な不拡散体制の外側に置いたままにしておく、そういったことと比較して、これは前進ではないか、こういった取組の意義はあるのではないか、日本としてもこうした取組に参加することは意義があるのではないか、こういった考えに基づいて努力を続けてきた次第であります。
○井上哲士君 私はとても意義があるとは思えません。
 先ほど、軍事転用の可能性を減らすと言われました。つまり、あるということですよ。現に、その八つの軍事施設については適用外なわけですね。そして、実際に、先ほど来言っていますように、核弾頭は増やされているんです。この現実があり、しかも、今後できる高速増殖炉が完成しても、インドが適用外だと現在しているわけですね。これ、何が行われるのかということですよ。
 私は、NPTに入らずに核兵器を保有した国が、その後、他国に転用さえしなければいいんだということで、日本が結果的に核弾頭などを増やしていくような支援に間接的につながるような、そういう処理や濃縮を認めるというのは、被爆国日本の姿勢として絶対許されないと思います。
 もう一点、インドとの協定を考える上で、福島原発の重大事故を起こした国だということがあります。福島の教訓の一つは、住民の反対の声を無視して、時には力ずくで押さえ付けて、安全神話に基づいて原発が進められたということでありますが、インドにおける反対運動はどうなっているのかと。
 昨年総理が訪問した際も様々な抗議行動がありましたし、それから、原発建設そのものについて、メディアの統制の下で、農地や漁場の収奪や、原発の危険性が分かる中で、激しい反対運動が起きております。例えば、クダンクラム原発、二〇〇四年のスマトラ沖大地震で津波被害を受けた地域なんですね。今も原発の横に津波村という仮設住宅があると言われています。ここでは、特にこの福島事故以来、反対運動が再加熱しまして、連日一万人以上が集まってデモやハンストも行われました。これに対して、一万人を超えるような州警察の武装部隊が投入されて、逮捕者五百人以上、警察が発砲して一人の死者も出ました。
 国民に情報が十分に示されないままに、建設を強行して、反対運動を力ずくで押さえ付けると。私は、あの福島原発事故の反省点を掲げるならば、こんな状況でこういうインドに原発を輸出するようなことがあってはならないと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(岸田文雄君) 原子力の発電につきましては、多くの国における状況と同じく、インドにおいても様々な考え方、また議論が存在している、このことは十分承知をしています。そして、インドにおいてこの原子力発電をどう考えるのか、どのような対応を進めるのか、これについては、原子力発電の実施機関であります原子力開発公社、これが、様々な啓発のための取組ですとかインド政府のエネルギー政策の説明ですとか、こうした努力を続けている、こういったことを承知をしています。
 そして、その中にあって、我が国としては、原子力に関わる国際協力において、御指摘のこの福島の教訓等をしっかり踏まえた上で世界最高レベルの原子力の平和利用における技術等をしっかり提供する、こういったことも行いながら、安全最優先で取組を続けていくべきであると認識をしております。
○井上哲士君 三月にNHKのBS世界のドキュメンタリーで、「世界最大の原発建設へ インドのジレンマ」という番組を紹介しておりました。ジャイタプール原発反対運動を紹介していましたけれども、肥沃な土地が取り上げられて、豊かな漁場も入れなくなる、五つの村が滅ぼうとしていると。イギリス統治下で古い一八九四年の法律を使って土地の強制収用もしていたと告白をしているんですよね。ここでも力ずくで運動が抑えられて、住民一人が警察に銃殺されております。
 日本が輸出をしたら、原発を、日本で造られる原発に反対する人々をこういう武装警察が押さえ付けると、場合によってはまた犠牲者が出るかもしれない、そういう中で日本の原発、輸出した原発が造られることだってあり得るわけですよ。
 さらに、非常に原発の安全体制の問題も言われております。規制委員会の独立がされていないじゃないかと、これ、IAEAも強化すべきというレポートを出しておりますけれども、やはりやるべきことは、今、世界的に見ましても、原発からの撤退、東芝やウェスチングハウスも起きていますし、世界の大きな流れはやっぱり自然エネルギーだと思うんですね。
 また、インドが電力供給で悩んでいるのは、三〇%にも上る送電中の電力損失率です。日本はこれ五%なんですね、僅か。
 ですから、私は、本当に福島原発の教訓ということで言うのであれば、こういう再生可能エネルギーへの協力とか、そしてこういう送電中の電力損失をなくための技術協力とか、こういうことこそ日本がするべきであって、こういう協定、原発輸出はするべきでないと考えますけれども、大臣、最後いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としては、原子力の安全ということを考えましても、我が国の福島における教訓あるいは経験、さらには我が国の持つ世界最高レベルの安全な原子力技術、こういったものの提供を通じてインドの国民の皆さんにとっても有意義な協力をしていくことは重要だと思いますが、あわせて、再生可能エネルギー等につきましても、インドは高い電力需要を有し、クリーンエネルギーの導入、促進していますが、再生エネルギーではその需要の一部しか賄うことができない、そういったことから、原子力についても二五%を発電に使う、こういったことを目標としていると承知をしています。
 我が国として、原子力協力のみならず幅広いエネルギー協力を進めること、これはもう重要だと認識をしており、再生可能エネルギーに係る系統安定化を始め日印間で様々な協力について対話を進めていく、こうした取組も大変重要だということで、日印首脳会談等においてもこうした協力について議論を行っていると承知をしております。
○井上哲士君 福島事故の教訓にも被爆国としての立場にも反するこういう協定は断固反対だと申し上げまして、質問を終わります。

