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井上哲士ONLINE
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2006年10月11日(水)

予算委員会
「外交問題集中審議」

  • 北朝鮮の核実験問題に強く抗議し、国際社会の一致した対応と平和的・外交的解決を強く求める。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 安倍総理に北朝鮮の核実験の問題で質問をいたします。

 日本共産党は、北朝鮮の核実験の問題で直ちに志位委員長の談話を発表いたしまして、国連安保理決議などの国際社会の意思を無視し、六か国協議や日朝平壌宣言などの国際的な取決めをじゅうりんをした、世界とアジアの平和と安定を脅かす脅威として強く抗議をいたしました。

 私自身でいいますと、私は被爆地の広島で育って、核兵器の悲惨さということを胸に刻みながら育ってまいりました。卒業した高校が爆心地のすぐそばでしたから、先輩たちは全滅をした。人間の形で死ぬことすら許されなかった先輩たちもいる。そんなことから私は、このような理不尽は二度と許してはならないし、核兵器と人類は決して共存できないんだと、このことを自分の政治活動の土台にしてまいりました。ですから、昨年は国連で行われたNPTの再検討会議にも行きまして、いろんな場所でこの核兵器の廃絶を訴えてまいりました。それだけに、今回のこの北朝鮮の暴挙については本当に心からの憤りを持っております。

 今大事なことは、国際社会が一致結束して働き掛けて、北朝鮮に対しすべての核兵器、核計画を放棄をさせる、そして即時無条件に六か国協議に復帰をさせると、こういう働き掛けをすることだと思います。そして同時に、軍事衝突、戦争というものは何としても避けなくちゃいけない、外交的、平和的解決が本当に大事だと思っております。昨日の衆議院の予算委員会で総理は、この点では日本共産党と同じ考えだと、こういう答弁もございました。

 そこで、安倍総理に幾つかの点を聞きますが、まず国際社会が一致して対処をするという点で、とりわけ日本、中国、韓国、三国の結束というのは大変大事だと思います。総理は、この実験の直前、直後に中国、韓国を初めて、初めての首脳会談を行われました。

 まず、胡錦濤主席との会談についてお聞きをするんですが、中国側は、これはまだ実験前の宣言だけの事態でありましたけれども、どういう認識をしていて、そして総理はどういう提起をし、両国間ではどういう一致点が得られたのか、まずこれをお答えください。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 私から胡錦濤主席に対して、この北朝鮮の当時、核実験をするという宣言があって、実際にしたということはまだ外に北朝鮮は言っていなかったのでありますが、この核実験の試みは何としても阻止をしなければならない、そして六者協議に無条件で復帰しなければならないと。この六者協議無条件復帰に際しては、中国は六者協議の議長として大変な御努力をしてこられたが、何とかまた影響力を是非駆使をしていただいて、北朝鮮にこの六者会合に無条件で復帰をし、そして核を保有をするというこの試みを放棄させるべくお互いに努力をしていきましょうと、そのための連携を取っていこうということを申し上げたわけでございますが、その点では一致をしたわけであります。

 そして、私どもとしては、日本としては断固としてこの北朝鮮の核実験は許すわけにはいかないということを申し上げたわけでありますが、中国側からも北朝鮮のこの核実験、核保有を容認しない、断固許さない、そしてそれは不変の考え方であると、原則であるという意思も表明されたわけでありまして、その点では一致をしたと思っております。

井上哲士君

 次に、韓国との首脳会談が行われました。盧武鉉大統領はこの首脳会談後の記者会見で、核実験に対する対応基調について日本の首相と意見が異なる点はなかったと、こういうふうに述べられたわけでありますが、韓国との間でもどういう提起をされ、どういう点で一致点を見たのか、お答えください。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 韓国はそれまでは平和繁栄政策を取ってきたわけでありますが、私との会談の際には今後は厳しい反応をしていかざるを得ないということでございました。これは、私は今までの平和繁栄政策をもう一度検討するという示唆ではないかと、このように理解をしているわけでありますが、私と盧武鉉大統領との会談の中におきまして、四点合意、認識が一致したわけであります。

 第一点は、核実験の実施が確認されれば重大な脅威であり、断じて容認できない。そして、国際社会はこのような北朝鮮の行動を容認せず、更なる厳しい措置をもって臨まなければならない。そして、三点目は、日韓両国が今後直ちに断固たる対応を取っていく必要がある。そして、安保理における厳しい措置を含む決議の速やかな採択に向けて緊密に連携を強化をしていく。この四点について私と盧武鉉大統領は一致したのであります。

井上哲士君

 総理は、昨日の予算委、衆議院の答弁で、この日中韓三国の緊密な連携を重視をして対応をしていくと、こういう答弁がございました。この日中韓三国の連携を重視をしつつ、その上でやはり国際社会が一致結束して対応していくという点で、じゃ、国連ではどういう対応を日本としてはしているんでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 同盟国である米国を始めとして、この安保理の決議でありますから、安保理に入っている国々、特に常任理事国であるイギリス、フランス、そしてロシア、また中国と連携を取りながら、連絡を取りながら、厳しい措置を含む決議を採択すべく努力をしているところでございます。

 また、この安保理とは別に、六者会合のメンバーということで韓国も入っております。先般、外務大臣がそれぞれの国々の外相と電話連絡を取りました。また、マルチの電話協議も行ったところでございます。

井上哲士君

 こういう国連での対応、また六か国協議に参加をしている国々との対応という点でもう一つ重要な点は、外交的、平和的解決を貫くということだと思います。これは国際社会も望んでいることだと思うんですね。

