国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2018年・196通常国会 の中の 外交防衛委員会(在イスラエル米大使館移転問題とイラン核合意、米アマゾン日本法人による課税逃れ)

外交防衛委員会(在イスラエル米大使館移転問題とイラン核合意、米アマゾン日本法人による課税逃れ)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、中東情勢についてお聞きします。
 イラン核合意離脱、イスラエルの大使館移転、シリアへの攻撃など、トランプ政権の政策変更や軍事行動によって、今、中東の平和と安定に重大な事態が生じております。
 総理も外務大臣も、連休中に中東を訪問されました。先日、十四日の参議院の予算委員会で総理は、日本はパレスチナともイスラエルとも良好な関係を持ち、イランとも歴史的に良好な関係を持っておりますから、日本独自の外交が展開できると答弁をされました。
 具体的にどうするかが今問われております。まず、イラン核合意からの米国の一方的な離脱表明でありますが、その後、イスラエルがシリア領内のイラン軍の軍事拠点へ攻撃を加えるなど、緊張が高まっております。
 同じく十四日の参議院予算委員会での総理答弁は、この核合意については日本は支持する立場は明確だと述べました。他方、トランプ大統領がサンセット条項など様々な課題があると述べていることは理解するとも言われました。ですから、この離脱に対して賛成なのか反対なのかがよく分からないんですね。明確にしていただきたいと思うんです。
 このイランの核合意は国連安保理でも全会一致で承認をされて、イランが遵守していることは履行を監視するIAEAが確認をして、そして、米政府もそれを承認をしてきたわけであります。ここからの一方的離脱というのは全く道理がない、国際的にも厳しい批判の声が上がっております。私は反対だと明確に示すべきだと考えますけれども、現状認識、今後の対応も含めて、河野大臣、御答弁いただきたいと思います。


○国務大臣(河野太郎君) 日本は国際的な不拡散体制を維持強化していくという視点から、あるいは中東の安定に資するという観点からも、このJCPOA、イラン核合意を支持しているところでございます。今回のアメリカの発表により核合意の維持を困難とするような大きな影響が出るとすれば大変残念でございますが、関係国による建設的な対応を期待をしているところでございます。
 日本といたしましては、核合意の維持に向けて、イランの外相との電話会談を始め関係各国と緊密に協議をし、また、協議を続けていくところでございます。今回の様々な発表が及ぼす影響について注意深く分析をしながら、情勢を注視してまいりたいと思います。


○井上哲士君 イランの外務大臣との協議というお話がありましたけど、これ、離脱したのはアメリカの方なんですね。アメリカの対応が問われているわけでありまして、やはりこれはイラン核合意を支持する立場であれば、これの離脱は反対だということを明確に言った上で対応が必要かと思いますけれども、その点、もう一度明らかにしていただきたいと思います。


○国務大臣(河野太郎君) 核合意を支持するという日本の立場につきましては、アメリカに対して様々なレベルで累次伝えてきております。アンマンでもポンペオ新国務長官とお目にかかりまして、核合意に対する日本の立場を直接伝えているところでございます。
 イラン政府につきましては、こうしたアメリカの発表があっても抑制的に対応してほしいということを申し上げたわけでございます。
 引き続き、関係国と緊密に連携をしてまいりたいと思います。


○井上哲士君 IAEAもイランが遵守しているということを確認をしている、その合意を米国が一方的に離脱をするということになりますと、米朝首脳会談の行方への悪影響も指摘をされております。私は明確な対応をするべきだと思うんですね。
 さらに、エルサレムをイスラエルの首都として認めて、アメリカ大使館を移転をさせた問題であります。
 国連は、一九八〇年の安保理決議四七八を始めとする諸決議で、イスラエルが一九八〇年に占領地を含むエルサレム全体を首都とした決定を、国際法違反で無効なものとして認めておりません。トランプ政権の行動は、この国連の諸決定に反して、中東和平に重大な障害を持ち込んで、地域の緊張を高めるものであります。既に抗議するデモに発砲が行われて、六十人を超える市民が犠牲になるなど深刻な事態になっておりますし、先日の安保理の緊急会合でも厳しい批判の声が上がりました。
 これも日本は従来から、二国家の平和共存によるイスラエルとパレスチナ問題の解決を支持をしてきたわけであります。そういう下で、今のこの現状認識及び今後の対応をどうするのか、こうした大使館の移転であるとか、イスラエル軍による市民への、デモ隊への発砲、これは明確に批判をする立場を表明するべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。


