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2008年3月27日(木)

外交防衛委員会

  • あたご衝突事件の中間報告と事故直後に防衛大臣から発表された事故状況との矛盾について追及。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 イージス艦「あたご」による衝突事故についてお聞きをします。

 防衛省は、先日、事故調査委員会による調査の中間報告を発表いたしました。マスコミからも、事故原因の特定には程遠い内容とか、内容を伴わない報告書という批判もされております。私もこれを読みますと疑問が幾つかわいてまいります。

 具体的にお尋ねしたい。

 防衛省は、事故当日、「あたご」の航海長を呼ぶ一方で、護衛艦隊幕僚長を「あたご」に乗り込ませて調査をしております。それに基づく当初の発表では、衝突二分前及び十二分前に灯火が確認をされていたとしておりました。ところが、この中間報告では、この点について情報が得られていないということで触れていないわけですね。これでは、大々的に報道された最初の大臣の発表は何だったのかということになるわけですね。

 そこで、なぜ情報が得られていないかお聞きするわけですが、調査委員会の調査で、この二回の灯火の確認について証言をした乗員に接触できていないということなのか、それとも接触したけれども乗員の証言が変わったということなのか、これどちらでしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 お答えを申し上げます。

 三月二十一日に防衛省の方から公表いたしました艦船事故調査委員会による調査という文書につきましては、そこにも書いてございますとおり、現在、当直員の一部について、海上保安庁との調整により、委員会による聴取が実施できていないという状況にございます。そして、調査の対象となっているすべての乗組員に対する聴取が実施できていない状況の下で、現時点までに調査委員会の調査により明らかになった事項として公表をさせていただいておるわけでございます。

 そして、その中で、当直員による漁船の視認状況という項目の中にありますとおり、二月の十九日三時五十五分ごろの状況でありますとか、あるいは四時五分ごろ「あたご」の見張り員が右方向に緑色の灯火を視認したというように二月の段階で公表をしたところにつきましては、委員御指摘のとおり、現時点において委員会の調査においてこれらに関する情報は得られていないという状況でございます。

 そして、御質問の趣旨は、具体的にこの事故調査委員会が、具体的に乗組員のだれに対して調査ができていて、それからだれに対して聴取ができていないかということにかかわるものでございまして、これにつきましては、個別の事件におきます捜査機関の具体的な活動内容ということにかかわる事項でありますので、私どもの方からのお答えは差し控えたいと考えております。

井上哲士君

 私は具体的にだれかということを聞いているんじゃないんですね。最初の情報をもたらした人に接触できているのか、それとも証言が変わったのかと。

 これは、要するに最初の航海長からの報告や幕僚長からの報告の信憑性にかかわる問題なんですね。大臣の発表の信憑性にかかわる問題なんです。ですから、できた上で表現が変わったのか、できていないのか。具体的にだれということは言ってもらう必要はありませんから、それを明らかにしていただきたいと思います。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、当直員の一部について事故調査委員会による聴取ができていないという状況にございます。

 そして、先ほどの、当初の発表内容について証言していた乗員に対して調査ができていないのかどうかということにつきましては、これは具体的にだれに対して聴取ができているかということにかかわる話でございますので、これを明らかにいたしますと個別の事件における捜査機関の具体的な活動内容にかかわってくることでございますので、私どもの方からお答えを差し控えさせていただきたいと考えております。

井上哲士君

 全く納得できません。

 だって、航海長もだれから聴いたかということを明らかにしていないんですよ。ですからそれを言ったとしても全く特定にならないわけですね。

 じゃ、聞きますが、だれの証言に基づいてこの二つの灯火が確認をされたかという証言者は特定できているんですか、できてないんですか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 航海長からの聴取に基づきまして私どもの方として二月の十九日に公表をさせていただいておるわけでございますけれども、具体的に航海長がどのように「あたご」の内部におきまして聴き取りといいますか情報収集したかということにつきましては、私どもの方といたしまして、現在のところ具体的なところまでは承知をいたしておりません。

井上哲士君

 つまり、だれから聴いたか分からないような情報に基づいてじゃ大臣が会見をしたということになるんですかね。私は、そんないいかげんなことだったのかということを改めて思うわけですね。とっても納得できません。

