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井上哲士ONLINE
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2004年11月16日(火)

参院法務委員会
「裁判外紛争解決手続きの利用に関する法律案(ADR法案)」

  • 裁判外紛争解決機関(ADR)への信頼性を高め利用を促進するため、認証にあたっては中立・公正性を厳格に審査するよう要求。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日は三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。

 最初に山本参考人にお聞きをいたします。

 これによって日本の正義の総量が増えていくというお話がございました。ADRについても司法型、行政型、そして民間型ということが、三つそれぞれに発展をしていくかと思うんですが、その中でそれぞれの言わばすみ分けといいましょうか役割分担というものが大事だと思うんですね。最終的には利用者の選択にゆだねられていくとは思うんですが、どういう役割分担が望ましいのか。例えば、行政型などの場合は、ある程度受付窓口的になって振り分けていくというようなこともあろうかと思うんですが、その辺についてどうお考えか、まずお願いをいたします。

参考人(山本和彦君)

 司法型、行政型、民間型の役割分担というお話で、行政型ADRについて、特に消費生活センターあるいは国民生活センターのようなものがその相談を中核としながら、ADRあるいは訴訟を含めたまず第一次的な受付機関となってそのADRを割り振っていくというような構想というのは十分あり得ることだと思いますし、今般作られる日本司法支援センターもまたそういうような役割を果たしていくということだと思います。

 特に、日本においてはこの司法型、行政型、比較的発展しておりますが、これは要するに国が税金を投入して運営していくわけですので、そこは独自の存在理由というものが説明されなければいけないんだろうというふうに思っておりまして、その行政型ADRであれば、その各行政機関の持っている行政機能との関係でADRを持つということがどういう意味があるのかというような観点などから、慎重に見極めてそれぞれの存在理由というものを考えていく必要があるんだろうというふうに思っております。

井上哲士君

 民間型が発展をしていく上でいろんなことが考えられるかと思うんですが、裁判との関係で、例えばアメリカなどでは受訴裁判所からの回付権限などがあるとお聞きをしておるんですが、そういうことも日本では検討にはなったとお聞きしているが、結果、法案には入りませんでした。その辺の事情とか、それからADRの場合、証拠調べが権限がないということについては、例えば裁判所に依頼をするということなども検討課題かと思うんですが、そういう裁判所との関係というものを今後どう考えていくか、この点もお願いいたします。

参考人(山本和彦君)

 非常に重要な御指摘だと思います。この点は、検討会でも裁判手続との連携の在り方というのは非常に時間を掛けて議論したところだと思います。

 この裁判手続からの回付というのは、これは諸外国において、アメリカのみならず、ドイツあるいはフランス等においてもADR振興の中核的な施策として取られているところなわけですけれども、ただ、日本においては、一つは既に司法型ADRとの連携でいわゆる付調停という制度が存在すると。それに加えて、民間型ADRに回付する必要性ということが問題になりますし、それから当然その当事者は訴えで判決を求めて訴えを提起しているのにADRに回されるということになりますと、これは裁判を受ける権利の問題が出てきますので、その当事者の同意が必要ではないか。しかし、逆に当事者の同意が必要だとすれば、それはどの程度の意味があるのだろうかというような疑問もあったということで、今回は法律の中には取り込まれなかったということだと思います。

 それから、証拠調べの援助につきましては、仲裁については御承知のように既に仲裁法の中に規定があるわけです。それに対して、調停、あっせんというのは最終的に合意によって解決するわけですので、その証拠調べまでやって合意で解決するというのはどうなのかと。そこまで裁判所の協力が必要なものというのは、逆に言えばそういう話合いになじまないものが多いのではないかというような批判もありました。私自身はこれを設けてよいのではないかという意見を申し上げましたけれども、今後の検討課題ということだろうと思います。

井上哲士君

 もう一点、山本参考人にお伺いします。

 先ほど、消費者団体が作ったADRに業界がなかなか来ないというお話がありました。何らかの方策がないだろうかということで柴垣参考人からもあったんですが、山本参考人に何かお考えがあればお聞きをしたいんですが。

参考人(山本和彦君)

 この点、これは非常に難しい問題で、柴垣参考人がおっしゃるように、ADRの実効性の成否を左右する問題だと思います。

 業界型ADRの関係においては金融関係のADRでそのモデルルールというのを作りまして、これについては、その業界に所属している企業はそのADRについての応諾義務を負うと、そして正当な理由がないにもかかわらずそのADRに応じなかった場合にはその業者名を公表すると、公表する場合があるというような規律を設けまして、これはその業界団体がやっている、自分たちのところがやっているところだからそういう義務を負わされてもしようがないということが一つあったんだと思いますね。

