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2007年12月13日(木)

外交防衛委員会

  • 午前の審議はテレビ入りで福田総理と2度目の論戦。水増し請求を許してきた防衛省の構造的問題を追及。午後の審議では防衛利権の問題をとりあげる。

〈午前の質問〉

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 山田洋行による水増し請求が次々と発覚をし、本当に許すことができません。しかし同時に、外国メーカーによる商社の介在した輸入だけに問題はとどまっておりません。これ、九〇年以降発覚をした国内メーカーからの調達に関する水増し請求をまとめました。(資料提示)十八社ありますが、二社調査中、十六社で合わせますと、その過払い総額は千百四十三億円という巨額な金額になるんです。しかも、この水増し請求が大問題になった一九九八年のあの調達実施本部背任事件、それ以降もずっと続いているんですね。国民の税金を食い物にするようなこういう水増し請求問題がなくならないと。

 総理にお聞きしたいんですが、これは受注した企業が悪いのか、それとも発注した防衛省の問題があるのか。どちらに問題があるとお考えでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 過大請求というのはそもそも許されることではもちろんないんでありますけれども、過大請求を行った売手の企業側、これが責任があることは当然であります。しかし、過大請求を防止できなかったという防衛省側、買手の調達業務の在り方、これも極めて大きな問題だと思います。それ以上に大きいと私は思いますよ。

 いずれにしても、二度と過大請求を起こさないために何が必要なのか、原点に立ち返って改革案を取りまとめて、それを実行していきたいと思っております。

井上哲士君

 防衛省の側にも問題があるという御答弁でありました。

 そこで、具体的に聞くんですが、防衛大臣にお聞きしますが、こういう水増し請求を行った企業に対しては、山田洋行には刑事告発という話がありましたが、過去のこうした企業に対しての刑事告発というのは行われたんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 私が承知いたします限り、過去に刑事告発を行ったという例は承知をいたしておりません。もしあるようでしたら答弁の訂正はさせていただきますが、私自身承知はいたしておりません。

井上哲士君

 これ驚くんですね。これだけ国民の税金が食い物にされる巨額のことがやられておきながら、刑事告発は一度もされておりません。

 それで、更に聞くんですが、では、行政処分としてのいわゆる取引停止処分というのは当然行っていると思うんですが、これはいかがでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 委員御指摘のように、水増し請求を行いました企業に対しまして取引停止処分はいたしておるところでございます。

井上哲士君

 ところが、私非常に調べて驚きました。この契約の書類が残っているのは二〇〇〇年以降なんですが、これで調べますと、取引停止になっている、水増し請求によって、その期間中に、その取引停止になっているすべての企業がちゃんと受注をしているんです。これは合わせますと百六十一件、七十四億円を超えます。例えば日本無線などは、取引停止期間、〇四年十二月十五日から〇六年三月二十四日の間に九十三件の取引を行って、五十一億七千六百七十三万を超えるんですね。これでどうして取引停止と言えるのか。

 総理、いかがでしょうか、これでは私は全く国民は理解しないと思いますけれども、いかがでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 もうほとんど取引停止の効果が出ていないじゃないかということだと思います。先般のこの委員会でもお答えをいたしましたが、違約金というものを倍取るということで少しは効いてきたのではないかということ、確かにそれは経営に影響を与えるものでございますから、倍返しというんでしょうか、その効果は全くないとは申しません。

 むしろ、私はその違約金を上げるという議論もしていかねばならぬのですが、真にやむを得ない、つまり、例えば今、日本無線のお話をなさいました。本当にそこにしか造れないんですかということは、もっときちんと精査をするべきだと思っております。物が確かに防衛装備品でございますから、汎用性がないものがございます。自衛隊しか使わないというものをそこしか造っていないという場合に、じゃ、そこから取らなきゃ一体どこから取るのということになって、しようがないでしょう、真にやむを得ないでしょうというような話になっちゃっているわけですが、本当にそこしかできないのかということについて、もう少し厳格性が必要なのではないかという意識を私は持っております。

