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井上哲士ONLINE
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2002 年 11 月 7 日

法務委員会
人権擁護法案の廃案を求める

  • 人権委員会が政府からの独立性を欠き、「官に甘く、民に厳しい」構造となっていることを防衛庁のリスト問題や石川島播磨重工の「ZC名簿」を例にあげて批判。
  • 国民の表現の自由への介入の恐れを指摘。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 この人権擁護法案は、各界の強い反対の中で継続審議になってきました。反対世論の中で、読売新聞の修正試案なるものまで出た異例の法案であります。しかも、今、与党内での修正の動きも報道をされておりまして、本格審議を前に政府案の不備を認めたものだと私は思います。報道されている修正の中身も、いわゆるメディア規定部分の凍結ということで、法案の重大な問題点についてはそのまま残すものであり、到底修正の名にも値しないものだと思います。

 さらに、人権救済機関の命とも言える独立性の問題では、先ほどもありましたように、国連人権高等弁務官が懸念表明の書簡を小泉総理に出すと。そういう点で国際水準に達しないものでありますから、私どもは廃案にしてやはり出直すべきだということをまず最初に申し上げておきます。

 国連の規約人権委員会は、我が国の入管施設や刑務所における人権侵害を速やかに調査をし救済するための政府から独立した人権救済機関を求める勧告をいたしました。そして、九三年に国連で採択をされたパリ原則は、独立した人権救済機関の要件として、法律上、運営上の自立権、財政的自立権、任命、解任の手続、社会の多様性を反映した代表による構成、これを挙げています。朝からの審議で、法務省は、三条委員会だから独立しているんだということを繰り返し答弁をされているわけですが、問題は実際の手足になる事務局が本当に独立性を保てるのかどうかと、ここが問われております。

 人権委員会が発足するときに、この事務局の職員の規模、その中で法務省から出向する人数はどういうふうになるでしょうか。

政府参考人(吉戒修一君)

 人権委員会の組織でございますが、中央の事務局のほか、公権力による人権侵害事件など、特に中立公正さを要求される事件に適切に対応する必要がありますので、全国を八ブロックに分けて、東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松にそれぞれ地方事務所を設置するとともに、国民のアクセスポイントを確保し、その他の事件の調査などを円滑に行うため、人権委員会の指揮監督の下、全国四十二か所に設置されている地方法務局にその管内の事務を委任することを考えております。

 そこで、具体的に申し上げますと、人権委員会が所掌することとされております人権擁護事務は、現在、本省二十一人、法務局七十六人、地方法務局百三十三人の計二百三十人の職員によって処理されているところでございますが、平成十五年度の概算要求におきまして、この本省分二十一人、これを人権委員会中央事務局に、それから法務局分七十六人を地方事務所にそれぞれ振り替えた上、人権委員会の体制整備のため三十五人、内訳を申し上げますと、中央事務局七人、地方事務所二十八人の増員をお願いしているところでございます。

井上哲士君

 この増員分の三十五人もかなりの部分は法務局からということをお聞きをしておりますが、今ありましたように、正に人権擁護局の横滑りで地方は法務局長に委任ということになります。しかも、法務省との人事交流が行われるということですから、国民から見ますと名札がちょっと変わっただけと、到底、国民の常識では法務省から独立しているとは私は言えないと思うんです。

 朝から、公正らしさとか信頼が大事だと言われましたけれども、そういう実際は名前だけ変わって従来の法務局の、法務省の職員がしていると。こういう状況で本当に国民の信頼が得られるのかということが問われておると思うんですね。

 最初から人権委員会の独自の職員をきちっと確保して、そして、朝もありましたけれども、法務省とは人事交流しない、将来的には独自職員を主流にしていくと、本当に独立ということを考えるならばそういうふうに明らかにすべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。

政府参考人(吉戒修一君)

 人権擁護推進審議会の答申にも指摘がありますとおり、新しい人権救済制度を実効的なものにするためには、委員会の事務局に法的な知識、素養や各種の人権問題に対する理解を含む専門性を有する職員を確保する必要があると考えております。