○国務大臣(河野太郎君) 十四日、アメリカはエルサレムに在イスラエル米国大使館を移転をいたしました。日本といたしましては、これをきっかけとして、今後の中東和平をめぐる状況が一層厳しさを増したり、また中東全体の情勢が悪化し得ることについて懸念をしており、この動向につきましては大きな関心を持って注視してまいりたいと思います。中東和平をめぐる状況は大変厳しいものがございますが、当事者間の交渉が再開し、和平プロセスが進展することを期待をしております。
 我が国は、イスラエル、パレスチナ間の紛争の二国家解決を支持しており、エルサレムの最終的地位の問題を含め、当事者間の交渉によりこの問題が解決されるべきという立場に変わりはございません。
 他方、十四日以降、ガザ地区におきまして、米国大使館のエルサレム移転に反対するなど、デモ活動を行っていたパレスチナの方々とイスラエル治安部隊との暴力的な衝突により多くのパレスチナの方々が亡くなられ、あるいは負傷したという報告に接して、深く憂慮するとともに、懸念を持って情勢を注視しているところでございます。日本といたしましては、事態をエスカレートをさせないよう全ての関係者に強く求めたいと思っております。
 もちろん、平和的なデモをする権利というのはパレスチナの方々にあるわけでございますが、平和的にこの権利が行使されることを望みますし、これに対応するイスラエル治安部隊に対しましては、暴力的な衝突がこれ以上発生しないように特に抑制的な対応を求めてまいりたいというふうに思っております。
 また、こうした厳しい状況だからこそ、日本独自の取組であります平和と繁栄の回廊構想などを通じて、当事者間の信頼醸成や対話の機会の提供促進に積極的に貢献をしてまいりたいと思っております。
 先般も、死海リゾートのホテルにおきまして、平和と繁栄の回廊に関する日本、パレスチナ、イスラエル、ヨルダン、四者の閣僚による閣僚級会合を開催をし、この平和と繁栄の回廊構想の、更に進めるというような四者間の合意もできた。イスラエル、パレスチナ自治政府との閣僚同士の話ということもできたわけでございますので、日本といたしましては、日本の独自の立場からしっかりと信頼醸成に向けてやれることをやってまいりたいと思います。


○井上哲士君 その四者会合が行われた後にこういう事態になっているわけですね。ですから、私はもっと強く日本は発信をするべきだと思います。やはり、この事態を巻き起こしたアメリカの大使館移転、もっと明確に批判をするべきだと思うんですね。
 その中で、さらに、日本ができることをやると、こうおっしゃいましたけれども、是非この機会にパレスチナの国家承認、これを行うべきではないかと思うんですね。
 二〇一二年に国連総会で、パレスチナをオブザーバー国家として承認する決議が賛成百三十八、反対九、棄権四十一で採択をされました。日本はこれに賛成をしております。この決議は、国際社会がパレスチナの民族自決権を支持をして、パレスチナの独立とイスラエルとの平和共存を強く求めているということを示したことになったと思います。
 こうした下で、今パレスチナを国家として承認する国の数も増えて、百三十五か国、国連加盟国の七割に至っているわけですね。私は、二国家解決の逆流が強まっているときだからこそ、そして、やっぱりイスラエルとパレスチナの直接対話が困難になっているときだからこそ、このパレスチナ国家の承認をして促進を支援をすることが必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。


○国務大臣(河野太郎君) 今の委員のお話は理解できるところもございます。パレスチナの国家承認につきましては、和平プロセスの進展に資するかどうかという観点から、適切なタイミングにおける将来の国家承認に向けて引き続き検討してまいりたいと思います。


○井上哲士君 私、今だと思うんですね。
 二〇一四年に国家承認をしたスウェーデンの外務大臣は、当時、和平交渉におけるイスラエルとパレスチナの立場をより平等にしていくことでその交渉を促進をしていきたいと、こう述べているんですね。今非常に、客観的にパレスチナの立場は困難になっているというときだからこそ、私は、その促進をするために、将来の問題ではなくて今取り組むことが必要ではないか。
 日本が承認することは、私、三つのメッセージになると思うんですね。一つは、パレスチナ支援というメッセージになります。それから、イスラエルに対して二国家共存の重要性を示すというメッセージにもなる。そして、国際社会に対してもそういう方向でこそ真の解決だということを示すメッセージにもなると思うんですね。
 冒頭、総理の答弁を紹介しましたけれども、日本がやっぱり独自の外交ができる、そういう中東でのこのプレゼンスを持っているという中でいえば、今やるべきではないかと思いますけれども、重ねていかがでしょうか。


