国会質問議事録

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外交防衛委員会(米英仏によるシリア攻撃、防衛省自衛隊「日報」隠ぺい問題④」


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 アメリカ・トランプ政権は、十三日、シリア政府側が化学兵器を使用したと断定して、英仏とともにシリアへの軍事攻撃を行いました。
 化学兵器の使用は、誰によるものであれ、人道と国際法に反する残虐行為であり、絶対許されません。一方、現地入りしたOPCWの調査はこれからであり、国際社会による事実の確認はまだされておりません。にもかかわらず、武力行使を認める国連安保理の決議もないままに一方的軍事攻撃を行ったことは、国際法と国連憲章を踏みにじる行為だと言わなければなりません。
 先ほどの答弁で、河野外務大臣は、化学兵器の使用について事実解明に期待したいと、こういうふうに言われました。つまり、まだ事実解明がされていないということを認められたわけですね。
 一方、総理は、この空爆について即座に決意を支持し理解するという談話をされました。何で事実解明前に支持なんでしょうか。安倍政権は何か証拠を持っているんでしょうか。


○国務大臣(河野太郎君) 化学兵器の使用は極めて非人道的な行為でありまして、いついかなる場合でも許されるものではなく、我が国としてこれを断じて容認いたしません。
 化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国、英国、フランスの決意を日本政府は支持し、その上で、今回の行動はこれ以上の事態の悪化を防ぐための措置と理解をしております。日本としても、アサド政権は化学兵器を使用する能力を有していると認識をしており、米国等の措置は化学兵器使用の可能性を低下させるための措置であったと認識をしております。
 アサド政権はこれまでも化学兵器を使用してきたことが確認されており、昨年四月にも化学兵器を使用したことがOPCW及び国連により委任された共同調査メカニズム、JIMの調査により客観的に確認されているところでございます。
 日本としては、化学兵器が使用された場合の使用者特定のための何らかの国際的なメカニズムが必要だと考えておりますが、今回のこの米国、英国、フランスの化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないという決意を日本政府は支持いたします。


○井上哲士君 米国は直近に使ったということを断定してこの空爆を行ったわけでありますが、それについての事実解明されていないし、証拠を今示すこともできませんでした。
 昨年四月のことも触れられましたけれども、あのときの空爆の際も、総理は決意を支持するというふうに述べられました。その後、アメリカ側から、あの四月の空爆の国際法上の根拠について説明はあったんでしょうか。そして、今回はどういう根拠があるというふうに政府は認識されているんでしょうか。


○国務大臣(河野太郎君) 昨年四月のシリアに対する攻撃について、米国政府は、シリア政府軍のこれ以上の化学兵器による攻撃能力を低下させ、シリア政府に対して化学兵器の使用や生産をしてはならないことを示し、これによって地域の安定に寄与し、これ以上の人道危機の悪化に歯止めを掛けるために行ったとの説明を行ったものと承知をしております。
 米国とのやり取りの詳細についてお答えをすることは差し控えたいと思いますが、我が国として、化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を支持し、その上で、米国の行動はこれ以上の事態の深刻化を食い止めるための措置だったと理解していることに当時も今も変わりはございません。米国の行動について法的評価をすることは、我が国としては差し控えたいと思います。


○井上哲士君 昨年四月の空爆直後にこの委員会に総理が来た際に、私質問をしました。総理は、アメリカの行動の法的評価については、まずアメリカの考えを聴取しているところでありますと、こうはっきり答えられたんですよ。ところが、一年たってもそれを示せないわけですね。まさに、国際法に反する空爆について決意を支持し理解をするということは、私はこれは米国追随と言われても仕方がないと思います。
 昨年の空爆も、問題解決にならないばかりか、シリアと中東の情勢を一層悪化させることにならなかったと思います。国際社会がしっかり協力してこの使用の真相を突き止めて、化学兵器を全廃させて、シリアに関する国連安保理決議が提起しているような政治対話による内戦解決に向けた外交努力を強めることを強く求めておきたいと思います。
 次に、イラク日報についてお聞きしますけれども、存在しないとされたイラク日報が公開をされました。自衛隊は非戦闘地域のみで活動するとされておりましたけど、多く日報には黒塗りがありますけれども、様々な被害の状況の説明などの実態が生々しく書かれております。
 イラク支援法での非戦闘地域は、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域となっているわけでありますが、戦闘という言葉が少なくとも八か所に記載されているということ、それから、二〇〇六年一月二十二日にイギリス軍に対して民兵が射撃し始めたことを触れて、サマーワにおいて戦闘が拡大という記述があるということも先ほどありました。
 先ほど、大臣、防衛大臣は、散発的な発砲事案などは戦闘に当たらないというような説明もされましたけれども、これ戦闘が拡大と言っているんですね。散発的な問題はないんです。これはやはり非戦闘地域には当たらない事態があったんじゃないでしょうか。


