国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2018年・196通常国会 の中の 外交防衛委員会(米軍経ヶ岬通信所レーダー不停波によるドクターヘリの救急搬送遅延、TPP11協定②(ISDS問題))

外交防衛委員会(米軍経ヶ岬通信所レーダー不停波によるドクターヘリの救急搬送遅延、TPP11協定②(ISDS問題))


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 歴史的な米朝首脳会談が開催中であります。朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和体制の構築へ情勢を大きく変える動きでありまして、このチャンスを生かす、そういう日本外交が求められていると思います。今後十分な時間を取った質疑が行われるように求めておきたいと思います。
 まず、京都府の京丹後市の米軍経ケ岬通信所をめぐって質問いたします。
 二〇一四年に建設をされ、全国で二か所目のXバンドレーダーが設置をされた米軍基地、当委員会としても、二〇一六年に委員派遣で視察をいたしました。静かで自然豊かな農村、基地建設に際して様々な不安が出されておりましたけれども、今それが次々と現実のものになっております。防衛省が住民や自治体に約束していたことが守られていない事態が相次いでおります。
 この基地周辺上空は、レーダーから発生する電波による航空機の計器等への影響を防止するために、航空法に基づく飛行制限区域が設定をされております。全国で三か所しかこういう区域はありません。
 五月十五日に、ドクターヘリによる救急搬送のために宮津与謝消防本部が米軍に対して電波停止を要請したが、停波が行われませんでした。そのために、ドクターヘリが着陸場の変更を余儀なくされ、搬送が十七分間遅れたという重大な事件が起きました。まさに人命に関わる問題であります。京都府知事も、六月一日に小野寺防衛大臣宛てに文書で厳重に抗議するという申出も出されております。
 この間、防衛省は意思疎通が円滑に行われなかったと答弁をされておりますが、報道や我が党府議団の宮津与謝消防本部からの聞き取りでは、八時五十二分に停波要請し、一度は停波に応じたのでヘリが出発したけれども、九時四分に米軍が停波できないという連絡をしてきたと、その結果、着陸場所を変えざるを得なかったということであります。
 この報告は、京都府から防衛省にも伝えられている内容であります。そうしますと、レーザーが照射されている状態でドクターヘリが経ケ岬に向かったことになると、極めて危険な事態なわけですね。
 米軍が一旦応じた後でできないと連絡をしてきたということになると、意思疎通が円滑に行われなかったという程度の問題では私はないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。


○国務大臣(小野寺五典君) 御指摘の京丹後の米軍レーダーにつきましては、今まで消防本部等からの要請に基づいて停波を行っておりました。
 ただ、今御指摘がありましたように、本年五月十五日午前九時頃、宮津与謝消防組合消防本部から米軍経ケ岬通信所に対し、ドクターヘリによる救急搬送のためレーダーの停波を要請しましたが、消防本部と米軍との間の意思疎通が円滑に行われず、停波できませんでした。その結果、ドクターヘリの到着に停波要請が間に合わず、当初予定していた場外離着陸場を変更し、近隣の航空自衛隊基地に着陸することになったため、ドクターヘリと傷病者との接触が遅延したということであります。
 今回の事案については、近畿中部防衛局は、関係者から聴取した内容を基に六月一日に事案の概要を公表したところですが、今後、米軍と関係機関との会議を開催し、停波要請手続の迅速かつ確実な実施がなされるよう、再発防止の徹底を図ってまいりたいと思っております。


○井上哲士君 ほかでの答弁では、マニュアルに基づいて要請したし、それから、この間訓練も行ってきたというふうに言われております。そうしますと、これはやっぱり意思疎通の問題ではなくて、米軍が停波できないというような事情があったんではないかと思われるわけですね。
 京都府が、二〇一四年に防衛省、ドクターヘリ関係機関と合意をして文書も出ているわけですが、これ、要請をした場合に米軍が停波をできないということもあるというのが合意の内容なんでしょうか。


○防衛省地方協力局長(深山延暁君) お答え申し上げます。
 過去、この停波の枠組みが決まりましてから今回までの間に、確かに今回の例も含めまして意思疎通等の事情によって停波が遅れたという事案はございますけれども、それ以外の場合におきましては、停波要請に対して停波は行われておりますので、委員が御指摘ありましたけれども、私どもは、米側は基本的に停波の手続を要請があった場合には行うという認識でおります。


○井上哲士君 確認しますけれども、停波要請があったら必ず応えると、断ることはないというのが合意内容ですね。


○政府参考人(深山延暁君) 今お答え申し上げましたとおりで、現在までのところ、私が御答弁しましたとおり、意思疎通の問題以外で米側が停波に応じられないという回答をした例はないと承知しております。