 このような観点から、まず第一次的には、これまで人権擁護行政や他の法律事務に携わってきた法務省の職員を有効に活用することが必要であると考えておりますけれども、多様な人材の確保という観点から、人権問題について専門性を有する者などを委員会独自に採用することについても今後検討してまいりたいというふうに考えております。

井上哲士君

 人権委員会に出向して将来、法務省に戻る職員に入管や刑務所などの法務省内部の問題を独自に本当に調査できるのかと、こういう国民の目があるわけです。出発点でそういう皆さんの専門性を確保するというお話はありましたけれども、やはり将来は法務省には戻るのではないということ、そして検討するだけでなくて、そういう独自の職員をむしろどんどん採用していくんだということを、本当に独立ということを考えたらやっぱり言うべきじゃないですか。もう一度お願いします。

政府参考人(吉戒修一君)

 職員を独自といいましょうか、プロパーの職員を将来的には養成いたしたいというふうに考えております。ただ、人権委員会の発足時につきましては、これは法案の附則にも書いてございますように、来年七月末までということでございますので、そのような時間的な制約もあり、いささか困難な面があるというふうに考えております。

井上哲士君

 結局、本省との人事交流のことについても明言がないわけですね。ですから、将来にわたって法務省の職員がずっと中心になっていく、ごく一部、独自の採用はあるのかもしれませんけれども、そこについてのお答えは結局ないと、こういうことになるわけです。

 午前中の答弁で、例えば入管とか矯正からの人事交流はないんだと、だから大丈夫だというような御答弁もありました。しかし、そういう問題だけではないんですね。私、四月の本会議でも指摘をしましたけれども、昨年、東京入国管理局の不祥事がありました。これ、マスメディアが報道するまで半年間も法務省は放置をしてきたわけであります。今年の二月の十五日の大臣の記者会見でも、この入管当局の逃亡事件について、昨年七月ごろから入管当局から報告を受けていた、半年以上公表しなかったことについて、当局に任せていた、私も反省しなければいけないと記者会見で述べたという報道もあったわけであります。ですから、単に入管局だけじゃなくて、法務省全体の身内意識があの問題は指摘をされたわけですね。ですから、やはりこうした法務省の外局という形では、国連からも指摘をされた入管や刑務所などにおける人権侵害に実効性があるのかというのがやはり国民の厳しい批判なわけであります。

 韓国では、委員会の独立性が確保できないということで最初出された法案を廃案にして法案を、法律を作り直しております。先日、NGO として三年間運動して、今は韓国の委員会の職員をしているナム・キュソンさんという方のお話を私、直接聞きました。実際にこの委員会が動き出してみて独立性というものが本当に大切だということを言われておりました。

 例えば、韓国の場合は、警察署長を処罰に追い込んだ事例もあったということですが、訴える相手が国家機関の場合に、人権委員会が独立した機関でなければ、関係省庁との話合いの中で訴えなかっただろうということをナムさんは言われておりました。そして、この日本の法案はアリバイだと、国連のアジア人権フォーラムにも加入できないんではないかと、こういう懸念を出されていたということを指摘をしておきます。

 それで、やはり公権力による人権侵害の歴史ということを重く受け止めていないということが、私はこういう独立性の問題にも現れていると思うんです。この間も公権力による人権侵害というのは後を絶たないわけでありますが、まず防衛庁のいわゆるリスト問題についてお聞きをいたします。

 情報公開法に基づいて防衛庁に情報公開を求めた市民の個人情報を、逆に防衛庁が独自に収集、蓄積をし、それをネットにまで流したという事件でありましたが、公権力による市民のプライバシー侵害という重大な人権侵害事案だと思います。

 人権委員会の特別救済手続の対象にはこういうものは該当しないと思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(吉戒修一君)

 法案におきまして、特別救済手続の対象となる人権侵害は、法案の四十二条の第一項に列挙されているものに限定されております。したがいまして、委員御指摘のとおり、公権力によるプライバシー侵害は原則として特別救済手続の対象にはならないというふうに考えます。