 それから、先ほど韓国のお話が出ましたが、行政型ADRにおいてはしばしばそういうことをしている、ほかの国にもそういうのは例はあると思います。それは、やはり一種の国家権力の行使としてそういう応諾、これは調停も応諾義務というのは、出てくる義務というのは認められておりますのでそういうことはあり得るんだろうと思いますが、民間型ADRでそこまで強制することができるのかどうかというのは、これはいろいろな副作用とかも考えてみなければならない問題だろうと思いますが、今後の課題であることは間違いないと思います。

井上哲士君

 次に、吉岡参考人にお聞きをします。

 労働分野においてこの民間型のADRを立ち上げていくような果たして必要があるんだろうかという議論があるかと思うんですね。行政型の機関もいろいろ充実をされ、そして労働審判制も作られ、立ち上げの準備がされているという下で、この分野を外したらいいんではないかというような議論もあったかと思うんですが、その点でお考えをお聞きしたいと思います。

参考人(吉岡桂輔君)

 労働分野の事案も実は弁護士会の仲裁センターにもかなりの件数がかかってきております。例えば賃金が払われないとかあるいは退職金が払われない、それから特に退職金の関係ですと、例えば株式会社だといわゆる役員の方で退職して株主総会の決議がない、それでも求めたいというようなときにはなかなか裁判には訴えにくいんですけど、そういうケースが来たりとか、そういうこともあります。ですから、事案によってやはり有効な分野もあろうかと思いますので、一律に労働分野を外すというようなことはちょっと行き過ぎかなという感じはしております。

井上哲士君

 そういう御意見の中には、例えば非常にやっぱり労働紛争の場合に、そういう事案もありますが、多くが解雇とかそういう関係になりますと、いわゆる判例法理の積み重ねがあるじゃないかと、これに外れたような解決がされるんじゃないかと、こういう懸念の声もあるわけですが、これについて、この法律の手当てとの関係ではどのようにお考えでしょうか。

参考人(吉岡桂輔君)

 おっしゃるとおりの、失礼しました、おっしゃるとおりのいろんなこれまでの積み重ねられた判例であるとか、そういうものはもちろん外してはいけないと思いますね。ですから、できるADRのやはりその主宰者を含めて、その中身の問題はやはりきちんとしていかなくてはいけないだろうというふうに思います。いやしくもそういう今までの労働者保護の精神が踏みにじられるというようなことがあってはいけないと、こういうふうに思っております。

井上哲士君

 次に、柴垣参考人にお聞きをいたしますが、非常に強弱の力の差があるところについてのいろんな懸念もお話があったわけですが、その点でも非常に説明義務の中身というのが大変大事だと思っています。消費生活の関係でもこの分野でのトラブルが多いわけですが、そういうところの相談を受けるそのADRでその説明義務が十分でないというトラブルもまた起きるということになりかねないと思うんですが、法案の中では一連の手続についての説明ということなだけで、これから中身がいろいろ詰められていくと思うんですが、そういう消費生活、消費相談などにもかかわってきた御経験からいいますと、このADRにおける説明義務の中身については何が必須、ここまでが必要だというのはいかがでしょうか。

参考人(柴垣雅子君)

 まだ私たちの団体で検討、この中身についてまでの検討はしていないんですけれども、やはり一番最初に申し出た相談の方が自分の問題を解決する方策をずっと探っていく中で、こういうときにはこういう、今は、最初はこういう状況です、次にそれでこういうふうな状況になったらこういうふうになりますよとかという、その問題を解決する、解決できるまでの手続といいますか、自分が今、自分の状況がどこに置かれているかというようなことをやっぱりきちんと説明できないと、消費者の方にとっては本当に自分の問題が解決できるんだろうかどうなんだろうかというやっぱり危惧があると思うんですね。ですから、その辺の一連の解決に至る道筋、それとその場その場でその方が置かれている状況、それから見通しなどについてはきちんと説明すべきだというふうに思っております。

井上哲士君

 最後、もう一点、山本参考人にお聞きしますが、いろんな論文など読ませていただきますと、このADRの発展のためにADRセンターのようなものを立ち上げるべきだということを何か所かで御提言をされているかと思うんですが、その具体的中身、そしてその必要性など、もう少し詳しくいただければと思います。

参考人(山本和彦君)