○国務大臣(小野寺五典君) 先ほど、イラク特措法におきましての二条三項での定義における戦闘行為は、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為に当たるか否かの判断に当たっては、当該行為の実態に応じ、国際性、計画性、組織性、継続性の観点から個別具体的に判断すべきということでありますが、今御指摘がありました一月二十二日の事案だったでしょうか、これについては、サドル派事務所付近に英軍車両が停車し、周囲をパトロールし始めたことに反感を持ったサドル派民兵が射撃し始めたことに端を発して戦闘が拡大という記述であります。他方、同じ日の日報で、サマーワを含むムサンナ県の情勢評価としては、比較的安定、しかしながら油断はできずという記載がされており、また翌二十三日の日報によれば、自衛隊は宿営地外で各種活動を実施しているほか、サマーワ市内は平穏と評価をしております。
 当時の詳細な事実関係を御説明することは困難でありますが、この記述を踏まえると、派遣部隊及び隊員が安全面に細心の注意を払いながら緊張感を持って翌日以降も任務に当たっていたということが類推されると思います。


○井上哲士君 繰り返しますが、戦闘が拡大と書かれております。そして、イラク戦争終結宣言は二〇一一年なんですね。ですから、当時、全土では様々な戦闘行為がありました。サマーワが比較的平穏だと言っていることとサマーワで戦闘がなかったということは、私は違う話だと思うんですね。
 この二年半の派遣期間中には、部隊の宿営地やその周辺に十三回にわたって迫撃砲やロケット弾が撃ち込まれたとされておりますけれども、これが頻発した二〇〇四年の日報の多くは公開されておりません。今回の日報の中でこういう攻撃の記載は何回分あるのか、さらに、これからも全て明らかになるような探索、公開を進めるべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。


○政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。
 イラク特別措置法に基づく対応措置の結果につきましては、同法の規定に基づきまして、活動に至る経緯、活動の内容、実績、評価などを政府として取りまとめ、平成二十一年七月に国会に報告させていただいておりまして、その中におきまして、陸上自衛隊のサマワ宿営地及びその周辺における事案ということで、御指摘のような迫撃砲等が宿営地の付近ですとかそうしたものに弾着というような記述が出てございますけれども、そうしたもののうち、今回日報としてその日が、全部日付が出ております、その中の全てが今回の日報の中で確認できているわけではございませんというのが事実でございます。


