国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2019年・198通常国会 の中の 政府開発援助(ODA)等に関する特別委員会(モザンビーク プロサバンナ事業問題)

政府開発援助(ODA)等に関する特別委員会(モザンビーク プロサバンナ事業問題)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 モザンビークが日本とブラジルの支援を受けて大規模農業を導入する、熱帯サバンナ農業開発、プロサバンナ事業についてお聞きいたします。
 今朝のニュースによりますと、このモザンビークなどでサイクロンによる大雨被害が起きておるようでありまして、まず心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 この事業は日本のODA資金を通じて進められまして、大別をしますと、大豆の品種、土地などの調査研究、マスタープランの作成支援、パイロットプロジェクトの三つから成ると承知しておりますが、まずJICAに確認をいたします。この事業の目的と内容、マスタープラン作成支援に日本が拠出した資金の合計は幾らでしょうか。

○JICA副理事長(越川和彦君) お答え申し上げます。
 プロサバンナ事業は、モザンビーク政府が我が国、ブラジルの支援を得まして、モザンビーク北部のナカラ回廊地域において実施している事業でございます。持続可能な農業開発を通じまして、小規模農家を中心とした地域住民の生計向上を目指すものでございます。具体的には、作物、品種及び栽培技術の研究開発、農業開発マスタープランの策定、コミュニティーレベルの開発モデルの普及といったプロジェクトを実施してございます。
 ナカラ回廊農業開発マスタープラン、これにつきましては、現時点で確認している範囲では、二〇一七年度末時点でJICAが支出した総額は七億四千二百万円でございます。

○井上哲士君 伝統的な小規模農家が中心の農業地帯を、二〇三〇年にはその四割を商業的な農業が占める地域に変えようと、こういう中身になっております。
 外務省、JICAは、この事業について、現地での住民との対話を丁寧に行うよう答弁をしてまいりました。
 私、一昨年の当委員会でも質問いたしましたけれども、プロサバンナの現地の住民からは、小農の自立が奪われる、環境が破壊されるという声が上がって、全国農民連合、UNACや市民団体による反対のキャンペーンが行われてまいりました。二〇一六年八月には三か国の市民社会からこの事業に抗議する公開書簡も出され、現地の市民社会や日本のNGOから、このJICAの事業が現地の市民社会への介入と分断を進めたと、こういう深刻な事態の指摘もされてまいりました。
 外務大臣にお聞きしますけれども、外務省は二〇一七年の五月にマスタープラン見直し支援のコンサルタント契約を一旦停止をしておりますけれども、その理由について説明をいただきたいと思います。

○外務省国際協力局長(梨田和也君) お答え申し上げます。
 この農業開発マスタープラン作成プロセスの一環として、地域住民あるいは農民の意見などを広く聞き取るコミュニティーコンサルテーション、いわゆる公聴会を二〇一七年二月下旬から開始される予定でございました。しかし、コミュニティーコンサルテーションへの参加を拒んでいる反対派の意見も聞き、より丁寧な対話を進めることが必要であるとの考えから、日本政府、JICAからモザンビーク農業食料安全保障省に対しこのコンサルテーションの延期を促したところ、同省がこのコンサルテーションの延期を決定したという経緯がございます。
 なお、プロサバンナ事業全体が一旦停止されたという事実はないと認識しております。

○井上哲士君 より丁寧な説明をすることが必要だという中で、今答弁があったような事態なんだと思うんですね。
 この一旦停止をされる直前の一七年の四月に、この事業に関して事業対象地域の小農を中心とした十一人がJICAの環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立てを行っております。JICAの資金で行われた市民社会関与メカニズムによる介入と分断などの人権侵害、事業がモザンビーク市民の知る権利を侵害しているという内容でありまして、JICAの手法を厳しく問う、こういう申立てになっております。
 実際、JICAは、一五年の十月から、コンサルタント、MAJOL社を使って、モザンビーク市民社会組織個別訪問という市民社会の団体や農民組織を個別に訪問する調査を実施をさせて報告書や書類を受け取っておりますが、この報告で、現地の農民組織や市民団体を反対派、賛成派など四つに分析をして色分けをしたということがNGOの調査でも明らかになっております。
 それによりますと、小農を含むプロサバンナに反対の団体を赤色にして、過激派だと表現をして、取るに足らない数で考慮しなくてもよいと、こういう報告も受けていたというものになっています。実際、この色分けに従って反対派の赤に分類した団体を排除した会合も開催をされました。コンサルは最終報告書で、UNAC、全国農民連合が、市民社会対話メカニズムに参加しなくても落胆不要、なぜなら全農民を代表しないからだとも述べております。
 要するに、対話といいながら、地域社会、農民を色分けをして、一部を排除して、事業推進に都合のいい世論をつくろうとするものだった、こう思うんですね。その後、先ほどありましたように、一七年に一旦契約が中止となっております。
 一方、日本のNGOの関係者の話によりますと、この事業の一旦停止後、二〇一八年の三月に、外務省からNGOに対して、これは河野大臣にも相談をした上として、反対派を含む参加型意思決定ルールに基づく議論の実現を今後の再開の条件とすると伝えられたとお聞きしておりますけれども、この事実に間違いないでしょうか、確認したいと思います。

