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井上哲士ONLINE
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2006年5月18日(木)

行政改革に関する特別委員会
「米軍再編にともなう日本政府の負担」について

  • 在沖縄米海兵隊のグアム移転で、米軍家族住宅の1戸あたりの建設費が国内建設費の2倍以上の約8000万になることを告発し、アメリカいいなりに試算していると批判。
    また、グアム移転費に国際協力銀行の融資などを充てようとしている問題を取り上げ、政府の矛盾ぶりを追及。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 行政改革の核心という場合に、税金の無駄遣いをなくして、国民のための暮らしにとって必要な分野にはしっかり予算も人も配置をすることが必要です。同時に、そのためにも国民の納得のいく透明な行財政運営が求められております。しかし、今逆のことが行われていると。特に、今日は米軍再編にかかわる国民負担と行政改革の問題についてお聞きをいたします。

 まず、防衛施設庁にかかわる談合問題についてお聞きをいたします。

 先ほどの質疑にもありましたように、東京地検の強制捜査の前に当時の建設部長が証拠隠滅を指示をしていたということが明らかになりました。これは、額賀長官が捜査への全面協力を指示をした後の出来事であります。九八年の防衛庁の調達本部の背任事件でも同じような証拠隠滅が行われ、長官は当時責任を取って辞任をされました。

 今回の隠ぺい工作は、全くその教訓が生かされてないことが改めて明らかになったわけでありますが、長官、責任はどうお感じでしょうか。

国務大臣(額賀福志郎君)

 お答えをいたします。

 この不祥事は昨年の十一月発覚をいたしました。私は即座に、この捜査には全面協力をして全容解明に当たらなければならないということを指示をいたしました。捜査に協力をすると同時に、防衛庁の施設庁内においてもこの実態を解明するために調査委員会を設けると同時に、防衛庁内全体で再発防止策を講じるための検討委員会等を設けたところであります。そういうことについては、もう委員も御承知のとおりでございます。

 そして、今御指摘の点につきましては、我々は捜査に影響を与えないこと、さらに、今度公判が間もなく開かれますけれども、そういうことをよく考えながら対応してきたし、いかなければならないというふうに思っておりますけれども、防衛庁としては、私としては、全容を解明する過程でございますから、きちっとこれを解明した時点で国民の皆さん方にもオープンにし、厳正な対処をしていきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 報道された隠ぺい工作の事実は否定をされませんでした。問題は、こういう隠ぺい体質、秘密体質を持ったこの役所が今国民にこの巨額な三兆円という負担を負わせようとしている、そのことの資格があるのかということが問われております。

 それで、元々今回の在日米軍の再編強化というのはアメリカの世界的な強化の一環でありますから、日本が負担する必要はないと思います。同時に、問題は、その中身が全く、アメリカと合意しながら、国会にも国民の前にも明らかにされていない。

 私は三月十七日のこの場の予算委員会で、当時、三兆円という日本側の負担の試算があると、政府の試算があるという報道を示して大臣にお聞きしましたら、根拠のない数字だと、こういう答弁をされました。

 ところが、先月の二十四日に防衛庁の守屋次官がグアムの移転費を除いて二兆円と試算しているということを講演をされました。グアム移転費を加えますとほぼ三兆ですから、正に根拠のある試算が行われていたということでありますから、そういう試算がある以上、国会に示していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(額賀福志郎君)

 お答えをいたします。

 この米軍再編に伴う諸経費については二つあるわけであります。それは委員の御指摘のとおりでございまして、沖縄の海兵隊をグアムに移転する経費をどういうふうに我が国も負担をするのかということ。沖縄にとっては海兵隊が削減されることは悲願でありましたから、国としても応分の負担をして、スピーディーにこの仕事をやってのけるということは国民の皆さん方にも御理解をいただけるんではないかということで、米国側と鋭意交渉した結果、全容の枠組みは百二・七億ドル、そしてその中で財政的な直接的な支出は二十八億ドル、あるいはまた住宅とかインフラ整備のための出融資等々に三十二・八億ドル等々を支出すると。しかし、後の出融資については返還をされてくることでございますから、アメリカと比べれば真水的な財政支出も少ないし、全体をならしても半分以下、全体の枠組みの半分以下であるというふうに思っておりますし、これはいかにも全部、その上限の数字でございますから、我々が合理化を図り効率化を図った分はその分、その支出、経費が減らされていくことになるわけであります。

 一方の、国内の米軍の再編に伴う米軍基地の整理、統合、縮小について、まあこれはこれからきちっと積算をしていくことになっているわけであります。例えば、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ移転でも、まだ面積さえもきちっとなってないわけですから、まだきちっとした積算ができないわけであります。それから、嘉手納以南の土地が返ってくることも、これはもうまだまだしっかりと計画ができてないわけだから、これから私はきっちりと積算をして、国民の皆さん方にお示しをして、透明な形で納得いただけるような説明をさせていただきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 大臣が根拠がないと否定されたものの根拠が出ていたから示せと私は言っているんです。

