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井上哲士ONLINE
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2006年11月30日(木)

教育基本法に関する特別委員会(午前)
「タウンミーティング・いじめ・未履修問題及び教育委員会制度についての集中審議」(対総理)

  • 03年12月の岐阜のタウンミーティングの開催について、岐阜県教育委員会が党県委員会の質問に答えた回答から、同県教委は「文部科学省から、当時の学校政策課長(文科省からの出向者)に対して、質問が送られ」てきたと回答していることに対し、文科省ぐるみのやらせ質問だったと批判。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 教育基本法の改定の促進のために、教育改革のタウンミーティングを通じてやらせ質問が八会場中五会場で行われ、そして六会場で自治体職員や学校長などの動員が行われていたことが明らかになりました。やらせとサクラの中で世論誘導が行われていたと。これは憲法にかかわる教育基本法の改定に当たって絶対にあってはならないことだと思います。

 そこで総理、聞きますけれども、道徳心といいながら全く道徳心が感じられないようなこういう事態の下で作られた法律、これ僕たち守らなくちゃいけないのかと子供たちに問われたら、現場の教員や親というのはどういうふうに釈明をせよとおっしゃるんでしょうか、総理のお考えをお聞かせください。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 このタウンミーティングの問題につきましては、当委員会を始め、厳しい御指摘があります。確かに私も、あらかじめ質問内容を依頼する等々の問題、これはもちろん間違っている、大変遺憾に思うわけでございまして、その意味におきまして、この教育に関するタウンミーティングも含めまして、すべてのタウンミーティングについて今徹底的に事実を究明をしているところでございます。

 その上において、もちろん国民の皆様にこの結果をお示しをして、タウンミーティング本来の目的でございます、国民とお互いに双方向の対話を行うことによって政策についての理解を深めていく、議論を深めていく、このタウンミーティングを、本来の目的であるタウンミーティングを私は再スタートしたい、こう考えているわけでございます。

 しかし、他方、この教育基本法につきましては、教育基本法、中教審でも議論されました。そしてまた、与党においても長い間議論がなされてきた。国民の代表者で構成されているこの国会、まずは衆議院において百時間を超える議論がなされたわけでありまして、またこの参議院におきましても活発な御意見をいただいていると、そして議論は大分深まってきたのではないかと、私はこのように認識をしております。

井上哲士君

 まあ子供たちはそれではとっても納得しないと私は思います。

 そこで、伊吹大臣にお聞きをいたしますが、衆議院で、この八戸のタウンミーティングのやらせ質問が明らかになったときに随分議論がありました。そのときに、文部科学省が主役だったんじゃないか、こういう私どもの質問に対して、そういう考えにはくみしないと、文部科学省主導ではなかったと、こういう答弁でありますが、その後、タウンミーティング全体についての調査が進んでまいりましたけれども、大臣の御認識は変わりましたでしょうか。

国務大臣(伊吹文明君)

 タウンミーティングそのものは文部科学省が所管しているものではありません。これは内閣府が所管しているものです。

 しかし、こちらからお願いしたというような事案もあるようですし、向こうから御依頼を受けて作成したというようなケースもあるようです。ですから、衆議院のときにどういうやり取りがあったのか、これは正確に議事録で確認して御質問があり、それにお答えをしないと、途中を省かれたりなんかして間違ったりすることあるといけませんから、私はやっぱりこれは、結果的に内閣府と文部科学省と、しかもそれが、一番の私は今回の問題は、上の者がどこまで知っていたのかということだと思います。文部科学省のぐるみとか、内閣府、政府ぐるみというお言葉を使われる場合はね。むしろ、知らなかったということに私は衝撃を受けておったわけですよ。むしろ官庁機構としては、二・二六事件じゃないから下の者だけが暴走しちゃいけないんで、どこまで知っているかということをきちっと私は今調べているところです。

井上哲士君

 文部科学省が直接依頼をしていたものもある、関与があったことも今述べられました。

 それで、私は、八戸の問題で広報室長が了解したと、こういう答弁があって、どうも腑に落ちないと思ったんです。そんな、広報室だけでこれができるんだろうかと思っておりました。そうすると、その後、岐阜や松山では文部科学省が直接発言や動員を依頼したということが内閣府の調査でも明らかになりましたが、一番最初に行われた岐阜のタウンミーティングでひな形が作られたんではないか、そう思っております。