○井上哲士君 回数聞いているんですけどね。
 十一回分は日報がないんですよ。ですから、これはきちっと、二〇〇四年のがほとんど出ていませんから、きちっとこれは明らかに今後もしていただきたいということを求めておきたいと思います。
 次に、南スーダンの日報の問題についてお聞きしますけれども、この間の質問で、ないとされていた陸自にあったことについて、辰己審議官が、昨年一月二十七日に次官と河野統幕長に報告したことを認められました。
 その日の午後の会見で河野統幕長は、この答弁について聞かれて、お手元に資料ありますけれども、私なりに整理をしたのですが、一月二十五日に範囲を拡大して探索した結果、統幕から出ました。したがって、統幕から出しますということを総括官から報告受けましたので、まずは、出してくださいということで了解しました。今言われているのは二十七日なのですが、こういう言い方だと思うのですが、陸に個人データとして残っているようですが、これについては情報公開の対象ではありませんので、統幕から出しますと、こう言われて了解をしたと。つまり、辰己審議官の答弁を認められました。
 ところが、翌日に、記者を集めて、確証がなく撤回すると、陸の日報云々は覚えていないという驚くべき会見をされました。この間、記憶がないないと逃げ回る人がいるんですけれども、逆なんですね。しかし、河野氏の会見は、一月二十五日にも報告を受けていたと言っているんです。これは、辰己さんの答弁にも、当時の特別監察結果にもない事実なんですね。
 つまり、それだけ、確かめて、言えない具体的な内容であって、一晩寝たら忘れるなんていうことはあり得ない話でありまして、翌朝の報道を見て自らの発言の重大性に気付いたのではないかと思われますが、そこで辰己さんにお聞きします。
 私はこの対応でますます特別監察結果の信頼性に疑問が深まっているんですが、辰己さんが二十七日に統幕長に報告したことは両者も一致しておりますけれども、当然、統幕長と次官に同じ内容の説明をされたと思うんですけど、いかがでしょうか。


○政府参考人(辰己昌良君) 私は、一月二十七日の日、これは、陸自においては、情報公開の対象となります公文書、こういうものの南スーダンPKOの日報は存在しません、一方で、統幕においては、公文書たるその日報が確認されたことから、これを公表する、この旨を統幕長それから事務次官に対して御説明をしたという趣旨を申し上げております。
 一方で、同じ日、陸上自衛隊の陸上幕僚監部運用支援・情報部長より、陸自に日報が個人データとして存在するという旨の説明を受けました。この個人データというこの細部の内容に関しては事務次官にのみ説明したところであり、この点については先日の答弁を補足させていただきたいと思います。


○井上哲士君 しかし、おかしな話で、二十五日に報告を受けたと。つまり、統幕の日報を公表する方針を二十五日に報告を受けたと統幕長は言われているんですね。であれば、二日後に辰己さんが同じことをする、報告する必要はないわけですよ。
 陸自に新しいものがあったと、こういうことがあったから報告したんじゃないんですか。


○政府参考人(辰己昌良君) おっしゃるとおり、一月二十五日、これは統幕で私が、十二月の二十六日に発見した日報、一か月遅れという指摘をかなり厳しく受けておりますが、それについて統幕長に初めて統幕に日報があるということを御説明いたしました。
 そして、二十七日の日でございますけれども、これは陸の話でございます。陸の話につきましては、私は説明を受けたわけですが、この前も答弁したように、個人データなのでこれは公文書ではないという判断を私自身しまして、統幕長には、陸の方には情報公開の対象となる南スーダンPKOの日報は存在しない。一方で、統幕においては公文書としての日報は確認された。この日は統幕長の後、事務次官に説明したうち、後ですね、大臣にも統幕の日報、これが確認されたのでこれを出したいと思いますという説明を行っています。
 そういう意味で説明をしたということでございます。


○井上哲士君 個人データだから公開しないという方針は、その後の次官に相談して決めたと書いているんですよ。その前に何であなたがそういう判断するのおかしいと思いますし、しかも、そのそもそも一月二十七日にあなたが統幕長に報告したということは特別監察結果には書かれておりません。
 聞き取りについて、これ言わなかったんですか。意図的に隠したと私は思われても仕方ないと思いますけれども、いかがでしょうか。


○政府参考人(辰己昌良君) 特別防衛監察におきましては、一方面だけの主張でなく多方面の主張等、総合的に勘案して事実関係を構築し、客観的な資料などを基軸として事実が認定されているものと承知しております。
 したがって、特別防衛監察の際の聴取について、これ以上私の立場から申し上げることは差し控えたいと思っております。


○井上哲士君 時間ですから終わりますが、あなたが報告し、統幕長も報告を受けたことを認めているにもかかわらず、この事実書かれていないんですよ。多方面からと言われましたけどね。私は、この特別監察の報告結果にますます信頼性に疑問が高まったと思っております。
 これ一層の徹底究明が必要でありますし、是非、河野さんにも証人としてこの場に来ていただきたい。このことを求めて、質問を終わります。


○委員長(三宅伸吾君) 後刻理事会にて協議いたします。

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