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2007年6月28日(木)

政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会
政治資金改正法案の提出者・賛成者の資金管理団体「組織活動費」(2005年)の透明度について

  • 与党案が、5万円以上の事務所費のみ領収書添付を対象としていることについて、菅総務大臣や与党発議者のうち2人の政治資金管理団体の収支報告書を示して批判。
    3人とも5万円以上の支出はほとんどなく、透明度はゼロから数%であり、これでは事務所費の透明度が上がるはずがないザル法だと批判。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今回の法改正は、一連の政治家の政治資金にかかわる経常経費をめぐる疑惑に端を発しております。佐田前行革担当大臣の架空事務所への経常費支出疑惑、また、家賃や電気代、水道代も掛からない議員会館を主たる事務所に置きながら多額の事務所費や光熱水費を計上していた故松岡農水大臣、伊吹文科大臣等々の疑惑であります。

 今月十九日の東京新聞の読者欄に、千葉県松戸市の六十六歳の男性の投書が掲載されておりました。こういう内容であります。

 どうしていつもこうなのか。問題が起こるとすぐさま括弧付き抜本改正案が出てくる。どこの会社、組織でも、事故、不祥事が起これば、まず徹底的な原因究明を行い、その後に対策案を考えるのである。政治資金に対する疑義に、法律にのっとり適正に報告していますと何の説明もせず、首相も説明させず、いきなり政治資金規正法改正案が出てくる。すべては臭いものにふた法案としか思えない。しかし、それ以上に問題なのは、原因、実態の徹底究明、解明がなされていない解決案は必ず行き詰まり、再び同じ過ちを繰り返すことだと。

 なかなか正鵠を射た指摘だと思います。政治資金規正法というやはり法律を改正する以上、疑惑を掛けられた政治家の疑惑をまず解明をして、現行法のどこに問題があるのか、どこに欠陥があるのかを明らかにする中で制度設計に取り掛かるのが私は大事だと思うんですが、与党発議者、そして民主党発議者それぞれに、この間の一連の佐田大臣、松岡前大臣、伊吹大臣等の疑惑は解明されたとお考えか、まずお聞きしたいと思います。

衆議院議員(後藤茂之君)

 まず、国会議員は、疑念を持たれた場合あるいは国民から政治活動や政治資金の問題について問われた場合には自らの責任においてきちんとした説明をすべきであると、そのことは今先生も御指摘の点だったと思いますけれども、そのとおりだったと思います。

 そういう意味で、それぞれの方々が、例えば辞職に際して、あるいはいろいろな場面を通じて、それぞれ自らの責任において説明をされてきていると、そういうふうに認識をしているところであります。

 また、今回、想定をされていなかったようなそういうことも出てまいったわけでございまして、そういう事態が発生したことにつきまして、国民の皆さんからも政治家と金の問題について大きな不信が生じてきていると。そういうことから、政治家と金の問題、そういう透明性を高めるための法律改正をすべきであるというふうに考えたわけで、そして、政治家とそして金ということになれば、政治家にかかわる政治団体について規制を強め、そして透明性を高めていくという今回の政治資金規正法の改正につながったわけであります。

 しかし、あくまで説明責任については、それぞれの政治家が説明責任を持っているというふうに思っているわけであります。

山下八洲夫君

 委員御案内のとおり、現行の政治資金規正法では、事務所費等の支出について、政治資金収支報告書への領収書の添付や支出明細の記載が義務付けられていませんので、そういう意味から申し上げますと、ただいま三名の政治家のお名前が出たわけでございますが、佐田前行政改革大臣は大臣を辞任なさった、あるいは松岡大臣におきましては大変痛ましいお亡くなり方をなされてしまった、そして伊吹文科大臣は、まだ大臣として頑張っていらっしゃるわけでございますが、特に文科大臣といいますと教育者の最高峰の方でございますから、教育面から見ましても、(発言する者あり)今お話がございましたように倫理面から見ましても、どうかなという危惧はいたしておりますが、いずれにいたしましても、この三名の方、私は説明責任については果たしていないと、そのように強く感じております。大変そういう意味では残念なことだというふうに思います。

