まず、井上先生、国が指定をする、あるいは地方自治体が指定をするということによって文化財の所有者にも一定のやはり義務が掛かってくるんですよ。文化財といえどもこれは私有財産ですからね、売却をしたりすると多額のお金が入ってくるという面もあるわけですね。ですから、ある程度の義務を課すことによって、大切なものとして売買が制限されるとか公開の義務が生ずるとかということで初めて国費を入れる意味があるわけです。ですから、なかなか発見できなかったから指定できていないという部分もありますけれども、所有者も、こういう立派なものだから、私どもは義務を課されてもいいから国の文化財あるいは地方指定の文化財にしてほしいということも一つ私は必要だと思います。
それと同時に、今回、先ほど参考人が申しましたように、国のものについてはいろいろな、要するに当然それは国が指定するわけですから義務が出てきます。しかし、地方自治体や指定されていないものについても、やはりこれは地方自治体が何かをやる費用というのは当然要るわけですから、ですから、国は指定していなくても交付税の、特例交付税の配分において配慮するとか、そういうことは当然なされるべきことであって、これは総務省でも十分考えていることだと思います。
ですから、所有者も、私有権の行使について制限を受けてもいいけれども、大きな、何というか、後世に伝えていくものだからというお気持ちを積極的に持っていただいて、平時においても指定の願い出をしていただくということと相まって、今先生がおっしゃったことは考えていくべきことだと思います。