国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2018年・196通常国会 の中の 外交防衛委員会(横須賀配備の米海軍イージス艦事故の続発について)

外交防衛委員会(横須賀配備の米海軍イージス艦事故の続発について)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 この間、米軍機の墜落や部品落下事故が相次いでおることは重大でありますが、それだけではなくて、海上でも米軍艦船の事故が連続をしております。
 お手元に資料を配っておりますけれども(※井上質問18年3月23日外防委配付資料.pdf)、座礁事故を起こしたアンティータム、衝突事故を起こしたフィッツジェラルド、マケイン、そのほか、接触事故や乗組員の不明事故、昨年だけで横須賀を母港とするイージス艦十一隻中六隻が何らかの事故を起こしている、異常な事態だと言わざるを得ません。
 このうち、フィッツジェラルドの事故で海上保安庁は先日関係者を書類送検をいたしました。事故の概要と送検の容疑について述べてください。


○政府参考人 海上保安庁警備救難部長(奥島高弘君) お答えをいたします。
 今御質問の本件につきましては、昨年の六月十七日でございますけれども、静岡県下田沖におきまして、米艦船フィッツジェラルドとフィリピン籍コンテナ船ACXクリスタル、これが衝突をし、米艦船の乗組員七名が死亡、三名が負傷をしたというものでございます。
 海上保安庁におきましては、所要の捜査を行い、三月十五日でございますが、両船の事故発生当時の操船責任者、これを業務上過失致死傷及び業務上過失往来危険の容疑で送致をいたしました。


○井上哲士君 この海保とは別に、事故原因の究明調査については運輸安全委員会が行っておりますけれども、同委員会は、アメリカ側と調査協力を行って調査資料の提供を受けております。
 調査協力を求めた理由、それから提供を受けるまでの経緯、提供を受けた資料の内容、これまでこういう米艦船事故で、米軍の艦船事故で資料提供を受けたことはあったのか、これについてお答えください。


○政府参考人 運輸安全委員会事務局長(鈴木昭久君) お答えいたします。
 運輸安全委員会は、船舶事故等の原因を究明し、同種事故の再発防止を図ることを目的として設置されております。このために、同委員会と同じ目的で事故調査を行っております米国のコーストガードに米軍艦船の調査協力を要請しましたところ、乗組員三十一名の聞き取り調査をまとめたもの及び損傷部分の写真百十七枚の提供を受けております。
 なお、当委員会設置以来、これは平成二十年十月一日ですけれども、それ以来、このような調査協力が行われたのは本件が初めてでございます。


○井上哲士君 事故原因を究明するためには両方の船の状況を把握することが必要であり、そのためにこの協力が行われた、当然のことだと思うんですね。
 刑事事件を問う場合も、両方の船の捜査が必要になります。事故捜査の基礎である艦体の衝突跡などの検証、それから被疑者や関係者の事情聴取、それから双方の航海記録のデータの入手や突き合わせなどが必要だと思うんですね。
 米艦船は公務中であり、地位協定上アメリカが第一次裁判権を持ちますけども、地位協定の実施に伴う刑事特別法の十四条では、日本国の法令による罪に関わる事件については捜査をすることはできるわけですね。
 海上保安庁お聞きしますけども、送致するに当たって、このフィッツジェラルドについて、船体の調査や関係者の事情聴取などの捜査はできたんでしょうか。アメリカからは十分な捜査情報が提供されたんでしょうか、いかがでしょうか。


○政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。
 捜査の個々の詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、海上保安庁におきましては、事故発生直後から関係省庁と連携し、米側と必要な協議を行いつつ、所要の捜査を実施したものでございます。今般、これが完了したことから送致に至ったということでございます。


○井上哲士君 中身を明らかにしろと言ったんじゃないんですね、どういう捜査ができたかというのを聞いているわけで。
 アメリカ海軍の作戦部長のアーコイン中将は、昨年六月十八日の記者会見で、日本の捜査機関に対して必要であれば協力すると述べているんですよ。ところが、第三管区の海上保安本部によりますと、米側からは、甲板士官に関する情報が提供されず、氏名不詳のまま送検したと、こういうふうに言われているんですね。
 氏名は特定できていたんでしょうか。そもそもアメリカ側に船体の調査や容疑者の事情聴取の情報の提供を求めたんでしょうか。アメリカの返答どうだったんでしょうか、いかがですか。