○国務大臣(河野太郎君) このプロサバンナ事業のマスタープラン策定支援プロジェクトにつきまして、JICAの環境社会配慮ガイドラインに違反するのではないかという異議申立てが二〇一七年四月になされておりましたが、二〇一七年十一月、異議申立て審査役から、JICAによるガイドライン違反は認められなかった旨結論付けるとともに、参加型意思決定ルールに基づく議論の実現に向けたモザンビーク政府の主体的取組をJICAは必要に応じて支援すべきとの提言を含む報告書が提出されました。これを踏まえまして、外務省及びJICAで検討し、私も相談を受けた結果として、この報告書の提言を真摯に受け止め、この方向で対応することといたしました。

○井上哲士君 反対派を含む参加型意思決定を再開の条件としてきた、これは大変大事なことだと思いますが、問題はそれが実際どのように進んでいるのかということでありますが、昨年の三月の下旬に、プロサバンナにノーキャンペーンに参加する団体に対して、JICAの資金で開催する四月四日の農業省主催の会合の招待状が突然送られて、個別に送られました。キャンペーン側はこれに対して、先ほどの外務大臣の判断が守られていないとして、欠席する旨とその理由をレターでモザンビーク政府の、モザンビーク農業大臣に提出をしておりますけれども、このレターを日本のNGOが外務省に転送したけれども、外務省は招待状の受領印があるとして参加への意向を示したものだという見解を示したとお聞きしております。これ欠席の返事を参加にすり替えるようなものになるわけですね。
 団体関係者は、会合で何が起きているのかということで様子を見に行ったわけでありますが、反対の人がその場に現れたということをもってして反対派も参加をしたと、こういう既成事実化が図られている。キャンペーン側はこういう手法に反対する声明を六月に発表しておりますけれども、八月以降も既成事実化が進められておりまして、具体的には、JICAがコンサルタント契約をしてモザンビーク農業省がプロサバンナ本部に派遣する人物、この方が一五年の色分け事業をやらせたコンサルのプロサバンナ事業担当者だと聞いておりますが、この人物がプロサバンナのキャンペーンに加盟する団体に、先ほどの四月の会合のフォローアップだとして、個別の面談要請を繰り返しております。関係者が様子を確認するためだけに出席したことを利用して、参加の既成事実化を進めるものだと。面談要請は団体が断っても行われておりまして、突然訪問もあったということで、日本のNGOの下には、もうこれを脅迫と感じたと、もうこういうことにも訴えが届いているようでありますけれども。
 外務省、外務大臣にお聞きしますが、対話とか反対派を含む参加型意思決定といいますけれども、相手の主張を無視して押しかけて、形ばかりの参加の既成事実をつくって事業を推進することがあってはならないと思います。今行われているようなこうした事態が外務省が示した対話と参加型意思決定というものと合致しているとお考えでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) モザンビークの農業食料安全保障省は、反対派を含む幅広い市民社会、農民団体を会合に招待し、丁寧な対話プロセスを実施していると認識しております。招待されたものの参加しなかった団体も一部あるということは承知をしておりますが、丁寧なプロセスを取っている、そういうモザンビーク政府の取組を今後も必要に応じて支援をしてまいりたいと思っておりますし、二〇一八年四月の会合については、プロサバンナ対象三州からも賛成派、反対派、双方が参加したと承知をしております。
 モザンビーク農業食料安全保障省によれば、ノー・ツー・プロサバンナ構成団体を含む全ての参加者が積極的な発言を行ったということでございますので、丁寧な対話プロセスを継続していただきたいというふうに思っております。