○国務大臣(河野太郎君) 委員と向いている方向は同じなんだろうというふうに思っております。そのタイミングをどう捉えるかということで、私は、この和平が、プロセスが進展をし、やはりここぞというタイミングで、一度しか切れないカードでございますから、これをどのタイミングで切るかというのは、一番有効なところでカードを切りたいというふうに思っているところでございます。
 先般、パレスチナのナビル・シャース大統領顧問が来日されまして、そのときにも、国家樹立に向けたパレスチナの努力を日本は政治経済面から支援をし、日本は二国家解決を全面的に支持をしているということから、この将来の適切なタイミングにおける国家承認に向けて日本は引き続き検討しているところだという旨を伝えております。
 恐らく、委員と同じ方向で、どのタイミングかという、そのタイミングの判断が若干違うのかと思いますが、しっかりと最善の場面でカードを切れるようにやっていきたいと思っております。


○井上哲士君 和平の促進を見てじゃなくて、促進をさせるために今必要だということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 続いて、BEPS防止措置実施条約に関連してお聞きいたします。
 多国籍企業による租税回避による二重非課税が国際的な問題になる中で、その対策として、このBEPSプロジェクトが承認され、これを各国が結んできた租税条約に適用させるというのが今回の条約であります。この租税回避に悪用されてきた一つが、外資系の法人が日本国内で事業を行っていても、恒久的施設、PEがなければ課税されないというこれまでのルールでありました。
 昨年もお聞きしたわけでありますけれども、このBEPSの最終報告に基づいて、恒久的施設認定の人為的回避の防止ということが条約に盛り込まれております。これは具体的にどういうことがこの間問題になってきたということなんでしょうか。


○政府参考人(飯島俊郎君) お答えいたします。
 BEPS防止措置実施条約では、多国籍企業が進出先国に置く支店等の拠点が課税対象となる恒久的施設、PEと認定されることを人為的に回避することによって、進出先国で生じる事業利得への課税を免れる行為に対処すべく、PEの定義を拡大する規定を盛り込んでおります。
 これまでのOECDモデル租税条約におきましては、商品の保管や引渡し等のみを行う場所はPE認定ができないものとされてきました。その結果、例えば、商品の契約等は法人の本国で行い、顧客が存在する進出先の国では商品の保管等のみを行う倉庫を置くことにより進出先国でのPE認定を人為的に回避するといったような問題が生じてきておりました。
 BEPS防止措置実施条約の規定はこうしたケースに対応するものでありまして、倉庫のような商品の保管、展示、引渡しや購入のみを行う場所であっても、それが企業の事業にとって準備的、補助的な活動ではなく本質的な活動であると認められる場合には、PE認定して課税をすることを可能にするというものでございます。


○井上哲士君 今答弁ありましたけれども、特にこれはネット通販企業で問題になってきました。日本では、通販大手のアマゾンに関わって問題になって、本社のアマゾン・ドット・コムの報告書で日本の税務当局がアマゾンの子会社に対して百四十億円分の追徴課税を行ったけれども、その後、日米間の話合いの中で日本の税務当局は大部分を解除したというふうに書いてあって、当時大きな問題になりました。
 今実態はどうなのかと。アメリカ・アマゾンの年次報告書によりますと、一四年度の日本での売上高は八千三百八十七億円です。ところが、アマゾンの日本法人二社が官報掲載の決算公告で公表した一四年度の売上高はその一割の八百九十九億円と、約九割をアメリカで計上して課税逃れをしていると見られるわけです。その結果、このアマゾンの日本法人二社の法人税額は合計十一億円なんですね。
 同じネット通販大手の楽天は、売上げはアマゾンの七割程度の五千九百八十六億円ですが、法人税額は三百三十一億円で、約三十倍払っているわけですね。ですから、現在も百億円単位での課税逃れが行われると見られるわけでありまして、国税当局はこのアマゾンのときも課税をしようとしたわけでありますから、こういう実態をある程度把握をされていると思います。どのような把握をされているのか、そして、今後この条約の下でこうした人為的回避から課税ちゃんとするどういう取組をされるんでしょうか。