 本法律においても、三条二項でADR機関間の連携という、連携協力というものが特に重要になって指摘されているところでありますが、私はやはり従来の日本のADR機関はこの点が余り十分ではなかったのではないかというふうに思っております。

 情報、情報公開というか、広報の面においても、あるいは人材育成の面においても、いろんなところでその各機関がそれぞれやっているのでは非常に無駄も多いし、実効的なことにはならないという部分が非常に多いのではないか。そういったような部分を何かまとめて日本のADR全体が協力してできるようなことができないかというふうに思いまして、そのADRセンターというものを提言した。そういう人材育成とか、あるいは情報開示その他の面において全体で協力していくということが望ましいのではないかということです。

井上哲士君

 終わります。


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日、最後の質問ですので、よろしくお願いします。

 これまで余り活用されてこなかった民間型のADRを育てて、国民に迅速、廉価、安心の紛争解決手段を提供していくということは、賛成であります。それを実現をしていく上で、国がこの法案に基づいて認証する上での基本姿勢というのが大変大事になると思うんですね。

 で、自主性、多様性には配慮しつつ、ある程度認証のハードルを高くして、信頼に足るこのADR機関を積み上げていくのか、それとも、ハードルを下げて、そしてたくさん作って、信頼に足るものが淘汰をされていくと、こういう道を選ぶのか。法案はどう考えておるのか。まず、法務大臣にお伺いをいたします。

国務大臣(南野知惠子君)

 先生御質問でございます。

 本法律案におきましては、民間ADRについて、業務の適正性を確保するための一定の基準に適合していることについての認証制度、それを導入いたしております。認証の基準は、業務の適正性を確保する観点から必要とされる最低限のものとしており、これによりまして、利用者にとって信頼するに足りる選択の目安が提供されますとともに、併せてADR事業者の創意工夫による利用者の選択肢の拡充も期待できるものと考えております。

井上哲士君

 どっちなのかということなんですね。こういうことをお聞きしますのは、衆議院での答弁を見ておりますと、これは山崎さんの答弁ですけれども、乱立をした場合は市場原理にある程度任せると、こういう答弁があります。この淘汰される期間中に国民が不公正なADR機関の被害を受けるようなことになったらそれ自体が大変ですし、また、そういう不公正なADR機関などがある程度ありますと、それがまた国民の信頼を傷付けて、この法案が目的としているこの拡充ということにも反するということになると思うんですね。

 認証を任意にしたわけですから、そこで自主性、多様性の確保に配慮をしたということでいいますと、認証に受ける者については、これはやっぱり中立公正という点については厳格に審査をして、やっぱり国が認証したものは信頼できると、こういう目安として大きく広がるという考え方に立つべきだと思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 ただいま委員から御指摘がございましたけれども、これは二つの要請を同時に満たすということを考えておるわけでございまして、やはり多様性、それから国民がこれを利用していただくという意味からは、そこはある程度自由にはしなければならないということになるわけでございますけれども、ただ、それではいろんな問題が生じかねませんので、やはりきちっと備えるべきものは、最低限のものはきちっと備えていただくということでございまして、そのチェック項目を十六掲げたわけでございます。

 したがいまして、最低限のものでございますから、これを満たすかどうかというのはやっぱり厳しく見ていくということになろうかと思います。厳しく見て、それをクリアした者については活動は御自由にと、こういうことでございます。その中でもいろいろな競争が起こるということになろうかと思いますが、それはもう市場の原理だろうと、こういうことでございます。

井上哲士君

 厳しく見ていくと、こういう答弁でありました。

 そこで、この認証の中身が非常に大事になってきますので、具体的にお聞きします。

 まず、朝からも何度か議論になっています六条の第三号の問題ですが、手続実施者の選任について、手続実施者が紛争当事者と利害関係を有する場合の排除規定を置くということになっております。

 これも衆議院の答弁を見ておりますと、この利害関係については、裁判官などの忌避事由などを念頭に置いているということもあるわけですが、具体的に認証する場合には申請者にどの程度の具体的な表現を求めるのか、ある程度列挙するのか、その場合どんなものが書かせるのか。これ、いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 基本的に、裁判のルールで除斥とか忌避ですね、これ書かれておりますけれども、その辺のところはクリアしてほしいというふうに思います。

 それ以外に、この世界でありますと、やっぱり取引、過去に取引を通じて関係があったとか、あるいはその業務、業務の委託をした、あるいは受託をしたとか、そういうような関係にあるとか、そういうところについてもきちっとチェックをしていかなければ、その関係で不公正な手続が行われる可能性がないわけではございませんので、そういう点もきちっと定めてもらうということでございます。

