本文へジャンプ
井上哲士ONLINE
日本共産党 中央委員会へのリンク
2007年11月29日(木)

外交防衛委員会

  • 山田洋行の防衛省からの装備品受注額が、予定価格に対し平均99. 9%に上ることを明らかにさせ、言い値といわれても仕方ないと追及。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 防衛省職員の給与法の改正案は、人勧完全実施ではありませんが、現状の給与水準を引き上げる改善になりますので、賛成をいたします。

 しかし、昨日、守屋前事務次官が逮捕をされ、この防衛予算に関する様々な利権の問題に国民の厳しいまなざしがあります。

 まず、大臣に認識をお聞きしますが、この守屋さんの逮捕に対して、国民はこの防衛予算が接待等によってゆがめられて腐敗の対象になって税金が食い物にされていると、ここに怒りを感じていると思いますが、その点での大臣の認識をまず伺いたいと思います。

防衛大臣(石破茂君)

 その国民のお怒りを本当にきちんと受け止めなければなりません。同時に、私ども政治家が防衛相の任にありますのは納税者の代表としてもいるのだと思います。

 この問題の重要性は、国防という任にある、そしてこれだけ厳しい財政事情にある中で、どれだけいいものをどれだけリーズナブルな価格でという問題意識の欠如だと思っています。少ない予算の中で、御党には御党のお立場がおありかと存じますが、私どもは少ない予算でどれだけ一番いいものを入れるかという意識が常になければなりません。その意識に欠けるものがあったということについて大臣として本当に申し訳ないことだと思います。おわびをしても、し足りないものだと考えております。

井上哲士君

 この税金を食い物にしている一つの問題が山田洋行の水増し請求であります。これはチャフだけではなくて相当広範囲にやられていたんではないかという疑いがあるわけですが、もちろん偽装した方が悪いのははっきりしているわけですが、しかしやはり税金を預かる者としてこういうものが長年にわたって見過ごされてきたということの責任は私は強いと思いますが、その点はいかがお考えでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 これがすべて事実だとしてですが、そしてそれがもうどこまで山田洋行がやったことがすべてなのかどうなのか。この間社長が参りまして、二件について認めまして、ほかにもある可能性があるというようなことを申しておりました。今それをしっかり調査をしておるところでございますが。

 見積書も偽造した、サインも偽造したということはもう犯罪そのものです。私にとりましても非常にもう感覚としてはすごく違和感はあるのですが、メーカーに対してこの見積書は本当ですかということを聞かなければいけない。普通あり得ないことなのですが、そこまでせざるを得ないということが一つございます。それをやることによって少なくとも見積りの偽造ということはあり得ない。

 二番目は、やっぱりこの価格高過ぎやしませんかということ。それは、もちろん合衆国においてもそういう任にある自衛隊員はおりますが、これが数が非常に少ないということがあります。本当に全部それがチェックできるかといえば、その体制が十分だとは思っておりません。その体制を充実させるということ。

 そしてさらには、物を輸入しますときに、例えば自動車ですとか電化製品であれば大体幾らで入ってくるということはあるのですが、安全保障にかかわりますものには価格の中にいろんな要素を含みます。本当に安全保障上必要な国に対してであれば、その国がたとえ豊かでなくても安く売るということもあるんでしょう。安全保障上必要な国であり、そしてまた財政もある程度余裕がある国であればそれなりの価格、そういうような普通の商取引とは別の要素も含みます。あるいは複雑な商慣習、法体系、文化の違いもあります。そういうところを全部理解をした上できちんとした価格というものを、あるいはバーゲニングパワーというものにおいて日本はやや欠けるところがあるのは御案内のとおりですが、それだけの能力を持ったものをやはり持っていかねばならぬのだろう。

 私は商社を通すことが一〇〇%全部悪いとは申しません。きちんとした誠実な仕事をやっている商社だってたくさんあるはずでございます。しかし、当省として、やはり同時に、商社を通さなくてもやれるという能力をどれぐらいの期間を掛けて養うか、そしてそのために掛かるマンパワーはどれぐらいか、そのために必要な金はどれぐらいか、そのことについても白紙的に試算はしてみなければならない。そして、国会の御議論も踏まえて、何が一番よろしいのかということをオープンな場において、委員会の御議論も踏まえて、より良い方向をつくりたいと思っています。

井上哲士君

 より良いものをよりリーズナブルな価格でと、こういうふうにおっしゃいました。果たしてそのようになっているんだろうかという疑問を私は持っております。

 具体的に山田洋行の契約について聞きますが、〇二年一月から〇七年の十月三十一日の間に、中央調達分の実績は、いただきました資料では百五十六件、二百三十一億円余りですが、そのうち予定価格を明らかにしていただいたのは百四十二件でした。この百四十二件について、予定価格の総額とそれから契約価格の総額は幾らになっているでしょうか。

防衛副大臣(江渡聡徳君)

 お答えさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のこの平成十四年一月から平成十九年の十月末までの山田洋行の契約のうち、予定価格を明らかにしておりますのは百四十二件でございます。そして、その予定価格の総額及び契約額の総額でありますけれども、予定価格は約百六十五億六千六百万円になります。そして、契約金額は百六十五億五千七百万円でありまして、平均落札率は約九九・九%という数字になるわけでございます。

 かなり高い数字になるわけでございますけれども、ただ、ある意味、この百四十二件の契約のほとんどというのはもう委員も御承知かもしれませんけれども、市販性のないやはり特殊な装備品の輸入にかかわるものであったということでありまして、そしてまたそれの、こういうお答え方しますと甘いんじゃないかと言われるかもしれませんけれども、会社側の見積り以外に予定価格算定の参考となる資料が乏しい場合も非常に多かったというそういうような事情もございまして、結果的にこの予定価格というものと契約金額がかなり近づいたということになったものと考えているところでございます。

