本文へジャンプ
井上哲士ONLINE
日本共産党 中央委員会へのリンク
2008年6月5日(木)

厚生労働委員会

  • 前日の4日に発表された厚労省の保険料調査の問題点についてただす。与党欠席の下で後期高齢者医療制度廃止法案が採決に付され、全会一致で賛成となる

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。与党欠席という事態に至ったことは大変残念でありますが、国民が廃止法案の成立を望んでおりますので、質問をいたします。

 まず大臣に、昨日の発表された保険料調査についてお聞きをいたします。

 先ほども、この調査結果が実態を反映していないんじゃないかという質問がございました。もう一点、これまで政府は低所得者ほど負担は軽減されると言っていたのに、これと全く逆の結果となりました。所得と保険料の関係というのは一番の国民の関心事なのに、それが逆の結果になったと。なぜこういうような事態になったのか、お答えください。

厚生労働大臣(舛添要一君)

 先ほど、風間委員に対する私の御説明の途中で終わっていたような感じがいたしますけれども、厚生労働省が説明しているときに使った様々な資料に、一般的に言えば低所得者の方が高所得者に比べて負担の低減率が大きいということが書いてありましたが、その中に、一定の条件を付けてということで一定の条件がたくさん書いてあります。

 その中で、四方式を使ってやったときにはそういう傾向があるということで、先ほどの資料の五の中の数字を途中まで説明いたしましたけれども、その中で、確かに四方式についてはそのことが当てはまりますが、中所得については、四方式で資産割がない部分が、今まで資産割を取っていた部分をなくしましたから、資産割の占める比率について言うと、中と低の間の比率について言うと、比較的に中の方が比率が軽くなりますから、したがって若干中所得者が一番上に来たということでありますので、そういう説明をすれば一定の説明はできます。

 しかしながら、最初に大書特筆したのが一般的に言えば云々ということであって、今言った細かい条件はきちんと説明してあるんですけれども、そのことの説明というのが十分なされていなかったというか十分周知徹底していなかったということでありますので、これはきちんと反省しないといけないと、そういうふうに思っております。

井上哲士君

 この結果について、提案者小池議員のお考えをお願いします。

委員以外の議員(小池晃君)

 これは極めて重大だと思っております。

 大臣は先ほどの質疑の中で、自分は国会答弁ではそのようなことを言っていないというふうにお答えになりましたが、四月八日の厚生労働委員会で私の質問に対して、年金収入、夫婦世帯では五百二十万円程度まで、単身世帯では収入にかかわらず負担増にならないというふうに答弁をされております。その答弁に照らして実態は違っていたということだと思います。

 この保険料調査については、問題点はもうこれははっきりしていて、要するに、たった四つのモデル世帯に当てはめてやっているから、この四つのモデルに当てはまらない世帯がこれは一昨日の質疑でも二割除外されるというふうに政府も認めているわけです。ということは、モデル世帯の三割ということは、そのモデル世帯というのは全体の八割ですから、これは二四%ということになる。しかも、除外された世帯の多くが負担増だったらば、最大でいえば負担増は四割近くになる可能性もあるわけで、これは実態を反映するものではないと思います。

 しかも、同時に、この前提として、資産割を持っている、資産割を払っていた世帯が夫婦とも基礎年金という世帯の五割が国保料の資産割を払っていたという前提で計算をされているというのが政府の説明でありまして、こういう低所得の世帯で五割も資産割を払っているというのは、私は現実から懸け離れているのではないかというふうに思います。そもそも、このようにモデルを設定して計算するというやり方をするからこういう矛盾が起こってくるんだと。

 全日本民医連が今日発表した実施直後アンケート、四千六百二十五名の集計で、保険料負担高くなったという人は四二・四%、安くなったという方は七・二%であります。こういうサンプル調査をきちっとやって、実態に即した調査をやらなければ、高くなった低くなったなどということは言えない。

 そして、最後に一言付け加えれば、たとえ始まったときに一時的に下がったという高齢者であっても、これはもう未来永劫自動的に保険料が上がっていく仕組みなわけですから、この制度を廃止しない限りこの問題は解決しないということだと考えております。

