国会質問議事録

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外交防衛委員会(米軍機による沖縄県沖空中給油訓練中接触事故)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 防衛省給与法の改正案は賛成であります。
 まず、青森県の米軍三沢基地所属のF16戦闘機の模擬弾が六日、同県の六ケ所村の民有地に落下した問題について防衛大臣にお聞きいたします。
 非常に危険な事態でありますし、しかも、米軍からの連絡は翌日の朝ということでありました。三沢基地のF16は、昨年二月にも離陸直後にエンジン火災を起こして、燃料タンクを小川原湖に落として深刻な漁業被害を与えております。今回の事故で六ヶ所村の村長は、近隣に小中学校もあり、村民の不安を増幅させ、誠に遺憾と、再発防止に万全を期すまでは訓練の中止を要請すると述べておりますが、一昨日、米軍はF16戦闘機による訓練を再開をいたしました。再発防止の実効的な措置もないままの飛行再開は重大でありますし、抗議をしたいと思うんです。
 地元には防衛省を通じて訓練再開の連絡があったということでありますが、防衛省としてはこの訓練再開を認めたということなんでしょうか。

○防衛大臣(河野太郎君) 米軍に対しては、この模擬弾を使用した訓練を中止し、事故についての原因究明あるいは対策、安全点検、そしてパイロットに対する再教育、こうしたものをきちんと実施してから模擬弾を使用した訓練を再開をする、そういうことを伝えております。そのように米軍は対応すると思っております。

○井上哲士君 模擬弾は搭載しない訓練だという報道もありますけど、だからいいという話では私ないと思うんですね。
 先日の高知沖での米軍機の訓練事故の調査報告書は深刻なパイロットの規律違反が横行しているということを示しているわけで、そういうことの関連も含めてしっかり見て、まさに実効ある措置、それなしに飛行訓練も行われるべきではないということを改めて強く求めておきたいし、そういう対応を防衛省としてするように求めたいと思います。
 さらに、事故を起こしても報告がないということがあります。所信の質疑でただしました二〇一六年四月の沖縄嘉手納沖での米軍機の空中給油中の事故であります。
 この米軍の嘉手納基地には沖縄合同調整機構、JOSCという組織が設置をされ、事故が起きた沖縄周辺の空域は、一部を除いて全て管理、調整しております。ここには自衛隊も連絡調整官を派遣をして、米軍との連絡調整をしていると衆議院で昨年答弁をされておりますが、まず、沖縄以外にこのような米軍と空域を管理、調整する機構があるのか、沖縄ではなぜこのような機構がつくられたのか、いかがでしょうか。

○防衛省 防衛政策局長(槌道明宏君) お尋ねのJOSC、ジョイント・オキナワ・スケジューリング・セルでございますけれども、これ、日米地位協定等により米軍が使用している沖縄周辺の空域や自衛隊の沖縄臨時訓練空域などに関しまして、空域管理及び使用スケジュールについて在日米軍を代表する役割を果たすものと承知をしております。
 沖縄周辺では米軍が使用している空域と自衛隊の臨時訓練空域が一部で重複をしておりまして、双方の訓練使用を満たすためには、空域の使用について綿密に調整を行う必要がございます。そのため、航空自衛官一名を連絡調整官としてこの米軍嘉手納基地に派遣をいたしまして、航空自衛隊の空域訓練の使用をこのJOSCに提出するといったような形で連絡調整業務を行わせているところでございます。
 一方、空域の使用に関する米軍との調整を行うこうした連絡官でございますけれども、嘉手納連絡官以外には派遣してございません。こうしたことから、JOSCのような機能が米軍の中で沖縄周辺空域以外について存在しているかどうかについては承知をしていないところでございます。

○井上哲士君 結局、同じ空域を米軍と自衛隊が使用する、それはいわゆる提供空域だけではありません。
 お手元に自衛隊の臨時訓練空域、一五年十二月に沖縄周辺に配置をされましたその地図を配っております。実線部分が臨時訓練空域、そして点線部分が米軍が使用している空域、確かにここの重なりはあります。
 しかし、これだけではないんですね。二枚目に、米軍が一六年十二月に公表した沖縄周辺の臨時訓練空域、アルトラブの地図も添付をしております。これ、先日も示しましたように、アルトラブとは、米軍のために一定の空域の中に一定時間他の航空機が飛行しないようにする管制上の措置でありまして、これ航空路誌にも掲載されませんし、管制の際にこれはアルトラブだという明示もありません。民間機は迂回を余儀なくされ、安全と効率性が妨げられておりますけれども、国民にはいつどこに設定されているか分からないと、関係者からは幻の空域とも呼ばれているそうでありますが、しかも、一時的といいますけれども、沖縄の周辺のものは固定型とされております。
 これ、資料が縦横になって見にくいんですが、縦横併せて見ていただきますと、この臨時訓練空域とアルトラブというのは全く、基本的にほぼ同じ範囲でありますし、名前もタイガーとかイーグルとかライオンとか、同じ名前が米軍のアルトラブと自衛隊の臨時訓練空域が付けられております。防衛省の資料を見ますと、他の自衛隊の臨時訓練空域は基本的にX―1から23までの名称が付けられておりまして、なぜこの沖縄周辺では米軍と同じ名称にしたのか。
 国土交通省に聞きますが、これ琉球新報によりますと、防衛省からの協議を受けて設定したと国土交通省コメントしておりますけれども、つまり、防衛省から米軍の空域と同じ名前にしたいと、こういう要請があったと、そういう協議をしたということでしょうか。