井上哲士君

 そういう具体的なことについても列挙をさせると、こういうことでいいんですかね。

政府参考人(山崎潮君)

 これは、やっぱり具体的にある程度理解できる程度に書いてもらわなければ、抽象的に書けばそれは一体何を言っているのかということが分かりませんので、ある程度具体的にちゃんと書いてもらうということでございます。

井上哲士君

 次に、第四号についてお聞きをします。

 申請者の実質的な支配者、子会社などを紛争の当事者とする紛争について、手続実施者に不当な影響を及ぼすことを排除する規定を設けると、ことを求めているわけですが、この四号の目的というのはどういうことなんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 この目的でございますけれども、やはりこの紛争解決事業者ですね、これに対していろいろな実質的な支配、支配力を持っている者、あるいはその紛争解決業者が支配力を持っている、そういうところの団体ですね、そういうところについての手続をこの中で行うということになりますと、ある種、双方代理的な話にもなってくるわけでございまして、公正な手続の担保をすることがなかなか難しいということから、そういうような場合には、そういう影響力がないようなシステムをきちっと持っていると、こういうことを問うているわけでございます。

井上哲士君

 そうしますと、午前中の質疑で業界団体がADRを立ち上げるということも可能だということを言われていましたが、そういう場合はこの四号の対象になると、こういうことで理解していいんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 通常は、そのままストレートであればその影響力を及ぼすということになりますので、そういう場合にはその及ばないような措置をきちっと設けると、こういうことになって、対象になり得るということでございます。

井上哲士君

 対象になり得るということでありました。

 そうしますと、業界団体としては作ってなくても、例えばエアコンを作っているA、B、C、D、四社があって、それぞれが出資をしてエアコンに関する紛争を扱うADRを作ると、こういう場合はこの四号の対象になるでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 それも、それぞれがみんな利害を抱えているわけでございますので、基本的には一対一の場合とそれは同じ考え方だろうというふうに思います。

井上哲士君

 ちょっとよく分からない。一対一と同じ考え方で、この四号の対象になるという理解でいいんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 四号の対象になると思います。

井上哲士君

 分かりました。

 そうしますと、こういう排除規定、三号、四号もあるわけですけれども、実際、運用は認証後のADRに任せ切りということになりますと絵にかいたもちになりかねないわけで、これどう担保をすることになっているでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 これは、手続実施者ですね、手続の実施者がどういうような扱いをしていくかというところに懸かってくるわけでございますので、そこの手続実施者について、そこに不当な影響を及ぼすことのないような、そういう措置をしている必要があるということでございますので、具体的に言えば、例えば公正中立な弁護士が手続実施者になるという、弁護士に限らなくても公正中立な者ということでございますね。それからもう一つは、考え方は、独立した、調停委員会等の独立した権限を持って、その委員会で独自の行動をすると、要するにその組織全体からの影響を排除するような手続をきちっと持っていると、そういうようなことですね。そういうものを設けているということ、そういうようなシステムがきちっとできていることということでございます。

井上哲士君

 この基準に基づいて不公正な運用がなされないような厳格な仕組みとかが、と同時に、やはり利用者がある程度結果を予見できるような情報開示が非常に大事だと思いますし、参考人からもそういう御意見がありました。

 このADRのメリットの一つに非公開性というのがあるわけですけれども、公正性を確保するためにはやはりある程度の透明性が必要だと思うんですね。例えば、事業者対消費者など非常に力関係の違いがある場合に、個人情報とかプライバシーは保護をした上で、この機関が、大体こういうような紛争が持ち込まれて、そしてこういうふうな解決をしてきたという、そういう結果などもプライバシー保護をした上で開示をさせていくということが非常に大事だと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 これは運用にかかわる問題でございますので私の方から答えさせていただきますが、一般論といたしまして、このADRについては様々な、プライバシーの問題ですとか業務上の秘密の問題ですとかございますので、そういう他人に秘匿しておかなきゃならない性質の情報ということには配慮しなきゃならないとは思いますが、ただいま委員から御指摘のありましたような、一般的に、抽象的に、どのような事件を扱っており、どのような傾向でこのADR機関としては業務を処理しようとしているのかというようなことは、これは利用者側からとりましては大変重要な情報でもございますので、そのような、統計的といいますか、客観的なデータということをADR機関の方が開示されるということは望ましいものだというふうに考えております。

