国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2017年・193通常国会 の中の 外交防衛委員会閉会中審査(米軍オスプレイ墜落、陸自南スーダンPKO日報隠蔽問題)

外交防衛委員会閉会中審査(米軍オスプレイ墜落、陸自南スーダンPKO日報隠蔽問題)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、オスプレイの問題でお聞きします。
 沖縄普天間基地所属のMV22オスプレイが五日、豪州東海岸で揚陸艦への着艦訓練に失敗をして墜落をし、三人の方が亡くなるという事故が起きました。米軍は、今回の事故を最も深刻なクラスAと分類をしております。そして、この普天間基地所属のオスプレイの事故は、昨年十二月に名護市安部に墜落したばかりでありまして、連続する極めて異常な事態であります。
 一方、八日の会見で菅官房長官は、六日に防衛省から米側に、運用上必要なものを除いて国内における飛行を自粛するよう申し入れたと述べておられます。米軍は当然必要だからやっているんだと言うわけでありますから、こんな条件を付ければどうぞやってくださいと言うようなものにほかならないんですね。実際、七日の朝に、運用上必要との判断ということでオスプレイが飛行されました。
 何でこんな条件を付けたんですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 御指摘の、普天間飛行場所属MV22オスプレイが日本時間五日午後四時頃、オーストラリア東海岸沖で訓練中、輸送揚陸艦グリーン・ベイへの最終進入中にデッキに衝突し、その後、海中に転落をし、乗員二十六名中二十三名は救助されたものの、大規模な捜索の結果、最終的には三名の米海兵隊員の死亡が宣告されたと承知をしております。
 オーストラリアにおける米海兵隊MV22オスプレイの事故を受け、私から米側に対して、運用上必要なものを除くという条件を付すことなく、国内におけるオスプレイ飛行自粛ということを要請をしております。私からは、そのような運用上の必要の判断というようなことを付けたことはなく、自粛をしてほしいという要請をさせていただきました。
○井上哲士君 大臣は言わなかったかもしれません。しかし、例えば七日の朝、我が党の紙議員と畠山議員が北海道の訓練にオスプレイ参加させるなということで防衛省に申入れしたんですよ。そのときに防衛省側が、運用上最低限必要なもの以外は自粛してもらいたいというスタンスですとはっきり述べているんですよ。事務方は全部言っているんですよ。
 今、大臣そういう答弁。ということは、こういう事務方の対応は間違いだったと、今後はアメリカが運用上必要との判断と言っても日本は受け入れないということでよろしいですね。
○国務大臣(小野寺五典君) 私から直接、在日米軍のシュローター副司令官に自粛をしてほしいということを申し述べました。そのとき、シュローター副司令官は、実はその時点でオスプレイが一機飛行したという事実を基に、私に対して、これは運用上必要な最小限のものですというそういう話がありましたが、私としては自粛を求めていたということであります。
○井上哲士君 いや、防衛大臣は言わなくても、現場で言っているんですよ、スタンスだと明確に言っているんですよ。これはつまり、防衛省としては間違いだと、防衛省の態度ではないと、今後違うということでよろしいですね。
○国務大臣(小野寺五典君) 済みません、副司令官の名前はシュローティでありました。
 私からは、そのシュローティ副司令官に飛行の自粛ということをお願いをいたしました。(発言する者あり)
○委員長(宇都隆史君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(宇都隆史君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(小野寺五典君) 防衛省としてのスタンスも、私が申し入れたとおりであります。
○井上哲士君 となりますと、それまでに事務方などが言っていたことは、これは不適切だったと認められたものだと理解をいたします。
 今、その上で、シュローティ副司令官と会談をされたという際に、大臣は、多くの懸念があると、飛行したことについてこう述べられました。どういう懸念があるんですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 御指摘の発言でありますが、今回の事故を受けて国内でMV22オスプレイに係る不安の声が上がっているという趣旨で述べたものであります。
 防衛省としては、新たな情報が米側から得られれば、関係自治体にお伝えするなど適切に説明していきたいと考えております。また、事故の事実関係、評価等について詳細を確認しており、米側に対しては引き続き安全面に最大限配慮するよう求めてまいります。
○井上哲士君 まさに多くの国民から不安の声が上がっております。そして、いまだに原因は明らかになっておりません。その懸念がある以上は、たとえアメリカが運用上必要と判断をしたと言っても、懸念がある以上は飛行はするべきでないと、こうするのが私は当然の立場だと思うんですね。