 じゃ、その当日の航海長に対する事情聴取の中身そのもののまさに信憑性にかかわってくるわけですね。そちらにお話進めますが。

 複数の報道では、当日の防衛省での聴取の席上で、航海長は事故時の状況とともに、交代前に前方海域に複数の船影が水上レーダーのモニターに映っていた、このことも説明をしたとされておりますけれども、これ、大臣、事実でしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 二月十九日の日に「あたご」の航海長が市ケ谷に参りまして、事故の当時の状況について説明を行っておりますけれども、その際、航海長から御指摘のような説明があったというような事実はございません。

井上哲士君

 この中間報告によりますと、三時三十分以降に当直員が右三十から五十度の方向に数個の灯火を視認をした、そのことを当直士官に報告したというのがこの中間報告に出てくるわけですね。

 これは前直の当直士官はこの航海長なわけですから、彼は報告を受けているはずなんです。その話も出なかったんでしょうか。いかがでしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 航海長が市ケ谷におきまして事故当時の状況について説明は行っておりますけれども、そのような説明はなされておりません。

井上哲士君

 事故前にどうだったかということを歴々の防衛省の幹部がいながら聴かなかったということは私は到底信じられないんですが。

 じゃ、航海長が当日その場で明らかにした情報はすべて発表したのか、それともその中から取捨選択して大臣は発表されたんでしょうか。この点、大臣からお願いしたいと思います。

防衛大臣(石破茂君)

 取捨選択というようなことは行っておりません。そこで航海長が述べたことを整理をして発表したというものでございまして、そこで航海長が述べたことを整理はいたしておりますが、取捨選択というような、つまりこれは言わないでおこうとか、そういうようなことは行っておらないものでございます。

井上哲士君

 では、航海長が持ってきたメモというもの、説明の際に使った手書きのメモについては、それ自身は大臣は手に取って御覧になっているんでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 これは、大臣室におきます航海長からの聴き取りの際に、航海長がそのようなものを持参をしておったということは私は見ております。

 しかしながら、航海長はそこにおける説明は口頭でいたしておりました。そのメモに基づいて説明をするということはございませんでしたので、私は彼がそのようなものを持参しておったということは見ておりますが、内容を見たものではございません。

井上哲士君

 普通、それちょっと見せろというふうに私はなるんじゃないかなと、事実を本当に把握しようと思ったらと思いますが。

 このメモが、海保の説明によりますと、二月二十八日の午前十一時三十五分にファクスで送られてきたということでありますが、なぜこれ九日間も海上保安庁に提出をしなかったのか、そしてこの日に提出をするということにした理由、その判断の人物、これはどうでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 これは、私今申し上げましたように、内容は見ていませんが、そういうメモを持っておったということは承知をしておるわけでございます。また、そのことにつきまして海上幕僚監部より、それが存在しているということについても説明を二月二十八日、今委員が御指摘の日にちに受けておるものでございます。これは海上保安庁が行う捜査の参考にはなるということでございますので、私の判断により、これは海保に送りなさいということを申し上げたものでございます。

井上哲士君

 ですから、聴取から九日間経過をしていたのに、なぜその日まで送らなかったのかと、この点はいかがでしょうか。

防衛大臣(石破茂君)

 これは、当日に公表しております、つまり航海長が申し述べたことを整理して発表したというものがこれはすべてなんでございますが、それの基、基といいますか、航海長がいろいろなメモをした、それは何らかの参考になるのではないかということでありまして、私自身、あれ送りましたか、たしかそんなものありましたねというようなことを申し上げ、これは送ってないのであれば、それは何らかの参考になるかもしれない、ならないかもしれませんよ、ならないかもしれないけれど、私どもとして、これは海上保安庁に提供すべきものだという判断をその時点でしたものでございます。

 もっと早く判断をして送らせる、それを海保に送らせるということはあるべきだったかもしれません。なぜ遅らせたかというようなところに、意図的に遅らせたというものではないということを申し上げたいのでございます。

