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井上哲士ONLINE
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2007年12月4日(火)

外交防衛委員会(TV中継)

  • 福田総理に対し、日米の防衛族議員と軍需企業、防衛当局が一体となった日米平和安全交流協会とのかかわりをただす。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日から新テロ特措法の審議へ入りました。しかし、守屋前事務次官の逮捕で浮き彫りになった防衛利権の問題は、果たして今の防衛省に憲法にかかわる法案を出す資格があるのかということを問うております。

 そこで、私は、今日はこの問題について総理に質問をいたします。

 守屋氏が収賄の疑いで逮捕をされました。容疑は、この間、二百三十一億円に及ぶ発注、これに備品調達などで便宜供与をしたと、その謝礼と自覚をしながらゴルフ接待などを受けたと、こういうものであります。同時に、山田洋行は、防衛省から天下りを受け入れ、政治家にはパーティー券や接待をやっていた、こういうことであります。

 国民は、今、こういう構図の下で税金が食い物にされてきた、このことに怒りを燃やしているわけでありまして、防衛省の事務方トップが逮捕された、この事態に対しての総理の御認識をまず伺いたいと思います。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 国の防衛は国民の信頼なくしてはなし得ません。事務方のトップでありました前防衛事務次官が収賄容疑により逮捕されたということは、防衛行政に対する国民の信頼を大きく損なうものでございます。極めて遺憾な事態と思っております。

 防衛省は、幹部を初めとする職員の綱紀粛正を徹底して、そして国民の信頼回復に向けて全力で取り組まなければならないと考えております。

井上哲士君

 賄賂や接待をしていた山田洋行が受注した防衛庁の契約がどうなっているのか表にしてみました。(資料提示)

 防衛省の契約実績は、中央調達分で、この間、百五十六件二百三十一億円。大半が随意契約でありますけれども、そのうち落札率が一〇〇%以上が十九、九九・九%以上が九十三件。イラク派遣に至っては、その伴う契約に至っては、落札率一〇〇%が四十三件と、そのうち三十件は見積書も出てなかったと、こういう事態でありまして、言い値で契約していると言われても仕方がない状況だと思います。

 私は、今後、山田洋行の契約のすべてについて水増しやそして便宜供与がなかったのか、徹底して調査をすべきかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 この山田洋行とのこういうような過大請求事案、私は中には詐欺もあると考えておりますが、極めて遺憾なことであります。取引停止処分も行うとともに、さかのぼることができるすべての契約につきまして徹底的に調査を行っておるところでございます。

 なお、サマーワの物品につきましての御指摘がございました。見積りも取ってないではないかというお話でございますが、例えばほうきでありますとかまくらでありますとかシーツでありますとか、そのようなものにつきましてなかなか見積りがその状況の中で取りにくかったということは過日御説明をいたしたとおりでございます。

井上哲士君

 一方で特殊だから随意契約と言いながら、一方でシーツなどだから随意契約、見積りも取らないというのは、私は理屈が通らないと思っております。

 守屋氏は、この間、自衛隊のイラクの派遣、それから在日米軍の再編、ミサイル防衛構想、そして防衛省の昇格、言わば防衛政策の大転換の中心にいた人物なんですね。そして、山田洋行は、こういう一連の事業に参入をして利益を上げていたわけです。そして、今後、米軍再編によるグアムへの海兵隊の移転事業、そして普天間飛行場の移転に伴う事業にも参入をしようとしていたと、こういうことなわけですね。

 ですから、この間の主な防衛政策の大転換にかかわる事業がすべてことごとく利権の対象になっていたんじゃないかと、こういう疑惑が掛かっているんです。私は、これはこのまま防衛予算編成してもいいんだろうかと、このまま中期防を続けていいんだろうかと、こういうことも問われるようなことだと思うんですね。ですから、山田洋行にかかわる契約だけではなくて、こうした守屋氏がかかわってきた大転換、政策転換にかかわる事業について私は総点検をして国会にきちっと報告をしていただきたいと思いますけれども、これは、総理、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 できるだけの努力をいたします。

井上哲士君

 本当に国民の怒りにこたえる気持ちがあるのかということを、今の答弁、私は疑わざるを得ません。

 そして、この山田洋行が急速に事業を伸ばす中で、宮崎元専務は、軍需情報をつかむ、そして政治家などとのつながりをつくると、こういうことで、ある組織を大変重視をいたしました。それが日米平和・文化交流協会と言われる社団法人であります。

 会長には瓦元防衛庁長官、理事には久間前防衛大臣を始め、過去の理事には額賀氏、石破氏など歴代の防衛庁長官が並ぶという、こういう組織であります。そして、国防族と呼ばれる与野党の議員、それからアメリカの国防関係者も理事に連ねますが、それだけじゃありませんで、三菱重工、川崎重工、さらには山田洋行も含めまして、多くの軍需企業が並ぶと、こういう組織です。正に日米の軍事の関係者と議員、軍需企業が一体となったこういう組織なわけですが、この専務理事を務めておるのが秋山直紀氏であります。そして、この団体には、今回の守屋氏と山田洋行との収賄事件に絡んで東京地検も先日捜査に入りました。