○井上哲士君 例がないじゃなくて、そういうふうにマニュアルがなっているんですねということを聞いているんですが、いかがでしょうか。


○政府参考人(深山延暁君) 具体的な停波要請に係るマニュアルの内容については、これは救急搬送の実施に関わるものですので、かつ、いろいろないきさつも踏まえまして、できるだけ簡略にできるようにしておるところでございますので、この内容の一々を公表すると救急搬送等に影響が出る可能性が考えられますので、公表は差し控えさせていただきたいと思っております。
 ただ、今申し上げましたとおりで、少なくとも米側から意思疎通以外の問題で停波ができないということはなかったと、これはもう一度申し上げておきたいと思います。


○井上哲士君 合意文書は、緊急時のヘリ運航に支障がないよう、米軍は停波要請があれば速やかにレーダーを停波する、これしかないんですね。ですから、断るということは本来あり得ないと思うんですが、しかし現実にはこういうことが起こっているわけです。
 本当にそういうふうになっているのか、今出せないと言われましたけれども、是非マニュアルを提出をしていただきたいと思います。これ、理事会で是非協議をいただきたいと思います。


○委員長(三宅伸吾君) 後刻理事会にて協議させていただきます。


○井上哲士君 しかも、過去、地元消防などが停波を要請した事案が十三回あったけれども、一五年一月と三月には停波されないケースがあったということが今回初めて明らかにされました。なぜこれ京都府にも連絡せず隠していたんですか。


○政府参考人(深山延暁君) 地元消防本部等と米軍経ケ岬通信所との停波要請手続について、平成二十六年以降十四回、実は今回のを入れますと十四回になるんですけれども、実施されておりますけれども、消防本部等と米側の意思疎通が円滑に行われず停波が遅れた事例が今回のものを除きまして過去に二例あったのは御指摘のとおりでございます。
 当該二例につきましては、実は手続を定めて間もない平成二十七年に発生しておりましたことから、その原因を関係者で共有いたしまして、マニュアルの見直し等を実施いたしました。
 さはさりながら、その後、順調に行われていたと認識しておりましたが、今回の事案はその見直しから約三年を経過し、日頃から停波要請手続が迅速かつ確実に行われるよう米軍と消防本部等の関係機関との間で定期的な訓練も実施してきた中で起こったことでございました。この結果、傷病者を始め関係者の皆様に大変御迷惑をしたことは遺憾と考えまして、今回の事案につきましては近畿中部防衛局が関係者から聴取した内容を基に六月一日に事案の概要を公表させていただいたところでございます。
 今後とも米軍と関係機関の会議を開催するなど、停波要請手続の迅速かつ確実な実施がなされるように、再発防止策には徹底してまいりたいと考えておるところでございます。


○井上哲士君 今もマニュアルの見直しと言われましたけれども、だからこそ出していただきたいんですね。
 先ほどは、停波要請があっても断ることがないんだなと聞いても、そう明確には答弁もなかったわけであります。それが明らかにされない、過去二回のケースも明らかにされない、そういうことに住民の不信が大きく広がっております。
 この間、第二期工事が行われておりますけれども、敷地外で掘削をしたという事実も起こりました。さらに、この工事について防衛省は、工事は平日のみ、休日実施の場合は事前に連絡をすると約束しておりましたけれども、米軍が四月二十一日の土曜日に市や地元に連絡なく工事を行いました。これについて、京丹後市長が五月十五日に防衛省に抗議しました。住民の信頼を裏切るものと、こういう厳しい抗議でありますけど、驚くべきことに、この抗議の五日後の十九日の土曜日にまたもや米軍は工事を行ったわけですね。米軍はもう約束守る気ないし、防衛省も守らせる気ないんじゃないかと、地元の住民からもう防衛省を通さずに米軍と直接やり取りすべきだと、こういう声も上がって、市長も五月二十八日の記者会見でこうした声について検討するという考えを示したという報道もされております。
 防衛省に対する住民の信頼は私は地に落ちていると地元ではなっていると思いますけれども、防衛大臣、いかがお考えでしょうか。


