本文へジャンプ
井上哲士ONLINE
日本共産党 中央委員会へのリンク
2006年5月11日(木)

行政改革に関する特別委員会
「文部科学省の官製談合疑惑」について

  • 文科省発注工事を同省OB天下り先企業が受注額の8割以上を独占していることを示し、官製談合疑惑を追求。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今回の行革関連法案は、教育や福祉など住民に身近な公共サービスの分野を削る一方で、国民が望む天下りや談合事件など税金の無駄遣い、ここに本当にメスが入っているんだろうかと、こう疑問を持たざるを得ません。

 私は、三月二十三日の予算委員会の際に、文部科学省の本省発注の工事と天下りの問題を取り上げました。その際に、防衛施設庁の談合事件の端緒となった受変電設備工事の入札談合が国立大学等の工事でも行われていた、そして東京地検特捜部が関係者から事情を聞いたと、こういう新聞報道を受けまして、文科省としてこれは調査をしたのかと聞きました。

 大臣は、報道を受けて調査をしたが問題があったとの報告は受けていないと、こういう答弁だったわけですが、この調査というのは大学側だけでなく入札参加者からの聞き取りは行われたんでしょうか。

国務大臣(小坂憲次君)

 委員御指摘の三月二十三日、予算委員会におきまして御答弁申し上げたこととかなり重複をいたしておりますが、文部科学省におきましては、新聞報道を受けまして、平成十二年度から十六年度の間に国立大学等が発注をいたしました受電設備工事に係る入札契約の状況、すなわち受注者、入札参加者、そして入札経過、また契約金額等につきまして確認を行ったところでございます。

 この結果、いずれの工事におきましても入札手続は適切に行われておりまして、関係の国立大学等からも特に問題があったとの報告は受けていないところでございまして、したがって入札業者に対する聞き取り調査は行っておらないところでございます。

井上哲士君

 なぜ業者からの聞き取りをしなかったんですかね。当然必要だと思うんですけども、いかがでしょうか。

政府参考人(大島寛君)

 お答え申し上げます。

 ただいまも大臣から御答弁申し上げましたが、いずれの工事におきましても大学等からの報告においては特に問題がなかったということでございましたので、あえて入札業者に対する聞き取り調査は必要ないだろうと判断したわけでございます。

井上哲士君

 大学は問題ないと報告するわけですね。両方を調査してこそ初めて官製談合というのは実態が浮かび上がるんです。その程度の調査では正に認識が問われると思います。

 私は、予算委員会のときに、文部科学省の本庁が発注する工事、いわゆる文教施設工事と櫟の会との関係について取り上げました。櫟の会というのは、文部科学省及び国立大学などの工事関係の部署に在籍をしていた人のOBの組織です。そして、現に文科省関連の管工事、すなわち機械設備工事や給排水工事を受注を現在している会社に天下った人たちでつくられているそういう組織であること、これはもう文科省もお認めになりました。

 私は、この櫟の会の会員企業が文科省の本省の発注工事を独占的に入札しているということを指摘をし、これは国立大学等も含めた地方の工事についても調査をすべきだと申し上げましたけども、当時、文科省はいずれも適切だという答弁でありました。そこで、私の方で本省発注以外の地方や国立大学が発注したすべての管工事を文部科学省のホームページで調べてみました。実に千六百三十六件、〇二年度から〇五年度における国立大学、国立高等専門学校、国立科学博物館などなどの工事が千六百三十六件ございました。


資料1:画像をクリックで拡大表示されます。

 お手元の資料一を見ていただきたいんですけれども、その千六百三十六件のうち一億円以上の工事についてまとめてみましたのがこのお手元の表であります。私、大変驚いたんでありますけども、競争入札、不落随契、随意契約すべてを合わせますと、天下りを受け入れている櫟の会の企業すべてで二百九十件、千二百十三億二千五百七万円受注をしております。そして、受け入れていない櫟の会以外の企業、これは百三十五件、二百七十六億八千八百万。ですから、この櫟の会の企業は実に三つを合わせますと八一・九%受注をしているんですね。

 大臣、この受注状況の実態を見て率直な感想をお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(小坂憲次君)