 ところが、七日に続いて八日の夜にもオスプレイは飛行しております。これは夜にでして、普天間に戻ってきたのは、午後十時四十七分着陸するのを防衛局が確認をしているとされております。これは日米協議では十時までになっているんですよ。それが、もう早速十時四十七分に着陸をしている。ですから、およそ県民の声も聞かない、大臣の要請も日米協定も守らないという姿勢を直ちにやっているんですよ。
 厳しく抗議すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 私としては、国民の様々な心配をする声もあり、これは自粛をしてほしいと米側にはお話をしております。
 今御指摘の七日の飛行については、米側からは運用上必要との判断により行ったという説明があったと報告があります。また、八日の飛行に関しても、これは米側に照会中でありますが、米側が運用上の必要との判断により行ったということを認識しておりますが、防衛省としては米側に対し、事故の事実関係、評価につき詳細を確認しているところであり、引き続き安全面に最大限配慮するよう求めてまいりたいと思います。
○井上哲士君 結局、運用上必要だと言われれば、配慮をしてほしいと言うだけなんですよ。抗議もしないというわけですね。
 沖縄の翁長知事は、この事故直後の飛行について、日本政府が当事者能力を持ってアメリカに何も言えないことが今のような状況につながっていると厳しく批判をしております。私はまさにそのとおりの事態になっていると思います。
 その上で、今、全国からもこのオスプレイの飛行中止や自粛を求める要請が相次いでおります。今日から北海道で日米合同演習、ノーザンヴァイパーが始まりまして、普天間所属のMV22オスプレイ六機が参加する予定になっておりました。午前中の答弁で、米軍と調整していると、それが整っていない中でオスプレイは参加せずに行っていると、こういう話がありました。今後も調整をしていくと。自粛の趣旨は事故の報告がなされていないことですので、報告がなされることを前提に総合的に考えていきたいと答弁をされました。八日の会見では、ちゃんと安全が確保できる、そういう状況が大切と言われました。
 ということは、安全が確保できると納得できるような報告がない限り、この北海道の訓練への参加はないということで確認してよろしいですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 今御指摘がありました日米の共同訓練、ノーザンヴァイパーへのオスプレイの参加の取扱いについては、引き続き米側と調整していきたいと思っております。
○井上哲士君 ですから、報告が出て、安全が確保できる状況と認められない場合は参加はないということでよろしいですねと確認しているんです。
○国務大臣(小野寺五典君) 引き続き米側と調整を行っていきたいと思っております。
○井上哲士君 結局、最初の段階で運用上必要だということであれば除きますというスタンスは私変わっていないと思うんですね。この日米共同訓練というのは、共同訓練でありますから日本は一方の当事者なんですよ。日本が駄目だと言えば参加できないはずなんですから、先ほど言ったように、安全が確保できる状況と認められない限りは中止をすべきだということを私改めて強く申し入れておきますし、こうした危険なオスプレイの配備の撤回、そして自衛隊にも配備をするということは中止をすべきだということを強く申し上げておきたいと思います。
 その上で、時間もあれですので、日報問題、お聞きをいたします。
 先ほどからありますように、この出発が七月の情報開示請求への対応にあるということが特別監察で明らかになりました。私、今年六月十五日の委員会で、当時の報道を基に七月の開示請求について質問をいたしました。報道は、中央即応集団の担当者が日報データが残っていることを確認して上司に報告したところ、上司は、ばか正直に出せばいいものじゃないと叱責をして日報を開示しないように命じたと、結果としてそうなったと、こういう報道でありました。実際にこういう情報開示請求があったのかと、このことをただしたのに、当時の稲田前大臣は、報道を受けて逐一答弁することは控えたいと言って、そのことすら答弁をされませんでした。しかし、特別監察報告ではこのことが明確に述べられたわけですね。
 まず、監察本部に聞きますが、この報道にあった陸自幹部、ばか正直に出せばいいものじゃないという発言は極めて私は重大だと思いますけれども、こういう発言は確認されたんでしょうか。
○政府参考人(丸井博君) お答えいたします。
 防衛監察におきましては、対象機関からの関係書類等の取得、アンケート調査、現場確認、面談により広く情報収集し、様々な角度から収集した情報の分析を行い、事実関係の解明に努めております。この際、一方だけの主張ではなく多方面からの主張等を総合的に勘案して事実関係を構築しておりますが、ただいま御指摘にありました発言内容については確認されませんでした。