○国務大臣(小野寺五典君) 御指摘がありました米軍経ケ岬通信所においては、ドクターヘリの事案以外にも、今御指摘があった、先般、米軍が生活関連施設工事の実施に際して誤って米軍基地外の土地を掘削した事案や、土曜日は原則工事を実施しないとしていた中、事前説明もなく実施するといった事案が発生しているところであります。
 前者の事例については、近畿中部防衛局から米軍に対し申入れを行うとともに、米軍の工事業者が京丹後市に対して謝罪の上、原状回復を実施いたしました。また、後者については、近畿中部防衛局から米軍に対し申入れを行うとともに、米軍からは、土日に工事を行う際には事前の連絡を徹底するとの回答を得ております。
 防衛省としましては、米軍経ケ岬通信所の安定的な使用のために、地元の御理解と御協力を得ることは非常に重要であると認識しており、米軍のこうした事案に関しましては遺憾であると考えていることから、米軍に対して適切に対応するとともに、今後とも、地元の皆様に丁寧な説明に努めてまいります。


○井上哲士君 そういうことが繰り返されてきたんです。そして、全く守られていないという実態があるわけですね。
 米軍は、沖縄でも合意を守らずに夜間訓練や住宅地等の上空の飛行も行っております。この間、イージス・アショアの建設について地元に説明に行かれておりますけれども、安全に対する住民の不安に何を説明しても、京丹後で現にこういうことが起きているということを知れば、全く私は信用されないだろうと思います。米軍と一体で地域の軍事的緊張を高めるような新たな計画はやめるべきでありますし、このXバンドレーダー基地も、住民の安全、安心が守られないという事態でありますから、撤去を強く求めたいと思います。
 その上で、TPPの問題でありますが、前回の質疑で、米国がTPP11の水準を出発点にして二国間協議で一層の譲歩を強く求めてくるのではないかということを申し上げました。これ、G7サミット前の日米首脳会談を見ますと、いよいよその懸念が強まっております。
 政府は、会談の主要議題は北朝鮮問題としておりましたけれども、トランプ氏は冒頭から、貿易赤字についていい議論ができることを期待していると口火を切って、強い姿勢で臨んできました。会談後の共同会見でトランプ氏は、日米の防衛関係は対話をしなければいけない問題だ、米国は日本と二国間協定を持ち、対話をしていくつもりだ、米国からの輸出に対する貿易障壁の撤廃を求めるなど述べました。ところが、安倍総理は、この会見の冒頭では貿易問題に一言も触れなかったわけであります。そして、この会談の中では、米国による鉄鋼、アルミニウム製品の輸入制限や検討中の自動車の関税引上げについては議題にしなかったと報道されております。なぜ議題にしなかったのか、なぜこういう制限などについて日本は撤回を求めなかったんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。


○国務大臣(河野太郎君) 今回の日米首脳会談は、議題が北朝鮮に集中したために、おっしゃるような輸入制限の撤回についてのやり取りはありませんでしたが、貿易に関する議論の一環で、日本の自動車メーカーを始めとする産業が米国内で雇用などを通じて米国経済に多大な貢献をしている、そうした説明は行いました。また、日本からの鉄鋼、アルミの輸入が米国の安全保障に悪影響を及ぼすことはなく、むしろ高品質の日本の製品がアメリカの産業や雇用に多大に貢献をしているということを申し上げました。
 我が国としては、引き続き、アメリカに適切な機会にこうした説明をするとともに、鉄鋼及びアルミニウムに関する輸入制限措置の除外を獲得すべく、引き続き、アメリカと粘り強く交渉してまいりたいと思います。


○井上哲士君 日本のそういう対応に、報道も、日本守勢、通商、守る日本、議論回避などなど書かれました。
 トランプ氏の方は違ったわけですね。この共同会見でも、安倍総理は、つい先ほどのことだが、日本は軍用機、ボーイングの旅客機や多くの農産物など莫大な金額に上るあらゆる種類の追加的な製品を購入していることを話していた、我々は日本ともっと多くのビジネスをするつもりであり、これはみんなが期待していることだと述べて、日本に対して米製品の一層の購入を強く迫る発言だったわけですね。
 このトランプ氏の会見で言っているこの追加的な製品、この追加的、アディショナルというのは一体何を指しているんでしょうか。


○外務省経済局長(山野内勘二君) 共同記者会見におけるトランプ大統領の御指摘の発言というのは承知しているところでございます。
 日米首脳会談におきましては、特に経済、貿易についての議論ということでございますけれども、安倍総理からトランプ大統領に対して、対日貿易赤字額以上に米国にある日系企業が輸出を行っているということ、あるいは、日本企業による米国への投資を通じた米国の雇用への貢献、さらには防衛装備品や日本企業による米国産エネルギーの購入額の増大、こういったことを説明したところでございます。
 共同記者会見における御指摘のトランプ大統領の発言は、こうしたやり取りを踏まえてなされたものというふうに理解しております。


