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井上哲士ONLINE
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2006年6月14日(水)

政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会
「公職選挙法改正案」について

  • 海外派遣の自衛隊員や南極観測隊員などの選挙権を拡大する改正案に対し、選挙権は可能な限り保障されるべきだとしながら、海外派兵の自衛隊が閉鎖的・特殊な状況で投票行動が強制される疑念があると質問。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今回の法案は、先ほど来お話がありますように、イラク派兵された自衛隊員の方の選挙権が保障されないということが直接のきっかけになっております。

 私たちは、自衛隊のイラク派兵自体は憲法違反であり、反対をしておりますが、しかし派遣された自衛隊員の個人の選挙権というものはやはり可能な限り保障しなければならないと思います。また、提案理由説明にありますように、選挙権が国民にとって重要な参政権の一つであり、在外邦人も含めて国民すべてが実際に選挙権を行使できるようにするべきだと、こういう点では共通の認識でありまして、そういう、すべての国民に選挙権をしっかり保障していくという大きな流れの一歩なんだろうということで賛成はいたします。

 その上でお聞きをするわけですが、この直接のきっかけになったものに、兵庫で知事選挙で投票ができなかったと。その際に、兵庫からは、期日前投票ができないのかという問い合わせが政府にあったかと思います。その際、総務省は、国外実施の規定がないことと、仮に国外で投票箱の持ち出しなどがあっても罰則規定がないということでできないんだという返事をされております。

 今回、期日前投票でなく不在者投票という方式にした理由、そして、ここで言っていた罰則規定がないという問題がどうクリアされているのか、まずお聞きしたいと思います。

衆議院議員(岩屋毅君)

 まず、今回の法案で対象としているものは、期日前投票の期間から選挙の当日にかけて引き続き国外に滞在していると想定される者を対象にしているわけでございます。したがって、現行法上、選挙当日の投票もできない、それから期日前投票も行うことができない、現在は投票の機会を奪われているという方を対象にした私どもの提案でございます。

 期日前投票では、最大の問題は、先生、投票箱でございまして、市町村選管が国外の地に投票箱を設置しなければいけないということになるわけでございますので、これは現実的な対応とは言えないだろうと。したがって、私どもは、選挙を公正に執行できる組織というものに着目をいたしまして、現在、指定船舶や一部の病院等で行われております不在者投票制度というものを援用する仕組みを考案をさせていただいたところでございます。

 したがって、今先生御指摘の、罰則に不備が生ずるんではないかということは、投票箱があるという前提のお話だと思うんですけれども、今回の法案ではいわゆる投票箱というものが設置されるわけではございません。投票を行う場所は投票所とみなすわけでございますが、そこに投票箱を置いているわけではございませんので、したがって、その投票箱を勝手に持ち出すとか開けるということの罰則が適用されるということにはならないということでございます。

 ただ、例えば投票所に凶器を持ってくるとか、あるいは選挙について干渉する、投票について干渉するという行為は、当然のことながら国外犯の処罰規定が適用されるということでございます。

井上哲士君

 できる限りすべての国民に選挙権を保障していくという点でいいますと、先日、在外投票制度についても一定の改善をする法案を本委員会でも可決をいたしました。

 その際、在外投票の選挙期間を、それまでは投票日五日前だったのを六日前にむしろ繰り上げたわけですね。今回の制度ではこういう制限がありません。先ほどありましたように、地方選挙の場合は選挙期間が五日間でも可能になるということを考えますと、この間の法改正でむしろ投票日五日前から六日前に繰り上げて一定の制限を加えたというのは、少し流れとしては逆行したんじゃないかという気が私はしておりまして、ファクシミリなどもありますけれども、やはりむしろ、こういういろんな在外投票制度についてもできる限りもっと広げるという方向が必要ではないかと思うんですけれども、政府の見解はいかがでしょうか。

政府参考人(久保信保君)

 御指摘にございましたように、先般御議決をいただきました在外投票の改正の中で、原則としての在外公館投票期間、これが公示の翌日から期日前五日までと、こうなっておりましたのを六日までというふうに改めさせていただきました。

