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2006年3月17日(金)

予算委員会
「在日米軍再編経費の日本側負担」について

  • 昨年10月の在日米軍再編計画に盛り込まれた在沖縄海兵隊のグアム移転の費用について、米側の見積もりが当初の3倍の1兆円超にも膨れ上がっていることことを指摘し、きっぱり拒否すべきと小泉首相に迫る。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 二月一日の当委員会で私は、防衛施設庁の内部で発されたメールを示しまして、地方自治体が米軍再編に反対の意見書を上げないように圧力掛けているじゃないか、これやめるべきだということを申し上げました。防衛庁長官は、調査を約束されまして、このメールが実在するものだということを認められました。

 全国的には、こういう様々な圧力を超えまして自治体の運動が発展をしております。先日は、岩国で住民投票が成功し、米軍移設ノーという審判が下されました。地元の新聞は、「民意を重く受け止めよ」という社説を書きまして、移転容認の見返りに地域の振興策を求めるべきだとする声よりも、基地機能の拡大・強化への不安や負担増の懸念が勝ったからではないかと、こう書きました。

 正に、この民意を重く受け止めるべきだということをまず総理に申し上げた上で、今日はこの基地再編に伴う日本の経費負担についてお聞きをいたします。

 この岩国基地では、滑走路の沖合移設工事が行われております。そこにFA18戦闘攻撃機などが五十七機も移転するということに対して住民のノーの声が上がったわけでありますが、この滑走路沖合移設工事に伴う総工費は幾らなのか、そしてアメリカ側の負担額は幾らなのか、お答えください。

政府参考人(北原巖男君)

 御答弁申し上げます。

 その前に、先ほどのメールの件につきましては、調査をいたしまして、先般、先生の事務所に御説明をさせていただいたところでございます。

 それから、滑走路の件でございますけれども、平成五年度からこれを沖合約千メートルに移設をいたしまして、これによりまして岩国飛行場の運用上あるいは安全上、さらには騒音上の問題を解決しようということで今鋭意工事を進めております。平成八年度から工事に着手をいたしまして、工期十三年の予定でございますので、平成二十年完成を目指しておりますが、先生御指摘の総事業費は約二千四百億円を見積もっております。これはいずれも日本の提供施設等整備費によって実施をするものでございます。

井上哲士君

 アメリカが使う施設なのになぜ日本がすべて経費を払う必要があるんでしょうか。

政府参考人(北原巖男君)

 御答弁申し上げます。

 私どもの現在行っております岩国飛行場でございますが、まず基本的に、地位協定二十四条に基づきまして私どもが、アメリカ側の負担をさせるということはなくて、日本側がこれを負担していくといった大きな原則があるわけでございます。そして、ただ、それは大きな原則でございますが、個々の具体的な事業につきまして、これを私ども、日米安保体制の円滑また効果的な運用を図るといった観点から、今申しました地位協定の範囲内におきまして、米側の希望も聴取しながら、そして今申しました安保条約の目的の達成と、それから我が国自身の財政負担との関係、それからこの基地を取り巻く社会的、経済的影響、もろもろの問題点等を総合的に勘案をいたしまして、そして個々の施設ごとに我々日本側が自主的に判断によって対処してきているものでございます。

井上哲士君

 かつては地位協定上は滑走路の延伸工事などはアメリカが負担するものだという答弁もあったわけですけれども、どんどんどんどん日本の負担する範囲が広がっています。

 そこで、防衛庁長官、お聞きいたしますけれども、今回の米軍再編に伴って新たな建設が必要な施設がどれだけあるのか、そして日本の負担の総計はどれだけになるのか。いかがでしょうか。

国務大臣(額賀福志郎君)

 お答えをいたします。

 今正に日米の間で中間報告に基づきまして最後の詰めを行っているわけでございまして、これが決まらないとはっきりとした負担が、経費がどれくらい掛かるかということの明確な数字は出てきませんので、今答える段階にはありません。

井上哲士君

 ここは予算委員会なんですよね。どれだけの負担なるのかと、予算支出があるのか示していただかなかったら審議にならないんです。

 それで、答えられませんので、この米軍再編の中間報告に明示をされた新たな施設の建設が必要なもの、私、拾い上げますと、まあこのぐらいありました。例えば、じゃこの辺野古への海兵隊の新基地の建設、これはいわゆる沿岸湾の、沿岸案の建設費用は、これは日本が負担することになるんですか。

国務大臣(額賀福志郎君)

 普天間の施設の移転でございますから、日本側の負担であります。

井上哲士君

 これも約一兆円と報道される、大変な額なんです。

 で、例えば、この中にも新田原、それから築城、こういう基地の建設がありますけれども、これはいわゆるアメリカの戦争の際に輸送基地や施設を造ると、まあこういうふうに中間報告に記されております。これまでの費用負担の範囲を大きく超えた中身になっているわけですね。

 報道によりますと、在日米軍再編にかかわる日本側の経費について総額三兆円を超すと、こういうふうに言われております。そういう政府試算があると。それをアメリカ側に先日説明をしたと報道されております。

 アメリカに説明ができて、なぜ日本の予算委員会で説明ができないんでしょうか。長官、どうですか。

国務大臣(額賀福志郎君)

 例えば、先ほどもキャンプ・シュワブの普天間移転、代替施設移転について一兆円ぐらい掛かるとか言っておりましたけれども、それは前にですね、当初のSACO案、二千数百メートル沖合に造る場合は相当お金が掛かるというような話のときに新聞とかで報道されていた数字ではないかと思いますが、キャンプ・シュワブの沿岸でやればそんなにお金は掛かりません。