 ただし、四十二条の一項には第五号という規定がございまして、いわゆるバスケットクローズでございますが、人権擁護の観点から看過し難いものにつきましては、この四十二条第一項五号に基づきまして、特別救済手続の対象として取り上げられる可能性があるということを御指摘申し上げたいと思います。

井上哲士君

 基本的にはこれ、原則的には対象にならないという御答弁だったと思うんです。一般救済の手続ですと、やめさせるということはできないわけですね。

 防衛庁は、この問題で、イニシアルなら問題ないんだという姿勢で、リストの作成自身はやめておりません。しかし、総務省自身も指摘していますが、イニシアルであっても幾つかの資料を合わせると個人が特定をできるわけです。結局、情報公開請求をした市民の個人情報を集め蓄積する、そのこと自体が人権侵害だという認識には立っていないということになります。

 ところが、メディアに関しては事細かく規定をしているわけですね。第四十二条では、犯罪被害者や犯罪者の家族などについて、「私生活に関する事実をみだりに報道し、その者の名誉又は生活の平穏を著しく害すること。」等の取材の規制をしております。一方、公権力のプライバシー侵害は基本的に特別救済の対象にならぬと。

 余りにも私はこれ、バランス欠けると思うんですね。むしろ、公権力のこうしたプライバシー侵害こそ直ちにやめさせるべきことだと思うんですが、メディアによる被害よりも、こうした公権力のプライバシー侵害の方が軽いと、こういうお考えでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(森山眞弓君)

 この法案は、人権擁護推進審議会の、特別救済手続に該当する積極的な救済は、「差別、虐待を中心に、救済の必要性が高く、人権救済機関が有効な関与をなし得る人権侵害を対象として行うべきである。さらに、差別、虐待等の一定の類型に属さないものについても、人権擁護の観点から看過し得ないものに対しては、機動的かつ柔軟に積極的救済を図ることができる仕組みを工夫する必要がある。」と指摘している答申を踏まえて作られたものでございます。

 報道機関による一定の人権侵害も、このような観点から答申において積極的救済を図るべき人権侵害として取り上げられたものでございまして、この法案におきましても、特別救済手続の対象として位置付けたものでございます。

 他方、公権力によるプライバシー侵害としてどのような範囲のものを申すのか、いろいろ考え方があるかとは思いますが、仮にそれが現在検討を進められている個人情報保護の範疇に属するものであれば、まずはそちらで保護の在り方が議論されるべきではないかと思いますし、この法案におきましても、いわゆるバスケットクローズである第四十二条第一項第五号の規定により、必要に応じて特別救済手続の対象とすることは可能でございますので、アンバランスとの御批判は当たらないのではないかと思います。

井上哲士君

 現行の様々な法律では、行政機関のプライバシー侵害は罰則なしということでありまして、現にああいう事件が起きております。実際、やはり法律の作りとしては、こうした公権力のプライバシー侵害は軽視したということを私は指摘せざるを得ないんですね。

 一方、法案は、メディアの方は、六十条で取材行為をやめさせて、予防するということまで規定をしております。しかも、公人を除く規定がありませんので、様々な政治家の汚職の粘り強い取材が規制をされるという懸念が出されているわけであります。

 関連して、午前中の審議で、松本サリン事件でのいわゆる誤報問題についての質問がありました、河野義行さんのことでありますが。確かに、メディアによる当時の犯人報道はすさまじいものであり、許されないものでありますが、あの問題の本質は、河野さんが犯人だという誤った情報が捜査当局、つまり警察によって流されたということにあるんです。

 河野さんは、その後、雑誌に登場されておりまして、報道被害以上に公権力による人権侵害は恐ろしい、県警が、犯人はおまえだと決め付け、自白を強要した、そしてメディアに私が有力容疑者だという情報を流したということをちゃんと雑誌で語っております。そして、河野さんは、この人権擁護法案について、人権の保護や擁護をうたっているが、それは大義名分にすぎない、本当のねらいは公権力がメディアを規制することであり、ひいては公権力があらゆる言動を統制すること、私にはそうとしか思えないということを河野さん自身が言っているということを指摘をしておきたいと思います。

