国会質問議事録

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外交防衛委員会閉会中審査(北朝鮮による6度目の核実験)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 北朝鮮による六回目の核実験が行われました。連続する弾道ミサイル発射とともに、世界と地域の平和と安定にとって極めて重大な脅威であり、累次の国連安保理決議、六か国協議の共同声明、そして日朝平壌宣言に違反する暴挙であります。
 同時に、国際社会が対話による解決を追求している下でそれに逆行する行為であり、核兵器禁止条約の採択など核兵器のない世界を求める世界の大勢に逆らうものでありまして、日本共産党は強い憤りを持ってこの暴挙を糾弾し、抗議をするものであります。
 今日は、先週に続いての閉中審査、三回目ということになりました。極めて異例な事態が起きているわけでありますが、私たちは、先週に続く中で、これはむしろ党首会談も行って総理出席の予算委員会も開くべきだということを求めましたし、そもそも臨時国会の早期召集を憲法に基づいて六月以来要求しているわけでありますから、これに応えていただくべきだということを最初に申し上げておきたいと思います。
 まず、防衛副大臣にお聞きしますが、昨年の五度目の核実験の際に北朝鮮が、弾道ミサイルに装着できるように標準化、規格化を確認し、小型化、軽量化、多種化されたより打撃力の高い各種核弾頭を必要なだけ生産できるようになったと、こういう声明を発出をいたしました。当時、これに対して質問しますと、防衛大臣は、核兵器の小型化、弾頭化の実現に至っている可能性も考えられるという答弁でありましたが、今回の実験を受けてこの北朝鮮の実戦配備能力についてどのように判断をされておるでしょうか。
○副大臣(山本ともひろ君) お答えします。
 北朝鮮は、核兵器開発の一環として、核兵器を弾道ミサイルに搭載するための小型化、弾頭化、これを追求しているものと考えております。北朝鮮は、今回の核実験に関し、大陸間弾道ロケット装着用水爆の実験を成功裏に断行したなどと主張していることも承知していますが、今回の実験により核兵器の小型化、弾頭化にどの程度進展があったかについて予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、一般論として申し上げれば、核兵器の小型化、弾頭化には相当の技術力が必要だと言われています。一方で、アメリカは五年程度で小型化に成功しておりまして、一九六〇年代までには既にこうした技術力を獲得したと見られており、他国の例から見て、北朝鮮も比較的短期間のうちに関連技術の獲得に至っている可能性がある。北朝鮮が二〇〇六年に初めての核実験を実施してから十年以上が経過したことや、今回の核実験は六回目となることから、技術的な成熟が予見されているところであります。それらを踏まえて考えますと、北朝鮮が核兵器の小型化、弾頭化の実現に至っている可能性が考えられると認識をしております。
 他方、核兵器を核弾頭に搭載して運用するためには、弾頭の大気圏再突入技術が必要と考えられるところです。北朝鮮がこれまでにそうした技術を実証したか否かについては、引き続き慎重な分析が必要であると思います。
 いずれにせよ、防衛省としては、米国、韓国共に緊密に連携し、北朝鮮による核実験の詳細についてしっかりと分析作業を進めてまいりたいと思います。
○井上哲士君 いずれにしても、極めて重大な事態が進行しているわけで、国際社会が結束して経済制裁の厳格な実施、強化を行って、それと一体にした対話によるこの中止を迫ることが必要だと考えます。
 この今回の核実験後、アメリカのマティス国防長官は、北朝鮮の全滅を望んでいないがそうするだけの多くの選択肢があると述べて、軍事行動の可能性も示唆をして牽制をしました。一方、北朝鮮も更なる挑発を示唆をしております。
 私たち今の最大の危険は、こういう米朝両国の軍事的緊張がエスカレートする下で、当事者の意図にも反して、例えばそれは偶発的な事態、それから誤算、これによって軍事衝突が引き起こされる、そういう現実的な可能性が生まれ、高まっていると考えているんですね。万一そういうことになりますと、日本にはおびただしい被害があるわけで、マティス氏自身が軍事的な解決に向かえば信じられない規模の悲劇になるだろうと、こういう発言をしております。絶対避けなければならないと。
