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井上哲士ONLINE
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2007年4月25日(水)

経済・産業・雇用に関する調査会
「ワーク・ライフ・バランスへの取組」について

  • 人間らしく生きられる労働時間という問題とその労働時間で生活費が保障される賃金について質問。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。今日はありがとうございます。

 昨日の夜、たまたまテレビでいわゆるネットカフェで寝泊まりする若者の特集を少しやっていましたけれども、これはかなりこの間いろんな話題になっていましたが。私、驚いたのは、更に進んでといいましょうか、ハンバーガーショップなどにそのまま寝る、その方が安く付くわけですね、というのがかなり広がっているということも出ておりまして、ワーク・ライフ・バランスといっても、そのバランスを取るべきライフの部分が非常にゆがんでいるといいましょうか、存在しないといいましょうか、という部分が更に広がりを見せているということで大変深刻だなと思って見ておりました。

 それで、今日の報告の中でも多様な働き方という言葉が何か所か出てくるわけでありますけれども、この間、一貫してこの多様な働き方ということが言われまして、一連の規制緩和なんかが行われる中でこういう非正規雇用ということが出ていましたし、昨日出ていましたのは、派遣に登録をして、携帯電話で明日はあっち、あさってはあっちというふうに日々日雇みたいな、こういう働き方になっているということになっているわけですね。

 二極化というお話があったわけですけれども、相当部分にこういうことが広がっているということになっておりまして、そうしますと、今幾つか報告があった多様な働き方ということが、やっぱりこの間のこういうことができたことの反省とか、それから原因をしっかり見ておかないと、ワーク・ライフ・バランス以前の非正規のそういう人たちを新たにつくり出してしまうことにならないかという思いがしておりまして、その辺どうお考えか、それぞれからお聞きしたいというのが一点です。

 それから、ワーク・ライフ・バランスといった場合に私は大きく二つの柱があると思うんですが、一つは、人間らしく生きられる労働時間という問題と、それからその時間でやはり生活費が保障される賃金がきちっと払われるという二つが要ると思うんですね。

 それで、まず労働時間の問題でいいますと、先ほど全体の残業時間の規制のことなんかお話があったんですが、例えばヨーロッパなどで非労働時間ということをやっていますね、休息時間というものをきちっと定めると。旧西ドイツの労働時間法なんかで、一日の労働時間が終わったら少なくとも十一時間の非労働時間が中断なく与えられなくてはいけないというような規定があって、ヨーロッパなど広がっていると思いますが、今のいろんな変形労働時間などを適用する場合とか、交代勤務の間でもこういうのをきちっと確立するというのは過労死などをなくすという点でも健康の面で大事だと思うんですが、こういう制度を取り入れるという点でどうお考えか、これは厚生労働省にお聞きしたいということです。

 もう一つは、生活費が保障される賃金ということなんですが、八代調査会長のこの骨子でいきますと、かなり働き方、時間の問題というのを言われるんですが、いわゆる生活費を保障される賃金という、少しそういう観点が私はちょっと見えてこないんですが、この辺はどのようなお考え方があるのかという、以上、お聞きしたいと思います。

会長(広中和歌子君)

 それでは、最初の御質問に対して、まず政務官がお答えになりますか、どなたか。

 それでは、まず村木審議官、お願いいたします。

政府参考人(村木厚子君)

 まず、一つ目の御質問でございますが、先生が御指摘になられました問題意識は、私どもも同じような問題意識を持っておりまして、お配りした資料の九ページに、「子どもと家族を応援する日本」という重点戦略検討会議の資料が一枚、九ページに付いてございますが、その働き方の改革分科会の中で、柔軟な働き方を実現をしていくということと並びまして、若者の社会的、経済的自立を支援し、能力、才能を高めていくための人材力強化というようなことで、結婚して子供を持てるような働き方、収入というところをしっかりと施策的にも併せて並行してやっていかなければならないというふうに私どもも思っているところでございます。

 パート労働法を始めとしまして、特に多様な働き方が進めば進むほど、その働き方が違っても公正な処遇が受けられるという施策が大事になるというふうに思っておりますので、そういった方の施策も併せてしっかり進めていきたいと考えているところでございます。

会長(広中和歌子君)

 内閣府の方で何か付け加えることございますか。

 では、次のテーマでございますけれども、厚生労働省森山審議官、お願いいたします。

政府参考人(森山寛君)

 労働時間を短縮していくという一つの方法でいろんなパターンがあると思います。各国も、先生も御案内のように、そもそも時間を限定しているのもございますし、それから今おっしゃったような休息時間のこともございます。

 今回の労働基準法を改正するに当たりまして、いろんな審議会でも、私ども、いろんな審議会といっても労政審議会におきましていろいろ御議論あったわけでございますが、その中で、やはり私ども、今の基準法というのが基本的に四十時間、一日八時間、四十時間を決めて、あとは労使の協定があった場合には違法じゃなくなると、そういう手法を守っていくということで、その中で全体の時間外割増し率を引き上げていくという手法で、今回時間外の抑制をしていこうということで合意が成ったということでございまして、現在としましては、こういう内容の法律を国会に提出をしているということでございます。

会長(広中和歌子君)

 三つ目の御質問に対してどなたか。

井上哲士君

 賃金の問題で、内閣府に。

会長(広中和歌子君)

 齋藤審議官。

政府参考人(齋藤潤君)

 今のお尋ねになりました賃金について生活保障という観点がないんではないかということなんですが、専門調査会ではそういう議論はございませんでしたので、その点について直接お答えするわけにいかないんですけれども、賃金の問題について専門調査会でどういうまとめ方をしているかといいますと、まず、その問題認識としては、先ほどもちょっと触れました、例えば正規、非正規間の壁ということでいうと、正社員、非正社員の間で賃金等で不合理な差があるというような認識、それから、女性の場合でも性別の壁のところでも男女間に賃金等で不合理な差があるという認識がございます。

 そういったものがどういうことに由来するのかというようなことにつきましては、目指すべき労働市場の姿というところで若干触れられていると思いますけれども、ここでは、一つは、今いろんなその賃金差があって、それは例えば企業規模別等でもあると、それは一部は企業内訓練によって形成される企業特有の技能の違いによるところもあるけれども、それ以外に、例えば外部労働市場が未整備であるということで企業間での労働移動が制限されているということもあるのではないかということで、外部労働市場が整備されて賃金が競争的に形成されるようになるということが必要なのではないか。そういうふうになれば、専門性を重視した職種別賃金の形成につながると。賃金については、例えばそういうような認識が示されてございます。

 以上でございます。


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