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2002 年 11 月 21 日

法務委員会
法科大学院関連法案

  • 改革審意見書の精神をねじまげる与党の圧力に屈することなく、予備試験によるバイパスルートは例外的にするなど、法科大学院を法曹養成の中核として運用するよう求める。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 司法制度改革の審議会の意見書は、制度を生かすもの、それは間違いなく人と、こう指摘をしました。今回の法曹を養成をする制度は司法制度改革の土台でありますし、土台がゆがみますと建物もゆがむと、こうなってまいります。大変重要なことだと思っております。

 これまでの一発試験方式の弊害というのは近年強く指摘をされてきたわけで、その弊害を正してプロセスによる法曹養成を目指すと、この法科大学院には私ども基本的に賛成であります。しかし、予備試験によるバイパスルートというものが太くなってしまいますと、やはり審議会意見書が示した法科大学院と新しい司法試験の趣旨から外れたものになるという懸念が大変強くあります。あくまでも法科大学の大学院での教育が本筋であって、この制度設計を適切に行うということが法曹養成制度の改革と法科大学院を軌道に乗せる上で必要だと思っております。

 そこで、まず大臣にお聞きをするわけですが、法案では、この法科大学院を法曹養成のための中核的教育機関としております。要するに、法科大学院と予備試験という二つの柱があるということではなくて、あくまでも法科大学院が本筋であって、予備試験によるバイパスルートは例外だということだと思うんですが、この運用面、今後試験の内容であるとかいろんなことがあるわけですが、運用面においてもこの中核的教育機関という原則を貫くんだと、こういうことを確認をできますでしょうか。

国務大臣(森山眞弓君)

 法科大学院を中核的な教育機関とする新たな法曹養成制度の理念にかんがみまして、予備試験におきましては法科大学院修了者と同等の学識能力等を有するかどうかを判定するということにしております。新たな法曹養成制度の趣旨を損なわないような制度設計になっていると考えます。

 また、その実施面におきましても、新たな法曹養成の基本理念にのっとりましたものになりますように工夫を重ねながら運用にも当たっていきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 意見書は、予備試験について、先ほどもありましたけれども、「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべき」と、こう述べました。検討会の意見の整理を見ましても、この今読み上げた部分を改めて引用して、この観点から具体的制度設計を行うと、こうしたわけであります。

 先ほどの同僚議員の質問にもありましたけれども、予備試験というのはあくまでもこの理念に、意見書のこの部分に述べられた理念に沿ったものだと、ここをちょっと改めて確認をお願いします。

政府参考人(山崎潮君)

 私は、意見書の理念には沿っているというふうに考えております。要するに、この意見書は、いろいろな事情はあると言うんですが、などの事情ということですね。これだけと言っているわけではないわけでございまして、趣旨は、法科大学院を経由しない者にも法曹資格を取得する道を開くべきであると、こういうことになるわけでございますので、それは十分にここに投影させていただいている、反映させていただいているということでございます。

井上哲士君

 審議会の意見は、あくまでもやっぱりプロセスでの養成が中心で、こういう経済的事情などのやむを得ない問題について言わば予備的に道を開くという趣旨だと思うんですね。ところが、実際出てきました法案を見ますと、その条文からはなかなかこの観点が読めないと思うんです。そのためにバイパスルートがどんどん拡大をしていくんじゃないかという懸念が衆議院の参考人の質疑でもかなり出されました。

 先ほど、学生が自分の将来を考えればそういうものは受けなくなっていくんじゃないか、そういう賢明な学生が増えていくんじゃないかと、こういう御答弁もあったわけでありますが、残念ながら今、やはり早くどう受かるかという目先のことで大量の学生が予備校に行っているという現実があるわけです。制度が変わったからといって学生のそれが変わるということにはすぐにはならないわけでありますから、バイパスルートが拡大することによってこの予備試験受ける人が多数になって法科大学院が成り立たなくなるのではないかと、こういう指摘もあるわけでありますが、その点はどうでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 法科大学院、先ほどもちょっと答弁させていただきましたけれども、司法試験合格のためだけの学校ではないということを私ども考えて設計をしているつもりでございます。