井上哲士君

 この航海長に対する事情聴取がマスコミで報道されたのは実は二十六日なんですね。それに基づきまして、二十八日に当委員会がありました。私その際に、その日の午後でこの問題を質問して、その場で大臣は、航海長は手書きのメモで話をしたということを国会の場では初めて認められたんです。実は、その直前の午前中にこれが海保に送られているということなんですね。

 私は、やはり一連の経過を見ておりますと、結局、なるべく事実は隠して、出そうになってきたらもう出してつじつまを合わせていくというようなことが繰り返されているんじゃないか、こういう思いを持たざるを得ないんです。

 そこで、この航海長が持ってこられたメモ、最初の、これ是非提出をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 お答え申し上げます。

 今このメモは、先ほど大臣からお話ありましたとおり、二月の二十八日に防衛省の方から海上保安庁の方に送付をされております。そして、これは海上保安庁が行う捜査の参考になるというふうに考えて送ったものでございます。そして、この当該メモが捜査の参考とされている以上、この内容についての公表は差し控えたいと考えております。

井上哲士君

 そうすると、捜査上重要かもしれないものという認識を持ちながら九日間も当局に出してなかったということになるわけでありまして、私は、これはやっぱり事実をつまびらかに国民の前に明らかにするという姿勢に欠けていると、こういうことだと思うんですね。

 実際には、海上幕僚監部は事故当日に記者会見をして、当時の吉川海幕長が海保と緊密に協力をしていくと、こういうことを言っているわけですね。ところが、その同じ時間帯に、既に海保の了解を得ずに航海長を呼び幕僚長を乗り込ましていたと、こういうことがありますし、その後も手書きのメモについて九日間実際上存在を隠していたと言っても私は仕方がないと思うんですね。

 やはりこういう姿勢を正して、国民の前にすべて事実を明らかにすると、こういうことなしに事態の解明とそして再発防止はできないと思います。

 その点、改めて強く求めまして、時間ですので終わります。

外交防衛委員長(北澤俊美君)

 この際、私の方から申し上げますが、今の議論を聞いておりまして、メモそのものがもうこれだけ海保へも渡したりしておる中で、局長の判断でこれを提出することができないという答弁がありましたけれども、大臣、そういうことですか。

防衛大臣(石破茂君)

 これは局長の判断ではございません。当省としての判断であり、そのことの責任は私にございます。

 これは、局長から答弁を申し上げましたように、このメモというものが海上保安庁に今行っております。それが捜査にどれぐらいプラスになるか、そして捜査においてどれだけ決め手になるかということについては、私どもとして知る立場にございません。そのことについて当省の判断でこれを出しますとか出しませんとか、そういうことは申し上げられない。

 現状においてそれが捜査に支障を及ぼすかもしれない、あるいは核心に触れるものがあるかもしれない、それはあくまで、しれないというものでございまして、そういうような段階におきまして、当省としてこれをお出ししますということが申し上げられないということを局長が申したのでありまして、これは私の責任においてそのような答弁をしておるものでございます。局長の判断ではございません。

外交防衛委員長(北澤俊美君)

 今御丁寧な御答弁がありましたけれども、防衛省として、この真相を究明しようとしている委員会に対しても同じことですか、要求があった場合に。

 はい、どうぞ。

防衛大臣(石破茂君)

 それは理事会において御判断をなさるべきものかなというふうに僣越ながら思っておりますが、これは捜査当局において判断、今事故原因というものを調査をしている、それは捜査当局のそのような権能に基づいて事情を聞き証拠を集めて行われているものだというふうに承知をいたしております。そこが持っておるものについて私どもとしては判断ができないものでございまして、委員会がどうお取扱いになるかはまた理事会等々の御判断、そしてまたその場においてそれぞれの立場からそれぞれの意見を申し述べることはございましょうけれども、委員会の御判断、理事会の御判断かと存じます。

外交防衛委員長(北澤俊美君)

 はい、承知いたしました。

井上哲士君

 いいですか、もう一言。

外交防衛委員長(北澤俊美君)

 いや、終わったって宣言されましたね。

井上哲士君

 理事会での協議をお願いしたいと、一言だけお願いします。


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