○井上哲士君 ですから、日本は現状をそうやって述べただけでありまして、アメリカは一方的に米国製品の購入の要望をする、鉄鋼、アルミニウム製品の輸入制限や自動車の関税引上げについて正面から撤回も求めなかったというのがこの日米首脳会談なわけですね。
 そして、その下で、この七月に最初のFFRを行うということが設定をされたわけでありまして、私、前回指摘をいたしましたけれども、この場が、一層の日本に譲歩を求めてくる、そういう場になる、FTAを迫られるという場になる懸念が一層強まったということを申し上げておきたいと思います。
 もう一点、ISDSについてお聞きします。
 グローバル企業が引き起こす健康管理、環境被害などを各国が規制しようとしても、企業が国を訴えて逆に損害賠償を命じられるなど、ISDSがもたらす主権侵害に各国の懸念が広がっております。その下で、TPP11では、ISDSの条項は一部凍結となりました。
 これについて、この間、政府は、一部の項目が凍結されたが、海外に進出する日本企業にとって非常に有意義な内容になっていると答弁をされておりますが、では、日本は、各国が懸念しているような多国籍企業による日本の主権侵害というおそれはないと、こういう認識なんでしょうか。


○国務大臣(河野太郎君) TPPの投資章の規定は、公共の福祉に係る正当な目的のために、必要かつ合理的な規制措置を差別的でない態様で講ずることを妨げるものではありません。
 また、日本は、TPPを含む投資関連協定の締結に当たっては、必要な例外規定を置くことなどにより、国内法との整合性をしっかり確保してまいりました。さらに、ISDS手続では、仲裁廷が裁定で命じることができるのは損害賠償又は原状回復のみで、国内法の改正を求めることはできません。
 以上を踏まえ、政府として、ISDS条項が国の主権を侵害するものとは考えておりません。


○井上哲士君 考えていらっしゃらないということでありますが、こういう態度というのは、今、国際的にも極めて異例になっているんですね。
 日欧のEPAが妥結をいたしましたけれども、投資紛争の解決制度を除いたものになっております。マルムトローム欧州委員は、昨年六月の記者会見で、ISDSは古いと、我々の見方からすると死んでいるとまで言われました。
 EU側はこのISDSの何をこの協議の中で問題にしているんでしょうか。


○政府参考人(山野内勘二君) 日本とEUのEPAにつきましては交渉を基本的に妥結しているところでございますけれども、常々申し上げているところでございますけれども、外交交渉の経緯を開示するということは、類似の交渉における我が国の手のうちをさらしてしまうことになる、あるいは相手国との信頼関係を損なうことがあると、こういう理由から、おのずと制約があるということについては是非御理解願いたいと思いますが、それを申し上げた上で、ISDSに関するEU側の基本的な考え方ということがEU側の公表資料において述べられておりますけれども、EU側は、ISDSについて、仲裁人の独立性あるいは判断の一貫性に懸念があるというふうにしているというふうに承知しております。


○井上哲士君 今おっしゃいましたように、この紛争ごとに仲裁廷が構成されるので、判断の一貫性や整合性の確保が困難だと。そして、不適切な判断に対して上訴も認められない。それから、申立ては投資家のみが可能で、投資家も仲裁人を選定する権利があるから、仲裁判断が投資家に有利となるバイアスは排除できないと、こういう懸念が様々述べられております。
 これに対してEUは、常設投資裁判所というのを提案をしていると思うんですが、二審制にして、かつ紛争当事者が裁判官を選任する権限を持たないと、両国と第三国から裁判官を出し、一定の資格を持った人にすると、こういうふうにしております。
 既にEUとカナダの協定にはこういう内容が盛り込まれたと承知をしておりますけれども、日本はこういう提案についてはどのように評価して、対応をされているんでしょうか。


○政府参考人(山野内勘二君) ISDSにつきましては、公共の福祉に係る正当な目的のために必要かつ合理的な規制措置を差別的でない対応で講ずることは妨げるものではないということでございますので、国内法と整合性がしっかり確保できるという点がございます。
 あるいは、海外に投資をしている日本の企業については、ビジネスをしっかり全うする上での有力なツールになっていると、こういうことがございまして、ISDSというものにつきましては、投資家の保護と国家の規制権限との適切なバランスを取るという形で努力しながら取り組んでいるところでございまして、日本としては、ISDSの懸念についても耳を傾けつつ、ISDSに関する議論にも建設的に貢献していく考えでございますが、これまで日本が結んでおります二国間のFTAあるいはマルチのFTAにつきましては、ほとんど全てにおいてISDSが含まれているということは御指摘申し上げたいと思います。