 この法律には、十一条二項で必要な情報について開示を義務付けるという仕組みがございます。また、三十一条には法務大臣の方で必要な情報を公表の対象とするということがございますが、これらについては今後具体的に法務省令で定めるものですから、その際に今おっしゃったようなことを念頭に置きまして検討してまいりたいと、このように考えております。

井上哲士君

 ADR拡充・活性化のための関係機関等の連携強化に関するアクション・プランというのを調査室の資料でもいただいていますけれども、この中でも解決結果に関する情報の的確な提供の促進というのが非常に強調されているんですね。「国民が適切な紛争解決手段を主体的に選択できるようにするために」「各ADR機関が、利用者の個人情報や事業者のノウハウ等保護すべき情報に配慮しつつ、解決結果に関する情報を適切に提供することができる環境を整備する。」ということが強調もされておりまして、これ、各省が、法務省も参加をしておりますけれども、具体的な施策として速やかに検討開始ということになっているわけですが、これは既に、あれですかね、行政型ADRなどについてはこういう方向で具体化がされていると、こういう認識でよろしいでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 アクションプランでは確かにそのような取りまとめがされているわけでございますけれども、現時点でまだその成果物が出てくるという、その共通の成果物が出てくるということではなくて、それぞれのADR機関でそういう努力をしてもらうと、こういうことで今周知を図っているというところでございます。

井上哲士君

 その上でちょっと先ほどの答弁に返るわけですが、さっきのでいいますと、十一条二項の義務付けなどの項目にこういうことも入れていくことも検討すると、こういうことでよろしいでしょうか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 検討の対象にすると、そのようなことでございます。

井上哲士君

 これは是非お願いをしたいし、そのことがやはりADR機関の信頼を持った発展ということにつながっていくと思いますので、是非お願いしたいと思います。

 次に、六条の第五号の問題ですが、いわゆる弁護士の助言が受けることができるようにするための措置ということを定めていますが、これは確認ですけれども、朝からマニュアルの作成ということが言われていますが、これを作成するということがこの措置の中身に入るんだと、こういう理解でよろしいでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 客観性を出すためにこういうようなマニュアル等の基準を定めているということがその中の措置に入るという理解でございます。

 なお、ちょっと、先ほどの答弁で若干ちょっと足りないところがございますけれども、ちょっとよろしゅうございましょうか。

 六条の四号の実質的支配者のところで、先ほど大ざっぱな形では答弁させていただきましたけれども、この条文の中に括弧内にいろいろ書かれておりますので、例えば省令等で出資比率がどのぐらいとか持ち株がどのぐらいとかいうことで一定の基準を作るということでございまして、全部が全部そういう関係があるから駄目ということではない、そういうような基準はきちっと定めていくということでございます。例えば一〇〇%出資しているとか、そういうことになれば当然対象になり得ると思いますけれども、その持分の比率ですね、これが少ない場合には対象外ということもあり得るということでございます。

井上哲士君

 そうしますと、今の答弁にまた戻りますが、例えば四つの会社が均等に出資をしているというような場合は対象外になると、こういうことなんでしょうか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 この四条の括弧書きごらんいただきますと、いろんな形でこれが問題になりまして、トータルとしては実質的支配者ということでございますので、その一つとして例えば持ち株比率が問題になるわけなんで、先ほどおっしゃいましたような業界団体が、失礼、業界の加盟社が幾つか寄って一つのグループを作って、そこで申請人を出すというようなときにどういう扱いをするかということは、これは今後検討させていただきたいというふうに思いますが、一般論としてそういう問題もこの中に含まれるということは確かでございます。

井上哲士君

 先ほどの答弁では、そういう業界団体が立ち上げた場合には四号の対象になるんだという答弁だったと思うんですが、今のはちょっと、検討という、どっちなんですか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 私の理解は、山崎事務局長の答弁は、そういう問題が性質上ここに問題として取り上げられるカテゴリーに入るということでございまして、集まれば必ずこれに、実質的支配者に当たるということを答弁したのではないというふうに理解しておりまして、私が申し上げましたように、それは、じゃどの程度ならここに入るかということは今後検討させていただくと、こういうことで、省令で定めさせていただくと、こういう意味でございます。

井上哲士君

 朝の参考人でも、消費者団体の方などからありましたように、やはり業界団体が立ち上げて、いろんな業界あると思うんですけれども、やっぱり業界ぐるみでいろんな消費者とのトラブルなんかを抑え込もうというようなことが心配されるようなやっぱり業界もあるわけですね。