 ほかの会社じゃ造れませんと、今からラインを開設し、技術者を雇いということになれば、とても商売として成り立たないということもあるんでしょう。そうなのかどうなのかということについて本当にぎりぎり詰めたのかといえば、そうでない点があるのではないか。仮にほかに参入したいというところがあるとすれば、それに対して何らかのインセンティブということを考えることができるのか、それが政府と民間企業との間においてそういうことが行われてよいのかどうか、その点について私もまだ得心を得ておりませんけれども、真にやむを得ないかどうかということについて更なる精査は行政として必要だと、私はそのような認識を持っております。

井上哲士君

 その真にやむを得ない場合というお話がありました。しかし国民は、例えば談合なんかで取引停止処分ということになりますと、全く切られていると思っているんですね。しかし、現実には先ほどあったように、大臣自身がほとんど取引停止の効果がないんではないかと、こういう具合に言われるような実態が起きているんです。

 総理、これどうでしょうか、こういう実態は国民に理解をされるとお考えでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 今防衛大臣から答弁がございましたけれども、まあ、どうしてもそこから買わなきゃいけないとかいったような特殊な事情があると、特別な事情があるということがあるとやむを得ないこともあるのかもしれぬけれども、しかしこれは私も理解できませんよ。国民の皆さん、理解できるはずないと思いますね。

井上哲士君

 そんな人ごとのように言われますけれどもね、そういう理解できないようなことが放置されているというのが今の問題なんです。

 更に言いますが、これらの会社は防衛省からずっと天下りが行っております。一九九五年以降で見ますと、例えば日本工機は三人、日本電気は二十四人、日本無線五人、山田洋行は四人天下っているんですね。日本電気でいいますと、この水増しが発覚以降二十三人の天下りが行っているんです。ですから、水増し請求やったって刑事告発はない、取引停止と言ったって実際は取引が行われている、そして天下りは同じように行われていると。これでは、ばれなければいいと、こういうことになると思うんですね。

 総理、どうでしょうか、少なくとも、少なくともこういう水増し請求を行った企業については天下りは行わないと、こういうところまで踏み込むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 防衛省に対します水増し請求が確認され、指名停止などの処分を受けたような場合、事案に対する改善がきちんとなされるまでの間は当該企業に対する再就職の承認は防衛大臣としては行いません。

井上哲士君

 ところが、先ほど日本電気も言いましたけれども、実際にはそれが終わりますとどどっと大量に天下りを行うということになっているんです。これはこの防衛省の調達実施本部事件の一番の核心点だったんですね。あの事件は何だったかといいますと、水増し請求が発覚をした、その企業に対して当時の本部長や副本部長が言わばいろいろ便宜を図ってやる、その見返りに天下りのポストをよこせということをやったというのがあの事件だったわけですよ。

 当時の検察の冒頭陳述を読みますと、被告人の上野副本部長が、水増し問題を起こしたんだからその改善のために天下りを受けてもらうと、そういう名目も立つじゃないかということを言ったって言っているんですね。ここに問題があるんですよ。この調本事件で額賀長官が辞任をされました。そして、調本を解体をして守屋事務次官の下で今の装備本部がつくられました。そして、官製談合が起きると、施設庁を解体をして装備施設本部に組み込んで事務次官の下に置かれたと。

 結局、私は癒着の毒が防衛省全体に回ってしまったというのが今の姿だと思うんですね。結局、組織改革、組織維持と言いましたけれども、癒着構造を拡大をしたと。ここに徹底的なメスを入れるべきだと思いますが、総理、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 自衛隊員の再就職に当たって国民から疑惑の目で見られるようなことは、これはもう絶対に避けなければいけないと思います。

 そういう意味で、防衛省において水増し請求が確認されるというような公務の公正性の確保に支障を生じるような場合には、今後も、今後厳に再就職を制限するべきだと思います。