○政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。
 まず、米側への、捜査の協力ということでございますけれども、事故発生当時から関係省庁と連携しつつ、米側との協議を行ってきております。
 その一つ一つにつきましては、捜査の詳細に関わりますのでお答えは差し控えたいというふうに思いますけれども、必要な捜査が終結したということで、今般送致をしたものでございます。


○井上哲士君 氏名は特定できたんですか。


○政府参考人(奥島高弘君) 氏名は特定できておりません。


○井上哲士君 氏名も特定できなくて送致して、何でそれで捜査がちゃんとできたと言えるんですか。
 両方の船がぶつかって事故が起きているわけですから、そのことをきちっとやってこそ、私は捜査を尽くしたということが言えると思うんですね。両方の船をちゃんとやってこそ、過失の責任も的確に明らかにできるわけです。
 ですから、市民団体は、静岡地検の検事正宛てに、捜査の補充と被疑者の起訴を求める申入れも行っています。これはしっかり受け止めていただきたいと思うんですね。
 その上で、何でこういう事故が起きたのかと。フィッツジェラルドの事故について、十一月一日に米軍は事故調査報告書を公表しておりますけれども、事故原因についてどういう事実を述べているか、防衛省、明らかにしてください。


○政府参考人 防衛省地方協力局長(深山延暁君) お答え申し上げます。
 昨年十一月一日に米海軍が発表した事故調査報告書によりますると、フィッツジェラルドの事故の原因として、訓練面、操船と航行方法、指導力と行動様式、疲労の影響等を掲げていると承知しております。
 具体的に申しますと、訓練面といたしまして、当該艦船の士官たちは航海に関する国際ルールについて十分な知識を持ち合わせていなかったことや、見張りチームのメンバーはレーダーを扱う基本的な知識を持たず、効果的な運用ができなかった、そういうこと。また、操船と航行の方法といたしましては、当該艦船は迫った衝突の危険を避けるための早期の回避行動を取らなかったこと。指導力と行動様式といたしまして、艦橋チーム、艦橋にいる隊員のチームと戦闘情報センターのチームは効果的に情報交換や情報共有をしなかったこと。また、疲労の影響といたしまして、艦長以下の指導スタッフは、衝突事故前、乗組員に著しい疲労状態に陥らせるような勤務スケジュールを実施していたことなどが挙げられていると承知いたしております。


○井上哲士君 お手元の資料二にこの報告書の抜粋を付けておりますけど。今もありましたけど、ルールも知らない、レーダーを扱う基本的知識もない、安全な速度で航行していない、衝突回避義務を怠った、そして、疲労があったけれどもそれを回避するような手当てが行われていなかったと。
 驚くべきことですよ、これ。こんなの、免許も技能もない運転手が左側通行というルールも知らずに繁華街を走っているようなものですよ、車が。この地域というのは、現場周辺は一日当たり約四百隻が行き交う上に、海域が狭いために船の進路が重なりやすいんです。ですから、こういうところをこんなルールも知識も技能もない船が通っているって、恐ろしいことだと思うんですよ。
 これは、この船だけの特別な問題ではないと思うんですね。
 アメリカの海軍は、十月二十六日に、連続するイージス艦の事故について包括的なレビューを公表しております。これは、明らかになった事実について資料三にこれ七点書いておりますけれども、安全な航海法を取れない航海者としての技術の欠如、見張りチームの不適切な行動、乗組員の準備、計画、安全行動の質の低下、六番目には、やればできるという文化が基本的見張りや安全基準を低下させたと。冗談じゃない、こんなことで民間の艦船の安全が一体どうなるのかと、こうなるんですね。
 しかも、さらに、下院の軍事委員会で九月にアメリカ政府監査院が証言をしております。それを見ていただきますと、二〇一七年六月時点で、日本母港の巡洋艦と駆逐艦の乗組員につき、戦闘行為の資格認証の三七%が失効しており、航海技術や対空戦闘を含むその三分の二が五か月を超える期間失効していた、この戦闘資格認証されていない兵員数は、二〇一五年五月の報告の約五倍以上に増加していると、こういうふうに書いているんですね。ですから、この間の様々な作戦任務の著しい増加が、日本に展開している米軍艦隊が、艦船が構造的に抱えている訓練不足とか様々な問題を更に拡張させているという、こういうことだと思うんですね。
 こういう事態に対してどのように認識をされているのか。
 横須賀の市議会は、二月の十六日に全会一致の意見書を採択しておりまして、万が一にも市民生活に影響が及ぶような事故の発生は決してあってはならないと考えるものである、よって、国におかれては、米軍に対し、万全を期した安全管理の徹底を求めるよう、強く要望すると、こういう意見書を出しておりますけれども、これも受けまして、防衛省、外務省、それぞれどのようにお考えされ、対応されているのか、大臣、お願いします。