 長々と御説明ありましたけれども、それじゃ、グアムの方は既に全体額が示されておりますので聞きますが、今ありました支出があるわけですけれども、この米軍の住宅建設について出融資ということが言われております。

 まず、日本国内において、日本が米軍に対して造っている家族住宅、これ一戸当たりはその整備費は幾らになっているんでしょうか。

国務大臣(額賀福志郎君)

 お答えをいたします。

 国内で、例えば沖縄辺りで米軍の住宅を造っておりますけれども、その際は、家族住宅一戸当たりの建設費用は、整備場所の現状、状況等によって異なることから一概には計算できないんでありますが、低層家族住宅の三寝室、百四十五平米、これは二階建てタイプでございますが、基礎補強とか附帯設備等を除いた費用で約三千万円。それから、高層住宅ですね、九階建ての三寝室、百三十七平米で、これもまた基礎補強、附帯設備等を除く費用は一戸当たり三千百万円となっておるわけでございます。

 しかし、これは基礎補強とか附帯設備等を除いておりますから、その現場の、更地であるとか傾斜地であるとか地盤が悪いとか、そういう様々な地形によってまた費用が違ってくることがあります。

井上哲士君

 今答弁ありましたけれども、グアムは三千五百戸造ると言われておりますが、一戸当たりの経費を試算をしてみますと、二十五億五千万ドルを割りますと約七十三万ドルですから、一戸当たり約八千万ぐらいという費用になるわけですね。

 先ほどあった日本で思いやり予算で造られている米軍の家族住宅というのも、日本の公営住宅と比べますと二・七倍ぐらいの広さがある。非常に豪華だという批判がされてきたわけですが、その倍の金掛かるわけですね。なぜ、こんな費用が掛かるような豪華住宅の予算になっているんでしょうか。

国務大臣(額賀福志郎君)

 これは、前どこかの委員会でも議論があったわけでありますが、グアムにおいては、どうしてもアメリカ側の説明によりますとコスト高になることが多いと。その理由について幾つか言っているんでありますが、具体的に申し上げますと、例えば、資材はほぼすべて島の外から搬入するから、どうしても資材の輸送コストが高くなるということ、それからグアムは人口十六万人で労働力が少ない、技術者もいない、そういう人的なものを確保することにもお金が掛かる。それから、大規模な事業を展開していくときに、やっぱり水とか、それから物流だとか、そういうインフラの能力がどうしても欠如している。そういうことからコスト高になっているということで、高めの試算が行われているけれども、私どもはしっかりと自分たちが負う仕事については、例えば住宅建設等々については、まあ民活スキームを使ってやるとか、効率化、合理化を図って経費の削減を図っていきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 グアムでは建設特需を見込んで一杯今人が集まっているという報道もありまして、インフラ整備も含めまして、まあアメリカ側の言いなりの試算がされているんだなということが大変よく分かりました。

 そこで、問題は、これをどうやって出資をしていくかということなんですけれども、住宅の建設主体については防衛庁長官は第三セクターとか特殊会社と言われていますが、出資、融資は政策金融機関が絡まざるを得ないと思いますけれども、今回名前が挙がっております国際協力銀行ですね、これは本来開発途上国の支援を原則としてきました。しかも、この国際協力銀行というのは、今回の法案では政策金融改革の対象とされているわけですね。

 そこで、中馬大臣にお聞きいたしますけれども、この行政改革の重要方針で定められた政策金融改革についての基本原則に基づいて、今回の法案の第四条が定められていますが、この基本原則では、まず第一に、政策金融は三つの機能に限定し、それ以外からは撤退するとしておりますけれども、この三つの機能というのは一体何でしょうか。

国務大臣(中馬弘毅君)

 昨年十二月の閣議決定の重要方針でこれを書いておりますが、政策金融は、一、中小零細企業、個人の資金調達支援、第二といたしまして、国策上重要な海外資源確保、国際競争力確保に不可欠な金融、第三番目が円借款、これは政策金融機能と援助機能とを併せ持つ円借款ですね、この三つの機能に限定し、それ以外は撤退するということといたしております。

井上哲士君

 政府は、国際協力銀行からこの米軍の家族住宅の融資をするというふうに決めたということがもう既定事実として報道されておりますけれども、今挙げられたこの三つの機能の中にこのグアムでの米軍用の住宅を造るというのは一体含まれるんでしょうか。大臣、中馬大臣。

国務大臣(中馬弘毅君)

 この在沖縄の海兵隊のグアム移転につきましては、日本側の出資や融資の具体的な方法につきましては何も決まっていないものと承知をいたしておりまして、お尋ねにつきましては、そこがどこが、まして資金を負担するといったようなことまで含めてお答えすることは差し控えたいと思います。

