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井上哲士ONLINE
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2005年6月7日(火)

参院決算委員会
「政治とカネについて」について

  • 国発注の鋼鉄製橋梁工事の入札談合事件で、2つの談合組織の加盟企業からの自民党への献金は、11年間で16億円、告発された国交省の3地方整備局発注分以外の5地方整備局分も、平均落札率94.99%で談合が強く疑われると、国の責任をただす。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 いわゆる橋梁談合の問題についてお聞きをいたします。

 四十九社が参加をする談合組織のうち、独占禁止法違反で十一社十四人が逮捕されました。史上最悪の談合事件でありますが、四十年前に紅葉会、東会という談合組織がつくられて、十一年前に問題になっていったん解散をしましたけれども、A会、K会と名前を変えて談合が続けられてきたと。

 私、ここに一九七七年当時の紅葉会の諸規定というのを持っておりますが、まず、話合いの精神と、自主調整ルールを尊重すると書いてありまして、過当競争排除の見地から事前調整もあり得ると、などなど、その手口が詳しく書かれておりまして、談合によって高値発注をして不当利益を得る非常に悪質なやり方と思いますが、まず北側大臣にお聞きしますが、こういう談合、この談合組織について、大臣、いつ承知をされたんでしょうか。

国務大臣(北側一雄君)

 報道で知りました。

井上哲士君

 いつの報道ですか。

国務大臣(北側一雄君)

 今回の橋梁の談合ですね。これが新聞等で報道されて知ったわけでございます。

井上哲士君

 紅葉会、東会という組織の存在は十一年前、大問題になりました。いったん解散後も名前を変えて続けられてきた。私は、発注者として大変無責任な御答弁だと思うんですね。

 実際これは調べてみたらすぐ分かるんです。(資料提示)資料の一つ目を見ていただきたいんですが、公正取引委員会は国土交通省の東北、関東、北陸の三つの整備局について告発をいたしました。私、ほかの整備局も全部調査をしてみました。例えばほかの五局でも、A会、K会の参加の企業は実に九七%のシェアを占めています。三局よりも多いわけですね。それから、いわゆる落札率、予定価格に対する落札の金額でありますけれども、三局は九四・四五、ほかの五局は九四・九九でむしろ高いんです。それから、中国地方を見ますと、シェアが一番高いし落札率も一番高いんです。ここは、整備局の直接発注の十の工事を見ますと、その入札はすべてA会、K会参加の企業だけで行っているわけですね。

 国土交通省として、こういう事実については把握をされてきたんでしょうか。大臣。

政府参考人(峰久幸義君)

 お答え申し上げます。

 今回の事案、極めて重大な事案でございまして、これを重く受け止めているわけでございます。

 それで、省内にいろいろ、入札談合再発防止対策検討委員会をつくりまして、外部の方のアドバイザリーグループも得まして、そこでいろんな過去の発注に係る入札契約の実態調査、これをやるということでございます。それと同時に、これまで講じてきました行為についてもいろいろ、有効であったかどうかについて検証して、再発防止策を講じようとしております。

 そういう意味で、そういう事実について細かくは承知しておりませんでした。

井上哲士君

 重大ですよ。この今私が出した資料というのは全部国土交通省からいただいた資料なんです。調べる気になったらすぐできるはずなんですね。そして、今検討委員会の設置を言われましたけれども、六月二日に設置をしてやっと調査を始めて、六月末に調査結果を取りまとめることになっています。

 しかし、公取は去年の秋にもう立入調査しているんですね。なぜそのときから調査を始めなかったんですか。これ、大臣、答えてください。

国務大臣(北側一雄君)

 このような全容、全容といいますか、公取の告発があって知ったわけでございます。

 今官房長が申し上げましたように、国土交通省直轄工事でこのような告発事案があったというのは初めてでございますが、極めて遺憾なことであるというふうに考えております。今回のこの橋梁に関する談合事案につきましては、しっかりと調査、国土交通省としても当然発注者でございますので、しっかり調査をしなければならないと考えておりますし、また、様々不正行為の防止のための取組もこれまでしてきたわけでございますが、このような事案が発生したわけでございまして、そうした不正行為防止のための様々な取組が今回どのように機能したのか、そこはきっちりと検証しなければならないというふうに思っております。

井上哲士君

 答えになっていないんですね。

 去年の秋にもう公取は立入調査に入っている。それはもう報道もされているんです。ところが、告発されてやっと調査を始めると。しかも、こういう公共事業にかかわる様々な談合の疑惑、非常に高値の落札がされているということは、私どもも国会等、この委員会等で何度も何度も追及してきたんですね。そのときにきちっと発注者として対応するならば、こんなでたらめなことは起きなかったはずなんです。