――


○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、日本・インド原子力協定の承認に反対の立場から討論いたします。
 インドは、核拡散防止条約に加盟しないまま二度の核実験を行った核保有国です。これまで日本がNPT未加盟の核保有国と原子力協定を締結した例はありません。核不拡散体制を前提として原子力の平和利用を進めるとしてきた政府の従来の方針からも明らかに逸脱するものです。
 何よりも、唯一の戦争被爆国である日本がインドと原子力協定を締結することによって生じる問題は、極めて深刻かつ重大です。それは、インドの核保有を容認するとともに、核保有国としてのステータスを強めることにつながるからです。
 その上、インドにはNPTの核保有国に係る核軍縮の努力義務もありません。政府が協力の前提とするインドの核実験モラトリアムは、そもそも一方的な表明にすぎず、核軍縮を約束したものでもありません。
 そればかりか、国際的な統計によれば、インドは〇八年から核弾頭の保有数をほぼ倍加させ、弾道ミサイルの実験を繰り返しています。インドとの原子力協定を許せば、核保有を追求しながら原子力協力を求める国が今後広がることにもつながりかねません。
 本協定の規定内容は、日本が結んだ従来の二国間原子力協定の規定からも大きく後退したものとなっています。インドにウラン濃縮を認めるとともに、日本が供給側の立場で結ぶ原子力協定として、過去に結んだ協定とは異なり、初めて相手国に再処理を認めています。
 政府は、少なくとも、我が国の協力した物質等においては、保障措置の下に置かれ、軍事転用が行われないことを保障していると説明します。しかし、日本が民生用に支援すれば、インドはその分、自国産の核物質を民生用から核兵器生産用に回す余裕ができます。
 また、過去の原子力協定では協定本文に明記された、核実験が行われた場合に協力を停止する旨の規定が盛り込まれていません。これは、インドの反対により、日本側が従来の対応を曲げたものであり、協定上、核実験に対する歯止めが曖昧になったと言わざるを得ません。
 本協定は、安倍政権が成長戦略においてインフラ輸出の柱とする原発輸出を推進するためのものですが、福島第一原発の事故がもたらした惨害を踏まえれば、その事故原因の究明さえできない中で、危険な原発の世界輸出を推進する安倍政権の責任は重大です。
 原発輸出及び国内原発の再稼働の中止と即時原発ゼロへの転換を強く求めて、反対討論を終わります。

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