 そこで総理にお聞きをするんですが、総理も今年の四月までこの協会の理事を務めていらっしゃったと思いますが、一体この協会というのは何をやる組織なんでしょう。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 私も、実はこの協会がどういうものかそれほどよく知らないんです、実は。

 二〇〇〇年にだれかの議員の方からお勧めをいただいて、そして入ってくれということだったので入会いたしました。その後、一度米国に行く調査団に加盟しないかということがありまして、私もちょっと忙しかったので二日間だけワシントンでお付き合いをしました。それから、あと勉強会というものにも一回出ました。これ、キャピトル東急で昼の時間だったと思います。それからさらに、勉強会というのに声が掛かりまして、これは行ったけれども、時間がなかったのでもう一分もいないですぐ引き上げたということであります。それから、官房長官時代に、主催するレセプションがあると、外国からお客さんが来ると、こういうふうなことでキャピトル東急に行ったことがございます。これはスピーチ、まあ二、三分のスピーチをしてすぐ帰りました。

 それからその後、二〇〇五年に、これはある議員から電話で理事に就任してくれという要請がありました。まあ別になっても支障はないかなと思って承諾しましたけれども、二〇〇七年の三月末に退会をしました。それは、理事になったけれども何もしていない理事でございまして、実際問題言って、この会が何をしているかということもよく承知していない、先ほど申しましたぐらいの接触しかないということでありますので、退会をしました。

 以上がこの会との接触したことであります。

井上哲士君

 この協会には国のお金も入っているんですね。正に社団法人でありまして、その理事をやっているということは、これは大変なやっぱり責任があるんです。よく分からないからやったということはこれは通用しませんし、ちゃんと事業報告は理事会で認めているんです。

 そして、定款を見ますと、「日米両国の文化の交流を行い日米両国民の親善を図ることを目的とする。」と、こうなっているわけでありますけれども、どうもやっている活動は違うんじゃないかと。

 この交流協会と表裏一体の組織として日米安全保障議員協議会というのがありますが、この二つの団体の主催で、毎年二回、日米安全保障戦略会議という会合が行われております。今年の十一月に行われました第十回会議のプログラムを持っておりますけれども、例えば、まず瓦氏があいさつをしたということになってございます。当初の来賓あいさつには石破大臣や久間前大臣の特別講演ということも入ってございます。そして、これ見ますと、日本の将来の防衛構想についてと題して、ロッキード、グラマン、ボーイングと、こういうアメリカの軍需会社がプレゼンテーションをすると。さらには、ミサイル防衛と日米防衛技術協力という題名で、三菱重工や川崎重工を始め日本の軍需産業がパネルディスカッションをすると、こういうことになっているわけですね。

 ですから、言わば軍需企業と政治家とそして防衛当局が一堂に会して今後の言わば防衛政策について議論をすると。さらに、兵器の展示会まで行われているわけですね。ですから、企業からすれば、今後の防衛政策の行方が分かり、兵器の売り込みができると、こういう場になっているんです。

 私は、こういう場を政治家と軍需企業、防衛省の受注を受けているこういう企業が一緒にするというのは、私は適切でないと思うんですが、総理、いかがお考えでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 私は、この会のこと、実は正直申しまして分からないんですよ、知る方法もなかったんですけれども。理事引き受けましたけれども、理事会に出たこともないし、会合にも一切出てないんです。ですから、まあ名目だけと言えば名目だけなんですけれども。ですから、そういうこともあって退会を私の方から申し出てしたと、こういうことで、内容は一切分かっておりません。私も、そういう今企業云々というふうなお話ございましたけれども、そういうふうな会にも出たことはございません。

井上哲士君

 明確に理事になっていたんです。そして、事業報告もされているんです。それを知らなかったということで逃げることは私はできないと思うんですね。

 今申し上げたようなこういう在り方が適切なのかどうなのかと、その見解を聞いているんですから、お答えいただきたいと思います。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 申し訳ありませんけれども、事実を知らないんで、何もコメントすることはできません。

井上哲士君

 これは私、無責任だと思いますよ。全くかかわっていないどころか、ちゃんと理事をされていたんです。これは明確に残っているんですから。それは問題だと思いますよ。

 じゃ、その総理自身の事実関係についてお聞きしますが、この日米安全保障戦略会議は毎年ゴールデンウイークの時期にアメリカでも開かれております。先ほど総理も一度行ったというふうに言われました。これ、アメリカでやる際には日本から国会議員が参加をしておりまして、今年の日程を見ますと十泊十一日ですから、大体百数十万の費用が掛かるんではないかと思います。秋山事務局長は、我が党の議員の質問に対して、議員からは二十万円いただいているけれども、残りは協会から出していると、こういうお話でありましたけれども、総理が訪米されたときの費用はどうなっていたんでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 私の訪米したのはもう七年前なんですよ。ですから、その七年前のことを思い出せと言ったってなかなか難しいんですよね。私も、まあ少なくたって五回、多きゃ十回以上外国には毎年行っております。ですから、その中の一回ですからね、そのときにどういうふうな費用負担だったという、覚えておりませんけれども。しかし、私は、この会から何か恩恵を受けたとか、そういう記憶ありませんので、恐らく私自身で払っていると思います。