 これは、これまでの在外選挙実施を何回かやってまいりましたが、台風などの自然災害や航空便の機体トラブルなどによりましてフライトが予定どおり運航されないといったような事例もございました。また、このたび、衆議院、参議院の選挙区選挙を新たに対象にいたしたことによりまして、投票所閉鎖時刻までの未到達、これが選挙の結果に影響を及ぼす可能性が高くなってきているといったようなこと等を考慮いたしまして、御指摘、よく分かりますけれども、一日原則として在外公館投票の期間を短縮させていただいたということでございますので、御理解をいただきたいと思います。

井上哲士君

 やはり、今回の場合は自衛隊機なども活用されるということでそういうおそれがないのかもしれませんが、やはり、いささか普通の国民、在外投票と比べますと手厚くなっている。むしろ、そういうものをできるだけ権利を広げるべきだということも改めて申し上げたいと思います。

 それから、今回の在外投票の場合、大変ある意味では閉ざされたところでの選挙行使ということになります。その点での幾つかのことを聞いておきたいんですけれども、例えば選挙にかかわる情報をどういうふうに入手をするのかということがございます。

 在外投票の際は、在外公館が候補者の名前と政党については在外公館に備え付けるということをするということがあったわけでありますが、今回の場合はどういうことが投票所で行われていくのか、そしてまた、それ以外の様々な情報を実際にはインターネットなどで検索することもなかなか難しい環境にあるんではないかと思うわけですけれども、公正な選挙情報に触れる上でどういうことが望ましいのか、その点いかがでしょうか。

政府参考人(久保信保君)

 このたびの法案が成立をするというふうになりますと、私どもやはり御指摘のように、国外不在者投票における各選挙人への立候補状況あるいは政党の状況、これにつきましてやはり工夫をしていく必要はあると思います。

 まず考えられますのは、特定国外派遣組織の派遣省庁などによりまして、ファクス送信等の手段を活用しまして、必要な情報、これが適時適切に提供されるということがまず必要であろうと思いますし、私どもといたしましても、関係省庁とも連携を図って、何が可能なのか今後検討させていただきたいと考えております。

井上哲士君

 そうすると、投票管理者が必ず明示しなくちゃいけない情報など、そういうことの縛りは掛けることはないんでしょうか。

政府参考人(久保信保君)

 現在の不在者投票、これは国内で行われておりますけれども、それについても同様でございますけれども、法律上といいますか、法令上義務付けてこれだけの情報は提供しなければいけないといったようなことはございません。

井上哲士君

 国内の場合は様々なメディア等を通じてたくさんの情報がありますし、公報なども届けられるということになっているわけですね。海外の場合はそういう点では非常に閉ざされたところがあるわけですから、私は相当それを配慮した運用が必要だと思います。そこを是非よろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、これは元自衛隊の幹部をされていた方がある新聞で語っておられますが、投票制度自身は賛成だとした上で、隊員は閉鎖的で特殊な状況にあるので、単純に投票できればいいというものではなく、投票行動が強制されているとの疑念を持たれないような選挙管理体制など仕組みも一緒に議論する必要があると、こういうことを述べられております。

 自衛隊の幹部を務められた方の発言で私は重みがあると思うんですが、この点の配慮はどのようにお考えでしょうか。

衆議院議員(大野功統君)

 前防衛庁長官からお答えいたします。

 まず、御指摘の、自衛隊は閉鎖的な組織であるということでありますけれども、私は、自衛隊というのは規律正しい組織であると、ルールを守る組織であると、こういうふうに思っております。

 それから、今回の改正におきまして、投票を管理すべき者は投票管理者とみなします。それから、投票に立ち会う者は投票立会人とみなします。したがいまして、この管理者、立会人に対してそれぞれ罰則がある、このことを御銘記いただきたいと思います。

 そういう意味で、私は、組織の問題それからルールの問題、両方併せまして、選挙が公正、適正に実施されるものと期待いたすと同時に確信いたしております。

井上哲士君

 時間ですので、終わります。


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