 そのように、今、日米の間で協議をしているわけでございますから、これが細目きちっと詰めていかないとそういう経費が幾らぐらい掛かるかということは全く出てまいりません。報道でなされているけれども、根拠のない数字であるというふうに思います。

井上哲士君

 いわゆる思いやり予算による米軍施設の整備費というのは二十七年間で約二兆円と。三兆円ということになりますと、これはるかに上回る規模なわけですね。それをアメリカには説明しながら日本側の予算委員会でも全然説明できないという、そういう秘密主義に私は岩国でもノーの声が突き付けられたんだと思うんです。

 もっと問題なのは、この在日米軍の再編に伴う海兵隊のグアム島への移転経費の負担です。これは報道ではなくて、正にアメリカ国防総省の当局者が記者会見をされたわけですね。経費の総額は百億ドル、約一兆一千八百億で、日本政府に七五%、八千八百五十億円の負担を求めたということを自ら日本人記者に説明されました。

 総理にお聞きしますけれども、このアメリカ側からの要求にどうこたえるつもりでしょうか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 現在、その点につきまして、沖縄の海兵隊の一部をグアム島へ移転する、そういう経費はどのぐらい掛かるかという話合いをしている最中であります。

 アメリカ側はアメリカ側の意見として言ってきているんだと思いますが、日本側としては日本側の考えがありますので、日本側の考えも伝えて今話合いの最中だと私は報告を受けております。

井上哲士君

 午前中の審議でも、沖縄の負担減のためだから払うんだと、こういうようなお話もありました。しかし、このグアムへの基地移設というのはそもそもアメリカ側の大きな構想の中にあるんです。

 で、今朝の新聞にも、ローレス・アメリカ国防副次官の会見が出ておりましたけれども、こう言っています。グアムには海兵隊だけでなく空軍、海軍も合わせた主要なハブ、拠点をつくろうとしていると。沖縄からの海兵隊の移転はその一要素にすぎないと。要するに、アメリカはグアムに大きな拠点をつくる、その一部としてこの計画があるというわけですね。正にアメリカの戦略に沿ってつくられたものなんです。そのために日本がお金出すというのは全く道理がないと思うんですね。しかも、アメリカが出している金額に全く道理がありません。

 総理にお聞きいたしますけれども、私ここにアメリカ議会の海外基地見直し委員会が昨年五月にブッシュ大統領に提出をした米軍再編に関する報告書というのを持っておりますけれども、総理、これ御存じでしょうか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 いえ、詳細については私はよく読んでおりません。

井上哲士君

 朝から情報収集能力ということが議論になっておりますけれども、こういう大事なものが総理のところに行ってないというのは大変、その能力に大変危惧を感じざるを得ないんです。

 この中でどう述べているかといいますと、沖縄の海兵隊のグアム移転に関して、これはかなりの建設費が必要で、最大で二十九億ドルと言っているんです。最大で二十九億ドルですよ。これは去年の五月。ところが、今年の二月上旬には七十六億ドルになって、二月の下旬には八十億ドルになって、三月になったら百億ドルに膨れ上がっているんです。国内向けブッシュ大統領への説明と日本に言っている金額、三倍の開きがあるんですね、この五月の時点と。ですから、積算根拠も示さずに、欲しいものを言い値で要求していると言わざるを得ないんです。

 そして、私驚きましたのは、今朝の新聞に久間総務会長の発言が出ておりました。いいチャンスだから、幾ら掛かったとしてもこの時期にやるべきだと述べたと。幾ら掛かったらって、久間さんの財布から出すんならいいですよ、国民の税金で出すんですから。

 こんなことで、財務大臣、いいんでしょうか。

国務大臣(谷垣禎一君)

 先ほどからいろいろ御答弁ございますように、三月末を目標にして今、防衛庁長官、外務大臣、一生懸命やっておられますので、私から今まだ決まっておりませんことをどうのこうのコメントすることは今持ち合わせておりません。

井上哲士君

 幾ら掛かってもいいと、こういうことを言っているんですね。今国民向けには様々な、定率減税の全廃とか、そして医療費の負担増とか様々な負担掛かっているんですね。そして、これ財政厳しいからといって国有財産の、売り払うと、こんなお話もあるわけです。そういうときに、こういう全く根拠のない、国内向けと日本向けには三倍もの金額を出してきていると。こういう発言があるから、日本には何言ったってどんどんどんどん受けるということになっているんじゃないですか。

 しかも、この昨年の五月の時点で最大八千人の移転計画だということもはっきり述べているんです、この文書で。ところが、アメリカ側は最近、移転計画は当初の七千人から八千に増えたと、費用も八十億ドル、だから百億ドルになると、こういうことを言ってきているわけですね。

 総理、そもそもこういうアメリカ戦略、アメリカの海兵隊強化に基づく負担、しかもそこに全く金額上が非常にでたらめな要求されている。こういうものについては私はきっぱりと拒否をするべきだと思いますけれども、総理の所見をお伺いします。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 日本としては、沖縄の米軍基地の負担軽減のためにある程度費用は持つという用意はあります。海兵隊の沖縄からのグアム島への移転等、これからの話合いですから、額については今後折衝をしていきたいと思っております。

井上哲士君

 国民には様々な負担増を押し付けておきながら、一方でアメリカから言われたら、先ほど言いましたように国内向けに言っている金額と日本に示している金額が三倍も違うんです。こういう負担に唯々諾々とこたえることは許されないし、岩国の問題でも、住民投票の結果をしっかり示して、これは白紙撤回を求めるべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。


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