 ですから、私は、ここはそういうことがないように、先ほどもありましたように、この条項の趣旨が公正な手段を確保するためだということからいいますと、やっぱりそういうやり方がないようなことにするということがADRの発展にもつながるわけですから、そこは是非厳格にやっていただきたいと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

政府参考人(寺田逸郎君)

 ここは、条文にもありますとおり、あくまでも実質的な支配者ということでございますので、おっしゃるとおり、その厳格にという意味は、実質的にそれを支配するかどうかということを厳格に考えるということではなくて広めに考えろという意味だというふうに理解いたしましたけれども、十分にその点は諸般の情勢を考慮して扱いたいというふうに思っております。

井上哲士君

 是非、消費者や利用者の不安を十分に考慮してやるようにお願いをしたいと思います。

 行ったり来たりしてあれなんですが、そうしますと、このマニュアルが措置の対象になるかどうかということ、もう一回確認で、よろしいですか。

政府参考人(山崎潮君)

 このマニュアルの作成はこの措置の中に入ります。それは、手続実施者が個々の事件に関して自らの判断で必要がある必要がないということになるとばらつきがかなり出てくるわけでございますので、そこを客観的に担保するためにこういうものの作成を求めると、こういうことでございます。

井上哲士君

 その際には、そういうものがあるというだけじゃなくて、その中身についてもチェックをすると。取り扱ういろんな紛争によって求められるべき判断も違うかと思うんですが、そういうことも一つ一つきちっと中身も含めてチェックをすると、こういうことでよろしいですか。

政府参考人(山崎潮君)

 やはり、どういう場合に弁護士の助言を受けるかという点については、余り粗っぽいものとか、ある助言を受ける場合が非常に例が少ないとかいうことになれば、それはきちっと指導をして、そういうことではならないということで、ある程度最低限のものはきちっとマニュアルとして用意をしていただくということにせざるを得ないと思います。

井上哲士君

 次に、先ほどもありました手続をやめる際の問題についてお聞きをいたします。

 特に、事業者と消費者とか、使用者と労働者とか、構造的に力の格差がある当事者間の紛争解決の場合は、この点が非常に大事になってくると思うんですね。例えば、事前に約款などに紛争があればこのADRで解決するということが書き込まれていた場合に、当事者が言わばその席に着くことなく他の解決手段を最初から選択をすると、こういうことは可能でしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 これは、一応約款に入っていても、最終的にはこのADRで任意な、自主性を持って話合いをして合意をするということでございますので、そこについては最終的にそこのADRに出頭をしないで別のところだと言っても、それは自由であるというふうに考えております。

井上哲士君

 そうしますと、自由だということなんですが、六条の十二項では、紛争当事者が民間紛争解決手続を終了させるための要件及び方式を定めていることとありますが、要件と言われますと、何か当事者がこの手続をやめる際に理由を示す必要があるのかとも取れるわけですが、そのような条件が付くということなんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 手続離脱の自由がございますので、これは別に理由は要らない、出席しなければそれでもう終わるということになろうかと思います。ただ、たまたま何かの事情があって出席しないということじゃなくて、もう理由もなく出席をしないという場合ですね。それから、自分はやめますというときに、何でやめますと言うことは必要ないということでございます。

井上哲士君

 理由は必要ないということですが、実際にはADRで相談をしている途中に、やっぱりこれはいい結果が出そうにないということで裁判にしようと思っても、何か自分からADRでの解決を拒否をしたらそのこと自体が裁判などで不利になるんじゃないかと、こういうおそれからずるずると行くというケースもやはり消費者の方の中あると思うんですね。こういう自ら手続をやめるといった場合に、そのこと自体が裁判で不利になるというようなことはないということでよろしいですか。

政府参考人(山崎潮君)

 それは、結論を左右することはないと考えております。

井上哲士君

 今の理由なくその手続を中止をできること、それから必要な場合は弁護士の助言を受けることができること等々は、これは第十四条で規定する説明義務の事項のうちに「認証紛争解決手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続の進行」というのがありますけれども、これに入るのか。で、今の二点以外に典型的にここに入るものといえばどういうことがあるのか。その点、いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 今御指摘いただいた点については基本的にこの説明の中に入ると、説明義務の中に入るというふうに理解をしております。それ以外に、これ、裁判と同じでございますので、その手続が開始してから終わるまでのある程度イメージがわくようなその手続について説明をすると。それから、先ほども申し上げましたかもしれませんけれども、それだけではなくて、どのぐらいの費用が掛かるかとか、あるいはどのぐらいの期間が掛かるかとか、そういう点についても情報はきちっと説明をして、当事者がここに手続をゆだねるかどうか、その判断に資するような、そういうものについては説明をしていただくと、こういうことでございます。

