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井上哲士ONLINE
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2005年8月3日(水)

参院郵政民営化特別委員会
「郵政民営化関連6法案集中審議」

  • 郵政民営化担当の西川公也副大臣が貸金業関係の専門誌「月刊消費者信用」で、民営化後の郵便貯金資産を貸金業界へまわすと発言している問題を追及。また、日本歯科医師連盟から3000万円の迂回献金を受け取ったとして、東京第二検察審査会から「起訴相当(政治資金規正法違反)」の議決を受けた自民党の山崎拓前副総裁の問題を追及。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 私たちは、今回の郵政民営化の本当のねらいが日本とアメリカの金融業界の利益のためだということを指摘をしてまいりました。金融業界といいますと、銀行とは限りません。

 今日は西川副大臣に来ていただいておりますけれども、あなたはサラ金などの上限金利をなくすというのが持論で、そして金融サービス制度を検討する会という自民党の議員連盟の事務局長をされております。全国貸金業協会連合会と協力するという関係にあるわけでありますが、大臣、副大臣は今回の郵政民営化法案の正に担当副大臣なわけでありますが、郵政民営化に関してサラ金業界の経営や利益にかかわるような発言、動きをされておりませんか。

副大臣(西川公也君)

 郵便貯金銀行の将来のビジネスモデル、これは新経営陣が構築をしていくものだと、こう思います。

 そういう中にあって、私が一政治家として一般論を申し上げれば、郵政民営化後の業務展開の中で新たな一つの可能性だと、こう思っています。それはどういうことかというと、法令を遵守して健全な業を営む、こういう消費者金融業の皆さんが活用できる時代が来るかもしれないと、こういうことは一般論として言及しております。

 今先生が言われますサラ金というのは、私、お付き合いございませんので、どこを指して言っているか分かりません。そして、私の発言は消費者金融業界の利益を図ることを意図していると、こういうことではありません。

 以上です。

井上哲士君

 サラ金業界などの月刊誌であります「消費者信用」の二〇〇五年四月号を、私、今、手に持っておりますが、この中で副大臣はこういうふうに発言をされております。

 「私は、郵政改革も担当しているわけだが、民営化した郵貯がいつまでも国債を購入しているわけにはいかない。貸金業者に貸付資金を供給する卸金融で、郵貯の資金を運用することも検討してしかるべきだと思う。」と、「そうすれば、中堅・中小の貸金業者は、大手のように銀行の傘下に入らずとも経営を安定化できると思う。中小の業者を守っていく視点も必要だと思う。」と、こういう発言をされておりますけれども、私は特定業界の利益を正に念頭に置いたものだと思いますが、こういう発言は担当副大臣としてまずいと思われませんか。

副大臣(西川公也君)

 一政治家として、新しいビジネスモデル、どう展開されるか分かりませんが、三十五兆円のリスクマネーの中にこれも一つの検討の課題に上がるかもしれないと、そういう意味合いで申し上げております。

井上哲士君

 郵政法案が審議をされている正に真っ最中に登場をされて、そして私は郵政担当の副大臣だということをこの中で言われているんです。

 それで、副大臣は、この全金連の政治団体である全国貸金業政治連盟というのがありますけれども、ここにパーティー券を買ってもらっております。私、調べますと、二〇〇二年、二〇〇三年に少なくともそれぞれ二十万円買ってもらっているんですね。

 じゃ、そのサラ金業界がどういうことを言っているのかと。ホームページもいろいろ見てみました。あるサラ金のホームページはこういうこと書いているんです。郵政民営化で公的な郵便貯金がなくなれば金融の民営化が進む、そして個人を対象とした融資の部分は消費者金融業界が担うことになる、さらにサラ金・貸金業界が銀行や郵便局に代わって経済を支える立場になると、こんなことまで書いておるので非常にびっくりいたしました。

 私は、こういう業界から事実上の献金を受ける、そして貸金業者のために郵貯資金から資金を回すように検討してしかるべきと、ここまで発言をされております。

 そこで、竹中大臣、お聞きしますけれども、郵政民営化の担当副大臣として、こういう発言というのは私は資格が問われると思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

国務大臣(竹中平蔵君)

 郵政民営化が実現したとして、そしてどのような分野を展開していくかと、これはもちろん経営の判断によるわけでございますが、我々は骨格経営試算等々で、その百四十兆円の資産のうちの四分の一ぐらいを信用リスクビジネスに入っていっていただくということを想定をしております。

 そういう中で今後いろんな議論がなされていくわけでございますので、そうした一つの可能性として御議論をされたものというふうに承知をしております。

井上哲士君

 こういう可能性があるんだということも認められました。

 この間、官から民への資金の流れ、先ほどもありましたけれども、その流れがこういうサラ金業界にも流れていくなどということは、およそ国民の皆さんは想像もしていなかったことだと思うんですね。

