国会質問

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外交防衛委員会(日本提出の国連核廃絶決議について)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 核廃絶の問題で質問いたします。
 国連軍縮総会の第一委員会で、核廃絶に関する一連の決議案が採択をされました。来月初めの総会での採択になります。第一委員会の最も大きな特徴は、今年も核兵器禁止条約に対して多くの国が支持、歓迎をする発言を行ったことであります。今回、初めて加盟国に核兵器禁止条約の署名、批准を訴える決議が提出、提案をされまして、百二十二か国の賛成で採択をされました。残念ながら、日本は反対をいたしました。
 既に核兵器国の様々な圧力の中でも、署名の国は六十九、そして批准は十九となりました。NGOの集計では、今回、討論の中で批准のプロセスを進めているという発言をした国は約二十ということでありますから、発効には五十か国が必要でありますけれども、それが実現する勢いになっているということであります。
 この背景にあるのは、やはり被爆者の皆さんが命ある間に核兵器のない世の中を見たいということで奮闘されていること、それと結んだ国際的な世論と運動、ヒバクシャ国際署名も展開をされております。アメリカでも、人口四千万人という最大の州であるカリフォルニアの州議会で、禁止条約を支持する決議が上がりました。ヨーロッパでも様々な運動が広がっております。日本の国内でもヒバクシャ署名が広がりまして、署名した首長、地方自治体の首長さんは千百八十八人以上になっております。
 それから、核兵器禁止条約の署名、批准を求める自治体の意見書も広がっておりますけれども、まず、外務省としては、この自治体の意見書の数、どれだけと承知をし、どう受け止めていらっしゃるでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 地方議会あるいは地方自治体からの核兵器禁止条約の締結を求める意見書につきましては、これまでに三百八十件を超える数を受け取っております。各議会、各地方自治体のお考えとして、しっかり受け止めたいと思います。

○井上哲士君 岩手、長野、三重の三県議会を含む、今ありました三百八十を超える、こういう大きな流れとなっております。
 こうした日本と世界の流れと、一方で、日本が国連に提出した核兵器廃絶の決議案については、今年もこの核兵器禁止条約に全く触れないということで内外から失望の声が上がりました。禁止条約の成立でも中心的な役割を担ったオーストリアなどが棄権をし、昨年は賛成したアメリカ、フランスも棄権ということになりました。共同提案国は、昨年から十二、一昨年からは三十一か国減ったということだと思います。
 政府は、この間、橋渡しということを強調してきたわけですね、核兵器国と非核兵器国の。しかし、この状況を見れば、それは成り立っていないという状況ではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 日本が提出しました核兵器廃絶決議案は、国連の総会第一委員会において百六十か国の支持を得て採択をされました。昨年の百四十四か国と比べて十六か国も増えたことは非常に喜ばしいと思っておりますし、核兵器禁止条約を支持する百二十二か国のうち百一か国が我が国の決議に賛成をし、これも前年から大幅に増えているところでございます。
 この決議案が、核兵器国の一つであるイギリスの共同提案を得ている、あるいは核兵器禁止条約を支持する国を含めた多数の非核兵器国の共同提案あるいは支持を得て採択をされたことは、橋渡しを務める我が国の取組や考え方が一定の支持、理解を得られたと思っております。
 また、アメリカ、フランスとは幾つかの点で完全な一致は得られなかったわけでございますが、多くのパラグラフや全体の趣旨については共通の理解に達しており、投票理由説明において、アメリカは、橋渡しを担おうとする日本の努力に敬意を払う、第一委員会の決議の中でも最も現実的な決議である旨アメリカは述べ、フランスは、対話を進めようとする日本の努力を評価する旨述べているところでございます。
 日本としては、しっかりとこれからも橋渡しの役割をしてまいりたいと考えているところでございます。

○井上哲士君 大幅に賛成が減った去年よりは賛成は増えました。ただ、採択で賛成した国からも様々な不同意や不満が表明をされたと。最も物議を醸した決議がこれだったということなんですね。
 核兵器の非人道性についての表現を弱めたことも昨年のままでありますし、一昨年の決議まであった核兵器の完全な廃絶を達成するという核兵器国の明確な約束という二〇〇〇年の再検討会議で採択をされた文言を、昨年、NPTを完全に実施する明確な約束ということに意図的にゆがめた、これもそのままであることなどにも批判が上がりました。一方、一定の文言を手直しして大幅に減った去年よりは賛成が増えたことも事実であります。
 外務大臣は、日本の決議案の採択後の会見で、このことについて、今年は少し核軍縮、核廃絶に向けて一歩踏み出したような文言にしたと、こういうふうに述べられましたけれども、具体的にはどの文言のことを言われているんでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 今年の決議案につきましては、昨年の決議に対する各国のコメントも踏まえ、NPT体制の維持強化の重要性を一層強調すると同時に、今年三月の提出をいただきました我が国が行っている核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の提言を踏まえた内容にいたしました。
 具体的に申し上げますと、核軍縮交渉義務を規定するNPT第六条に言及しつつ、核兵器の全面的廃絶に向けNPTを完全に実施することが重要である旨を強調し、また、主文において、全てのNPT締約国に対して過去のNPT運用検討会議の合意文書の履行を要請する旨を盛り込みました。
 また、厳しい現下の安全保障環境を踏まえ、安全保障の現実に対処するとともに、現実的かつ実践的な核軍縮に取り組んでいくことの重要性を強調し、国際社会における橋渡しや対話の重要性についても強調いたしました。
 さらに、核軍縮の進め方をめぐる立場の違いが顕在化している中で、核兵器国と非核兵器国の双方が取り組むことができる核軍縮措置を強調し、具体的には、主文において、CTBT、包括的核実験禁止条約に関して早期発効への幅広い要請に加えて、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約、FMCTの即時交渉開始を呼びかける旨を盛り込んだほか、核戦力の透明性の向上、核軍縮検証といった実践的かつ具体的な取組の重要性を強調したところでございます。