 もちろん法律の基礎的な知識、それから倫理、人格、いろいろ学んでいただくわけでございますが、それに加えまして、プロになったときにどういう仕事の分野に行けるかというその基礎を学んでいただくと。この法科大学院の中には必修科目がございますが、それ以外に選択科目がございます。これの中で、例えば知的財産に特化した授業を幾つか用意をして、そこで専門性の基礎を学んでいただく、あるいはビジネス論とか、それからいろんな分野があろうかと思いますけれども、そういうこともすべて学べるということでございます。もちろん実務的な教育の中には倫理の教育もいたすわけでございます。そういう意味においてはオールラウンドに鍛えてもらえる、そういうところでございます。

 言わば受験の予備校ですか、私、行ったことないからちょっと分かりませんけれども、その授業をいろいろ取るんでしょうけれども、それは単品で取ることになるんだろうと思うんですけれども、法科大学院は総合でございまして、全部メニューとしてでき上がって、その中でやっていくわけでございまして、そういう意味では総合力が大いに付くだろうというふうに考えられます。

 それともう一つ、従来余り議論はされていないんですが、学校教育法で、法科大学院を卒業いたしますと外国でいう JD 、いわゆるドクターの称号でございますけれども、法務博士と言っておりますけれども、これが授与されるということになるわけでございまして、これはやっぱり一つの大きな資格でございますし、これを持つことによって世界の国際機関、あるいは世界のいろんな仕事の場所があるかと思いますけれども、そういうところで十分に働いていただけると。外国ではそういうものを持っていないとなかなか認めてもらえないということもあるわけでございまして、そういうことを総合すれば大いに魅力のある学校であると。是非来ていただきたいし、我々もできる限りの努力をして、魅力のある学校にしていきたいと思っております。

井上哲士君

 もちろん私どももそういう魅力のある法科大学院になることを望んでいるわけでありますが、ただ、今でも学生時代にそういう幅広い教養を身に付けようとかいろんな経験を積もうという方はいらっしゃるわけですね。そういう人が、しかしなかなか実際には司法試験に通らないという、そして予備校で受験技術を身に付けた人が通ってしまうという、こういうことがあるわけですから、やはり予備試験受ける人が多数になるのではないかという懸念は払拭できないわけです。

 そうしますと、意見書の観点を生かすためには何らかの形でやはりバイパスルートを絞るという制度設計が私は必要だと思うんですね。合格者数を絞るというやり方、予備試験の内容の工夫、受験資格を絞る、それは総合的にいろいろあろうかと思います。

 まず、合格者数の問題ですが、衆議院の答弁では、予備試験の合格者数を決めること自体は憲法違反ではないと、こういう御答弁でありました。それならば、あくまでも例外のルートなんだということで合格者数を予備試験の場合あらかじめ明らかにしておくと、これが理念に沿った運営ではないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 予備試験の位置付け、先ほど来申し上げておりますけれども、法科大学院を修了した者と同等の能力があるかどうかを判定するものということでございますので、あらかじめ人数を決めるとかそういうことをしますと、非常に多く優秀な方がたまたまおられてもそこでカットされてしまうということになりますし、仮に枠が一杯ですと、本当は水準に達していないのにその枠一杯採らなきゃいかぬという事態も生じるわけでございまして、それはやはり同等の能力をチェックするというにはふさわしくないというふうに私どもは考えておりまして、その年々のいろいろの受験生の能力、いろいろ差はあるかと思いますけれども、まあこれならば同等だろうというラインで合否を決めていくと、これが正しい姿だというふうに思いまして、ちょっと数では決められないということでございます。

井上哲士君

 上限を決めるとかそういうやり方も含めて、私は可能ではないかと思うんですね。そういうやり方も含めて、やはり透明性を持たせていくことが必要ではないかということは述べておきます。

 次に、予備試験の中身にかかわる問題ですが、法科大学院の修了者と同等の学識、能力及び法曹の実務に関する基礎的素養を有するかどうかを判定するものと、こういうことが言われておりますが、大変難しいことだと思うんですね。先ほども御答弁がありましたけれども、端的にどういう工夫なのか。これ、いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 この法案に書いてある試験の内容、これが全部が工夫でございまして、先ほど申し上げましたように、基礎的な知識、これを全部確かめる。これに加えまして一般教養というものも確かめるわけでございまして、例えば英語だとか作文だとかいろんな問題あろうかと思いますけれども、こういう点ではかなり幅広いチェックができるということになります。

