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井上哲士ONLINE
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2005年2月23日(水)

参院経済・産業・雇用に関する調査会
「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」

  • 地域経済の活性化について

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。今日は大変現場に根差したお話をいただきまして、ありがとうございます。

 黒川参考人と藻谷参考人にお聞きするんですが、黒川参考人が言われました東京一極集中ではなくて地域的な連携とかネットワークというお話、大変興味深くお聞きしたんですが、それぞれの地域連携が外国と結び付くという、そのための空港や港湾を整備もしていくということで経済のポテンシャルも上げていくというお話だったんですが、現状でいいますと、例えば大型港湾をそれぞれの自治体が外国貿易で整備をするわけですけれども、それぞれの需要予測は相当高いものがありまして、合計をするともうはるかに何倍もなっちゃうということで、中には釣堀化したりするような現状もあるわけですね。こういうこととの関係をどうお考えかというのが一つと。

 それから、藻谷参考人が経済循環、そして内需型の産業ということを非常に活性化の中心として言われたわけですけれども、そのことと、おっしゃった人々のテリトリーを拡大をするということは、一見ちょっと対立するように聞こえるわけですね。それぞれの人たちが外国の都市との結び付きを広め、観光などを広げることは非常にいいとは思うんですが、それが言わば経済のポテンシャルにつながるということと、言われたような内需型産業の拡大ということとどう関係をお考えかということです。

 それから最後、藻谷参考人なんですけれども、このA市とB市の比較、大変面白く見たんですが、A市の場合に、そういう非常に大手の企業が活発であっても市街地の活性に結び付いていないという原因は解説もしてあるんですが、B市がなぜこういうふうに市街地が活性化しているのか。それぞれやっぱりこういうのはケース・バイ・ケースで、いろんな個別的な具体策があったんだと思うんですね。我々、商店街などでもよく、今はもう車がないと駄目なんで商店街のそばに駐車場、何とか作れないかとか、こんないろんなお話も聞くわけですけれども、ここなどはそういう対策を取っておらないようですし、何がこのB市の場合は具体的なポイントになっているのか、是非教えていただきたいと思います。

 以上です。

会長(広中和歌子君)

 それでは、黒川参考人、お願いします。

参考人(黒川和美君)

 今、井上委員が言われたこと、今、日本の港湾というのは、どちらかというとロサンゼルスと中国の港湾の間でスルーされてしまって、通っていってくれなくて、必死になってそれなりに効率的な港湾を造って、安くサービスを提供して寄ってもらおうと考えているんですが、この種の議論というのは、基本的にどちらかというとコンテナ輸送の世界になっていまして、私がイメージしていたりするというか、今日議論している、いろんな意味で人々が出入りする環境をオープンにするというのは、もう少し、何というんですか、ばら積みで構わなくて、東シナ海と簡単に日本が行き来できるようなイメージをしています。

 そのことでいうと、大きな港湾だけが国際港湾になっていて、コンテナ輸送をベースにしてだけ議論をしているという、そういう港湾輸送のケースはとても重要で、それはそれで国策として考えなければいけない部分があると私は思っていますけれども、どちらかというと、我が国は国の国土がリニアになっていて高速道路も整備されていますから、入口、どこから入ってもというか、港湾の窓口がたくさんあって、小さい港湾がたくさんあって、物すごく効率的な港湾はないんだけれども、どことも立ち向かいやすい環境にある。

 この環境を有効に使っていいのではないかというふうに考えましたということで、今の国策でやっていることはやっていることなんだけれども、取り残されていっているほかのたくさんある港湾をもっとうまく使う方法がありやしませんかというロジックで、小規模で構わない。飛行場も今はだんだん大規模で、三千メートル滑走路という議論をしていますけれども、二千メートル、二千五百メートルぐらいで、百人乗りぐらいで簡単にもっと近いところと行き来できるような国際路線を作ることは可能ではないかというふうに思っているわけです。

 それからもう一つの議論というか、僕は都市間の連携の話をしましたけれども、都市間の連携というのははっきり言って競争モデルですから、すごい厳しい環境を地域の人に与えるんですね。つまり、当然のこととして二つの地域が相互に同じマーケットの中にほうり込まれるわけですから、つまり片っ方は負けるかもしれないと思う競争環境の中で、何というか、激しい関係を作ることができて、これがその広域連携の見えないインセンティブというか、モチベーションを作り出しているというふうに考えています。これは、競争モデルで全体がそういう緊張感のある環境になることで、地域が置かれることでポテンシャルが上がるというロジックとして理解していただければ有り難いと思います。

 そのプロセスで、当然のこととして失敗して撤退するところが出てきます。出てきても、その撤退したところで働いていた人たちはより強かった事業者の方に吸収されるというふうに考えていて、雇用問題が発生するとも考えていません。より強い競争力のある事業体が残るように、常に、何というか、参入、退出が起こるメカニズムでエリアの中で激しい競争ができる、しかも、我々の日常生活に密着したところで消費需要が生まれてそういうことが起きることをどうしたらいいかというふうに考えていますということです。

会長(広中和歌子君)