井上哲士君

 もう一つ、政府の宣伝と実態の違いについて聞くんですが、政府はこの制度について、後期高齢者医療制度は公費を重点的に充てることにより国民全体で支える仕組みというふうに説明をしてきました。しかし、老人保健制度も後期高齢者医療制度も公費負担が五割、国庫負担が三三%なのは同じなわけで、なぜ公費を重点的に充てるということが言えるんでしょうか。

厚生労働大臣(舛添要一君)

 それは、平成十四年にこの老人保健法を改正しました。そのときに対象年齢を七十から七十五歳に引き上げた。それまでは三割だったんですけれども、公費の負担をずっと上げて五〇%まで持ってきた。したがって、今申し上げたように、老人保健法の改正に伴う公費の負担を五割まで上げるということですから、重点的に上げてきたということは矛盾しないわけであります。

井上哲士君

 それでは納得できないんですね。

 聞きますけれども、老人保健制度の最後となった二〇〇七年度、老人医療費全体に占める国庫負担の割合が定率負担、拠出金を合わせてどれだけになるのか、そして、始まった二〇〇八年についてはその数字がどうなるのか、数だけお答えください。

厚生労働省保険局長(水田邦雄君)

 二〇〇七年度、十九年度におきます老人医療費に占める国庫負担の割合についてのお尋ねでございますけれども、老人医療費を支えるための定率負担に係る国庫負担につきましては約二八%、各国保や政管健保からの老健拠出金に係る国庫負担につきましては約一〇%となっております。

 それに対しまして、二〇〇八年度、二十年度における後期高齢者医療費に占める国庫負担の割合は、後期高齢者医療費を支えるための定率負担に係る国庫負担につきましては、二〇〇七年度と同様、約二八%でございます。その一方、国保や政管からの後期高齢者支援金に係る国庫負担につきましては約七%となっております。

井上哲士君

 違う数を言われましたが、老人医療費全体に占める国庫負担の割合、昨日資料で確認しましたけれども、二〇〇七年度は三七・三%、二〇〇八年度は三五・四%、要するに下がっているんですね。つまり、政府の宣伝とは逆で、国庫負担はむしろ後期高齢者医療制度になって減っていると。

 そのしわ寄せがどこへ行っているかという問題なんですが、私どものところに、娘を派遣労働者というお母さんから手紙来ました。娘は人材派遣の組合の健保組合に入っているんですが、後期高齢者医療制度に伴い組合の拠出金が急増し、健康保険料が大幅に増加する見通しだという通知が来ているわけですね。ですから、今一番劣悪な賃金、労働条件が問題になっているような派遣労働者にしわ寄せが来ていると。

 だから、政府は税金を投入して現役世代の負担を加重しないと言っていますけれども、実際は、国費の負担は、投入を減らして、現役世代に負担を押し付けると、こういう事態になっているんじゃないですか。これについて、大臣から答弁をいただきたい。そして、小池提案者にも答弁をいただきたいと思います。

厚生労働大臣(舛添要一君)

 誤解があると思いますが、要するに公費の割合の五割というのは変わりないんですね。しかし、若者が負担していたのが五割あったのが四割に減りましたから、それに伴って一〇%が七%に減るのは当たり前であって、三七から三五に変わったということをもってして公費の負担割合が変わったということにはならない。まさに、一割、四割、五割という明確な負担区分をやったことに伴うわけですから、私はいつも申し上げていますけれども、ただ単に老人医療費を無料にすればいいというんではありませんと、しかるべきものを払うということもまたこれは必要だと、そういうことを申し上げてきたつもりです。

厚生労働委員会委員長(岩本司君)

 小池晃君。簡潔に願います。

委員以外の議員(小池晃君)

 今のは全く誤解ではないと思うんですね。老人医療費というのはその老人医療費全体に占める割合に国庫負担がどうなっているか、それはだから定率負担分とそれから拠出金の中に国庫負担がどれだけ入っているか、これが老人医療費に対する国庫負担なわけです。この老人医療費に対する国庫負担、まさに拠出金の部分で明らかに老人保健制度と後期高齢者医療制度を比べると比率は減っているわけですから、公費を重点的に投入したというのはまやかしの説明であるということが今日の答弁でもはっきりしたというふうに思っております。

 以上です。

井上哲士君

 終わります。

資料


リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。
© 2001-2005 Japanese Communist Party, Satoshi Inoue, all rights reserved.