 それからまた、実務基礎科目というものも設けられておりまして、これは社会に起こるいろんな事象を、これをどういうふうに整理してどういうふうに解決をしていくかという、そういう能力でございますね。それの基礎を問うものでございます。また、最後には口述試験もございまして、今は全科目について割合短い時間で行っておりますけれども、そういう方式ではなくて一科目に投影して、具体的ないろんな事例を見ながら、どういうふうに主張を整理し、それを相手に伝えて説得をしていくかと、そういうような人格的なところを全部見るわけでございます。

 そうなりますと、もうすべての面についてテストができるということで、この中に工夫が施されているということでございます。あとは問題等の提出をどういうふうに工夫をするかということになろうかと思います。

井上哲士君

 実務についての科目ということなどがもう一つの大きな工夫の柱だと思うんですが、何事も今ノウハウ本もありそれを教えるというのがすぐできていきますと、例えばこれに対応して司法試験予備校などでそういうことのテクニックを教えるというようなことがまた出てくるんではないかということも思うんですが、その点はどうでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 私、この作業をしていて、試験である限り予備校はなくならないというふうに思っております。主をどちらにするかというその主客が変わってくることにはなろうかと思いますけれども、そこは私はなくならないというふうに思っております。

 ただ、予備校で学ぶことだけではなくて、そこの技術だけではなくて、質問の仕方、問題の出し方によっては、なかなかただ受験技術を磨くだけでは答えられないような問題、こういうふうな工夫をして、どれだけ人格的なものが備わっているかということを見ていくということは可能であるというふうに思っております。

井上哲士君

 これはちょっと逆の方向になるんですが、経済的理由で法科大学院に行けないという方、今でもいろんな仕事を持ちながら司法試験を目指す方がいらっしゃるわけですが、その人のために予備試験ルートを残しましたけれども、例えば、そういう実務に関する基礎的な素養というものを仕事を持ちながら身に付けるというのはかなり難しいことがあろうかと思うんですね。そうしますと、結果的には、例えば今企業法務をやっていらっしゃる方などが手っ取り早く法曹資格を得る、そういうルートのみになってしまうんじゃないか、こういう懸念もあるんですが、その点いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 実務といっても、これは社会に起こる事象を広く指しているわけでございますので、別に企業法務だけが力を磨く分野かということではございませんで、それ以外の仕事をしていたり、社会でいろいろな活動をされている方、そういうものもすべていろいろ法律に守られながら行動をしているわけでございまして、その中に起こる事象を一つ一つ、例えば仕事の中で解決していくと、そういうことだって十分に力が付くものでございますので、決して企業法務に長くいたから有利になるというものではないと理解をしております。

井上哲士君

 いろいろ御答弁をいただいたわけでありますが、やはり一発試験の弊害があるからプロセスで養成をしようと言っておいて、そしてそのプロセスと同等の力があるかどうかを一発試験で判定をするという、ここにどう考えても私は大きな矛盾があるし、困難と御苦労があると思うんですね。だから、予備試験の内容でこの観点を生かすという点での非常に大きな困難を考えますと、やはり受験資格を絞るべきではないのかということがあると思うんです。

 例えば、経済的事情につきましては、今の民事法律扶助で行っている収入審査などで十分可能であると思いますし、社会経験なども、社会人入試を各大学で今行っていることからいえば盛り込むことも可能かと思うんですね。そういう点で、いわゆる立法技術的には受験資格を絞り込むということは可能だという、このことはいいわけですね。

政府参考人(山崎潮君)

 ぎりぎり詰めれば不可能とは言えないと思います。ただ、私は、相当ではないし、困難であるというふうに考えております。

 要は、法律扶助の場合の審査というのはあるかもしれませんけれども、この場合は、同じような問題を抱えるかもしれませんけれども、それいかんによって受験できるかできないかが決まるわけですね。これはすごく大きな問題でございまして、また、そのことによって法科大学院に行けなかったかどうかをどうやって証明するのかと。それは別の理由かもしれない。現在お金がありませんから扶助をしてくださいというのは、これは証明できる可能性はありますけれども、その当時行かれなかったと、これをどういうふうに本当に証明するのかというのは、かなりプライバシーに立ち入って調査をしなければ難しいだろうということでございますし、それ以外の理由も、じゃそれに類したものというのを全部並べ上げなきゃいかぬということになるわけでございまして、これが本当にそんなに簡単なことかといったら、極めて困難であるというふうに考えております。