井上哲士君

 時間ですので終わります。

〈午後の質問〉

井上哲士君

 午前中に続きまして、防衛省疑惑について質問をいたします。

 この場所での証人喚問も含めまして、当委員会でこの疑惑解明に当たってまいりました。が、この間の報道を見ておりますと、例えば守屋氏は、実はゴルフ代は払っていなかったという供述をされているようでありますし、山田洋行からの接待内容も証言の中身を上回るものであったようであります。これは偽証の疑いがあると。さらに、山田洋行の米津社長はこの場所で水増し請求はもうこれ以上ないというふうに言われましたけれども、今次々と発覚をしているわけでありまして、この発言にも疑いが持たれております。国会として一層の徹底解明が求められていると思います。

 その点で今日は幾つかお聞きをしたいと思うんですが、まず、守屋氏に防衛省が調査された際に、宮崎元専務が来日中のアメリカの要人を接待する場に守屋氏が同席をした場合があると、こういうことが述べられておりますが、この宮崎氏が接待をしたアメリカの要人というのは具体的にどなただったんでしょうか。

防衛大臣官房長(中江公人君)

 お答えいたします。

 防衛省による守屋氏からの聞き取りにおきまして、宮崎元専務が来日中の米国国防省や国務省関係の国家要人とともに食事をする際に守屋氏も呼ばれて参加したこともあったとの供述を得ておりますが、当該米国要人の具体的氏名につきましては供述を得られておらないところでございます。

井上哲士君

 それは、防衛省が聞いたけれども答えなかったということですか。それとも聞いていないんですか。

防衛大臣官房長(中江公人君)

 その際にだれと食事をしたかについて聞き取りを行ったところですけれども、具体的な供述を得られていないということでございます。

井上哲士君

 山田洋行はアーミテージ氏とのコンサルタント契約を結んでいるということは米津氏がこの場所で参考人として述べられました。報道では、アーミテージ氏と側近の会社に過去七年間で約一億一千万円のコンサルタント料を払っていたということもあるわけでありまして、これは私は非常に大きな問題だと思っておりまして、この点も徹底した解明が必要ではないか。アーミテージ氏も守屋氏も日米、今の在日米軍の再編などに深くかかわってきた人物でありますから、この点は更に解明が必要だと思います。

 そして、防衛省としても様々な解明を更にやっていただく必要があると思うんですが、十月三十日の衆議院の委員会では、すべての調達事件について倫理規程に抵触する行為がなかったかを調査するために具体的な調査方法の検討を指示をしたと、こういうふうに大臣が答えられておりますが、いわゆる特別監察ではなくてすべての人が対象になるんだと思うんですが、この調査はその後どういう方法で行われて、その結果はどうなっているでしょうか。

防衛大臣政務官(秋元司君)

 お答えします。

 今委員が御指摘になった特別防衛監査以外ということでございましたので、以外につきましては、こうした職員に対する聞き込み調査に加えて、公正かつ適正なる調達を確保するためということで、防衛省との間で過去五年間、装備品等の調達又は建設工事について契約実績のある企業、ここで言う企業といいますのは、調達装備品及び工事については二百五十万円以下、又は財産買入れについては百六十万円以下、借入れについては八十万円以下と定義をいたしておりますけれども、これらに対して自衛隊倫理規程に違反する行為に関連した事実の有無について、これらの契約企業に対して調査書を送付して調査を行っているところであります。

 送付状況についてもですか。送付状況につきましては、対象となる企業数といたしまして、まず建設工事等については六千三百社、そしてその六千三百について実際工事実績のある企業ということで四千三百社について現在送付済みでございます。

 もう一つの装備品調達のうち中央調達については、この建設工事企業と重複の排除等に留意しつつ、調達金額の上位企業から順次送付中ということでございまして、十二月十二日、昨日現在の時点で二百七十六社に送付をいたしております。