 資料を拝見したわけでございますが、いわゆる櫟の会という会は業界親睦団体であると聞いておりますが、その中には大手の業者が多数入っているというふうに聞いております。その意味からすると、大手の業者が全体の中でのシェアが高くなる、また、大手以外でも相当数の会社が櫟の会に所属していると聞いておりますので、櫟の会の方のシェアが全体的に高くなるということはあるのかなと思いますが、御指摘の資料につきましては、私ども全くこの数字というものを検証をまだしておりませんので、私としてはその辺についての理由等についてはこれ以上申し上げることはないわけでございます。

井上哲士君

 ここに櫟の会の会則がありますが、会員相互の親睦及び文教関係施設の管工事が円滑に完成される、これを目的とする、単なる親睦団体じゃないわけですね。

 そして、今お話がありましたけれども、特に問題なのは随意契約なんですね。競争入札、不落随契、随意契約と、まあ受注の透明度が薄くなるにつれてこの櫟の会の受注の比率が非常に高くなっております。

 随意契約を見ますと非常にくっきりしておりまして、二〇〇二年度でいいますと、この櫟の会の企業が十四件、八十一億一千九百万円、それ以外の企業はゼロということになっておりまして、この四年間、二〇〇二年から二〇〇五年度を合わせますと、櫟の会の企業が四十七件、二百六十四億千四百二十五万円、櫟の会以外の企業は四件で、十億四千九百万円、実に九六・二%がこの天下りを受け入れている櫟の会の企業が受注をしているわけであります。

 そこで、中馬大臣にお聞きをいたしますけれども、明らかにこの天下りの受入れということが、受注金額、とりわけこの随意契約のところで大変大きな作用をしているのは十分に見て取れるわけでありますが、今回の法案にこういう問題を正す中身があるのか、このこと、表の御感想も含めて答弁いただきたいと思います。

国務大臣(中馬弘毅君)

 いわゆる天下りと随意契約との問題に対する国民の厳しい批判があることはもう真摯に受け止めなければならないと、このように認識いたしております。

 この随意契約の点検、見直しにつきましては、これまでも閣僚懇談会や国会答弁におきまして総理もかなりはっきりと御指示があったように、各大臣から積極的に取り組み、国民の理解が得られるよう、公共調達の適正化、政府を挙げて全力で取り組んでいく必要があり、例外である随意契約をできるだけ一般競争入札に移行するなど、今回の見直しをしっかりと行う必要があると、このように考えております。

 法律は、これは制度の改革でございまして、いろんな運用の面はもちろんこの法律には書いておりませんが、こうした形で総理もはっきりとこの席上でも御答弁されたことだと思います。

井上哲士君

 私どもは、しっかり法律そのもので規制をするべきだということで、私自身も独自の提案もしてまいりました。

 文部科学大臣にもお聞きをいたしますけれども、この随意契約で大変櫟の会が独占的な状況になっていることについては、大臣、どうお考えでしょうか。

国務大臣(小坂憲次君)

 まず、私としても、その櫟の会なるものを弁護する必要も何もないと思いますので、前回御指摘をいただいた後にも、この会の存在意義というものは一体何であるかと問うたところでございますが、その後、会自身は自主的に解散をされたと聞いております。

 今御指摘の随契についてでございますけれども、国立大学等における随意契約というものは、継続工事やあるいは不落随契の場合などにおいて適用しているところだと思っておりますが、継続工事については、一体の構造物の構築等を目的とする建設工事でありますものですから、前工事、後工事に分けることによって計画から完成までの期間を短縮すること等の理由から、いわゆる前の工事を競争契約をした相手方と継続する後の工事について随意契約を行うということもあるものと理解をいたしておるところでございまして、これらは随契のいわゆるガイドラインに沿ったものでございます。

 不落随契につきましては、再度の入札を実施しても落札者がいない場合等において、教育研究の円滑な実施を図る観点から、予算決算及び会計令の第九十九条の二の規定に基づきまして不落随契を行っているところでありまして、いずれもそのガイドラインに従ったものでございます。