井上哲士君

 かなり手間の掛かることであろうということは私も認識をいたしますが、しかし、やはりあの司法審の意見で言われたその理念を生かすという点でいえば、苦労をいとわずそのことはやっていくべきではないかと思うんです。そういう点では、やはり法案の中からあのことが落ちたということは大変遺憾なことだと思っているんですね。なぜかと。法科大学院の制度設計について検討会が議論をしている一方で、自民党内、与党内でのいろんな議論も詳しくかなり新聞等で報道もされております。

 例えば、八月二日付け朝日、「三月に始まった自民党司法制度調査会の小委員会。毎週の会合では、政府が「最大限の尊重」を約束した意見書への批判が相次いだ。」「背景には経済人らでつくる「司法改革フォーラム」の働きかけがあった。」「この団体には、司法試験受験予備校の経営者もかつて名を連ねていた。」、こういう報道がありました。

 それから、八月二十五日付けの読売、「法科大学院構想曲折」というタイトルでありますが、与党合意では予備試験をだれでも利用できることにした。自民党の一部から「噴出した「予備試験ルートを法科大学院ルートと対等にすべきだ」という意見を受けたものだった。」、こう述べまして、予備試験受験者に受験条件を付けるのを外したのはこういう自民党の一部の議論を受けたものだったと、こういう報道もされているわけであります。

 立法技術的には可能であるのに、こういう議論や圧力でもし法案から落とされたということになりますと、審議会の意見書の趣旨がゆがめられたということになろうかと思うんです。こういう報道に書かれているこういう経過は事実でしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 予備試験の関係につきましては様々な御意見がございましたし、物すごく熱心に御討議をいただきました。私どももずっとそれは全部拝聴をしております。

 その問題はその問題としてございますけれども、私どもが今回のような予備試験というルートを設けたのは、もう検討会の方でもいろいろ検討はいたしましたけれども、やはり法技術的に不可能ではないということは言えますけれども、それを盛り込むことはやっぱり相当でないという判断がされたからでございまして、決して政党の議論がそうであったからこの道を選んだというわけではないということは自信を持って言えます。

井上哲士君

 肯定はされないとは思うんですが、しかしいろんな報道が更にされております。例えば、八月十八日付けの京都新聞でありますが、「推進本部の法曹養成検討会は、七月中にも原案をまとめる方向で急ピッチの作業を進めていたが、自民党内の反発を横目ににらみ、足踏み状態になった。」、こう述べた上で、「「法科大学院はできないのではないか」「改革審会長だった佐藤幸治・推進本部顧問会議座長が、抗議の意味で辞職しそうだ」などといった観測が流れた。」とまで報道をしております。

 今回のこの法案は、最初にも申しましたように、司法制度改革の第一歩として位置付けられるものであり、この法科大学院を軌道に乗せられるかどうか、法曹養成制度改革をどう実効あるものにするかどうかは、司法制度改革全体の成否を担うものだと思います。

 予備試験によるこのバイパスルートの拡大というのは、先ほどの報道にもありますように、受験予備校の強い意向もありますし、企業法務の関係者を多数合格させたいという大手企業の思惑もあります。そうした意を受けてもしこの意見書の趣旨をゆがめるというようなことがまかり通りますと、これが第一歩の法案なだけに、今後のやはりあらゆる検討会の議論にも悪影響を私は及ぼしかねないと思うんですね。検討会がどんなにこの意見をまとめても、自民党の一部などからの圧力が掛かりそうになるということで、事実上の自主規制みたいな議論にもなりかねないと思います。

 報道では、自民党内には「「こんな意見書をだれが作ったんだ」と言い出す議員もいた。」と、こういうことが言われております。審議会から営々とした国民的な議論を積み重ねてきたことが、この法案化の最後の段階でゆがめるようなことはこれは絶対あってはならないと思うんです。

 そういう点で、そういう自民党などの圧力も排して、やはりこの意見書が最大限の尊重をもって実施をされていくという点での法務大臣としての御決意をお聞かせ願いたいと思います。