 メディアの被害というものは重大でありますけれども、やはりこれは国民の知る権利に深くかかわる問題でありますから、あくまでもまずメディアの自主規制に任せるものだと思います。メディアをこのように包括的に規制するような機関は世界でもないわけでありまして、公権力のプライバシー侵害には実効がなく、メディアの規制はする。やはり、法案の根本的な作り自身が私はおかしいと言わざるを得ません。

 もう一つ、法案の問題点で指摘を、重大なのが、企業における人権侵害や労働者に対する差別の救済をすべて厚生労働省や国土交通省に任せているという問題であります。

 十月の二十日付けの朝日新聞に、「社員の思想 ランクづけ」という記事が出ておりました。ある防衛産業の一翼を担う大企業の ZC 管理名簿というのを取り上げているんですが、これ、局長、ZC が何を意味するかというのは御存じでしょうか。

政府参考人(吉戒修一君)

 新聞記事によりますと、ZC はゼロ・コミュニスト、共産主義者の略であるというふうに書いてございます。

井上哲士君

 これは、ゼロ・コミュニスト、報道によりますと、人事関係者だけが使う隠語で、共産党員を撲滅をするということを目標に社員管理をすることだというふうに書かれております。

 私、手元に厳秘、厳重秘密と書かれた文書を持っております。この朝日の記事が出ましてから私のところに送られてきたものでありますが、この記事の基になった石川島播磨重工の内部の資料であります。

 読んで驚きました。徹底した日本共産党員のマーク。それだけではないんですね。例えば、会社が共産党員だと見ている人が門前でビラの配布をするときに、一体、社員のだれが受け取るか、出勤してくる社員を職制が門前で監視をしておると。それから、組合の役員選挙では、会社と歩調を合わせる組合役員に対して共産党系と見られる候補がどのぐらい票を取るか、この ZC 管理名簿に合わせて票数をチェックをすると。それから、この組合役員投票も秘密投票ではないんですね。だれがどの票を入れたかすぐにチェックできるように不在者投票が推奨をされております。それは嫌だと疑問を呈しますと、その人自身がこの ZC 管理名簿に載せられてしまうと。こういう非常に生々しいことがこの文書で出ております。これは正に憲法違反であり、労働基準法の第三条違反だと思うんです。

 関西電力で日本共産党員に対する思想差別というのがありました。これは裁判に訴えまして一九九九年に労働者側が最高裁で勝利しましたが、二十八年間掛かっているんですね。ところが、人権の世紀と大臣自身が言うこの二十一世紀なのに、今紹介しましたように、同じような、あるいは更に徹底した思想差別が現在でも大企業職場でやられていると。こういう分野こそ迅速、簡易な人権救済の機関が私は必要だと思います。

 この内部文書によりますと、この石川島播磨では、人事部が若手社員を集めまして ZC リスクマネジメントという研修を行っております。ソビエト連邦が崩壊した後は体制の危機という意識が薄れており、共産党にも変化が生じており、アレルギーも薄れてきている、しかし今もなお共産党が企業にとって危機ファクターであることは変わりないと、こういうことを述べまして、徹底した企業内の組織的な思想差別を、徹底をこの会議で図っているわけであります。

 こういう大企業職場における思想差別、人権侵害というものをなぜ行政任せにしていくのか。諸外国のように、雇用における差別の禁止を扱う独立した委員会がこの分野でこそ私は必要だと思うんです。厚生労働省にノウハウがあるからというのが本会議の答弁でありましたけれども、余りにも安直だと思うんですね。その点どうでしょうか、大臣。

国務大臣(森山眞弓君)

 人権擁護委員会の答申では、既に被害者の救済にかかわる専門の機関が置かれている分野におきましては、当該機関と人権委員会との適正な役割分担を図るべきであるというふうに指摘しております。