井上哲士君

 最初に言いました、例えば約款に書き込まれていたということがあった場合などに、今一応手続的には説明をするということなんですけれども、実際上は力関係に差がありますとなかなか拒否ができないということもあって、事実上強制されてこういう和解に至るというようなことの場合に、約款に書いてあったんだからやっぱりやめれないと思ったということで例えば錯誤などの主張で取り消すと、これは可能でしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 ちょっと具体的な事案にもよるわけでございますけれども、その内容がその合意に、合意の成立に影響を与えるような錯誤をもたらすというようなことでの民法上の無効原因になるということでございますし、またいろいろ脅かされてそれで最終的に和解をせざるを得なかったということになれば取消しというようなことにもなるわけでございますので、そこは民法上のその効力をどのように考えるかというところで決まってくるということでございます。

井上哲士君

 次に、労働紛争を扱うことについて何点かお聞きをしますけれども、この間、個別労働紛争の解決のために労働審判制度も作られまして、今審判員の選任だとか準備が進められておりますし、労働委員会の制度改善も随分積み重ねてきたということになっているわけで、しかも労働紛争については司法の場で随分いろんな判例が積み重ねられているということがあります。

 こういう、ある程度有効に活用されている、活用される機関が用意をされていますし、しかも新しい労働審判制度が立ち上がっていくというところですから、この分野であえてこういう民間ADRなどを作っていくという必要性が果たしてあるんだろうかと思うんですが、この点はどうお考えでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 確かに、行政型のADRが労働関係でもございます。それから、労働委員会の方でも委嘱を受ければできるということになっておるようでございます。それから、当然、今度労働審判制度も設けたわけでございまして、様々な解決制度を設けているわけでございます。これについて、そこは利用していただくということにいたしまして、じゃ、それ以外のジャンルで民間で行う労働紛争の解決のADR、これのニーズが全くないかということになりますとそうでもないだろうということでございまして、今後そういうことを計画をしてやっていくと、そういう範囲もあろうかというふうに思いますので、それをあえてこのジャンルだけを除くとかどのジャンルを除くということにしませんで、今後世の中がどういうふうに変わっていくか分からないわけでございますので、そういう点も踏まえまして、あえてこの部分を除外するとか、そういう政策は取らなかったということでございます。

井上哲士君

 世の中どういうふうに変わっていくか分からないということでありますが、そうしますと、現時点でこの分野であえて民間型のADRなどを立ち上げていくような特段のニーズは把握をしていないと、こういうことでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 いえ、私、個別に、本当に具体的にと言われていれば、聞いておりません。

井上哲士君

 まあ、この法案全体そうなんですけれども、どうなるか分からないという部分が非常に多くて審議もしにくいところがあるんですが、私は、現段階でこういう具体的なニーズというのが把握をされていないことになりますと、いろんな知恵を集めてこの労働審判制も新たに立ち上げていくという中ですから、むしろそういうものの発展ということに大いに力も割いていくということが必要かと思うんですが、そういうところと、仮に今後立ち上がるとすれば、そういう民間ADRというのはどういう関係になっていくわけでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 私、先ほど具体的にはというふうに申し上げましたけれども、個別具体的にはと申し上げましたけれども、そういうような予定もあるという、そういう点は聞いてはおります。ただ、具体的に、本当に個別にそのとおりになるかどうかということではないということでございます。

 それから、労働審判との関係でございますけれども、これは、労働審判はもう最終的には裁判で解決をしていこうというようなその前の前裁きのような事件が中心になっていくんだろうというふうに思われます。そういう点で、そこまで至らないもう少し少額のいろんな紛争等を、これを迅速に解決してほしいという要望もあるわけでございますので、そこはその民間型ADR、労働のADRと、それから労働審判、これの使い分けをしていってほしいと。労働審判は労働審判できちっとした対応をしてこれから立ち上げることになりますけれども、なかなか裁判所には行きたくないと、労働審判でも裁判所ですから、そういう方が結構おられるわけですね。そういうニーズにこたえるために、こういうようなジャンルでも必要性があるということでございます。