 今投書のお話がございましたが、大変建設的ないい投書の意見だというふうに拝聴いたしました。やはり、せっかく改正するんであれば、今回なぜこのような政治資金規正法を改正せざるを得なくなったか、これは今お話し申しましたように、そのような疑念が起きて、そして大きな政治不信を抱いたと、そういうことでございますので、自ら政治家が率先して、国民の皆さんが理解できる、そのような抜本改正すべきだというふうに考えております。

井上哲士君

 与党からは自らの責任において説明をされたという答弁がございましたが、国民は全く説明責任を果たしたとは感じていないわけですね。

 そういう下で今回の法案が出されておるわけでありますが、今日、朝からの議論の中で、人件費を除く経常経費の領収書添付の義務付けを五万円以上にした、その理由の大きなものに、今の政治活動費の添付義務と合わせたという答弁が繰り返しありました。

 そこで、果たして今の政治活動費の添付義務ということで透明性が保たれているんだろうかということを私は大変疑問に思うわけですね。

 お手元に資料を配付をしております。政治活動費の中にはいろんな項目がありますが、その主なものとして組織活動費があるわけですね。この法案、法律を担当する菅総務大臣の横浜政経懇話会、資金管理団体の支出状況を見てみました。組織活動費の支出総額、そのうち五万円を超えるとしまして、これ実際は五万円以上の支出額、そして総額に対してこの五万円以上がどれだけを占めるか、この率を透明度といたしました。そうしますと、二〇〇三年は、五百十六万円余りの支出総額に対して、五万円以上はゼロ、透明度はゼロであります。二〇〇四年は、支出総額八百十六万円余りで、五万円を超える支出額は百三十万円、透明度一五・九%。二〇〇五年度は、支出総額六百六十八万円余りに対し、五万円以上は十一万九千円余で、透明度は一・九%ですね。

 ですから、今の政治活動費の添付義務の状況でもこういう状態なんですね。五万円以上に領収書添付を義務付けても政治資金の使途の透明化にはつながらないんじゃないかと、こう大臣自身の管理団体を見て私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

>>配布資料(PDF:約43KB)

国務大臣(菅義偉君)

 私のこの横浜政経懇話会ですか、資金管理団体の収支については、事実に即して届けさしていただいています。

 そして、せっかくこう作っていただいたんですけれども、二〇〇四年、これ、千四百七十二万じゃなくて六百八十六万の間違いではないかなというふうに私は思っております。

井上哲士君

 ちょっと足し算を間違えまして、大変失礼をいたしました。

 事実に基づいて届出をされていると言われましたが、つまり、その結果、五万円以上の支出額というのはこれだけしか現れてこないわけですね。特に、その組織活動費の内訳を見ますと、渉外費、交際費というのがありますが、これは不思議なことにすべて一件五万円以下なんですね。私もいろんな人の政治資金の届出をこの間見てきましたけれども、不思議といいましょうか、見事といいましょうか、こういうふうに全部抑えられているのもちょっと戸惑いを覚えるようなことがありました。

 それで、これは実は大臣だけではありませんで、資料二を見ていただきたいんですが、これは与党の提出者、賛成者のうち、総務省届出の資金管理団体十四団体の二〇〇五年の政治資金収支報告書を基に組織活動の透明度を表した資料でありますが、見ていただきますと、提出者、賛成者二十八人のうち総務省届出の資金管理団体は十四、二〇〇五年に組織活動費の支出があった団体は十一でありますが、三団体は支出なしです。支出総額のうち領収書を必要とする五万円以上の支出額がゼロの団体は後藤議員の、これは藤信会と読むんでしょうか、それから佐藤議員の、これは友樹会と読むんでしょうか、この二団体なわけですね。

 今回の法改正で五万円を超える領収書の添付義務はこうした政治活動費に合わしたと言われているわけでありますが、今の組織活動費でも提出者自身がこういう透明度の状況でありますから、いかに五万円以上というのが実態に合わないかを私は示していると思うんですけれども、後藤、佐藤両議員、いかがでしょうか。

衆議院議員(後藤茂之君)