○政府参考人(金井哲男君) お答え申し上げます。
 大変恐縮でございますが、個別にわたる事柄についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 国税当局といたしましては、恒久的施設につきましても、今般の倉庫等に係る租税条約の改正も含めまして、租税条約及び国内法令の規定に基づき、あらゆる機会を通じて情報収集を行いますとともに、課税上問題のある取引が認められれば、税務調査を行い、個々の納税者の実態を見極めました上で、今後とも適正、公平な課税に努めてまいりたいというふうに考えております。


○井上哲士君 今からの話ではなくて、この間もいろんな税務調査等の中で一定の対象になるべきものというものは把握をされていると、こういうことでよろしいでしょうか。


○政府参考人(金井哲男君) お答え申し上げます。
 繰り返しで恐縮でございますけれども、個別にわたる事柄についてはお答えすることを差し控えさせていただきたいというふうに存じます。
 これまでにつきましても、租税条約、また国内法令の規定に基づきまして、必要がありましたらば税務調査を行うなどいたしまして、個々の納税者の実態を見極めました上で適正、公平な課税に努めてきているところでございます。


○井上哲士君 税収も失われております。税に対する国民の信頼を損なうし、そして、同種の企業でいいますと、きちんとした納税をしているところと比べますと競争上の不利益にもなっているわけですから、きちんとやっていただきたいと思います。
 同時に、これ、今のアマゾンはアメリカ法人でありますから、この条約にはアメリカはまだ参加をしていないという下で、適用にならないということになるわけですね。衆議院の答弁でも米国を含めて対応していくということでありますが、この間、どういう場面で、どういうレベルでアメリカに対してこの条約への参加を求めてきたんでしょうか。


○政府参考人(飯島俊郎君) お答えいたします。
 BEPS防止措置条約につきましては、より多くの国・地域が参加することで真価を発揮するものでありますので、このプロジェクトを主導してきた日本といたしましては、米国を含む本条約の未署名国に対して条約の署名を呼びかけてきております。こうした働きかけは、二国間でのやり取りやOECDの場、あるいはG20などの多国間の枠組みといった場も使って行ってきております。
 特定のやり取りにつきましては外交上の問題がございますので差し控えさせていただきますが、米国に対しましても、二国間、多国間のこういった場を活用して様々なレベルで働きかけを行ってきているところでございます。


○井上哲士君 この間、日米経済対話とか新たな通商交渉の場とか設置をされておりますけれども、そういうところでも課題になっていくのかどうか。
 そして、先日、衆議院での河野大臣の答弁では、大臣レベルではまだやったことがないと。これ、是非やってほしいということに対して、大きな論点だと思いますのでしっかり検討していきたいと思いますという答弁が行われました。私からも、是非大臣レベルでこういう米国に対する働きかけをやっていただきたいと思いますけれども、日米経済対話などの議題になるか等も含めて答弁をいただきたいと思います。


○国務大臣(河野太郎君) 国際的な租税回避行為に対処するためには国際的な協調の下での取組が大変重要であり、BEPSプロジェクトはより多くの国が参加することで真価を発揮するものと考えております。
 BEPSプロジェクトの合意事項の着実な実施について本条約が果たす役割は非常に大きいと考えておりますので、BEPSプロジェクトを主導してきた日本としては、引き続きアメリカを含む本条約の未署名国に対して、様々な機会を捉え、外交ルートを含め様々なチャンネルを通じて本条約への参加をしっかりと働きかけてまいりたいと思います。


○井上哲士君 終わります。

―――
○委員長(三宅伸吾君) 他に御発言もないようですから、三件に対する質疑は終局したものと認めます。
 防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。


○井上哲士君 日本共産党を代表して、日本・デンマーク及び日本・アイスランド、二つの租税条約に対する反対討論を行います。
 二つの租税条約は、投資所得課税に係る源泉徴収税率を減税ないし免税を含めて措置するものです。これは、日本の大企業とその海外子会社が、当該国内の外資優遇税制のメリットを十二分に受けつつ、その上、租税条約により投資に対する源泉地国課税が劇的に軽くされるなど、税制優遇措置を二重、三重に享受することを可能とするものです。
 日本経団連の要求に応え、国際課税分野における日本の大企業優遇税制を国内外で更に拡大、補強するものにほかなりません。
 次に、BEPS防止措置実施条約については、多国籍企業による税逃れの防止に役立つものであり、賛成です。
 以上、討論とします。

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