井上哲士君

 国が直接出すわけにいかないんですね。政策金融が絡まざるを得ないんです。ですから、今決まっていないと、報道ではもう既に決まったように言われていますが、決まってない、正式には決まっていないのかもしれません。

 しかし、もし、それではこの政策金融でおいてやるということになれば、今三つの機能に絞ると、この法案で書かれているこの三つの機能のうちどれに入るのかと、もう一回お聞かせください。

国務大臣(中馬弘毅君)

 それを含めて、今何も決まっていないことを仮にこうだと言うことは、私もお答えすることができません。

井上哲士君

 ということは、この中で含む項目を挙げることができないと、こういうふうに聞いてよろしいですか。

国務大臣(中馬弘毅君)

 そういうことを含めて、どういう資金なのか、どういう融資をするのか、それもしていないものをどこに当てはめるかということはお答えはできないんです。

井上哲士君

 既にこの国際協力銀行で行うということはどの新聞でも、どのマスコミでも報道されているんです。そして、実際上、政府が直接やるようなことはできないことになっているんです。結局、この間の負担の総枠も含めて、国民の前には何も明らかにしないまま決めていくというやり方は、これは許されないと思うんですね。

 しかも、今回の法案の中でも、基本原則に基づいて貸出し残高のGDP比での半額を三年後までに実現をすることと、新たな財政負担を行わないことと、こういうふうにされております。法案の第五条では、貸付金残高の継続的縮小ということも定めております。

 仮にとしましょう、決まっていないと言われるから。政策金融を使ってグアムへの出資、融資を行うということは、この貸付金残高の継続的縮小とか、半減を三年後までに行うと、この原則に反すると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(中馬弘毅君)

 何度も申しますが、これは私がそのことの判断する立場にもございませんし、何といいましょうか、政策金融改革の中でこのJBICの扱いはそうなっているというお答えをするしか方法はございません。

井上哲士君

 それじゃ財務大臣にお聞きをいたしますけれども、今後政府の中でその政策金融でやるということになった場合には、一体どれが当てはまると大臣はお考えでしょうか。

国務大臣(谷垣禎一君)

 先ほどから中馬大臣も御答弁になっておりますが、確かにこのグアム移転に関して出資、融資というものが含まれていることは私ども承知をしております。ただ、どういう形でやるのかというような具体的な詰めはこれからでございますから、そこのところを議論しないと、今何もないところで、はい、こうでございますという御答弁はちょっと今の段階ではできかねるわけでございます。

井上哲士君

 何もないところじゃないんですね、既に政策金融の法案がここに出ているんです。しかも、政府はアメリカに対して出資、融資をするという約束をしている。そして、それは政策金融でやらざるを得ないと。こういうことが様々な形で報道されている。そういう枠の中で、これを預かる財務大臣として、これで本当にできるのかどうかということだと思うんですね。大体、今このことを当委員会で議論をしているわけですね、政策金融の問題について。ところが、それと全く逆行するようなことがその法案を出した政府自身によって進められようとしている。何のためにここの委員会で議論をしているかということになるんですよ。

 そうしたら、中馬大臣、私たちはこの中小企業や地域経済を困難に追い込むような政策金融の縮小には反対でありますけれども、政府としてこのグアムの経費負担にかかわって、この政策金融改革の基本方向からはみ出すようなことは今後打ち出さないと、こうお約束いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(中馬弘毅君)

 グアムのこの支援の性格そのものも私どもにはつまびらかになっておりません。ですから、例えば別の話で、どの企業に貸すか貸さないかと言っているのと同じことでございまして、ここで私がどれに当てはまるとか、貸すとか貸さないとかいった形の答弁はできませんので、ひとつ御了解をお願いします。

井上哲士君

 全く国民に納得できる説明ができないということだと思うんですね。

 総理、今回の行革法案のトップにはこの政策金融改革と書いてあるんです。その最初が先ほど述べたような基本方針なんですね。それと全く反するようなことが行われることになれば、一体何のためにここで我々が議論をしているかということになるんです。今後、グアム移転費の経費に関して、政府としてこの示した方向とはみ出すようなことはやらないということは国民の前に、総理、お約束いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 政策金融改革にある問題と米軍の沖縄における基地負担の軽減を日本政府がどう考えるか、これとは今直接関係するわけではありません。また、費用がどのぐらい掛かるかも決まっていないんです。その費用をどうやって捻出するかもまだ決まっていないんです。あいまいなままで国会でこうですと言うわけにはいきません。

井上哲士君

 こういう法案を出して、現実に政策金融の方向を打ち出しながら、全くそれについて反することがやられようとしていることに答えられないというのは、本当に国民に対しての背信行為だと思います。本来、負担する必要がない莫大な費用を国民が負担させられるし、しかも国民にまともな説明がないと、こういう点では、無駄を省くという点でも透明化という点でも真の行政改革に全く反するものだということを申し上げまして、質問を終わります。


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