井上哲士君

 山田洋行が職員に対する贈答品攻勢を掛けていたということも言われておるわけですね。百人の贈答名簿を作って、宮崎氏が自ら最終審査をしていたと。名簿作成にかかわった元社員の証言として、高級牛肉やカニ、新巻きサケなど、最低ランクでも一万円で、ランクごとに万円単位で上がっていたと、こういうふうな報道が複数されておりますが、こういう贈答品をもらっていた例というのは職員の調査の中で明らかになっているんでしょうか。

防衛大臣官房長(中江公人君)

 お答えいたします。

 十月二十六日から防衛監察本部において実施をしております特別防衛監察におきまして、幹部職員約四百二十名に対しまして、利害関係者とともにゴルフ、マージャン、飲食を行った事実関係とともに御指摘の利害関係者から物品の贈与等を受けた事実関係についても聞き取り及び調査票による調査を行っているところでございます。

 現在、当初の調査は一通り終了したところでございますが、当初の聞き取り及び調査票の内容を更に確認し、更なる調査が必要なものについての聞き取り調査を行っているところでございます。

井上哲士君

 その中で、今言ったような贈答品を受けていたという例は明らかになっているんでしょうか。

防衛大臣官房長(中江公人君)

 現時点におきましてはまだ具体的な調査結果を得ておりませんので、現時点においてお答えをすることはできませんが、いずれにしましても、この特別防衛監察の結果がまとまり次第、可能な範囲で公表したいというふうに考えております。

井上哲士君

 この点も米津氏は、倫理規程ができて以降はやっていないと、ここの場で参考人として言われているわけでありまして、この点が事実なのかどうかということも私はきちっと明らかにする必要があると思っていますので、是非早く調査をしっかりやっていただいて明らかにしていただきたいと思います。

 それで、今そういう様々、この倫理や接待などの問題は調査をされ、先日はコンプライアンスの問題での冊子も作られたということが出たわけですが、そのさなかにもいろんなことが起きております。

 これは報道もされましたけれども、青森の航空自衛隊の車力分屯基地の幹部ら八人が基地関係の業務を受注している業者との宴会に出ていたということで報道がありました。それで、それについて石破大臣が記者会見で問われまして、いわゆる倫理規程には違反しないんではないかということは言われながら、しかしながら、どういう時期にどのようなことをやるかということについてはそれぞれよく考えてみようということだと思いますというふうに記者会見で言われておりました。

 そして、ところが、これは私どもの赤旗新聞が今朝報道したんですが、十日の日に横須賀市で午後三時から納入方式の変更などを伝える調達調整連絡会というのを行われたと。これはこの間の様々な癒着問題を是正するということで調達方式の変更を通知をすると、一連の問題の改善のためにやった会議なわけですが、その後に、午後五時から宴会場に行きまして、納入業者約二百五十人と自衛隊員ら合わせて約五百人で立食パーティーのようなものをされたと、こういうことなんですね。

 これも、それぞれ五千円の会費ということで倫理規程には反しないということを言われているようでありますが、しかし今、業者と防衛省の癒着というのが問題になっていて、そのための改善を、調達方式を改善をするということを伝達する会議をやった後に五百人で業者と職員がこういうことをやるというのは、私は余りにも今の国民の思いを体していないし、なぜ、そもそもこういう飲食を伴う業者との懇親会がこういうときに必要なのか、全く疑問なんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 私は、これが倫理規程に違反するとは思っておりません。会費もきちんと払っておるわけでございますし、立食パーティーでありますから、立食パーティーで五千円飲み食いしようと思ったら、かなり一生懸命飲み食いせぬと五千円までは行かぬかなという気もいたしておるわけでございます。東京の都心のホテルでやったというよりは、横須賀でございますから、少し離れたところでもございますので。