○井上哲士君 農業団体の皆さんは、会合で何が起きているのかと様子を見に行っただけであるし、こうした手法に反対する声明を出しているんですね、先ほど述べました。しかも、このことが続いておりまして、去年の十一月に、プロサバンナのキャンペーンの主要メンバーが日本で三か国民衆会議出席のために出れないような日程で、JICA資金によるプロサバンナ事業に関する対話の在り方の会合が現地で行われました。政府系の新聞を出されるノティシアス紙に、北部三州の州農民連合がプロサバンナ推進に合意して事務局を担当するという趣旨の声明の公告が出されたわけですね。
 この声明は農民連合に確認されないまま出されたもので、UNACは一月の二十一日付けで声明を出しております。これによりますと、この公告に出された声明の内容は誤りだと、会合で州農民連合がこれまでと同じ立場を堅持すると表明したのに、それがこの会合の最終声明には含まれていなかった、UNACはこれまでと同様に事業に反対すると、その立場を堅持するという声明を一月に出したわけですね。
 こうした反対の意見を外務省やJICAにもちゃんと伝えたのにもかかわらず、このJICAの資金による会合が今年一月、二月にも開かれていると。小農民運動の皆さんからは、市民社会への介入工作が続いていると、こういうふうに反発をしているわけでありまして、およそ私は丁寧にやっているとは言えない事態だと思います。
 更にお聞きしますが、このJICAの事業が司法で訴訟になったことも重大でありまして、一八年の八月に、プロサバンナ事業が人々の知る権利を侵害しているとの訴えを全面的に認める判決が出ました。判決は十日以内に情報を全面開示するように命じておりますけれども、モザンビーク農業省は従前の取組を説明するような趣旨のレターを出しただけだと聞いておりますけど、ちゃんと全面開示がなされたのかと。
 JICAは、事実関係はどのように承知をされているでしょうか。

○JICA理事(本清耕造君) 御質問にお答えいたします。
 本件は、モザンビーク政府の行政機関と行政裁判所との間でやり取りがなされたものだと認識しておりますので、JICAとして直接お答えする立場にはございませんけれど、モザンビーク農業食料安全保障省によりますと、同省はマプト市行政裁判所に対し、プロサバンナ事業に関する事業情報をきちんと開示したという説明する書簡を根拠資料とともに大臣名で発出したということでございます。
 また、農業食料安全保障省は、以前からウエブサイトに関連情報文書を公開しておりまして、更なる請求があれば対応していく方針を公表していると承知しております。

○井上哲士君 人ごとのように言われますけど、日本のODAで、関して違法判決が受けたということは重く受け止めるべきだと思うんですね。
 訴状には、プロサバンナのマスタープランの基になったJICAによる現地調査の基礎データの開示も含まれております。モザンビークのことでは済まされない問題でありますし、これ、判決は環境社会配慮ガイドラインの異議申立ての訴えに対する審査報告書が出た後に出されたものでありますから、私は新たな事態を受けてもう一度審査すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○参考人(本清耕造君) 一七年四月に、現地住民からJICA環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立てがJICAに提出されたのは委員御指摘のとおりでございます。
 そして、同年十一月に出された異議申立て審査役による調査結果、提言も踏まえまして、昨年四月、モザンビーク農業食料安全保障大臣が現地NGO農民団体と対話の進め方について協議を行い、現在、現地NGO、農民団体の間で意見交換が行われているものと認識しております。
 行政裁判所の情報開示命令が農業省に出された点に関して、モザンビーク政府の行政機関と行政裁判所とのやり取りでありまして、JICAとしては、先ほど申し上げたとおり、直接お答えするべき立場にはございませんけれども、モザンビーク農業食料安全保障省、同省は、マプト市行政裁判所に対し、プロサバンナ事業に関する情報を開示してきた旨説明する書簡を根拠資料とともに大臣名で発出したということでございます。
 ただ、JICAとしましては、実施機関として関係者に丁寧に対応するように努めてまいりたいと、このように思っております。

○井上哲士君 時間だから終わりますが、先ほど述べた昨年十一月に参議院議員会館で行われた三か国民衆会議に現地の農民の方が参加をされておりますけど、JICA資金によって市民社会に分断がつくり出されたと、人権侵害が行われていると、こう述べて、ナンプーラ州の農民連合の代表が、私たちはJICAが小農農業を撲滅しようとしていることを熟知していますと、しかし私たちはこの小農農業にこそ依存して暮らしてきたし、生存しています、しかしJICAは私たち小農がこの農業を継続することを許しませんと、ここまで訴えられております。
 しっかりこういう訴えを受け止めてやっていただきたいと強調しまして、終わります。

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