国務大臣(森山眞弓君)

 各党いずれも非常にこの問題については御熱心に議論していただきまして、もちろん与党の中にも法曹御出身の方もたくさんいらっしゃいますし、そういう方々は御自分自身の経験も考え合わせて大変に熱心な御意見が開陳されたところでございます。

 今、事務局長が御説明申し上げましたようなことで、事務局といたしましてそれらの御意見を十分拝聴しながら、かつこの審議会の意見書の趣旨というものを尊重し、そしてどのように設計したらいいかということで、大変苦労いたしましてこのような御提案申し上げているような内容になって今御審議いただいているわけでございますが、決してどなたがどうおっしゃったからとか、どの党がどういう御意見だからとかいうようなことで左右されたものではございません。

 今後もそのようなことがないように十分留意していかなければならないと思っております。

井上哲士君

 この審議会の意見書が本当に最大限尊重されるという点で、大臣の御努力を改めて求めておきたいと思います。

 次に、新しい司法試験についてお伺いをいたしますが、二〇一〇年まで、現行司法試験と予備試験の合格者数の問題ですが、両試験の合格者の割合を決めておくのは適当でないと、こう言われておりますが、現実には、修習などの関係もありまして合格者数の総枠というものはあると思うんですね。法科大学院が中核だということを運用面でも貫くということになりますと、この現行司法試験の合格者数というのはどういうふうに考えるんでしょうか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 この点については再三事務局の方からお答え申し上げておりますように、基本的には現段階で何とも申し上げられないわけでございます。例えば、法科大学院が一体幾つできて何人卒業するのかということも、現時点では全く分かっていないわけでございます。また、予備試験というもののレベルは法科大学院卒業と同等のレベルでございますが、法科大学院と同等のレベルというのも一体どの程度のものなのかということも、現時点では全く分からないわけでございます。

 いずれにいたしましてもこの点につきましては、先ほど申しました司法試験委員会が最終的に、今申し上げたようないろんな事情を総合して最終的にお決めになるというふうに理解をいたしております。

井上哲士君

 あくまでも法科大学院が中核ということに基づいた運営を改めて求めておきたいと思います。

 じゃ、その現行司法試験の合格者数と将来の予備試験の合格者数の関係というのはどういうふうになるんでしょうか。その枠が移行するとか、そういうことではないということですか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 現行試験の合格者数は、移行時期の五年間におきましても、基本的には現在の水準というものを前提に合否の判定がなされます。これに対しまして予備試験でございますが、これは先ほども申し上げましたように、法科大学院の修了と同等の程度を本当に有しているかどうかというレベルの判定でございますので、その二つには関係は全くございません。

井上哲士君

 じゃ、その新しい司法試験の内容でありますけれども、この法科大学院を中核とするという観点から、端的にどういう工夫がされるのか、これもお願いします。

政府参考人(山崎潮君)

 一つは、試験科目が公法系、民事系、刑事系と大きく三つに分けられることになります。この公法系の中には憲法と行政法を含みます。民事系の中には民法、商法、民事訴訟法を含む、刑事系が刑法、刑事訴訟法、これを含むものでございます。

 これは、ある例えば一つの社会事象がございまして、それについては実体法規の適用も問題になるし、裁判に行ったらどういうことが問題になるか、そのすべてがいろんな点で問題になるわけでございますので、それを今までは別々に試験で聞いているわけでございますが、これを融合したような問題、これによってすべての事件について解決能力があるかどうかということを問うような工夫をするということでございます。

 これは、法科大学院の中でも基本的な科目はちゃんとそれぞれで教えていただきますが、今度それを融合したようなそういう講座も作っていただいて、そこの解決能力を磨くという教育をしていただきます。それを受けた試験という工夫をしているわけでございます。

 それからもう一点、これは工夫というよりも役割分担でございますけれども、口述試験につきましては、これは法科大学院で双方向的な教育、少人数で徹底した議論による教育をしていくわけでございますので、そこで単位を取り修了認定を受ける、これは厳しくやるということは連携法等にも書かれておりますので、そういうところを通過しているという者については能力が備わっているというふうに見まして、ここでは、司法試験では試験を行わないというような連携を行うというようなところに特徴があるということでございます。


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