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2005年3月2日(水)

参院経済・産業・雇用に関する調査会
「日本経済の国際競争力の強化」について

  • 日本経済の国際競争力の強化について

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。今日は、お二人の参考人、ありがとうございます。

 まず、岸本参考人にお伺いをします。

 日本の国際競争力、とりわけ技術力を考える上で、非常に日本独特と言われます重層下請構造とか系列というのは大変特徴だと思うんです。最近、大手の自動車会社の比較をするものを読む機会があったんですが、言わば目先のコストを優先をして系列を切り捨てるようなやり方が技術力や品質という点で中長期的にはいかがなものだろうかというような指摘もありまして、その中で自動車産業の付加価値の七割は部品だというような指摘もありました。そういう点で、国際競争力、技術力という角度から、そういう電子工学の分野でこういう言わば系列とか下請との関係がどうなっていて、どうあるべきか、お考えか、これをお聞きしたいと思います。

 それから、後藤参考人になんですが、ちょっと先ほどのお話と離れて恐縮なんですが、事前に調査室から「財政と金融の境界」、「小泉改革、切り分け明確に」という産経新聞に出た論文を読ませていただいて大変興味深かったのでこれについて聞くんですが、財政改革が実施をされたけれども、その後の状況を見ると、各機関は事実上、国の信用力を背景に容易に市場からの低コストの資金を調達し、資金調達を通じた規律付けが働くようには見えないと、こう指摘をされております。

 私は、今、累積欠損が拡大し続けて実績も芳しくない関西空港などはこの例に当たるのではないかなという気がしているんですが、関空の事業主体である関空会社は、昨年六月にダブルAマイナスの格付を取ったということで大変宣伝しているんですね。やはりこのいただいた資料の三菱総研のを見ておりますと、日本政策投資銀行や日本国債とダブルAマイナスの格付というのは一緒になります。日本政策投資銀行の場合は自己資本率一三・一%ですが、これと一緒ということなわけで、こういう高い格付を得ていることをどうお考えか。

 それとの関係で、この関空の二期事業についてお考えがあればお聞かせいただきたいと。このまま二期事業を続けますと、財務上重大な事態になるということは避けられないと思っているんですが、この資料の中でも、公的組織の倒産処理というのは不可能ではないという指摘もされているわけで、仮にこの関空会社の倒産処理ということを想定した場合にどういうことが考えられるのか、その際の責任というのはどうなるのか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

参考人(岸本正壽君)

 かつての系列とか、それから我々下請というような言葉を使っていた時代、確かにございました。ただ、昨今これ、がらっと変わりつつあるという具合に認識しております。

 先ほど例に出されました自動車等におきましても、もう系列がだんだん崩れてきているということも言えますし、我々の中でも下請という今意識はないということでございます。じゃ、何と言っているかということなんですが、協力会社、いわゆるパートナーという、横文字で失礼ですけれども、パートナーという感覚でやっていこう。ですから、その精神はウイン・ウインだと、お互いに利益が出るようなそういう関係を構築していかないと、なかなか協力関係はうまくいかない。そういう具合に、特に製造業の話なんですけれども、そういうような経営者の認識というのが随分変わってきているというのが私の感じでございます。

参考人(後藤康雄君)

 私のつまらない文章を読んでいただきまして、ありがとうございました。

  〔会長退席、理事辻泰弘君着席〕

 それで、じゃ御質問にお答えいたしますと、そこで私が申し上げたかったことは、別に財政投融資改革、これまで進められてきた努力を、意義を否定するわけでもございませんし、それから今御指摘があった関空なんかも含めた個別の財投機関あるいは政府系機関が実力以上に高い格付を得ていることが、それ自体が駄目と言っているわけではないんですけれども、そこで申し上げたかったのは、マーケットの評価だけですべてを白黒、何か線引きするのはしょせん無理があるんじゃないかということを実は申し上げたかったわけでございまして、例えば関空が本当に政策的な意義で必要あるということが政策レベルで決定されれば、それはマーケットの評価にさらすのではなくて、もう補助金なりなんなりで運営していけばいいと思いますし、あくまでもマーケットでその財投機関債なりを発行して市場に評価させるのは一つのステップ、ステップワンであって、自力では十分に経営ができるかできないかということを評価させる段階だけだという意義しかないと思いますので、個別の格付に関して余りそれ自体がいい悪いということはちょっとすぐには言えないだろうと思います。

 ただ、さはさりながら、やっぱりせっかく今財投改革を進めてきていますので、それをまた元に戻して一からやり直すというよりは、せっかくやっていることをベースにして物事を考えていった方がいいと思いますので、何と申しましょうか、場合によっては、倒産までは行かないにしても、何らかの責任を取らせるということをアナウンスするだけでもマーケットは相当反応すると思います。その責任の取り方というのが、いきなり破産なのか、それとも事業縮小なのか、あるいは利子を払わないという一種の緩やかなデフォルトなのか、それは別といたしまして、多少なりとも出資した側に、その投資した側にその損害が及ぶかもしれないということをちょっとアナウンスするだけでも相当今とは違う規律付けが働くと思いますので、現実にはいきなりその政府からの支援を打ち切って個別の政府系機関を倒産させるというのはもう無理だと思いますけれども、しかし場合によっては利子を払わないとか、それぐらいのことはアナウンスしてもいいのかなというふうに考えております。

 それで、その際の責任というのは、本来論、そもそも論でいえば、やはりこれは財投機関債の場合は政府保証は付いておりませんので、それは自己責任で投資した投資家が責任を負うべき、それが正に財投機関のそのマーケットを通じた規律付けの発想だったと思いますので、取りあえずそういう方向なのかなというふうに考えてございます。


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