 百二十万円の組織活動費、これは五万円以下のすべて支出であります。御承知のように資金管理団体の組織活動費としては、例えば準備のための会議費だとか打合せだとかそういうものでありまして、この百二十万円については正真正銘五万円以下であります。

 百二十万円の透明度が、五万円以下だということで非常に透明度が低いということになるのかちょっとよく分かりませんが、五万円以下ということで御報告をさせていただいております。

衆議院議員(佐藤茂樹君)

 今、井上議員の御指摘のとおり、私は百四万九千四百五円を計上させていただいておりますけれども、ほとんどの議員の皆さんもそうされていると思うんですが、私も事実に基づいて毎月このように、後でお見せすることもできますが、パソコンに入力させていただいて、領収書に基づいてしっかりと記録を付けさせていただいておりまして、この数字は正に事実に基づいた数字であると、そのように言えるかと思います。

 それで、五万円以上がいいのかどうかということは、正にこれは各党各会派の御議論によるところでございまして、私は今の政治資金規正法にのっとってきちっとした対応をさせていただいていると、そのように申し上げたいと思います。

井上哲士君

 私は、この届けが別に虚偽だとかそういうことを言っているんじゃないんですね。つまり、国民はその支出の内訳がどうなっているのかと、今不信を持ち、一層内訳自身をもっと明らかにしてほしいと言っているわけですね。それにこたえて五万円以上は領収書添付ということが出てきたはずなんですが、結局、お二人の資金管理団体でいいますと、五万円以上にしてもそういう点での内訳が国民の前には明らかにならないという点では透明度は上がらないんじゃないかと、こういうことを指摘しているわけでありまして、もう一度、後藤議員にお願いしたいと思います。

衆議院議員(後藤茂之君)

 もちろん、今回こちらの政治活動費、組織活動費の方につきまして法律改正をしませんので、法律改正をしなければ法律どおり報告をしますと、事実上五万円以下の報告であれば何ら内訳が増えないということは御指摘のとおりだというふうに思っております。

 しかし、私は、この百二十万円の組織活動費の五万円という基準が今回非常に大きな国民における政治不信の種であったのかなということについては、必ずしも議論としてはそういうものではなかったのではないかと、事務所費の問題やあるいは不動産の問題を中心にいろいろな議論が起きたということで、そういったところに今回の政治資金規正法の改正は手当てを講じていると、そういう対応だというふうに思っております。

井上哲士君

 私はそういうことを言っているんじゃありませんで、要するに五万円以上を領収書添付義務付けをすれば、今の国民の政治資金に対する不信に対して解消できる、透明度が増すようなことでは違うんではないかと、こういうことを申し上げているんですね。

 そして、提案者の中にも、例えば早川委員などでいいますと、七四・四%、いろんな違いがございます。ですから、今後、この法改正をされても、この間指摘をされているように、結局五万円以下に小分けをするということで結局は逃れるということになるんじゃないかと、こういうやっぱり懸念がこの数字を見ても消すことができないと、だからこういう問題を指摘しているわけですね。

 その点更に指摘した上で、更に提案者にお聞きいたします。東議員にお聞きをいたします。

 東議員の資金管理団体については、ビジョン21、これは全くゼロということになっております。支出総額もゼロということになっております。事務所は福岡市の民間ビルに置いておられるわけですが、つまり、このビジョン21の事務所費も光熱水費も、二〇〇四年も二〇〇五年とも支出ゼロなわけですね。人件費もゼロであります。

 これはこの間の逆の問題になるわけですが、民間ビルに事務所を置きながら事務所費も光熱水費も支出がゼロというのは一体なぜなのか、お答えいただきたいと思います。

衆議院議員(東順治君)

 私の場合は、このビジョン21、資金管理団体と、それから党の衆議院比例区九州第三総支部事務所を兼ねておりまして、事務所費はこちらの第三総支部として収支の報告をしております。よって、こちらの資金管理団体には出てきていないと、こういうことになっているわけでございます。