○井上哲士君 今や、アメリカも全く大きな変化をしているんですね。あのアメリカの大統領選挙で、候補全員がTPP反対に回ったと。その背景に国内世論があったわけですが、その一つの柱がISDSの問題であります。連邦裁判所でなく国際法廷が裁くのは国家主権の侵害だという声が大きくなっておりまして、衆議院の参考人質疑でもそういうことが述べられました。
 こういう中で、アメリカ政府は選択制を提案をして、NAFTAとの再交渉で選択制を提案をいたしました。これは、訴訟が起きたときに国際法廷に委ねるISDSを使うか、国内法廷で裁くかは各国が選択をするというもので、アメリカは国内法廷で裁くと、つまりISDSは使わないと、こういう提案をしたということなんですね。
 アメリカ議会でも議論になっていますが、ジェトロのビジネス通信三月二十六付けによりますと、三月のアメリカの両院議会の公聴会で、ライトハイザーUSTR代表はこう述べております。ISDSは、アメリカの裁判所でアメリカ人が持つ以上の権利を外国企業に与えるもので、国家主権上の問題があると。また、米国から拠点を移したい企業に対して、その投資に関わるリスクを保証することは米国政府の役割ではないと、こういうふうに述べて、NAFTAにおいてこのISDSを使わない、こういう提案をしたことを言っているわけですね。
 ですから、ずうっと一緒が、アメリカと一緒になって日本が主張してきたわけでありますが、はしごを外されたような状況になっているんですよ。こういう下でTPP11にISDSを残す意味があったのか、削除をすべきかと思いますけれども、こういうアメリカの対応についてどのようにお考えでしょうか。


○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。
 NAFTAの交渉というものは、米国、カナダ、メキシコという第三国の間で行われている交渉でございます。それぞれのお国の立場で厳しい交渉が行われていると承知しておりますけれども、そういった第三国間の交渉におけるそれぞれの国の立場について政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、TPP11協定を含みます投資関連協定のISDS条項は、投資受入れ国の司法手続に加えて、中立的な国際投資仲裁に紛争を付託できる選択肢を投資家に対して与えるということでございますので、投資受入れ国において日本企業がビジネスを行う上での予見可能性や法的安定性を高めるものでございます。海外投資を行う日本企業を保護する上で有効であるというふうに考えているところでございます。
 我が国といたしましては、こうしたISDSの意義を踏まえて、TPP11協定に引き続きISDS条項が盛り込まれているということは国益に沿うものというふうに考えているところでございます。


○委員長(三宅伸吾君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。


○井上哲士君 今も投資企業のことしか言われませんでしたけれども、EUにおいてもアメリカにおいても、国家主権ということでこれを見直す、死んだものだという議論が行われているんです。
 いつまでも日本がこれに固執をすることはやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

ーーー


○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の承認に反対の立場から討論を行います。
 TPP協定は、多国籍企業の国境を超えた利益拡大のために、国の経済主権をないがしろにして、関税、非関税障壁を撤廃するものであり、国内の産業への打撃と広範な国民の暮らしへの計り知れない影響が懸念されるものです。
 重要五項目を除外するとした国会決議に違反して、農業とその関連産業に壊滅的な影響を及ぼし、現状でも世界の先進国の中で著しく低い水準である食料自給率の一層の低下を含め、食料安全保障を危うくすること、ISDS条項により投資家による国の主権侵害を引き起こしかねないこと、食の安全を始めとする国民の命と暮らし、健康を脅かすこと、国内産業の空洞化を招くことなど、これまでの国会審議でも、広範な国民からも深刻な問題点を危惧する声が上がりました。TPP11協定でも本質的な問題は全く変わっていないと言わざるを得ません。
 TPP11協定交渉では、参加国から凍結を要求する項目が相次ぎ、最終的に二十二項目に上る項目が凍結されました。委員会質疑でも明らかになったように、日本政府からは凍結項目の主張は一切行われませんでした。政府はその理由について、高い水準の協定を目指したためだと説明しましたが、指摘したような国会審議や国民の声をないがしろにするものであり、容認できません。二国間交渉を求めるアメリカの防波堤になると言いますが、米国からの日本への一層の譲歩の出発点になるものだと指摘せざるを得ません。
 多国籍企業の国境を超えた利益のためのルールの拡大は、一握りの大企業のもうけの一方で、各国で国民の貧困と格差を拡大するものであり、アメリカやヨーロッパの各国国民の懸念の声が広がっています。グローバル化の下で、多国籍企業の利益優先により現に引き起こされている格差や不平等を解消し、各国の主権、食料主権、経済主権を尊重した平等互恵の経済関係を発展する道に進むよう強く要求して、討論を終わります。

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