 そこで、外務大臣にお聞きしますけれども、この緊張激化の中、こういう当事者たちの意図にも反して偶発的事態や誤算などによって軍事衝突が引き起こされる可能性について、どうお考えなのか。午前中の衆議院でも繰り返し質問をしたわけでありますが、正面からのお答えはありませんでした。そういうことはあると考えているのか、それともないと楽観的にお考えなのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 今回の事態は、北朝鮮が一方的にミサイルの発射を続け、一方的に核実験を行っているわけでございます。それに対して米国は、韓国や日本といった同盟国に対して、北朝鮮が力をもって恫喝をする、あるいは武力を行使するような事態にならないよう拡大抑止を含む抑止力を提供することをコミットしているわけでございますので、北朝鮮が暴挙に出なければ軍事衝突にはならない、そう考えております。
○井上哲士君 私は現実もっとしっかり見るべきだと思うんですね。
 昨日から開かれている国連安保理の緊急会合の国連のプレスリリースが発表されておりますけれども、それによりますと、ジェフリー・フェルトマン国連事務次長は、緊張が高まるにつれ、まさに誤解、判断違い、エスカレーションのリスクが高まっていると、こういうふうに述べて、同氏は、直近の重大な出来事が北朝鮮による挑発のサイクルを破るための包括的な対処を必要としていることを強調し、そのような行動にはそれが有効なものとなるよう賢明でかつ大胆な外交が含まれなければならないと、こういうふうにプレスリリースは言っております。
 この国連事務次長が指摘するような緊張激化の中で、誤解、判断違い、エスカレーションのリスクの高まり、そういう中で起き得る軍事衝突を避ける、そのために日本が外交的なことをやる、これ必要じゃないでしょうか。この現実をやっぱり見るべきだと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) そうしたことを避けるために、国際社会は朝鮮半島の非核化がゴールであるということで一致をしております。
 北朝鮮が非核化の意思を明白にし、その方向に向けて具体的に行動を取る、そのために今国際社会は最大限の圧力を掛ける、そういうメッセージを安保理で出しているところでございますので、北朝鮮が一方的な暴挙に出ない、そのための準備を国際社会は安保理を通じ、あるいはほかの場面を通じ、行っているところでございます。
○井上哲士君 経済制裁の厳格な実施や強化、これによる圧力は我々も必要だと思うんです。しかし、それだけでは現在の私は危機は回避できないと思うんですね。経済対策が仮に強化されたとしても、それが実効が出るには一定の時間も掛かるわけです。
 ですから、今のこの緊張の激化の中での軍事衝突の危機を回避するためには、お互いがこの意思を確かめることなく軍事的恫喝を繰り返していくと、こういう中で起きるような偶発的な事態を避ける、そのためには無条件の直接対話が米朝間で必要だということを私たちは提起をしているわけですね。
 これは別に、北朝鮮に対する譲歩を意味するものではありません。何か北朝鮮の勝利になってしまうなんという議論もありますが。ましてや核兵器を容認するものではないと。今、こういう不測の事態を起こさないための無条件の対話を実施をし、そしてその中で平和的、外交的な手段での核・ミサイル問題を解決をしていく、そういう可能な手だてを取ること、こういう無条件の対話に踏み出すように求めていくことが必要だと思いますけれども、改めていかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 今回の危機は、北朝鮮が一方的に暴挙に出ていることに端を発するわけでございます。これまで、対話のための対話では、北朝鮮の核あるいはミサイルの開発に必要な時間を与えるだけに終わったということを国際社会はよく認識をしております。北朝鮮が非核化に向けての明白な意思を表明し、そこに向けた具体的な行動を取る、そして対話が始まるべきだというのが国際社会の一致した認識でございます。
○井上哲士君 先ほど、国連事務次長の発言も紹介をしておりました。今のやはり誤解、判断違いやエスカレーションのリスクの高まり、これで現にある問題に対して的確な対応をする、それが私は無条件の対話であるし、そこから意味のある対話をつくり出していくことも可能だと、こう考えております。
 改めて求めまして、質問を終わります。

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