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2008年4月17日(木)

外交防衛委員会

  • 米兵が観光旅行やレジャーで有料道路を使う場合でも料金が免除され、日本国民の税金で肩代わりされている実態を追及。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 思いやり予算は、日米地位協定上の義務が日本にないにもかかわらず、思いやり予算、思いやりと称して支払われてまいりました。今貧困と格差の拡大にあえぐ国民からは、思いやる方向を間違っているんじゃないかという批判の声が広がっております。

 ただ、地位協定そのものに基づく日本の支払にも様々問題があります。今日は、もう一つの思いやり予算とも言われている道路等の使用補償費、特に有料道路の通行料を日本政府が肩代わりしている問題についてお聞きをいたします。

 まず大臣にお聞きしますが、米軍車両の有料道路の使用料を日本が肩代わりをしている理由と根拠についてお答えいただきたいと思います。

外務副大臣(木村仁君)

 日米協定第五条の二で、合衆国の軍用車両の施設及び区域への出入並びにこれらのものの間の移動については、道路使用料その他の課徴金を課さない旨の規定をいたしております。これが根拠であります。更にその根拠と申しますと、米軍は日本と極東の平和と安全の維持に寄与する目的で我が国に駐留しておりますが、日米安保条約の目的達成のため、米軍が安定的に駐留するとともに、円滑に活動ができるよう、軍事車両に限ってこのような規定を設けているものと考えております。

井上哲士君

 この制度に基づいて日本が肩代わりをしてきた総額は幾らになるでしょうか。

防衛省地方協力局長(地引良幸君)

 当省で統計的に整理されている資料で申し上げますと、平成二年度から平成十八年度までの道路等使用補償料は、有料道路につきまして百三十八億三百万円、非提供港湾が一億二千八百万円、非提供飛行場が三千万円であり、総額は百三十九億六千二百万円でございます。

井上哲士君

 昭和五十四年から始まっている制度ですから総額をお聞きしたかったんですが、この間の金額がありました。それでも百三十八億円という、道路だけでも大変な巨額なわけでありますが、どういう手続でこれは支払をされているんでしょうか。

○防衛省地方協力局長(地引良幸君) 

 お答えいたします。有料道路損失補償の手続について申し上げますと、在日米軍の軍用車両が有料道路を使用する場合に、公務であることを証明いたします軍用車両有料道路通行証明書は、各地においてこれを発給する部署が一元的に管理しておりまして、各部署の車両運行管理者にこれを発給しております。

 例えば横田基地におきましては、第三百七十四装備即応中隊から発給を受けました各部隊の車両運行管理者が軍用車両有料道路通行証明書に、車種、運転者氏名、車両番号、発行日、施設・区域所在地、発行責任者氏名、官職を記入して署名し、使用者が有料道路の料金ゲートにおいて同証明書を提出いたします。有料道路事業者は、この軍用車両有料道路通行証明書等を添付の上、四半期ごとに国に、ここでは地方防衛局に損失補償を申請いたします。国はこれを受けまして、損失補償の申請内容、軍用車両有料道路通行証明書の記載内容を確認いたしまして、損失補償額を決定し、有料道路事業者と有料道路損失補償契約を締結の上、当該補償額を支払うことという形で進めておるところでございます。

井上哲士君

 今発行されている通行証明書のコピーをいただいておりますが、これ、飛行機のチケットぐらいの大きさのものをゲートで渡せば無料で通行できると、その分を日本が後ほど肩代わりすると、こうなっているわけですね。これはもう日本の国民の税金でありますから、いいかげんな使い方はあってはならないと思います。

 昭和四十五年に内閣委員会で議論になったときに、当時の施設庁の鶴崎総務部長が、米軍の内部の監督的な立場にある者から公用の証明書を取ると、もちろんアメリカ側としては厳重に公用に限ってこれを発行しておると思うと、こういう答弁をされておりますが、これは間違いないですね。この認識に変わりはないですね。

防衛省地方協力局長(地引良幸君)

 基本的に同様なことをやっておるところでございます。

井上哲士君

 そこで具体的に、本当に公用に限って行われているのかということでお聞きをしたいわけでありますが、アメリカ軍の基地の中では様々な車にかかわるサービスが提供をされております。例えば横田基地でいいますと、成田空港など空港間のシャトルバスとかレジャー用のバスの運行もしているわけですね。こうしたものも公務として通行料が免除されているんではありませんか。

防衛省地方協力局長(地引良幸君)

 お答えいたします。

 空港までのシャトルバスでありますとか、そういう運行につきまして、いずれの場合にありましても、車両が公務として運行され、軍用車両有料道路通行証明書が発行されますれば、損失補償の対象となるものと理解しているところでございます。

井上哲士君

 つまり、アメリカがその証明書を発行しておれば日本としてはそう認めておると、こういうことでいいわけですか。

防衛省地方協力局長(地引良幸君)

 お答えいたします。

 車両の運行が公務として行われ、軍用車両有料道路通行証明書が発行された場合というふうに理解しております。

井上哲士君

 これ、ヨコタツアーズという横田基地の中でやっている旅行のあっせんのリーフレットを今手に持っておるんですが、例えば今年四月のバスツアーでいいますと、六日の日曜日は東京ディズニーランド、十九日の土曜日は三味線コンサート、二十日の日曜日は箱根、それから五月でいいますと十七日は松本城と浮世絵ミュージアム、二十四日の土曜日は富士サファリパーク、山中湖等々、こういういろんなツアーが組まれております。

 いろんなネットなんか見ておりますと、こういう、ヨコタツアーズと書いたバスがこういう言わばレジャーに行っていて、全く通行料を払わずに通っているという、こんな様々な声が上がっております。こういうものが実際公務として認められているということじゃないんでしょうか。