○井上哲士君 私ね、監察結果は極めて明確だと思うんですね。この開示請求に対してCRFの副司令官が、行政文書としての日報の存在を確認しつつ、日報が開示対象の文書から外れることが望ましいという意図を持って非開示を指導したと、こういう中身であります。
 先ほどもありましたように、部隊情報の保全や開示請求の増加に対する懸念からということが書かれておりますが、先ほどもあったように、従来から保全すべきものは黒塗りで出してきたわけですから、これ理由にならないわけです。しかも、実際にその後出てきたこの日々報告を見ますと、実際黒塗りで出てきています。
 黒塗りにされていないところがあるんですね。例えば、現地で戦闘が起きていたという情報ですよ。だから、黒塗りにできないところを出したくなかったというのが一番の本音だったのではないかと疑うわけでありますが、当時の開示請求された七月の日報というのは、ジュバにおける戦闘が起きていたと。当時の中谷大臣は、これを散発的発砲事案だと記者会見で述べました。国会では、衝突はあるけれども戦闘はないと、こういうふうに言ってきたわけですね。しかし、日報には明確に戦闘と書かれて、そして宿営地にも銃声や爆発音が聞こえるという緊迫した事態を現地の隊員の方が送ってきたわけですよ。こういう大臣の会見や国会答弁と違う事態が日報に書かれている。
 こういう不都合な事実を隠そうというのが一番の背景にあった意図であったんではないかと思うわけですが、先ほどそういうことは確認されなかったと監察本部、答弁されましたが、こういうことではないかということをただした上で確認されていなかったのか、それともそういう発言がなかったということなんでしょうか。
○政府参考人(小波功君) お答えいたします。
 ただいま委員御指摘の報道等につきましては、私どもも確認させていただきました。それで、この部分について当人に事実関係等も確認したところでございます。
 その結果、ここでの結論で、先ほど副監察監から御答弁いたしましたように、やはり本人のこの時点での意図というのは、先ほど申しましたように、部隊の保全、情報の流出防止でありますとか情報公開業務の多忙感の件であって、本件のようないわゆる、しかも、発言自体の、報道にまさにここ書いておりますとおりの報道が出たと思うんですけれども、いわゆるばか正直に出せばいいってもんじゃないという発言は確認されなかったところでございます。
○井上哲士君 いや、そっちはもうさっき済んだ話。そうじゃなくて、つまり、国会で戦闘はなかったとか、こういう国会答弁や会見とそごをする内容がある、それを出したくなかったということではないんですかと、そういう国会等への影響ということについて、向こうから発言がなかったということなのか、ただしたのか、その点を聞いているんです。
○政府参考人(小波功君) それで、今の点につきましても私ども確認をしたところでございます。
 このいわゆるCRFの副司令官、国際担当という方は、当時その南スーダンに出しておりました部隊の安全等に直接責任を持つ立場の方でしたので、この方の、ですから、当然証言等によるものなんですけれども、いわゆる部隊等の安全の件であって、自分自身がその時点で国会等の議論でありますとかそういうものを念頭にそういう指導をしたものではないというふうに確認しております。
○井上哲士君 あれだけ国会で議論になっていることを念頭になかったというのは極めて不自然でありますし、この監察結果の中にはそういう、PKO参加五原則と南スーダン情勢の関係、国会で大議論になっていたと、そのことの関係、一切ないんですよ。余りにも不自然でありますし、そして、今いろんな声ありましたけど、ほかのことは曖昧なのに、このことだけは明確に言われるというのは、私は極めて御都合主義だと言わざるを得ません。
 そして、この時期はどうだったかといいますと、PKOの十一次隊、青森の部隊がもう内定をしておりました。そして、駆け付け警護の新任務どうするかというのが焦点になっていたんですよ。五月の末に中谷大臣が会見をして、新任務の付与の検討は現時点でしておりませんと、そういう事実はありませんという会見されています。一方で、八月の末には新任務のための訓練が始まっているんですね。つまり、一番検討していたときですよ。その真っ最中にこのジュバでの事態が起きたと。
 家族からいろんな不安の声が上がっていました。ですから、家族向けの説明資料、私もここで質問しましたけれども、二月の時点の地図には戦闘発生箇所と書いてあるのに、八月時点ではこれが衝突に書き換えられていた。つまり、この七月前後の時点、あのジュバ以降の時点は、そういう新任務付与ということもある中で、戦闘という言葉を使わない、隠すということがずっと行われていたときなんです。その真っ最中にこういう判断が行われた。