○国土交通省 航空局 交通管制部長(河原畑徹君) お答え申し上げます。
 お尋ねの自衛隊の臨時訓練空域は、自衛隊が飛行訓練を行うための空域につきまして、民間の航空交通の安全かつ効率的な運航の確保の観点から、その都度防衛省と調整の上設定するものでありまして、常時設定されている空域ではございません。
 この自衛隊の臨時訓練空域の名称につきましては、防衛省と協議の上定めてございます。

○井上哲士君 じゃ、防衛省が、あれですか、国土交通省に米軍と同じ名前にしたいということを求めたということですか。防衛省、いかがですか。(発言する者あり)

○委員長(北村経夫君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(北村経夫君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(槌道明宏君) 自衛隊が使用するこの臨時訓練空域の名称については、防衛省から協議をしたということは事実だと思います。

○井上哲士君 よく分からない。もう一回。

○政府参考人(槌道明宏君) この自衛隊が使用する臨時訓練空域の名称をどうするかということについては、防衛省から国土交通省に対して協議をした、その点は御指摘のとおり事実でございます。

○井上哲士君 つまり、米軍と調整した結果しかあり得ない話なんですね、同じ名称になっている範囲。
 実際、このJOSCが管理する米軍訓練空域のユーザーのハンドブックには、米軍の嘉手納の空軍の全ての空域と射撃場について、要請の許可、却下は、第一八航空団のスケジュール担当官、在沖艦隊活動部のスケジュールの担当官及び航空自衛隊の連絡員に通知されるとしております。
 結局、こうやって調整をした上で国土交通省が管制業務をしているわけでありますが、その下で、資料を見ていただいたら分かりますように、従来の地位協定による提供空域の一・六倍が事実上の米軍の訓練空域となっているわけですね。
 こうしますと、結局、自衛隊が臨時訓練空域と設定して、そこを公表されないような米軍の臨時訓練空域、アルトラブにすることによって、結果的には国民に見えない形で米軍に大きな訓練空域を提供している、広げていると、こういうことが実態になっているんじゃないでしょうか。防衛大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 米軍のアルトラブは、国土交通省と米軍の間で調整し、設定しているものであって、これは一時的に設定した一定の空域の中に一定時間他の航空機が飛行しないようにする管制業務上の措置であり、継続的なものではなく、時間の経過により終了するものであると承知しております。

○井上哲士君 いや、その結果、しかし、さっきもありましたように、同じ範囲なんです。同じ名前付けているんです。米軍と調整しつくっているんですね。しかし、このアルトラブは航空路誌にも載りません。管制のときにアルトラブがあるということも示されないんですよ。結局、自衛隊の臨時訓練空域をつくることによって、同じ範囲をアルトラブに指定をして、結果的には国民に見えない形で提供空域を一・六倍に増やしていることになっているんじゃないかということを聞いているんです。
 きちっとお答えいただきたいと思います。

○国務大臣(河野太郎君) これは申し上げましたように、アルトラブについては国交省と米軍の間で調整し設定しているものであって、防衛省からそのことについて申し上げるのは困難でございます。

○井上哲士君 JOSCで空域の調整していると言っているじゃないですか。ところが、アルトラブについては何も言えないと、こういうことになっているわけですね。全く私おかしいと思いますよ。
 そして、この臨時訓練空域、自衛隊の、立ち上げた際に米軍との調整実績はあるのかとお聞きいたしますと、ないという先日返事がありました。ところが、先日も指摘したように、米軍の報告書によれば、一六年四月二十八日の米軍機の事故はタイガー空域だったんですね、この地図にある。自衛隊の臨時訓練空域の設定実績は公表されております。それを見ますと、事故前後、このタイガー空域については、日本時間の二十五日六時から二十八日二十二時まで臨時訓練空域が設定をされております。
 一方、米軍の事故報告書では、事故は二十八日の二十時十五分に発生しているんですね。これは自衛隊の臨時訓練空域が立ち上がっている時間帯なんですよ。調整実績がないということを言われますと、つまり、調整なしに米軍が自衛隊の臨時訓練空域を使用し、そこで事故を起こしたと、こういうことだったんですか。

○政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。
 お尋ねの事故につきましては、平成二十八年四月二十八日、夜間の空中給油、米軍の夜間空中給油訓練中に発生したものでございます。この訓練につきまして調査をいたしましたところ、今までの段階で自衛隊と米軍との間で何らかの調整が行われる、行われていた事実はないものと承知をしているところでございます。

○井上哲士君 つまり、しかし、先ほども言いましたように、その時間は、事故が起きた時間と報告されているのは、報告書で、自衛隊の臨時訓練空域が立ち上がっている時間帯なんです。同じタイガー空域なんです。つまり、調整なしに米軍が、あれですか、自衛隊の臨時訓練空域で訓練していたと、こういうことですか。

○政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたとおりでございますが、この四月二十八日、夜間空中給油訓練について調査をいたしましたところ、今までのところ判明しているところでは、自衛隊と米軍との間で何らかの調整が行われていた事実は判明しておりません。

○井上哲士君 そうであれば、本当重大ですよ。これは、自衛隊の訓練の、特別臨時訓練空域の実績で書いてあるんですから、そうであるならば極めて重大でありまして、私は、きちっと事実関係を精査をして、この委員会に報告していただきたいと思います。委員長、取り計らいお願いします。

○委員長(北村経夫君) 後刻理事会で協議いたします。

○井上哲士君 国民に見えない形でこういうアルトラブを設定するということはやめるべきだということをこの間も申し上げました。改めて要望、要求するとともに、その下にある地位協定自身の抜本改定を求めたいと思います。
 質問を終わります。

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