 この岐阜のタウンミーティングは、文部科学省から直接教育委員会に発言依頼をしているんですね。この問題での真相を解明したいということで、私どもの県委員会が申出をいたしました。その回答書が二十八日に届きましたので皆さんのお手元に配付をしております。

 ここでは、岐阜の県教育委員会はこう言っております。「平成十五年十二月上旬に、文部科学省から、当時の学校政策課長(文部科学省からの出向者)に対して、質問文案が送られ、参加予定者に対して発言依頼を行うようにとの働きかけがあった。」。

 正に文部科学省から直接依頼があり、しかもそれを受けたのは文部科学省からの出向者であった。これはやっぱり大臣、文部科学省ぐるみだと言われても仕方ないんじゃないでしょうか。

国務大臣(伊吹文明君)

 ぐるみというのは、トップは私でございますから、私から末端の職員まですべてを含んだことを指しております。

井上哲士君

 そういうのは国民の支持得られないと思うんですよ。

 じゃ、どこが一体関与をしていたのかがどこまで調べられているんだろうかと私は思いますが、この岐阜県の教育委員会の資料では、当時の発言文書がなかったので改めて国から入手したと書いてありますけれども、これは岐阜県の教育委員会にはどこからお渡しになったか分かりますか。

政府参考人(金森越哉君)

 お答えを申し上げます。

 どこから文書を渡したかという御質問でございますけれども、私ども、だれからこの文書を渡したのか、今定かには分からないところでございます。

井上哲士君

 岐阜県の教育委員会に聞きますと、文部科学省の教育基本法改正プロジェクトチームから最近入手をしたと、こう答えているんですね。

 お手元に表がありますけれども、教育基本法の担当部署というのは、二〇〇一年から教育改革官室、教育改革推進室、そして今の教育基本法改正プロジェクトチームと、こういうルートになっております。ですから、広報室から手に入れたんじゃないんですね。正に基本法の改定をやっているこのチームのところに当時の質問の原稿があったと。私は、これは正に単に広報室だけの問題でないということを示していると思います。

 そこで、この二〇〇三年の十二月の岐阜市のタウンミーティングが行われたときは、当時のこの基本法の担当部署の一番の責任は生涯学習政策局長でありますが、当時の局長は今の初中局長をされています銭谷さんでありますが、当時、生涯学習局長としてこの岐阜での発言依頼を承知をされていたのかどうか、お答えください。

委員長(中曽根弘文君)

 金森総括審議官。

井上哲士君

 銭谷さんですよ、銭谷さん。当時のことなんだから。当時のことなんだろう。

委員長(中曽根弘文君)

 後で答弁する。先にやりなさい、じゃ。

政府参考人(金森越哉君)

 お答えを申し上げます。

 教育改革タウンミーティングにつきましては、伊吹大臣の指示をいただきまして、今回の事案のラインに乗っていない、私、総括審議官を中心に省内で鋭意調査を行っているところでございますが、だれがどういう形でどのようにかかわっていたのかということにつきましては現在慎重に調査を進めているところでございまして、特定の個人がどうだということについては差し控えさせていただきたいと存じます。

井上哲士君

 いや、当時、正に局長だったのが銭谷さんなんですから、かかわってないんならかかわってないとはっきり言っていただいたらいいんです。関与してなかったんですか、承知されなかったんですか、お答えください。

政府参考人(銭谷眞美君)

 私、岐阜市でタウンミーティングがあったときの生涯学習政策局長でございましたが、当時の状況につきましては今総括審議官のところで全体の調査をいたしておりますので、そちらの方にお聞きをいただきたいと存じます。

井上哲士君

 いや、あなたの記憶を聞いているんですね。局長まで行ってなかったと言われるんなら、そう言われたらいいんですよ。あなた自身が知っていたのかどうなのか、当時、それを答えてください、自分のことなんですから。

国務大臣(伊吹文明君)