 委員、これどうなんでしょう。例えばゴルフが駄目だと、仮に自費であってもですよ。で、マージャンが駄目だというのは、やっぱりそういうようなクローズドな場で特定の利害関係人と一緒に長い時間いるということで何が話されるか分からぬということにも着目をしたものだと思っているのですね。

 そこで、立食パーティーできちんと自分の飲み食い分のお金を払って、立食パーティーですからもういろんな人がいて、こそこそみたいなことにならないわけで、だれがだれと話していたかということもかなり明白になるわけで、やはり情報交換というのは必要なのだというふうに思っております。確かにTPOというものもわきまえなければいけませんが、私は、あんまりそれをぎりぎり厳格にやることによって、きちんと会費を払い、そして情報収集あるいは信頼関係の醸成、そういうふうな場まで奪ってしまうということは私は余り適切なことだとは思っておりません。

 ただ、国民の皆様方が見てどうなのと、どういうふうにお思いになるのということは常に心してやっていかねばならないものだということはよく承知をいたしております。

井上哲士君

 必要な情報交換はやったらいいんです。しかし、これほど大規模な懇親会は初めてと関係者も言っているような催しを今これだけの問題になっているときにやるという感覚が私には分かんないんですね。

 そもそも倫理規程というのは、まあいろいろ細かく決めてあります。しかし、元々は国民の疑惑や不信を招くような行為はしてはならないということを定めているんです。

 この青森の車力の場合も、新聞のコメントによりますと、こういう時期だから問題ない範囲ということで位置付けてやったんだと、こういうふうに言われているんですが、そうやって分かった上でやっているというところが、今防衛省に向けられている国民の厳しいまなざしが実際には現場の皆さんに分かっているんだろうかということを私は大変強く疑問に思います。

 ですから、あれこれの細かい基準だけではなくて、この一番の基本の精神ということを徹底しなければ、正に魂入れずということになるんではないかということは申し上げておきたいと思います。

 午前中に続いて、更に加えて天下りの問題についてもお聞きをいたします。

 この間、答弁をいろいろ聞いてきたわけでありますが、長官承認による天下り数だけ答弁がありましたが、いわゆる委任者承認というものもございます。上位受注十五社で見ますと、長官承認二百八十二人に加えて委任者承認百七十七人、合わせて四百五十九人というのが上位十五社へのこの天下りということになっていくわけですね。それで、こういうものが結局、受注と深くかかわってきているんじゃないかということを私どもこの間ずっと申し上げてまいりました。

 それで、その各会社の受注状況というものを陸自、海自、空自、技本というところに分けて見てみました。そうしますと、例えば小松製作所、ここは受注額の大半が陸自からの受注なわけですね。金額で申し上げますと、全体で二千百四十一億円の受注のうち二千四億円が陸幕からの受注ということになっておりまして、技本が九十七億円になります。ここにどういうふうな天下りになっているかといいますと、二〇〇〇年以降でいいますと十二人の天下りでありますが、陸自は八人、技本からは一人、行政職は二人、その他が一人と、こういうことになっているんですね。やはりこういう姿を見ますと、結局、こうした天下りがそれぞれの調達実績と結び付いていくと、こういう姿も見えてくると思うんですが、この点いかがお考えでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 そこに厳密な牽連関係というのか、天下りをこれくらい受け入れたからこれぐらい受注するというような、そういうような明確な関係があるとは私は思っておりません。

 ただ、そういう再就職をした企業、全く関係ないところに行く人もいるかもしれませんが、やっぱり自衛隊時代に培ったいろいろな能力、知見、経験、そういうものを生かしたいということは、それはあってしかるべきなのだろうと思っております。

 それが、そのように立派な仕事をしている人も一杯いますが、問題は、これだけ受け入れたからこれだけの仕事をちょうだいというようなことがあるということになれば、それはその分が結局価格に跳ね返ってきて、納税者の方々の利益を害するということになるのだということは私も認識をしなければいけないことだと思っています。