 米韓の首脳の電話会談で盧武鉉大統領は、冷静、戦略的に調整した対応に努めること、友邦との協議と協力を基盤に対処すること、国連の措置を支持すること、これを挙げて、この点で米韓の首脳が一致をしたと報道されております。

 それから、米中の首脳の会談も電話で行われていますが、胡錦濤主席は、関係各国が冷静に対応することを願う、事態を更に悪化させ、制御不能な状態に陥らないようにするためにも対話と交渉によって問題を解決する姿勢を維持するよう希望していると、こういうふうに述べて、ブッシュ大統領は、米国は現在のところ外交により朝鮮半島の核問題を解決できると認識していると、こう述べたと報道されています。

 軍事力で対応して軍事衝突ということになりますと、これは最悪の事態になるわけでありまして、この米韓中が電話会談の中で平和的解決の努力をしている、大変大事だと思いますけれども、この点についての総理の認識を伺いたいと思います。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 もちろん、軍事衝突はだれも望んでいないわけであります。そうしたことにならないように全力を挙げなければいけない。また、そもそもこの北朝鮮の問題、核問題もまたミサイル問題もそうでありますが、この問題の解決は、平和的な解決をしていく、外交的な解決をしていくということについては国際社会が認識を一つにしていると、このように思います。

 我々日本といたしましても、当然、平和的、外交的に解決をしていかなければならない。そのためにも、国連の場におきましてまずは国際社会が一致して北朝鮮に対して強いメッセージを出すことが大切であろうと、このように考えています。

井上哲士君

 韓国の韓明淑首相も、国連決議に関連をして、軍事政策を含めるべきではない、朝鮮半島で戦争があってはならないというふうに述べております。朝鮮半島での動乱とか戦争ということになりますと、同じ半島内の韓国はもとより、日本にも大変な被害ということが生じるわけでありまして、この軍事衝突、ならないと、ここでの対応が本当に大事だと思います。その上で、じゃ、北朝鮮にどういうメッセージを国際社会、そして日本が与えていくのか。

 北朝鮮はこの核実験によって安全保障が強化をされたということを繰り返し言っております。私は、やはり北朝鮮に言いたいわけですね。現実はむしろこのことによって国際社会からの孤立を深めて、自分の安全保障にとっても最も危険にさらす状況になっていると。今、北朝鮮の安全保障にとって問題なのは、戦力が不足していることじゃない、国際社会とまともな外交関係がないこと、ここにあるんだと。これを改めて、早期かつ無条件に六か国協議に復帰をし、そしてすべての核兵器及び核計画を放棄をする、そして国際的な無法行為の清算によって周辺諸国や世界各国とのまともな安定した外交関係を築いていく、このことが北朝鮮の安全にとっても平和にとっても最大の保障なんだと、こういうことを道理を持ってこの国に説いて分からせていくと、このことが私は大事だと思うんですけれども、この点での総理の認識、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 北朝鮮が核武装をして、そして世界の中で注目を浴び、大国になって米国と交渉する国になったというのは、正にこれは錯覚であって、本来、北朝鮮の政府が取り組むべき課題は、ミサイルを造ったり核兵器を造ることではなくて、国民に食糧を供給し、そして国民の生活の向上に全力を尽くすことではないかと、このように思います。

 北朝鮮がこうした核兵器を開発をすれば、ますます国民が置かれている状況が厳しくなっていくわけでありますし、北朝鮮という国自体の生存の条件も厳しい状況になっていくわけであります。

 こうした政策を変えれば、日本との関係においても、例えば拉致の問題を解決をして、そして核の問題、ミサイルの問題、こういう懸案について解決をすれば正常化するわけでございます。そしてまた、世界からも受け入れられる国になれば、新たな未来が開けていくことは間違いのないことでございまして、そういう北朝鮮に対して道理を理解するように我々も努力をしていかなければいけない。

 そのためには、間違ったメッセージを出さないことも重要であって、こうした核兵器を保有することによって何かかえって国の存在が大きくなったということを思わせないようにすることも大切であろうと。そのためにも、国連の決議によって、厳しい措置を含む決議を全会一致で採択することが大切であろうと思っております。

井上哲士君

 最後に、この問題解決していく上での日朝平壌宣言の位置付けについてお聞きをいたします。

 この北朝鮮の核実験という現実の前に、もう六か国協議は限界だとか、平壌宣言は破綻したとか、制裁をもう強化するしかないと、こういう言わば制裁をどんどんエスカレートするような議論があります。私は冷静な対応が必要だと思います。そのためには、この核問題、拉致問題、歴史問題について、解決の目標と方向を示してきたこの日朝平壌宣言は非常に大事だと思っております。

 日本政府として、今回の事態について、この日朝平壌宣言に基づいて解決していく、この姿勢を貫いていくべきだと思いますが、総理の御見解を伺います。

内閣総理大臣(安倍晋三君)

 北朝鮮がこの日朝平壌宣言の趣旨にのっとり、精神にのっとり、ちゃんと対応していけば国交正常化に向かって進んでいくわけであって、国際社会の懸念は解消され、北朝鮮には未来は開けていくわけであります。

 この平壌宣言の精神に戻るように、我々もこれから北朝鮮にしっかりとそれを理解するように、これはまあ対話と圧力にならざるを得ないわけでありますが、働き掛けていかなければならないと考えております。

委員長(尾辻秀久君)

 時間が参っております。

井上哲士君

 国際社会が一致して結束して対応し、そして平和的、外交的な解決を図るために全力を尽くしていただきたい。強調しまして、質問を終わります。


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