 また、この際一つ申し上げておきたいと思いますが、私どもといたしましても、この契約の透明性というものについてしっかりとさせる必要がある、このように考えておりまして、文部科学省といたしましては、従前から透明性、客観性、競争性のある入札契約が行われるように、毎年開催されます入札契約の説明会等におきまして各国立大学等を指導してきたところでございます。

 また、昨今の談合問題等を受けまして、政府全体としての公共工事の入札制度の改善に取り組むこととしておりますが、その一環として、私どもといたしましても新たな対策を講じるべきであろうということで、私も指導をいたしております。

 そういった中から、一般競争入札方式の拡大を図る、また総合評価方式の拡大を図る、また指名停止期間の延長及び違約金の割合の加算を図る、また文部科学省発注者の綱紀保持委員会というものを設置しておりますが、そこにおける取決めについて、各国立大学法人等への説明会を通じて周知するとともに、文書でも通知をしたところでございまして、今後ともこれらの取組状況についてしっかりと指導してまいりたいと考えておるところでございます。

井上哲士君

 櫟の会は自主的に解散をされたと今答弁がございましたけれども、あの道路公団の問題でA会、K会という組織が、昔あったものが名前を変えて、解散はしたけれども復活をしたという経緯も私たちはここでも議論をしてまいりました。よくこれを更に見ていくことが必要だと思いますし、入札制度の透明化というのは当然でありますけれども、一方でこの天下りそのもの、これについてのメスを入れることなしにこの問題は解決をしないわけです。

 なぜ企業がこの文部科学省のOBを受け入れているのか、その理由はどう大臣お考えでしょうか。

政府参考人(玉井日出夫君)

 お答え申し上げます。

 それぞれの職員、退職後におきまして、企業等からはその職員が従来培ってきた知識や経験、こういうものを買ってそういう要請があり、適材適所の観点からそういう人たちがその企業にも就職する場合があると。ただし、この場合には、常に人事院の定めた基準、ルールがございますので、そのルールに照らして私どもは適正に対処をしてきているところであります。

井上哲士君

 その知識を役立てるというお話がありましたけれども、本当にそうだろうかと。私はここに文部科学省のOBの名刺、数百枚を持っておるんですが、ある大学の施設関係の職員の方一人が二年弱でもらった名刺だそうであります。多くは技術顧問とかいう名前になっているんですが、実際には営業に走り回っている実態なわけですね。各大学の施設部ですと、文部科学省のOBはフリーパスで普通の営業マンが入れないようなところにも入って、部課長とコーヒー飲んで雑談していくとか、いろんなお話も聞いてまいりました。


資料2:画像をクリックで拡大表示されます。

 資料二を見ていただきますと、これはある国立大学の施設部長が企業に再就職をした際に、その会社の社長と連名であいさつ状を配っておられます。そこにありますように、社長のあいさつに大変私は企業の思惑が出ていると思いますが、前国立大学法人の施設部長を弊社理事・常勤顧問として迎え社業の拡充発展を図ることといたしましたと、こう書いて、こういうあいさつ状が国立大学の施設関係の幹部や職員のところに送付をされているということを私はいただきました。

 大臣、ここで言うこの社業の拡充発展ということは一体どういうことだと思われるでしょうか。

政府参考人(玉井日出夫君)

 先ほどの関連でございますのでちょっとお答えさせていただきたいと思いますけれども、これは私ども、一般的に職員が退職した後に、それぞれへあいさつ状を書くときに、それぞれ再就職をしたときの会社の発展のために自分も尽力すると、こういうのはごくごく一般的に書かれているものだというふうに理解をしているわけでございます。

井上哲士君

 そういう問題じゃないんですね。

 先ほど名刺のことも申し上げましたけれども、実際上は顧問とか技術指導とか、そういうことを言いながらも、結局その人脈を利用して営業に走り回っているという実態があるわけです。そのためのあいさつ状なわけですね。

 それで、人事院の規則では国家公務員の再就職について、在職中に関係のあった営利企業への再就職には制限が加えられております。その中で、離職から五年前にさかのぼって、在職機関との間に締結した契約の総額が二千万円以上である営利企業は密接な関係として取り扱うことになっておりますが、文部科学省の職員の再就職先は、先ほどの資料にありますように、二千万円以上の契約を結んでいる企業が相当あるわけでありますが、これを許可をしているわけで、どういう基準、考えでこういう再就職を承認をしてきたんでしょうか。