 先生ね、これは当時、今の初中局長である銭谷さんは生涯学習政策局長で、責任者であるんです。そして、私が今まで調べているところでは、彼はこの、もちろん裏を更に取らなくちゃいけませんよ、人を将来的に処分しなければならぬ。彼はその事実を知らなかったと思います。知らないということがむしろ役人の組織としては非常に問題じゃないかという認識を私は持っているわけです。今それを調べているところですから、当人としてはそれは答えられないんですよ。であるから、当時のラインに乗っていない総括審議官を私がその調査チームのトップに命じてやったわけです。

 そして、広報室長でというお話がありましたが、この教育改革官室、教育改革推進室というものは文部科学省の設置法上、存在しないものなんですよ、これは。アドホックとしてつくっているものなんですよね、アドホックとしてつくっている。それで、そこの責任者が生涯学習局長なんですよ。そして、広報室長もこの教育改革あるいは教育改革推進室のその広報を担当する者として当時の事務次官の指示によってここに併任、実質的に併任されているということなんです。ですから、広報室長という全く別の資格で何かやったというわけじゃなくて、この中へ入っているわけです。そういうことを今ずっと調べている過程なんですね。

 だから、なかなかそれは先生、本人の身分にかかわることについては本人が例えば、私は知りませんと本人がここで自分の責任を免れるような答弁は、むしろ良心があるからできないんですよ、それは。

井上哲士君

 そう言いますけれども、例えば内閣府から理事会に資料が示されました。しかし、そこにあるのは内閣府を経由したメール、内閣府に残っている文書だけなんです。例えばそれじゃ、その真相解明やるというんであれば、岐阜の問題で文科省が岐阜の教育委員会に発言を依頼をした、その依頼をした文書を出してくださいよ。出ますか。

政府参考人(金森越哉君)

 お答えを申し上げます。

 私どもが県の教育委員会にお願いをいたします際には電話で依頼をいたしておりまして、名簿や質問の文書につきましてはメールでやり取りをすることはございますけれども、依頼そのものは電話で行っていたところでございます。

井上哲士君

 あのね、岐阜だけじゃないんです。文部科学省が直接出した松山に対する依頼文書とか、要するに文部科学省が直接発出したものは何も資料出てないんですよ。これでは真実解明なんかできないですよ。

 そこで、私、まあ午後もありますから更に追及しますけれども、この岐阜の教育委員会のこの回答を見ますと、私たち、原因の問題、責任の取り方を聞いたら、こう答えているんですよ、県教育は。県教委としては、今回の発言依頼は文部科学省からの依頼を受けて行ったものであり、関与した職員は積極的にやらせ質問に加担するという意図があったものではないと考えていると。しかし、結果として教育委員会に対する信頼を損ねたことは事実だと。正に、文部科学省の依頼を受けて行って教育委員会の信頼を損ねたと言っているんですよ。こういうことがありながら、何ら、私は今の答弁聞いておりましても、真実解明に積極的に行うと思えないんですね。真実解明も責任もはっきりしないままでこんな法案を審議するようなことが一体できるのか。

 私は、これでは正に国民の信頼を得ることはできないと思いますけれども、総理、どうでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 このタウンミーティングの問題については、この真相究明については、これは調査のためのチームをつくりまして、林副大臣が責任者となって、そして外部からの弁護士等の方にも入っていただいて、厳正に第三者の目でこれはしっかりと今事実関係を調査をしているわけでありまして、そのことは、国民の皆様にできる限り早くこれを明らかにするということはお約束をしているわけであります。

 しかし、これは、先ほど来申し上げておりますように、この責任の所在、あるいはこれは処分にもかかわってくるわけでありますから、厳正に行わなければならないという意味において、厳正に正確に行いながら、そして今、本当に大変な作業でありますが、必死になって、できる限り早く明らかにするべく努力をいたしておりますし、これは必ず明らかにするということはお約束を申し上げます。

委員長(中曽根弘文君)

 井上哲士君、時間です。

井上哲士君

 真相と責任の解明は正にこの法案審議の前提だということを改めて申し上げて、質問を終わります。


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