井上哲士君

 私は、それはいかがと思うんですね。このビジョン21というのは、二〇〇四年十一月、二〇〇五年十一月と毎年政治資金パーティーを行っておりまして、相当の収益を上げているわけですね。そして、資金パーティーをやって、その中からその第三総支部に、例えば二〇〇五年でいいますと七百十万円の寄附を行っているわけです。同じところにいても、現実に政治活動の実態がある以上、その資金管理団体も当然人件費とか光熱水費を一定私は計上されるのが当然だと思うんですね。

 しかも、この政党支部の方を見ますと、経常経費が、例えば二〇〇三年、二〇〇四年とも年間千七百万ということになっておりますけれども、政治活動費はゼロなんですね。二〇〇五年だけ政治活動費ありますけれども、調査研究費で三万六百九十九円と、こういうことになっております。

 つまり、片や資金管理団体は、年一回政治資金パーティーをやって政治活動の実態がありながら、そこは人件費も光熱水費も掛かっていない。そして、そこから寄附を受けている政党支部は、経常経費は千七百万も掛かっているけれども政治活動費は年間ゼロと。

 私は、これはやはり何らかの付け替えか、ないしは虚偽記載があるというふうにやっぱり疑惑を持たれても仕方がないと思うんですけれども、東議員、どうでしょうか。

衆議院議員(東順治君)

 ビジョン21の資金管理団体の方で、例えば二〇〇五年度における収支というのは、収入総額約一千六百七十六万ということですね。それから、支出総額が一千四百万。で、この中の経常経費として、備品・消耗費として三百三十六万一千三百七十九円、政治活動費として、これはパーティー開催事業費等で二百七十七万七千三百八十九円、そして総支部への寄附・交付金として八百十万ですか、ということになっております。

 それで、その人件費とか光熱水費とか備品・消耗費、事務所費、これは正に二つ兼ねているわけですから、総支部の経常経費ということでそれぞれ計上をいたしておりますということでございますけれども。

井上哲士君

 時間なので終わりますけれども、要するに資金管理団体だけを今回対象に限定をしても、いろいろこうやって同じ事務所の間での付け替えなどをすれば、結局は実態はやみの中ということになりますから、正に与党案というのはざる法だと言われるゆえんがここにあるんだということを指摘いたしまして、質問を終わります。

井上哲士君

 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました政治資金規正法改正案の与党案に対して、反対の討論を行います。

 今回の法改正は、故松岡前農水大臣、伊吹文科大臣を始め、自民、民主両党議員などが家賃、電気代、水道代も掛からない議員会館に資金管理団体を置きながら多額の事務所費や光熱水費を計上していた問題に端を発しています。

 本来、疑惑や不祥事が起これば真相を徹底解明し、原因、問題点がどこにあるのか、法の不備や欠陥がどこにあるのかをまず明らかにし、その上で法改正という制度設計に取り掛かるのが当然のことであります。ところが、疑惑を掛けられた政治家は、法律に定められたとおりの処理をしていると言い続け、安倍総理も、法に求められている中で説明を果たしたと擁護をし続けているのであります。疑惑解明を尽くさぬまま、問題のすり替えの制度いじりで政治と金の幕引きに持ち込むことは断じて許せません。

 質疑の中でも明らかになったように、改正案は多くの矛盾を抱え、整合性を欠いています。例えば、政治家の多くは資金管理団体のほかに複数の政治団体を持っており、資金管理団体の政治団体に支出を付け替えれば、これまでと同じく領収書なしがまかり通り、また五万円未満に分割すれば報告義務を免れることができるのであります。

 さらに、現行の政党助成法では、人件費、光熱水費以外の経常経費について明細の記載と領収書添付が義務付けられているにもかかわらず、与党案、民主党案ともに人件費以外の明細の記載と領収書添付の義務付け規定となっており、光熱水費の取扱いについて、政党助成法との整合性の問題が生じることにもなります。

 とりわけ与党案は、政治資金の使途を透明化するとは名ばかりで、むしろ不透明さを温存するためとしか思えない中身であり、今までの疑惑はお構いなしで、これからは新制度で公明正大にやりますと言えば国民を納得させられると考えているならば、これほど国民をばかにした話はありません。

 今求められているのは、個々の疑惑を徹底解明し、国民の批判を仰ぐことであります。そのことを強く指摘し、反対討論を終わります。


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