 どうもありがとうございました。

 それでは、藻谷参考人、お願いいたします。

参考人(藻谷浩介君)

 二つ御質問をいただきました。

 まず最初の、そういう正に世界的な交流基盤の促進による交流活性化というのと内発型のコミュニティービジネスは何の関係があるのか。

 多くの世界的大企業は最初はコミュニティービジネスです。ウォルマートも八百屋でした。ただ、お聞きになっているのはそういうことじゃないと思います。コミュニティービジネスがコミュニティービジネスのまま、その世界と交流することに意味があるのかということだと思いますので、そこでお答えいたしますと、二つあると思います。

 一つは、コミュニティービジネスであればあるこそ、東京ではない、世界やほかのローカルなところとの経営ノウハウの交換に意義があります。

 例えば、先般、こちらで、国交省さんお借りして、自発的に新潟・兵庫観光カリスマ会議なるものをやらせていただきました。私、今委員をやっておりまして支援させていただいたんですが、そこでは城崎だとか新潟の村上といった人たちが集まって具体的にどうやって震災対策をやったかというノウハウの交換をしたわけですが、これ東京の人に聞いても分かんないことが非常にもう直接分かります。そして、彼らは、事実お互いに城崎と村上でのところを行き来しています。

 実は、東京の人は気が付かないんですけれども、地方の勉強している人は大変よく相互に移動しています。由布院、さっきちょっと全体としてはと申し上げましたが、優れた事業者の方は、これほど全国行っている方はいらっしゃらないと思います。そういうふうに、実はアジアにも優れたノウハウが一杯ありまして、そういう人たちは日常的に交流する中から意図的にお金を掛けて交流するのを投資としてやっていて、ビジネスチャンスをつかんでいきます。東京に座ってマスコミだけを見ている大企業の方がむしろ圧倒的にそういうことにお金を使っていません。ですから、現実に近年の交通基盤の整備はそういう方々には大きく進展をさせていると思います。

 市場拡大なんですけれども、こういう例がございました。先般、福岡である小さい町づくりコンサルと話をしていたら、中国で五十五ヘクタール、五十五平方キロの大規模開発のコンペに勝ってしまったと。もう町の小さい、女性、私より若い女性のやっているコンサルです。どうしましょうと、だけど今からやるしかないわと言っていたら、地元の大手企業の社長なんかと、これこれ、ああだこうだと相談していまして、そこに教授も加わって産学連携やっていたんですけれども。

 西の方に行きますと、余りにも中国が近いもので具体的にそういうビジネスチャンスというのが起きています。実はしかし、上海が九州が近いったって、東京からも近いんですよ。アメリカとかシンガポールから比べれば全然近いわけでありまして、同じように東日本もそういうことは本来享受できるはずであります。今の場合、その五十五ヘクタールの開発をしたからといって、やっぱり町の小さいコンサルであることには変わりないと思うんです。コミュニティービジネスのまま、そういうふうにチャンスが広がるというケースがあるということです。

 同じように、野菜を例えばいきなり外国に売っている例、飛騨古川に台湾の人たちが年間百数十人視察に来ている例、それから、先ほどのニセコにオーストラリアの方がたくさんコンドミニアムを今建てているという例、いずれも東京の人が気が付かないところで非常にしっかりとした交流が起きています。

 さて、B市繁栄の理由について短く申し上げます。

 これは特殊要因であります。ですが、一つ環境面で一つだけ申し上げると、山が迫っていて田んぼが極めて少ないために、近年の農業不振による田んぼの開発という、どこでも起きていることがやりにくい。それほど田んぼがないということが非常に恵まれています。ただし、車の普及率はA市とB市はほとんど同じということについて申し上げておきます。A市は市内に無料止め放題駐車場が一杯ありますが、全く活性化していません。B市は何とすべて有料駐車場で、かつ自走式もほとんどありません。タワーが圧倒的に主流ですが、活性化しています。鉄道利用者はA市がB市の八倍あります、駅の利用者。よろしいですか。Aの方が八倍なんですよ。ですから、交通条件ではありません。

 違いは、商店街が全国にまれに見るほど、本当にこんな人たちがいるかというぐらい努力している極めて珍しい例です、Bはですね。商店として努力しているのは当たり前ですが、コミュニティーの核として努力しています。

 加えて、実は地権者の方が目に見える形で町づくりをやっています。町の中にコーヒー店があるというのがありました。あれは家賃をかなり安くしないと入りません。実は、非常に全体として家賃高いんですけれども、相手によって柔軟に下げて、いろんなものを入れることによって集客を増やすという、ショッピングセンターのノウハウをローカルビジネスが導入してショッピングセンターに対抗しています。同じ武器を使って闘っている。ほとんどの町が逆にうまくいかないのは、地権者がそのようなノウハウ研さんをしていないからです。ある意味、商店主がやる気がないのは地権者がやる気があれば入れ替えることができます。ですが、地権者がやる気がない場合、入れ替えるのは極めて困難です。実は、市街地問題は地権者問題です。そのことを非常によく示しているのがB市だと私は思っております。


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