 労働分野における差別的な取扱い等につきましては、従来から厚生労働省等におきまして被害者の救済にかかわる制度が整備されておりまして、実施されてきたところでございます。労働分野における人権救済制度の適切な運用に当たりましては、労働法制、労使慣行、労務管理実務等に関する知識が必要不可欠でございまして、そういう知識を有する職員等のいる厚生労働省で救済を図るということが効果的であり効率的であるというふうに考えられます。

 この点につきましては、平成十三年十二月に、公労使三者構成の労働分野における人権救済制度検討会議というのが持たれましたが、そこで取りまとめられた報告にも同様のことが書かれていると承知しております。

井上哲士君

 しかし、本会議でも指摘をいたしましたけれども、そういう従来の労働行政の下で解決をしなかった。そして、先ほど言いましたように裁判は二十八年間も掛かっているわけです、関電の場合ですね。この審議会の答申でも、被害者の視点から簡易、迅速、柔軟な救済を行うに適したこの人権救済制度の整備ということを強調しているわけです。現実にこれまでこういうことが十分に労働行政の中で解決してこなかった、やはり独立をした雇用の問題での差別を扱う委員会が必要だと思うんですが、もう一回、どうでしょうか。

国務大臣(森山眞弓君)

 先ほども申し上げましたように、既に長年の経験によって、知識、経験を積み重ねております厚生労働省の担当される分野のことについては、審議会のおっしゃるように適正な役割分担をするべきであるということが本筋であろうというふうに思います。

井上哲士君

 それでは、結局、本当の意味での職場における人権侵害にはやはり実効のない法案だということを私は言わざるを得ません。

 先ほど紹介しましたこの ZC 管理名簿には、その対象になる社員の病歴、それから妻のサークル活動もあるとか、家族情報まで載っております。どうやって情報を収集したんだろうかということで大変当事者も不安でありますし、しかも大企業内部にとどまらないと。警察、公権力との癒着ということもあります。先ほどの記事には、別の企業で、顧問に迎えた元警察署長が元部下に頼んで下請会社の求職者の犯歴を調べていたと、こういうことも報道されておりますし、私の手元に届いた石川島播磨の資料の中には社内の会議内容のメモがありました。公安との情報連絡がうまくいっているか再度点検していただきたいとか、田無警察には富岡の労組の動きなど連絡しておいてほしいとか、こういうやり取りが記載をされています。

 こういった企業と公権力が癒着をした形でのプライバシー侵害、人権侵害にもこの法案が私は対応できるとは思わないんですが、その点いかがでしょうか。

政府参考人(吉戒修一君)

 委員御指摘のプライバシー侵害の問題が、現在検討が進められております個人情報保護のカテゴリーに属するものでありますと、まずはそちらでその保護の在り方が議論されるべきであるというふうに考えます。

 しかしながら、先ほど来から申し上げておりますとおり、本法案におきましても四十二条一項五号というバスケットクローズがございますので、この規定に基づきましてこれを特別救済手続の対象として取り上げることが可能となっているところでございます。

井上哲士君

 先ほども申し上げましたけれども、メディアなどは明確に特別救済としておいて、公権力のいろんな問題については、可能性はあるということはありますけれども、そういう規定がない。やはり、全体として、本来救済をすべき公権力や大企業による人権侵害について非常に実効性が薄いということを改めて指摘をせざるを得ません。

 一方で、メディア規制だけではありませんで、六十五条では、差別助長行為についてだけは人権委員会が被害者の訴えがなくとも差止め請求ができるということになっております。差止め請求訴訟を提起できるというふうになっております。しかし、何が差別を助長し誘発するおそれがある行為なのか、規定は極めてあいまいでありますし、国民の自由な表現活動や言論活動を侵害する危険が私は極めて多いと思います。こうした様々な問題を本法案は抱えておりますけれども、今後の審議の中で改めて問題点を明らかにしていきたいと思います。

 以上、指摘をいたしまして、質問を終わります。


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