○井上哲士君 幾つかのことを挙げられましたけれども、例えば、NPT第六条という文言が復活をいたしました。
 私、ちょうど一年前にもこの問題を質問したんですね。この六条を使って国際社会は核保有国に核軍縮を迫ってきたわけですね。そして、その世論の広がりの中で、二〇〇〇年に再検討会議の最終文書で核兵器の完全な廃絶を達成するという核兵器国の明確な約束ということを書き込みましたと。
 この六条を削ったことに大きな反発がありました。なぜ削ったのかという一年前の質問に、多数の国の理解が得られるように慎重かつ真剣に検討した結果だと大臣答弁をされましたが、一方で、様々な国からいろんな意見をいただいたのは事実で、こういう意見は真摯に受け止めてまいりたいという答弁もありました。そういう様々の声を受け止めて検討した結果がこういうことになったと、六条に関しては、そういうことでよろしいですか。

○国務大臣(河野太郎君) そのとおりでございます。

○井上哲士君 去年の決議のときに、結局、橋渡しだといいながら核保有国の立場にとって決議案を大幅に後退をさせたと。長崎の市長からは、まるで核兵器国の決議のようだと、こういう声すら出たわけであります。国際的にも厳しい声が上がる中で一定の是正を余儀なくされたものだとありますが、しかし、やっぱり橋渡しという言葉の下で核兵器国に対してまともに迫らない、こういうことは変わっていないんですね。
 一方、先ほどありましたように、日本の決議案には、昨年共同提案をしたアメリカが棄権に回りました。今の六条に関してアメリカは、NPTは不拡散の条約だと、なぜ核軍縮に焦点を当てるのかと、こう反発をしておりますし、過去のNPT再検討会議の合意の履行を加盟国に要請することにしたことについても反発をして、アメリカの大使が演説の中で今日の安全保障環境を挙げながら、時代遅れの言葉に固執してはならないと棄権理由を述べております。
 こういう過去のNPTの合意文書について、時代遅れの言葉だと、こういうふうに不同意を表明したアメリカの見解について日本はどのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) まず、核兵器国にきちんと日本が迫っていなければ、百九十三の国連加盟国の中の百六十がこの決議に賛成してくれるということはなかったと思いますので、そこは認識を正していただきたいと思います。
 今の御質問でございますが、アメリカは投票理由説明において、橋渡しを担おうとする日本の努力に敬意を払う、日本の決議は第一委員会の決議の中で最も現実的な決議であるとしつつ、NPTの過去の合意文書にこだわるのではなく、変化する安全保障環境の変化を踏まえ、軍縮を進めるための条件づくりを進めていく必要がある、そう述べたわけでございます。
 NPT運用検討会議の合意文書に記載された内容を実施していくことは、既に各国のコミットメントになっているわけですから、我が国としては、これら文書は核軍縮・不拡散体制の礎であるNPT体制を支える重要な要素であると考えております。
 我が国としては、引き続きアメリカを始めとする核兵器国を含む各国としっかり意見交換を行いながら、核兵器のない世界の実現に向けて国際社会が一致して取り組むことができる共通の基盤の形成に貢献をしていきたいと思っております。

○井上哲士君 私は、過去のNPTの合意文書を時代遅れの言葉としたということは、NPT六条の核軍縮の義務を、そして過去の合意も守る気がないと、こういう姿勢を示したものだと思いますよ。それをまともに正面から指摘をできないということが迫っていないということを言っているんです。
 これは実際のアメリカの行動に示されておりまして、今年春のNPRで新たな核軍拡をトランプ政権はやりました。さらに、アメリカはINF条約の破棄を表明をしております。今月末のG20で、米ロ首脳会談で話し合われるようでありますけれども、五月のNPTの再検討会議の準備会議のときに外務大臣は、軍縮と安全保障の両立を可能とするNPTの維持強化が引き続き日本の取組の中心であるということを強調されました。
 このINFの破棄は、私はやっぱりNPTの六条に反することだと思うんですね。きちっと日本として厳しく物を言って対応するべきじゃないでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 我が国は、INF全廃条約が軍備管理・軍縮において歴史的に果たしてきた役割を重視してきております。アメリカが主張するところのロシアによる深刻な条約違反を契機として、この条約が終了せざるを得ないような状況は望ましいものではないと考えております。
 また同時に、アメリカ、ロシア以外の国がINF全廃条約で廃止が義務付けられている射程五百キロから五千五百キロまでの地上発射型の弾道及び巡航ミサイルを開発し、これを実戦配備している状況が出てきていることも認識する必要があると思います。INF条約について云々と言っている国があるならば、加盟はしていないけれども、INF全廃条約に入っていないけれども、これに違反するような開発をしている国も当然に非難されるべきだろうと思っております。
 我が国は、こうした地域安全保障に与える影響も踏まえつつ、アメリカに対して様々申し上げてきておりますが、具体的な内容につきましては、日米間の信頼関係を損なうおそれがありますので差し控えますが、いずれにしろ、アメリカはこのNPTを国際的な核軍縮・不拡散の取組の礎と位置付け、NPTの規定を遵守し、NPT体制の強化に取り組むことを確認していると承知をしております。