井上哲士君

 九九・九%、今いろいろと説明もございました。お手元に資料を配っておりますけれども、百四十二件のうち一〇〇%落札率が十九件、九九・九%が九十三件と、こういう数でありますが、大臣自身はこの数字を見てどうお考えでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 今、副大臣からお答え申し上げましたように、九九・九も九九・八ももう一〇〇%と思っていいんですね、こういうものは。そうすると、ほかに比べようがない、よって会社の見積り以外に予定価格算定の参考となる資料が乏しい、ではほかに何かないのかということはもう一回考えてみなきゃいかぬことだと思います。

 要は、こういう悪意を持った介在者が、会社があった場合には、もうそれ言いなりということになっちゃいます。ほかに比べようがないからしようがないじゃないのということで済むとは思っておりません。そうしますと、市販性はございませんが、しかしそれがほかの国の軍で使われていないか、あるいは今まで使っていたものに比べてどうだと。バージョンアップをしているにしても、その上がった価格がそのバージョンアップにふさわしいお金なのということは、もっとぎりぎりと議論をしてみなければいけないことだと思っておりまして、単にほかに比較するものがないからということだけで済ませることはできないということは申し上げられることだと思います。

井上哲士君

 私、防衛省から、この山田洋行の中央調達分について、一件ごとに入札から落札までの業者とのやり取り、経緯を示した落札等判定書というのをいただきました。非常に驚いたんですが、最初予定価格より高い金額がメーカーから出てきます。いろんなやり取り、中には十回ぐらいやるのもありますが、結局予定価格に限りなく近づいて、イコールないしは百円でも安くなればそこで落札と、こういうことになっているんですね。

 今いろんな省庁や自治体ができるだけ正に言われたようにリーズナブルに契約をするため入札改革などもやっているという中で、このやり取りを見る限りでは、およそそうやって国民の税金を節約しようという姿勢が見られないんです。その点、やはりこういう姿勢に私は問題あると思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 これ以外にないのかということは私ども、私も副大臣も政務官も省内で問題提起をいたしておるところでございます。

 ただ、ほかの省庁と比べて、繰り返しになりますが、比べるものがない。例えば、日本の中で同じようなものをつくっているとすれば、売ってくれないんだったらこっち使うよということが言えるわけですが、そういう非常に用途が限られたものをつくっていて採用にならなかったらその会社は丸損ですから、日本としてそういうものをつくることはなかなかちゅうちょする点があるだろう。そして、それが汎用性がない、いわゆる武器というふうに経産省が考えますものは、これは当然売れないわけでございますから、なかなか比べようがないというところがございます。

 そうすると、そこにおいてリーズナブルにというときに、繰り返しになりますが、今まで使っていたものと、バージョンアップしたとしたらそれに掛かる費用は適正か、そして合衆国なら合衆国が合衆国に納入しているものと比べて価格差があることは本当に合理的かというようなところで私どもは能力を上げていかねばならないと思っています。

井上哲士君

 そうやってこうした自衛隊の契約がいろんな特殊性を持っているということを理由にこうした問題にメスが入ってこなかったんではないかと、こう思うんですね。

 さらに、イラクでの契約についてお聞きしたい点ですが、二枚目の資料を見ていただきますと、このイラクの人道復興支援活動に対する山田洋行の契約は五十二件ございましたけれども、海外の契約だということで大半が随意契約になっております。

 驚いたことに、一〇〇%で落札をしたものが四十三件ありますけれども、そのうち見積書もないというのが三十件あるんですね。これは本来入札の手順からいってもおかしいと思うんですが、こうなりますと、正に商社の言い値で契約をしていると、こう言われても仕方ないと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 非常に四角四面のことを申し上げて恐縮でございますが、予算決算及び会計令第九十九条の六を委員も御案内のとおりでございます。「契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」と、このように書いておりまして、この「なるべく」というのをどう考えるんだということになってしまって、ストレートにこれは法令違反とかそういうことに相なるものではないということだと思います。

 実際にサマワのあの状況の中で、これが内地において、今委員が御指摘のようにその見積書も取らなかったじゃないかというものを見てみましたら、例えばシーツとかまくらカバーでありますとかクーラーバッグでありますとかほうきでありますとかデッキブラシでありますとか腕時計でありますとか、そういうものは確かに見積書を取っておりません。ただ、これはもうまさしく汎用性のあるもので、この腕時計幾ら、このシーツ幾ら、このまくらカバー幾らというものは、それは見積書を取らなくても分かるという判断があったものと思います。そして、あのサマワにおいて極めて厳しい状況そして内地から遠く離れているという状況において、見積書を取ってまくらカバーを決めるか、見積書を取ってほうきを決めるかというと、私は現地で行われたことが必ずしもけしからないことだというふうに判断をいたしておりません。

 そういうような極めて特殊な状況もございますが、基本的に、「なるべく」という言葉をどう解するかにもよりますが、基本的にきちんと見積りを取って国民の税金を無駄遣いすることがないようにということは心していかねばならないということで再度徹底をいたしたいと存じます。

井上哲士君

 時間ですから終わりますが、外国会社との契約の場合は、あらかじめ予定価格があるのではなくて、商社が持ってくるメーカーの見積書を見て、それに輸送費や商社の手数料を上乗せして予定価格を決めると、こうなっているわけですね。ですから、結局そうなりますと正に商社言い値ということになっているんではないか。

 私は、今国民生活向けの予算が事細かく切り詰められているのに軍事費だけが聖域になっていると、ここの在り方ということにしっかりメスを入れなくちゃいけない、そのことを強く申し上げまして質問を終わります。


リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。
© 2001-2005 Japanese Communist Party, Satoshi Inoue, all rights reserved.