井上哲士君

 恩恵を受けたかどうかということを私は問題にしているんじゃないんですね。防衛省から受注を受けている企業とそして大きな影響力を持つ政治家がこういう形で一体の組織をつくりやっているのがいいのかどうかと、こういうことを問うているんです。

 この協会は大変大きな資金を持っておりまして、軍需産業からの寄附、会費は〇二年から〇七年で二億四千万ということになっております。渡航費用の一部には国の助成金も入っているわけでありますが、こういう軍需企業からの寄附や会費が渡米の費用の一部に回っていることは、これもう間違いないと思うんですね。

 ですから、政治家が、国の防衛予算から受注をする防衛企業のお金で、言わばお抱えという形で訪米などをしたりして今後の防衛政策を議論をすると、その場では兵器の売り込みの場もあると、こういうことを私は一体どういうふうに思っているんだろうかと思うんですが、総理、改めて聞きますけれども、こういう関係というのは適切とお思いでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 委員は事実に基づいておっしゃっているんですか。事実ですか。

井上哲士君

 そうです。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 私は、そういう事実、全く知らないんですよ。先ほど申しましたように、そういう軍事物資を造っているようなメーカーと一緒の会合とか、そういうふうなものには出たことはありませんので、まあパーティーは別ですよ、パーティー一回出ましたけれども、それは別ですけれども、それ以外ございませんからね。ですから、その会が何をしているか、それは分からないんです。

井上哲士君

 総理自身が理事をされていて、そしてこの会には、先ほども申し上げましたように、東京地検の捜査も入ったということなわけですね。こういう関係を今やっぱり国民は癒着と見ているんですよ。ですから取り上げているんです。(発言する者あり)そして、私は、なぜ企業側が多額の寄附や会費を払って参加するのかと。憶測ということを言う人がいますが、やっぱりメリットがあるんですよ。

 この日米平和・文化交流協会の会員企業が防衛省からどれぐらいの契約をされているかというのは、総理、御存じでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 全く知りません。

井上哲士君

 お手元に資料があるもので見ていただきたいんでありますが、これは六年間の積算をしてみました。

 この日米平和・文化交流協会の主な会員企業の受注金額を見ますと、三菱重工の一兆六千九百五十一億円、川崎重工の七千九百三十五億円を始め、合計しますと六年間で四兆七千九百七十九億円と、こういう巨額になっております。この中には山田洋行もありまして、こういう商事などと、三菱や住友商事と並んで上位にランクをされていると、こういうことになっているんですね。

 ですから、こういう巨額の受注を受けている、しかも防衛庁からの受注というのは、この会議に参加をしているかだけではありません。一番たくさん受注を受けている三菱重工は防衛庁からの天下りを三十八人受け入れて、そして自民党への献金は一億二千九十七万円です、六年間の合計。川崎重工は十八人の天下りを受け入れて、自民党への献金は千二百五十九万円等々、たくさんの受注を受けた企業が防衛省から天下りを受け、そしてそういう企業が自民党の政治資金団体である国民政治協会に多額の献金をしている。その総額は十二億七千二百七十万円と、こういうことになっているんですね。ですから、一方で防衛省の天下りを受け入れる、そして一方で政治家に様々な献金やパーティー券の購入も行う、そういうところが多額の受注を受けていると。

 私は、最初にこれを示しましたけれども、正に山田洋行が防衛省や守屋さん、政治家にやった同じ構図がここにあるじゃありませんか。私は、ここがこうした問題の温床になっていると思うんですね。ここにこそ、総理、メス入れるべきじゃないでしょうか。その決意をお聞きしたいと思います。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 まあ、そういうようにすべては関連しているかのごとく説明しますとそのように思いますけど、しかし、そういうことが本当に事実かどうか、それを究明しなきゃいかぬでしょう。今、司直の手によってもそれは究明されているわけです。そしてまた、防衛省でも行われています。そしてまた、官邸においても防衛省改革会議を立ち上げたんです。そういうことも含めて調査をすると。そして、原因究明し、それを立て直さなければいけない、そういうことでやっているんですよ。改善に向かって努力をしている最中であります。

井上哲士君

 私は、今示したような構図が今起こっている利権の温床になっているんじゃないかと、その仕組みを正すべきだという、それが今、国民が求めていることだということを申し上げております。自民党の総裁なわけですから、責任があります。

 私は、この問題の解明のために、この秋山直紀氏、それから守屋氏の証人喚問の際に秋山氏と同席をしたという久間前大臣、山田洋行の宮崎元専務、それぞれ徹底解明のために証人喚問を改めて求めたいと思います。よろしくお願いします。

外交防衛委員会委員長(北澤俊美君)

 委員長に対してですか。

井上哲士君

 委員長です。はい。

委員長(北澤俊美君)

 この件については、後刻理事会で協議をいたします。

井上哲士君

 終わります。


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