防衛省地方協力局長(地引良幸君)

 お答えいたします。

 米軍が観光目的で観光地に行くのが公務かどうかという御議論だと思いますけれども、日本の文化に対する理解を深め、軍隊の構成員の士気の高揚を図る目的から軍として兵員の休養やレクリエーションを図ることがあるとしても、これは軍隊の活動の一環として認められるところであるというふうに考えている次第でございます。

 したがいまして、かかる目的のための車両等に公用証明書が発給されることがあったとしても、特に問題はないのかというふうに考えておる次第でございます。

井上哲士君

 今、道路特定財源の使い道でも厳しい批判の声が上がっていますけど、今のようなことで国民は納得しませんよ。なぜレジャーのために日本の国民の税金が投入されるのかと。しかも、今、軍として行く場合なんだと、こういうふうに言われました。

 じゃ、更に聞きますけれども、実は横田基地の中ではレンタカーの貸出しもやっているんです。ネットで見ますと、レンタカーの貸出しの契約書や申込書も出ておりますけれども、ホームページで広告が出ていますが、こう書いているんですね。我々の受入れ国である日本は歴史と文化が豊かです。レンタカーを借りれば、あなたのスケジュールに合わせ、行きたい場所へ行き、見たいものを見ることができます。一日間のレンタル料は、八人乗りバンが六十五ドルと。休日や夏休みのピーク時には予約でいっぱいになりますのでお早めにと、こうやっているんですね。

 このレンタカーの売り物は、日本のほとんどの高速道路の料金はレンタル料でカバーされ、軍のレンタル料の分を節約することができますと。つまり、高速道路料がただになりますよということを売り物にしてこれやっているんです。こういう全く個人のレジャーも実際は出されているんじゃないですか。これも認められるんですか。

防衛省地方協力局長(地引良幸君)

 お答えいたします。

 まず補償の対象となる軍用車両でございますけれども、これは軍がその公務のために用いる車両であると理解しているところであります。具体的な範囲につきましては一概に申し上げられませんけれども、軍が保有する車両はもちろんのこと、軍隊の構成員が個人として持っている車両、車であっても、公務のために使われる場合にはこれに該当するものと理解しております。

 いずれにしても、車両の運行につきまして、公務という形で運行され、先ほど申した証明書を発行すれば補償の対象になり得るのではないかというふうに理解しているところでございます。

井上哲士君

 今読みましたように、あなたのスケジュールに合わせて行きたい場所に行ってくださいと、しかも休日や夏休みは予約でいっぱいになりますと。つまり、休みの日のレジャーなんですよ。どうしてこれが公務というふうに言えるのかと思うんですね。

 しかも、これ、レンタカーの契約書もネットに出ておりますが、この貸主責任はこう書いてあるんです。貸主は有料道路券、すなわち軍用車両有料道路通行証明書を提供すると、こう書いてあるんですね。それから、借主のところは、借主は必要な枚数分の有料道路券の提供を受けるものとする、要請次第で追加分の有料道路券が発行される、未使用の有料道路券はすべて貸主に返却しなければならないと。これは契約書なんですよ。ですから、レンタカーの貸主は要するに証明書を提供するということが責任になっているんです。先ほど、軍の監督的な立場にある者から公用の証明を取ると、厳重にこれに限りで発行するというふうに言われていますけれども、レンタカーの場合は、借りたら、欲しいと言えば貸主が出すという責任になっているんですよ。中身もないんですね、たくさんもらって余ったら返しなさいと、こういうことになっているんですよ。

 これは私は、全く私的な使用でも有料道路の使い放題、制限がないと、こういう実態だと思いますけれども、大臣、お聞きしたいと思うんですが、こういうものも公用としてやられるということが、この地位協定上の規定に合致しているんでしょうか。

外務大臣(高村正彦君)

 私、事実関係を存じませんので何とも言えませんけれども、そういう場合にこれがなぜ公務に当たるのか、そういう場合があるとしてですよ、仮にあるとして、なぜ公務に当たるのかということについては、問題意識を持って米側とちょっと話してみたいと思います。

井上哲士君

 こういう私的旅行にかかわる有料道路の通行料の肩代わりは幾らになっているのか、お示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

防衛省地方協力局長(地引良幸君)

 お答えいたします。

 軍用車両有料道路通行証明書には、今御説明したとおり、車種、運転者氏名、車両番号、発行日、施設・区域所在地、発行責任者氏名、官職が記入されておりまして、軍用車両有料道路証明書を福利厚生活動で必ずしも分類しているわけではございませんので、それに該当する補償額は、申し訳ございませんけれども、お答えできる状況ではございません。

井上哲士君

 つまり日本側は、今の話でいいますと全くチェックをしていないわけですね。そして、発行する側は、公然とホームページの中で先ほど言ったようなレンタカーの使用規定も明らかになっているんです。ですから、これは全く国民の税金がこういう私的なレジャーに使われているということなわけですね。国民は道路特定財源としてガソリン税を払って、将来は高速道路無料になると言われながらもずっと今有料で払っているわけです。その一方で、軍用車両といいながら私的なものについては日本国民の税金で肩代わりする、これは本当に私は全く理解がされないことだと思います。

 先ほど、大臣は問題意識を持ってということを言われました。私はこの制度全体をも見直すべきだと思いますが、現にやはり私的なものと公用のものが全く区別をされていないという実態については、これは直ちに改善をするべきだと思います。再度強く求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

外務大臣(高村正彦君)

 先ほど申し上げたとおりでございます。

井上哲士君

 終わります。


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