 今、銀行がどんどんどんどんサラ金に資金を回しております。それだけじゃなくて、大手のサラ金が銀行と提携をして大もうけを上げているということが大変問題になっているわけですね。一方で、自己破産の申立てというのは大体二十万以上で高止まりをしております。多重債務者の負債というのは非常に今社会問題化をしていると。官から民へという名の下に、こういう事態に拍車を掛けるようなことを私は、担当副大臣が検討をしてしかるべきだと、こういう発言をされること自身が資格が問われる問題だということを指摘をしておきます。

 その上で、もう一人その資格が問われるという問題について追及をしなくてはなりません。今日は、修正案の提案者である山崎拓衆議院議員に来ていただいております。

 日本歯科医師政治連盟から三千万円の献金を受けながら政治資金収支報告書に記載せずに、政治資金規正法違反で問われたけれども不起訴になった、この問題で、東京第二検察審査会は起訴相当の議決を行いました。議決書を私、読みましたけれども、幹事長という立場で迂回献金の手法を用いており、政治資金規正法の趣旨を没却する重大な違法があると言わざるを得ないと、厳しいものであります。

 起訴相当の議決というのは非常に重いものでありまして、平成十五年は全国で年間総数千九百三十七に対して六件しかありません。平成十三年でいいますと、千八百九十件に対して一件しかない、〇・〇五%であります。非常に重大な重みのある議決がされたわけであります。

 議決書の中では、平成十三年十一月三十日ころ、山崎議員が代表を務める自民党福岡県第二選挙区支部又は自らの資金管理団体である拓政会が三千万円の寄附を受けたと、こうしております。山崎議員は昨日の当委員会では起訴相当のいわれはないと、こういう答弁をされました。

 そこで、具体的に聞きたいと思うんですが、ここで献金を受けたとされている十一月三十日に日歯連の臼田会長とお会いになった、このこと自体はお認めになりますか。

衆議院議員(山崎拓君)

 そのようなことはございません。

井上哲士君

 これね、あなたね、供述に基づいているんですね。

 私は、平成十三年十一月三十日前後の山崎さんや臼田会長の行動も調べてみました。臼田会長の動きというのは、日歯連の会報、日歯広報というのに出ているんです。これ見ますと、平成十三年の十一月三十日金曜日十五時、自民党山崎幹事長へ署名簿提出と、あなたと会ったことをちゃんと書いてあるんです。思い出しましたか。それでも違うと言われますか。

衆議院議員(山崎拓君)

 ただいまの御質問は、三千万の献金を受けたかという御質問だと聞きましたので、そのようなことはないと申し上げたわけでございます。陳情があったことは事実だと思います。

井上哲士君

 私は十一月三十日に会ったのかと、そういう事実を聞きました。

 議決書によれば、今、十一月三十日に会ったことは認められました。山崎議員自身が供述をされた内容として、自民党幹事長室で、健康保険法改正案反対のために陳情に来ていた日歯連会長から自民党に対する献金として紙袋に入った現金五千万円をもらったと、こういうふうに言われたとされております。

 この点、日歯広報と日時などは一致をするわけですけれども、そこで聞きますけれども、この五千万というのはだれが渡して、だれが受け取ったんでしょうか。(発言する者あり)

衆議院議員(山崎拓君)

 自民党に対する寄附でございます。私が幹事長室でいったんお預かりをいたしまして、その後において事務局に渡しました。そのような恒例になっております。各団体からの我が党に対する寄附に関しまして、私若しくは経理局長が受け取る、まあ何と申しますか、習わしと言ったらおかしいんですけども、そういうことがございまして、それは事務局に、その後において手渡すことでございます、手渡したわけでございます。

井上哲士君

 今、郵政に関係ないというような声も飛びましたけども、山崎議員はこの供述の中で、この五千万についてロッカーに一か月弱置いたままにしていたと、こういうふうに述べているわけですね。五千万のお金をロッカーに一か月間置いていたと。こういう人たちに百万とか三百万以下の今の零細な貯蓄のことが本当に分かるんだろうかと、こういうことを国民の皆さん、やはり疑念に思っているわけですよ。正に、国民の常識から懸け離れたところでこの法案が出されてきているんじゃないかと、こういうことを思っているわけです。だから私は聞いているんです。

 そのままにしておいたと言われましたけども、そしてその五千万円は今事務局に手渡したというふうに言われました。これ、自民党の事務局に渡したと、そういうことでよろしいんでしょうか。

衆議院議員(山崎拓君)

 金銭感覚についておっしゃいましたが、私個人といたしましては、庶民的な金銭感覚を持っていると考えております。

 ただ、幹事長といたしましては、これは御党におかれましても膨大な政治資金を扱っておられますけれども、我が党も庶民感覚から申しますと膨大な政治資金を扱っておりまして、その中には政党助成金等々ございますんですけれども、その責任者を幹事長が務めているわけでございます。でございますから、五千万円を庶民感覚からして瑣末なお金、小さいお金だと考えたことは一度もございません。