政府参考人(玉井日出夫君)

 お答え申し上げます。

 もうこれ委員御案内のとおりでございますけれども、人事院の示す営利企業への就職承認基準は、職員が在職する府省と営利企業との間に離職前五年間に単年度において二千万円以上の契約があった場合でも、一つとしては、就職先の職務が在職していた機関に対する契約の折衝等の業務でないこと、それから、当該営利企業の総売上高に対する離職前五年間の在職機関との契約額の割合が単年度において二五%未満である場合など、幾つかの基準があるわけでございます。

 これに照らして私どもは一つ一つ判断をしてきているわけでございまして、それぞれ承認をしているものにつきましては、それぞれの基準に一つ一つ照らしたと、その結果であるというふうに御理解をいただければと思います。


資料3:画像をクリックで拡大表示されます。
井上哲士君

 では、具体的に聞きますが、資料三に、一番最後のところに弘前大学の施設部長が再就職をしたというのがありますが、この方の場合はどういう基準で承認をされたんでしょうか。


政府参考人(玉井日出夫君)

 お答え申し上げます。

 この資料に基づきます御指摘の大学の部長にかかわるものでございますけれども、具体的には、当該職員が離職前五年間に文部科学省及び国立大学とここにございます企業との間に単年度において二千万円以上の契約関係がございましたけれども、離職前五年間の在職機関の契約額が当該企業の総売上高に占める割合は単年度において二五%未満であった。それから、離職前五年間のうち、当該職員が在職した大学の契約額が当該企業の売上高に占める各年度ごとの割合は五%未満であったと。それから、当該企業ではいわゆる、もうここにも資料に書いてございますけれども、技術部長でございますので、技術力強化のための社員指導に従事することであって営業に従事するものではないというところに照らしたわけでございます。


資料4:画像をクリックで拡大表示されます。
井上哲士君

 結局、そういう基準をやられていますけれども、私は非常にシステマチックにこういう再就職があっせんをされているんじゃないかと思うんですね。そういうことまで十分吟味をされているんだろうか。

 で、資料の四を見ていただきますと、この弘前大学の前施設部長が再就職をされた三晃空調という会社がその年の二か月後に弘前大学の工事を受注をしております。ところが、この文部科学省のホームページを見ますと、この会社は、それまで三年半の間、一切この大学の工事を受注していないんです。天下りを受け入れたらすぐ発注をしたと。これは事実上、持参金だと思われても仕方がないんですよ。

 中馬大臣、こういう問題にこそ行政改革と言うならばメスを入れるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

委員長(尾辻秀久君)

 時間が来ておりますので、端的にお答えください。

国務大臣(中馬弘毅君)

 いわゆる天下りの問題に対しましては、特殊法人等の長及び役員の選任について国家公務員出身者の割合を二分の一とするなど、法人の類型に応じて退職管理の適正化に向けて取組を進めてきたところでございます。

 また、道路公団等をめぐる談合事件や今回の官製談合のような問題がある場合には、当該官庁において天下りの自粛を含め再発防止のための抜本的対策を講じてきていることに加えまして、先ほど申しました小泉総理の指示におきまして、議員立法で罰則の強化などを内容とする官製談合防止法の改正案が取りまとめられまして、国会に提出されていると承知いたしております。

 今般の行政改革推進法案におきましても、現在の厳しい行財政状況にかんがみまして、総人件費改革や資産・債務改革、特別会計改革など、簡素で効率的な政府の実現のために諸改革に取り組むことが喫緊の課題となっていることと認識しておりまして、これらの改革の達成のため、談合等が行われるその基本的な枠組み等につきましても、これの改革に資するものだと、このように考えております。

井上哲士君

 いろいろ答弁ありましたけれども、肝心な問題に全く切り込んだものになっていないと、これでは国民の期待する行財政改革とは全く逆行だということを申し上げまして、質問を終わります。


リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。
© 2001-2005 Japanese Communist Party, Satoshi Inoue, all rights reserved.