 さすれば、どうすればそういう天下りということをしなくて済むかということも考えていかないと、人材の有効活用とか税金の有効な使い道という議論にはならないのだというふうに思っております。一切やめろというのはこれは簡単なことなんでございますが、では、そうすると、その人たち六十からどうすればいいのということは当然あるわけでございます。

 先ほど牧山議員の御質問に対する答弁の中で申し上げましたが、退職をした将官、将官に限りませんが、そういう人たちの第二の人生の在り方というものについて、我が国はほかの国と異なっているのではないかというふうに私には思えて仕方がないんです。そういう人たちがどういうような第二の人生を歩み、そしてそれが経験を生かすものであり、間違っても今委員が御指摘のような税金の無駄遣いにつながるというような後ろ指を指されないような、そういう在り方を抜本的に考えたいというふうに思っております。すべてがすべて悪いというふうな物事の考え方を私は取りません。

井上哲士君

 必ずしも関連はと言われましたが、例えばアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドというところがありますが、これはやはり受注はすべて海自関係のことに、ほとんどが海自になっております。ここも、天下りを見ますと、防衛庁承認でいいますと、二人の方、いずれも一等海佐出身でありましたし、委任承認の方も三等海佐、海曹長と。四人の天下りがすべて海自出身で、そしてその企業は海自の発注ばかり受けていると、やっぱりこういう関係があるんですね。

 しかも、例えば先ほど申し上げましたコマツで防衛庁承認の天下りの方を見ますと、会社での地位は顧問、嘱託、顧問、嘱託、嘱託、顧問、顧問、嘱託、顧問、参与、顧問、顧問と、こういうふうになっております。いろいろこれも報道もあるわけでありますけれども、実際こういう人たちがほとんど会議には行かずに、事実上防衛省との連絡役のような形になっていると、受注を左右すると随分書かれているわけですね。

 私はやっぱりこの問題はメスを入れる必要があると思うんですが、今回の防衛省改革会議が官房長官の下に設置をされましたが、必ずしもこの問題が課題に上がってないんじゃないかというふうに思うんですが、やはりここに切り込むべきと思いますが、いかがでしょうか。

内閣官房長官(町村信孝君)

 今回、官邸の方に設置いたしました防衛省改革会議、主として三つの観点から考えていこうと。一つは文民統制の徹底、二番目が厳格な情報保全体制の確立、三番目が委員今お尋ねの防衛調達の透明性、これらについて抜本的な対策を講じたいと。

 今、るる防衛大臣とのやり取りも伺っておりました。なかなか難しい問題があります。自衛官として専門的な知識、経験、そうしたものを蓄積し、それを企業がより良いといいましょうか、必要な、例えば装備の生産にそうしたものを役立てていきたい、そのこと自体は多分問題にされるべきことではないんだろうと思うんです。ただ、そのことと発注と結び付くというところに問題がある。そこをどう断ち切るということができるだろうかと。

 決していい例えだとは思いませんが、よくいろいろな地方公共団体に行きますと、県庁から一人受け入れると、それは自動的に何百万円とか何千万円とかいうような話も聞きます。それとはちょっと性格を異にする分野なんだろうと防衛の場合は思うのでありますが、そこをどううまく仕切りを付けることができるか、国民の疑惑を招かないような形で行うことができるか、そこはよく議論をしてしっかりとした答えを出していかなければいけないと思っております。

外交防衛委員会理事(浅尾慶一郎君)

 井上哲士君、時間が来ております。

井上哲士君

 組織維持に終わることなく、きちっとメスを入れることを求めまして、質問を終わります。

外交防衛委員会理事(浅尾慶一郎君)

 では、秋元政務官、簡潔にお願いします。

防衛大臣政務官(秋元司君)

 先ほど答弁させていただいた中で契約実績のある企業についての定義的なものを御答弁させてもらいましたが、訂正させていただきまして、少額の契約は除くということを言い忘れましたので、付け加えさせていただきたいと思います。


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