債権譲渡特例法改正案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、本法案が、会社が倒産した場合に一定の責任を負うべき金融機関の融資回収可能性を高める一方で、担保を取ることのできない労働者などの利益を害することになるからです。
本法案は、不動産等これまで担保とされたものに加え、動産や債務者の特定しない将来債権の担保提供の促進を目的とするものです。これでは、倒産時に労働者などへの配当原資として会社に残る財産はほとんどなくなり、特に賃金以外に収入を持たない労働者にとって過酷な結果となります。担保権に優先するスーパー先取特権などと一緒でなければ認められません。
反対の第二の理由は、本法案が新たな融資提供の促進どころか、資金回収・保全の手段として使われ、金融機関が財産を根こそぎ回収する手段として使われかねないからです。債権譲渡登記制度は、倒産し掛けた企業からの資金回収手段として乱用されていると指摘されていますが、本法案によってこのようなやり方が拡大しかねません。また、一部の企業で融資の可能性が広がる可能性もありますが、全体として貸し渋りに苦しむ中小企業への新規・追加融資につながるとは言えないからであります。
反対の第三の理由は、本法案によって事業用動産の担保提供が広がりますが、倒産時に会社が経営を続けるために活用できるものがなくなってしまい、民事再生、会社更生など、再生型倒産処理の支障になりかねないからであります。
民法改正案は、極度額の決め方のルールがない、保証人からの元本確定請求権、貸手の説明義務がないなど不十分な面はありますが、包括根保証を禁止するなど根保証について全く規制のない現状を前進させるものであり、賛成であります。
以上です。