○井上哲士君 いや、核軍縮を義務付けた六条に私は明らかに反していると思いますよ。
 アメリカのシンクタンクの軍備管理協会というのが、INFの破棄は、事項も破滅的で制約のない危険な核の誤った軍備拡大に等しいと、軍備競争に導くと、こういう計画もしております。
 結局、今おっしゃったのは、アメリカが主張するところのロシアによるいろんな違反ということを繰り返されただけでありまして、破棄そのものについては正面から物を言わない態度だと思うんですね。
 今、全体として核兵器禁止条約の流れが強まる中で、核兵器国が巻き返しをしておりますが、その一つが、アメリカが持ち出した核軍縮のための条件創造と、CCNDというものでありますが、これは、要するに情勢の改善が先だと、それを主張することで核兵器の禁止と廃絶を先送りする議論であります。逆流とも言っていいと思うんですね。しかも、アメリカ自らがこうしたNPTの再検討会議の合意すら時代遅れと否定をして、核軍拡の方向にかじを切って、条件を自ら破壊をしているわけですね。
 一方、米英仏ロ中の核保有五大国は、十月二十二日に禁止条約に反対する共同声明を発表いたしましたけれども、その中で同様の主張を行っております。アメリカの主張に英仏のみならず中ロも足並みをそろえた形になるわけですが、重大なのは、日本の決議案の前文に、国際的な安全保障環境を改善し核兵器のない世界を追求とか、さらには、決議の中に、更なる核兵器の廃絶を進めるために国際安全保障環境を改善するという新たな文言が盛り込まれました。
 結局、これ、核軍縮よりも条件づくりを優先するというアメリカのこのCNNDをそんたくをして橋渡しになる、結局核保有国と同じ立場に立つ、こういう決議になっているんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 先ほどから、井上委員、アメリカのINFについてのお話はされておりますが、アメリカ、ロシア、このINF全廃条約に入っていない国が、既にこの条約で廃止が義務付けられている地上発射型の巡航ミサイル、これを開発している状況になっているわけで、そういう国々に対して何もおっしゃらないのは極めて不思議だなと私は思っているところでございまして、御意見があれば是非お伺いをしたいと思いますが。
 今の御質問に関して申し上げますと、今年の核兵器廃絶決議案は、国際的に厳しい現下の安全保障環境においても、核兵器のない世界に向け国際社会が一致して取り組むことができる共通の基盤を形成することを目指しております。
 我が国が提出した核兵器廃絶決議における御指摘の文言は、こうした考え方に基づいて、核軍縮と同時に安全保障環境の改善に取り組みつつ、具体的な核軍縮措置を求めていくとの趣旨を反映したものであって、核軍縮に条件を付けるものではございません。そこを御理解いただきたいと思います。

○井上哲士君 つまり、アメリカが言っているのとは違うという理解でいいんですか。

○国務大臣(河野太郎君) そのとおりです。

○井上哲士君 実際には、例えばオーストリアの国連大使はこう言っているんですね。核軍縮のために前提条件が整うのを待てば、永久に待つことになると。日本の決議についても、昨年同様失望している、核軍縮に前提を設けている限りいつまでも核軍縮は進まないと、こういう批判をしているんですね。日本の決議が結局、今核保有国が言っている核軍縮の前の条件整備だということで限りなく先送りをする、こういうことだということでこういう批判が行われているわけであります。
 先ほど中ロの問題を言われました。私も先ほど核保有五大国がそろって核禁条約に反対した声明を出したことを申し上げましたけれども、だからこそ、こういう中ロも含めて全ての国の核兵器をなくせという、こういう規範を作ろうということで多くの国々がこの条約を作ったわけですよ。
 ですから、今核兵器国が、条件づくりが前提だとして核軍縮に背を向けて、そればかりか新しい核軍拡を進めていると、こういうときだからこそ、日本が橋渡しといいながら結局核兵器国にそんたくをする役割ではなくて、明確に迫っていくという立場を今こそ取ることが必要だと思います。
 唯一の被爆国の政府にふさわしく、核禁条約に参加をして、非人道的兵器を禁止をする国際的な取組の先頭に立つべきだということを繰り返し申し上げまして、質問を終わります。

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