井上哲士君

 今年の五月に労働弁護団がADRについての意見書を出しておりますが、労働弁護団などは、この範囲に労働紛争を含めるべきでないという意見を言われております。

 この理由について、労働紛争の主な紛争形態は労働契約の終了、それから労働条件の変更に関することだと。その上で、改正労基法の十八条の二に、解雇権の濫用が条文上明定されたものの、労働契約法が存在しない現状において、その解決基準は判例法理にゆだねられており、かつその判例法理においても合理性、相当性、必要性、濫用性など一般的、抽象的要素の総合考慮によるとせざるを得ず、紛争の適切な解決には高度な労働法の知識と労働紛争実務の経験を要するものであると、これらの資質を欠く者にADR参画を許せば、判例法レベルとはほど遠い安易で妥協的な解決を広げ、労働者全体の権利水準の低下を招く危険があると、こういう指摘をされております。

 労働分野で非常にこういう判例法理の積み重ねがあるわけですけれども、そういう、将来できるとすれば、そういう民間のADR機関の解決とこのいわゆる判例法理、この乖離というのはどういう関係になっていくんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 確かにおっしゃるとおり、その身分関係に伴う法理というのは法律上具体的に書いてあるわけではございませんので、判例法理でかなり積み上げられているというのはそのとおりでございます。したがいまして、ここの判例の考え方、これが十分に分かっていなければならないということが当然前提になろうかというふうに思っております。

 したがいまして、この労働関係でADRも設けるとした場合には、やはりその辺の非常に高度な専門的な知識を要する分野でございますので、その事件の大きさにもよるわけでございます、それから軽重にもよるかもしれませんけれども、基本的には、そういう点についてはやっぱり弁護士の助言を得てその上で解決をしていくということにしないと、相当トラブルが発生するおそれもあるということでございますので、特にこの関係でそのいろいろなマニュアル等を作られる場合には慎重を要するだろうということでございます。

 いずれにしましても、判例の流れがほぼ固まっているところに、それと全然違うような解決、それが非常に相当でないというような状況とか、あるいは場合によってはそれは公序に反するというようなものも出てくる可能性もあるわけでございますので、そういうことのないようにしていくようなシステムをここの中でも持っているということで御理解を賜りたいというふうに思います。

井上哲士君

 そうすると、確認ですけれども、先ほどのあった弁護士に助言を求める場合のマニュアルなどで、法令そのものだけではなくて、そういう積み上げられた判例法理などについてもそういう助言などを求めるというふうなことが明記をされていくと、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 具体的にどの程度書くかという問題はございますけれども、基本的な内容としては、その法律の中に具体的に余り書き込まれていなくて判例法理で決まっていくというジャンルについては、やはりその判例の流れとかそういう考え方、これが基本になっていくわけですから、全体としてはやっぱり法律の解釈とあるいはその適用という問題になってくるわけでございますので、これはもうその弁護士の助言の対象になっていくと、こういうことでございますので、そこのところはきちっとしたマニュアルを作成してもらいたいというふうに思っております。

井上哲士君

 この分野は、非常にそういう判例法理の問題、それから複雑な問題も多いわけですので、是非認証に当たっては、先ほど来言われ、ありましたように、こういうものがきちっと守られるように慎重にお願いをしたいと思います。

 最後に、このADRが本当にきちっと広がっていくかどうかについては、紛争当事者にそれぞれ、(発言する者あり)あの、今日の最後ですね、一番合った解決手段をどう示していくのかという、非常に大事だと思うんですね。この紛争は最初から司法で争った方がいいのか、それともADRにおいて和解を試みるのがいいのか、それも行政型がいいのか民間型がいいのか、適切な誘導というのは非常に大事だと思うんですけれども、その点で、今準備、立ち上げ、法律も通って立ち上げつつあるその司法ネットがその点でどういう役割を果たしていくとお考えなのか、その点お願いします。

政府参考人(寺田逸郎君)

 御指摘のとおり、日本司法支援センターを中心といたしまして、総合法律支援の体制を作るということが現在準備されておりまして、平成十八年の春に支援センターを立ち上げ、その年のまあ秋ごろに多分活動が開始されるだろうということを見込んで様々な準備活動を行っているところでございます。

 元々、司法ネットというふうに呼ばれたことからもお分かりになるように、これはまあ日本司法支援センターだけで行えることではありませんで、様々な機関、裁判所を中心とする司法機関ももちろんでありますが、弁護士会、司法書士会その他もございますし、またここのADR機関というのもその重要な一つの役目を担っていただく機関でございます。

 こういう機関が一体どういうことをそれぞれされるかということについて、特にADR機関については民間型のものについて情報が必ずしも現段階では十分でありませんので、司法支援センターの発足前に十分な情報収集を図った上、どのような協力体制を作れるかということを念頭に置いて準備を進めたいと、このように考えているわけでございます。


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