 そして、この談合の被害者は、この高値発注で無駄な税金を使わされた国民なわけです。今回の逮捕以降、道路公団が発注する橋梁工事の入札の落札率は一五%ぐらい下がったということになっておりまして、高値発注がされていたということはもう明らかなわけですね。公正取引委員会は、入札談合による不正利得について、過去の事件を基に受注金額の一八・六%という平均額を出しております。これを例えばこの三局の契約金額に二〇〇三年度当てはめますと、この一八・六%というのは六十億円です。全体に当てはめますと実に二百億円になるんですね。これが国民にとって様々な負担になってきている。

 談合が明らかになった工事については、こういう不当利得については返還を求めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(北側一雄君)

 委員も御承知かと思いますが、平成十五年六月から談合によるそうした損害額につきまして損害賠償額の予定をしておりまして、請負代金額の一〇%を違約金特約条項として支払うということが導入をされているところでございます。したがって、こうした告発の案件につきましては、裁判が確定した段階で違約金特約条項を発動いたしまして、この請負代金額の一〇%を請求するということになるかと思います。

 また、こうした告発案件ではなくて、仮に公取が課徴金納付命令が出されたという場合には、当該納付命令が確定した時点で同様に違約金特約条項に基づき違約金を請求するということになります。

井上哲士君

 二〇〇三年以降の特約条項が付いた契約で違約金を求めるのは当然だと思います。ただ、国交省は過去、こういう契約になっていなくても談合企業に損害賠償を求めたことがあります。今回もこれだけの悪質な事件ですから、二〇〇三年以前の問題でも徹底した調査をして、談合が明らかになれば損害賠償を求めるということを強く求めておきたいと思います。

 そこで、総理にお聞きをいたしますが、この談合の疑いというのは国交省発注の工事だけではありません。例えば、東京都が発注したゆりかもめの橋梁工事でも、二十件の入札のうち落札率が九七%を超えた十三件はいずれもこの談合四十九社に含まれる会社が受注をしております。

 もっと疑い深いのは道路公団ですが、二〇〇三年度から二〇〇四年度に道路公団が発注をした橋梁工事のうち、K会、A会に加盟する企業が受注した工事は全体の九四%以上になります。その平均落札率は九七%ですから、国交省発注のものよりも高いんですね。九九%を超える落札率という工事が二割もあるんです。こういう神がかり的な落札というのは、発注元から情報が漏れていなかったらできないというのが常識ですね。

 私、公団OBの名簿を調べましたけれども、二年間にわたりますと、K会、A会への道路公団からの天下りは、これは三十四になっていますが、三十六社、五十五人ということでありました。一方、K会、A会に参加をしていない企業が受注をしたのは三十二社なんですが、そのうち道路公団から天下りを受け入れているのは七社だけなんです。正に、この天下りのOBが組織もつくり、そして発注先と一体になって官製談合をしてきたと、こういう疑いがこれから見てもはっきりしてくると思うんですね。

 総理、いつまでもこういう談合を許しておくわけにいかないと思うんです。地方自治体や公団、国発注も含めまして、総点検をして抜本的な対策を取るべきだと思いますけれども、総理の決意を伺いたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 入札談合等のこの不正行為、今回の橋梁の問題につきましても、現在、独占禁止法違反の疑いにより刑事告発が行われたということは誠に遺憾であると思っております。

 かねてから、この談合等の不正行為をいかに排除していくか、徹底を図っていくかと、この公共工事に関する入札契約制度の改革を行ってきたところであります。にもかかわらず、こういうような規模が大きくて日本を代表する企業が含まれる事件が起きているということは、これは極めて難しい問題でありますが、これは仕方ないと思っては解決できないわけでありますので、経済界や公共事業そのものに対する信頼を揺るがしている問題でありますので、重大な事態として政府としても現在厳しく受け止めております。

 そこで、こういう認識の下に、現在、関係省庁において、今後、捜査の進展等に対応して、建設業法に基づく監督処分を行うなど厳正に対処していきますが、さらに、この工事の発注にかかわる入札、契約の実態の調査、把握と、これまで講じてきた不正行為防止策の効果の検証を行って効果的な再発防止策を取りまとめていかなければならないと思っております。

 今後は、今年四月に公布された課徴金の引上げ等を内容とする改正独禁法の的確な運用を図ってまいりたいと思っております。

井上哲士君

 重大なのは、この談合参加企業から自民党への多額の政治献金が行われておることであります。K会、A会の参加企業から国民政治協会に対する九三年から〇三年までの献金額、合計しますと何と十五億九千二百二十五万円なんです。

 公共事業で談合して不当利得を得たその企業からの政治献金というのは、国民の税金の不当利得の還元なんですよ。これをもらっているようでは、私はこの談合の防止と根絶ということはできないと思います。本当に総理にその決意があるならば、こういう談合参加企業からの企業献金はきっぱり返還をするべきだと、そのことを強く求めまして、質問を終わります。


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