国会質問

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本会議(TPP11協定承認案に対する反対討論)


○議長(伊達忠一君) 井上哲士君。
   〔井上哲士君登壇、拍手〕


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 党を代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、TPP11の承認案に対し、断固反対の立場から討論を行います。
 討論に先立ち、昨日行われた歴史的な米朝首脳会談について述べます。
 日本共産党は、長年にわたって厳しく敵対してきた米国と北朝鮮が、初の首脳会談を行い、朝鮮半島の非核化と平和体制構築を進め、両国関係を敵対から友好へと転換させるために努力することで合意したことに対して、心からの歓迎を表明するものであります。
 今回の首脳会談は、非核化と平和体制構築に向けたプロセスの開始です。この目標の達成には、両首脳が確認したように、今後も首脳会談を含め交渉を継続し、共同声明の合意を速やかに具体化し、誠実に履行するための真剣で持続的な努力が必要です。そのことを米朝両国に強く期待するものです。
 同時に、関係各国、国際社会の協調した取組、平和と核兵器のない世界を求める諸国民の世論と運動が必要です。とりわけ日本政府が、日朝平壌宣言に基づき、核、ミサイル、拉致、過去の清算など両国間の諸懸案を包括的に解決し、国交正常化のための努力を図り、開始された平和のプロセスを促進する役割を果たすことを強く求めます。拉致問題の解決も、そうした努力の中に位置付けてこそ道が開けることを強調するものであります。
 この平和のプロセスが成功するならば、世界史の一大転換点となり、地域の情勢を一変させるものとなります。日本共産党は、そのために引き続きあらゆる努力を続けるものであります。
 さて、私は、二〇一三年二月の予算委員会で、あるポスターを国会で初めて掲げて安倍総理をただしました。その後、すっかり有名になった、「ウソつかない、TPP断固反対、ブレない」という二〇一二年総選挙での自民党候補のあのポスターであります。この選挙で自民党は政権に復帰しました。以降、安倍政権は、断固反対だったはずのTPPをアベノミクスの柱に据えて交渉に参加し、発効の見込みのない協定承認案の採決、そしてTPP11協定と、強行に強行を重ねてきました。TPP問題とは、今日の安倍暴走政治、隠蔽・改ざん政治の出発点と言うべきものであります。
 TPPの推進は、日本の経済と国民生活を問うと同時に、国民を欺いて一旦多数を握れば、どんなに国民から危惧する声が上がっても問答無用の多数決強行で進めるやり方、安倍内閣の政治手法そのものの是非も問うているのであります。
 TPP協定は、多国籍企業の国境を越えた利益拡大のために、国の経済主権をないがしろにして、関税、非関税障壁を撤廃するものであり、国内の産業への打撃と広範な国民の暮らしへの計り知れない影響が懸念されるものです。
 本協定は、TPP12協定の条文と譲許表などをそのまま組み込むものであり、一部は凍結されたとはいえ、TPPの抱える本質的な問題は全く変わりません。
 本協定で、日本は、農産物関税撤廃、引下げをかつてない水準で進めることを約束しています。これは、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物の重要五品目を除外するとした国会決議に明確に違反するものであり、農業とその関連産業に壊滅的な影響を及ぼすものです。
 その上、政府は、アメリカの参加が前提で約束した牛肉のセーフガード発動基準や乳製品の輸入枠など、農産品の譲許内容をアメリカ離脱後も全く変えていません。農業と農業者を全く顧みない姿勢と断ぜざるを得ません。
 農業と食料は国の基本です。国民の命と食を支える農業を衰退させ、食料自給の向上を放棄し、食料安全保障をないがしろにする政党、政治家に、もはや「日本を守る」と国民の前で口にする資格は微塵もない、このことを強調しておきたいと思います。
 TPP11交渉では、参加国から凍結を要求する項目が相次ぎ、最終的に二十二項目が凍結されました。ところが、日本政府は、凍結の主張を一切行わなかったと答弁しました。
 TPPには、農業と食の安全を始めとする国民の命と暮らしを脅かし、国内産業の空洞化を招くことなど、国会審議でも、広範な国民からも深刻な危惧の声が広がりました。にもかかわらず、政府が一切凍結を主張せず、高い水準の協定を目指したためだと開き直るのは、国会審議や国民の声をないがしろにする姿勢そのものであります。
 TPP11で凍結された項目には、ISDS条項の一部が含まれます。グローバル企業が引き起こす健康・環境被害を各国が規制しようとしても、企業が国を訴え、逆に損害賠償を命じられるなど、ISDSがもたらす主権侵害に対する懸念が参加各国にも広がったからです。ところが、政府は、質疑の中で、一部の項目が凍結されたが海外に進出する日本企業にとって非常に有意義と評価する一方、グローバル企業による日本の主権侵害の懸念を否定しました。
 世界はどうでしょうか。日欧EPAは妥結しましたが、ISDSを含む投資紛争の解決制度を除いたものになりました。マルムストローム通商担当欧州委員は、ISDSは古い、我々の見方からすると死んだとまで述べています。米国のライトハイザー通商代表も、三月の米議会公聴会で、NAFTAの再交渉に関連して、ISDSは国家主権上の問題がある、米国から拠点を移したい企業に対しその投資に関わるリスクを保証することは米国政府の役割ではないと証言し、NAFTAでISDSを使わないことを表明しました。日本政府は、まさに世界のISDS見直しの流れに取り残されています。
 米国はTPPを離脱し、日本と二国間協定を結びたいと明言しています。これに対して、政府が、米国のTPP復帰を待つとしながら、新たな日米通商協議、FFRの七月の開始に合意したことは重大です。
 米国が三月に公表した外国貿易障壁報告書は、日本に多くの要求を突き付けています。そこには、農産物の関税やセーフガード、残留農薬基準、食品添加物規制、自動車の安全基準、薬価制度等々、国民の命と暮らしに関わる項目がずらり並んでいます。
 これらの要求がFFRでの議論の対象になるのかとの質問に、政府は、対象にしないとは合意していないと答弁しました。先週の日米首脳会談で、トランプ氏から貿易赤字解消を強く迫られながら、総理は、鉄鋼、アルミの輸入制限や自動車への関税引上げについて中止を求めませんでした。
 これを見れば、FFRがアメリカから一方的に譲歩を迫られる場となり、TPP11は防波堤どころか譲歩の出発点とされる懸念は強まるばかりです。米国との間で、国民の利益を損なう一層の譲歩や日米FTAに道を開く協議はやめるべきです。
 今求められることは、多国籍企業の国境を越えた利益のためのルールの拡大を図るTPP11を進めることでは断じてありません。一握りの大企業のもうけの一方、グローバル化の下で多国籍企業の利益優先により現に引き起こされている格差や不平等を解消し、各国の食料主権、経済主権を尊重した平等互恵の経済関係を発展する道に進むべきだということを強く主張し、うそのない正直な政治を求めて、討論を終わります。(拍手)

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