○国務大臣(小野寺五典君) 米軍の運用に当たり、安全確保は大前提であります。米艦艇の事故は、地域住民の方々に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものであります。その防止には、まず米側の努力が重要です。
 昨年以来相次ぐ米軍の事故等を受け、総理を始め私からも、地元の不安や懸念を米側に伝え、再発防止や安全確保の徹底などを強く申し入れております。
 本件事故を受け、米海軍においては徹底的な調査が行われ、艦長、副長及び先任下士官を解任し、体制の刷新を図るなど、再発防止の取組が真剣に行われているものと承知をしております。また、先般、本件事故に関し、下田海上保安部が米艦船及び民間船舶の操船責任者を書類送致したことを受け、南関東防衛局長から在日米軍海軍司令官に対し、航行の安全に最大限配慮するよう申し入れたところであります。
 米海軍のプレゼンスは、アジア太平洋地域における海上交通の安全を含む地域の平和と安定にとって重要な役割を果たしていると認識をしておりますが、防衛省としては、引き続き、米側に対し、しっかりと再発防止策を講ずるとともに、航行の安全に最大限配慮するよう強く求めてまいりたいと考えております。


○国務大臣(河野太郎君) 米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、米軍機、船舶による事故はあってはなりません。
 安全の確保については、最優先の課題として日米で協力して取り組んでおります。私自身も様々な機会を捉えて米側に働きかけを行っており、先般訪米した際も、ティラソン国務長官の職責を代行しているサリバン国務副長官と会談し、事件、事故の問題を含め、引き続き協力していくことで一致したところであります。
 政府としては、我が国における米軍機、船舶の運用に際し、安全性が最大限確保されることは当然のことと考えており、これまで、累次にわたり申入れしているところでございます。引き続き、米側に対し、安全面に最大限配慮するよう、これまで以上に強く求めてまいりたいと思います。


○井上哲士君 これまでも様々な協議をしてきたということでありますが、昨年一年間だけでこれだけ起きているという、やっぱり異常な事態だと思うんですね。
 実は、アメリカの政府監査院は、去年の五月の時点で米軍に、米海軍に勧告しているんです、一連の問題について。その後にこのフィッツジェラルド、そしてマケインの事件が起きているわけですね。その事件の後に政府監査院は、米海軍に対して八月に、勧告を実施するための行動を取っていない、勧告したのにやっていないじゃないかと、こういうことまで言っているわけであります。ですから、果たしてきちっとした安全対策が行われているのか甚だ疑問であります。
 日本の民間艦船の安全が懸かっていますし、深刻な事態の是正を強く求めるべきでありますし、根本的には、軍事的な対応強化による今の悪循環からの、作戦任務の増加から転換をして、外交的努力による緊張の緩和ということが必要だと思いますけれども、事は民間艦船の安全が懸かった問題でありまして、強い対応を繰り返し再度求めまして、質問を終わります。

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