 それから、何とおっしゃいましたかね。

井上哲士君

 事務局というのは自民党の事務局ですか。

衆議院議員(山崎拓君)

 自民党の事務局でございます。

井上哲士君

 ロッカーに、自分の部屋のロッカーに一か月間、五千万円を紙袋に入れたまま放置していたというのが庶民感覚と懸け離れているんじゃないかと私は申し上げておりまして、私では、部屋にそういうお金があったら私は不安で寝れないと思います。

 この証言によりますと、十一月三十日から一か月後に処理をしたということになりますと、一か月後に国民政治協会に入金したということになります。当時の入金を全部見ましたけれども、そうなりますと、平成十三年の十二月の二十五日に日歯連から国政協に出されたというものしかありません。

 お手元に資料を配っておりますけれども、これはその日付で国政協から日歯連に出されました五千万円の領収書であり、規正法に基づいて日歯連から総務省に出されたものであります。

 注目すべきは、この右肩にある三つの番号、八一一、八一五、八一六という番号でありますけれども、この番号が何かということを関係者に聞きますと、日歯連の出納簿の備考欄に献金をした相手の議員が記してあると。その出金の番号を示すものだということを私たちは聞きました。

 今回の検察審査会の議決書は、私たちが聞いた内容と一致をしております。検察の証拠で取られている日歯連の現金出納簿を見た上で、そこには、日歯連の平成十三年度会計現金出納簿によると、平成十三年十一月三十日に山崎拓衆議三千万、自見庄三郎衆議一千万、木村義雄衆議一千万と記載されており、上記被疑者らあてに分けて献金をしたのは明らかと考えられるとしております。

 つまり、日歯連の現金出納簿に三人あての献金だということが明記してあって、それがこの三人の番号と一致をするということなわけですね。ですから、検審の議決は自民党に対する献金でなかったことは明白であるというふうに指摘をしておりますけれども、それでも三千万を受け取ってないと、こういうふうに主張されますか。

衆議院議員(山崎拓君)

 受け取っておりません。今のような推理は曲解であると存じます。

 私は、四千万の寄附を日歯から当時受け取ったことも事実でございますし、しばらく、幹事長室に来ていただければ分かるんでございますけれども、このところちょっと幹事長室、模様替えしておりますので前のとおりではございませんが、前にはお金を預かるロッカーがございまして、そのロッカーに事務局の者が、事務局といってもいろいろおりますから、お金を扱う事務局と、それから私の身の回りのことを、幹事長の身の回りのことをする事務局とおられまして、その事務局の方がロッカーに入れられたと記憶いたしております。

井上哲士君

 この議決書では、日歯連の内田会計責任者のことも出ておりますけれども、日歯連会長の指示により、被疑者山崎あて三千万円、同自見あて一千万、同木村あて一千万を支出したけれども、同時期に上記被疑者らの資金管理団体などから領収書が送られてこず、後に自民党に献金していないにもかかわらず合計額が同じ領収書が国政協から送られてきたと、こういうふうに述べているんです。正に迂回献金そのものだと私は思うんですね。このことを正に庶民の感覚で断じたというのが今回の議決書なんです。あの起訴相当という議決を私は重く受け止めるべきだと思いますけれども、山崎議員、どうでしょうか。

衆議院議員(山崎拓君)

 私、何度も申し上げておりますとおり、起訴相当とされるいわれはないということを申し上げてまいりましたわけでございます。

 検察当局、捜査当局におかれまして不起訴と御判断なさったわけでございます。また改めて捜査当局の御判断があるものと考えております。

井上哲士君

 この議決書は、先ほどの五千万を一か月間ロッカーに入れていたということについても、庶民感覚から見てこれは考えられないということを言っているわけであります。先ほど言いましたように、そういう大金をロッカーに一か月入れても平気ということで、本当に今庶民の零細な預金である、そういう郵貯に預けられた貯金のことが分かるんだろうかと。これが今国民から向けられていることだと思うんですね。

 自民党は、武部幹事長が調査をして迂回献金がないということを言われました。総理もそういう答弁をされました。しかし、今回のこの議決で、これに対して厳しいことが言われ、正に虚偽答弁であるということは私は明白だと思います。そして、山崎さん自身は修正案の提案者。ですから、原案の提案者も修正案の提案者も、そしてまあ恫喝でこの法案を通そうとしている自民党の幹事長もすべてかかわった重大問題でありますから、私は、郵政法案を前にこの問題を徹底解明するということが正に国会に課せられた責務でありますし、山崎さん自身が自ら真相を明らかにすべきだと思います。

 そして、そういう人たちによって推し進められようとしているこの法案は廃案しかないということを申し上げまして、質問を終わります。


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