 私は、この特別監察で七月にこういう日報隠しが行われたということが明らかになった中で、やはり結局、現地情勢隠し、これが一番の背景にあったんじゃなかったかということがいよいよ浮き彫りになったと思いますけれども、小野寺大臣、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) ただいま監察本部からその対象者についての報告があったと思います。この担当者がたしか七月のこの事件の発端になったという、大変私どもとしては、不存在と言ったそのスタートの問題でありますので、監察本部として注意深くその状況についても調査し、把握した結果を今御報告しているものと承知をしております。
○井上哲士君 先日出された防衛白書でも、昨年まではあった二〇一三年十二月のジュバでの戦闘という記述が削られております。つまり、国会でのいろんな答弁に合わせてそういうことがずっと行われているんですよ。そういう中で起きている問題だと。
 しかし、こういう動機の問題は、結局、特別監察は全く踏み込んでおりません。一定の事実解明はされました。これはやっぱり制度の限界だと思います。この問題は、やはり国会の中で解明していく必要がありますし、これは虚偽答弁にもつながる問題でありまして、我々は、やはりなぜこういうことをしようとしたかという詳細な検証なしにはまた起こるということを問題として、この問題を深めることが必要だと思うんですね。
 稲田大臣は、この特別監察による徹底的事実調査の上、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば私の責任で改善していきたいと繰り返し答弁をされながら、辞任をされました。改めるべき隠蔽体質はあったんですか、あったとすれば改善をされたんですか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 今回の一連の事案で、各機関から取得した関係書類等、現場等確認及び面談により、本件日報の管理に係る行政文書管理、情報公開、情報保全関連規則の遵守状況を確認した結果、情報公開法違反につながる行為を含む不適切な行為が確認をされました。
 御指摘の隠蔽体質がいかなる意味か明確ではなく、お答えは困難でありますが、職員の職務遂行の適正性を確保する観点から、このような法令に違反する行為を確認したものであります。
 なお、特別防衛監察結果を踏まえた情報公開及び行政文書管理に対する再発防止措置につきましては、七月二十八日付けで通達を出しております。
○井上哲士君 現実を見てもらう必要があると思うんですね。
 八日に陸自の幹部学校で開かれた陸自フォーラムで、前田陸幕の防衛部長が主催者挨拶に立ってこう言っております。日報問題等で陸自が隠蔽組織ではないかという報道がありましたけれども、そういうところは一切なくて、文書管理上のミスはあったと、こういう挨拶ですよ。私、ひどいと思うんですね。あるものをないと隠して、そして組織的にその後廃棄をしたと。これは文書管理上のミスとして片付けられるんでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(小野寺五典君) 今御指摘のようなことがあったと、報道を承知をしております。
 防衛監察本部の監察結果を踏まえ、防衛省は、今後、再発防止策を着実に実施し、隊員の意識改革等を行い、国民への説明責任を適切に果たすことにより、自衛隊への信頼を早急に回復することが重要だと思っております。
 このような時期において報道にあるような発言があったとすれば誠に残念なことであり、私からは、本件報道に接し、直ちに該当する隊員に対して注意喚起を行いました。
○井上哲士君 前田氏は、発言直後にマスコミの取材に、監察結果を詳細に読まずに発言をした、詳細に読み、真摯に発言すると述べたというんですね。これだけ陸自のことが問題になっていて、国会でこういう審議をしている、そのときに陸自の幹部が監察結果もまともに読んでいないんですよ。驚くべきことだと思いましたよ。そして、文書管理上のミスであったと。
 存在する日報を非存在として、発覚を恐れて組織ぐるみに廃棄までしたと、これは世間から見れば隠蔽なんですよ。隠蔽やっているということの自覚もないまま隠蔽をしていると、ここが私は深刻だと思うんですね。
 かつて「たちかぜ」で、いじめ自殺問題で、アンケートを、遺族の開示請求に対して、存在しながら隠したということを取り上げたことがあります。当時、情報公開・個人情報保護審査会の答申は、処分庁には、つまり防衛庁には組織全体として不都合な事実を隠蔽しようとする傾向があったことを指摘せざるを得ないと、ここまで言いました。外部の答申であります。ここまで踏み込んだんです。
 私は、その点からいいますと、今回の特別監察は一定の事実解明はありましたけれども踏み込みができていないと、これはいよいよ国会が事実解明をすることが必要だと思います。
 今日の質疑、午前中も含めて、やはり当事者の出席なしには解明はできません。総理の関与がありますから総理の出席、さらには稲田大臣、黒江氏、豊田氏、岡部氏、湯浅氏、辰己氏など関係者の証人喚問も行うということも含めて求めまして、理事会協議もお願いをして、質問を終わりたいと思います。
○委員長(宇都隆史君) 引き続き理事会にて協議をいたします。

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