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2008年10月30日(木)

外交防衛委員会

  • アフガン内外でいっそう広がる和平への動き、沖縄海兵隊のグァム移転の問題で政府をただしました

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 午前中の質疑でも、この一年間のアフガンをめぐる情勢変化をどう見るのかという質疑がありまして、政府からは特段ないから給油を続けると、こういうことがございました。しかし、私もおとついの質疑でも明らかにしましたように、アフガンの国内でも国際的にも、治安の問題、対話の促進でいろんな変化が生まれているわけですね。やはり、この法案の審議をする上で、そういう情勢をしっかり見て、今アフガニスタンの現状が何を求めているかということを議論するのが私は当然の前提だと思います。

 そこで、官房長官が席立たれましたので外務大臣にお聞きいたしますが、そういう情勢をしっかりこの委員会に明らかにして議論するのが当然でありまして、情報は出さないけれども法案は通してくれというのは余りにも私はおかしいと思います。そういう点で、先ほど来議論になっていますこの調査報告について、やはりしっかり委員会に示していただくということが法案審査のやはり私は前提だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(中曽根弘文君=外務大臣)

 先ほどから質疑がございますように、調査を行ってまいりましたけれども、これは幅広く検討したものでございまして、今の段階では詳細は本日御報告した以上はできないということでございます。

 いずれにしましても、現地の状況を十分に調査をし、また的確な判断をしてテロとの戦いは進めていくべきものと、そういうふうに思います。

井上哲士君

 調査をしたものを見て的確に判断するのは我々国会の役割でありますから、そのための材料をしっかり出していただきたいということなんですね。

 それで、質問を続けますが、この対話の流れというのは非常に日々進行しておりまして、アメリカ国内でもアフガニスタンでの新戦略についての検討が進んでおります。朝も出ましたけれども、二十八日付けのウォール・ストリート・ジャーナルでアメリカのアフガンに対する包括的な戦略見直しについての報道がありました。タリバンとの対話を検討するというもので、米国は今後サポート役としてアフガン政府とタリバンの交渉を後押しをするというふうにしております。この新戦略は新政権誕生後の十一月中旬に発表されるようでありますが、なぜアメリカ国内でこういうアフガンへ向けての新戦略が検討されているとお考えでしょうか。

国務大臣(中曽根弘文君)

 新戦略という言い方をしているかどうか私は承知しておりませんが、二十八日付けの米国紙ウォール・ストリート・ジャーナルで、アメリカの政府がアフガン戦略を包括的に見直すと、そういう報道があったことは承知をしております。米国政府は、それによりますと、アフガニスタン戦略の見直しを進めているけれども、進行中の話であって、見直しに関し何も今発表するつもりはないと述べたと、そういうふうに承知をしております。

 対アフガニスタン政策ということにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、各国ともアフガニスタンの状況を十分に踏まえた上で絶えず検討しているものと考えておりまして、このアフガニスタンの復興を引き続き支援していくというそういう国際社会の姿勢に変化はないものと承知をいたしております。つまり、慎重にいろいろ考えながら進めていくということだと思います。

井上哲士君

 この問題はいろんな発言も出ておるわけですね。

 例えば、ゲーツ国防長官は会見の中で、アフガン政府と協力して前進する意思がある人々と和解することは解決策の一部だと述べておりますし、上院の軍事委員会では、我々は中央政府の能力を形成すると同時にアフガンの部族や地方をもっと重視していかなくてはならないと、こういうふうに言っているわけですね。

 ですから、私は、この戦略の見直しの背景には、これまで地方の部族などを軽視したり場合によっては敵視をすると、こういうやり方の行き詰まりというものがあるんではないかと思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

国務大臣(中曽根弘文君)

 アフガニスタンを、先ほどから申し上げておりますけれども、再三申し上げておりますけれども、テロの温床としないために、治安、それからテロ対策、それから同時に人道復興支援、これをやるということは重要であるということはもう国際社会の一致した認識でございますが、もう委員十分御承知のとおり、いずれか一方の対策だけでは十分じゃありません。そういう中で、依然道半ばでありますけれども、国際社会は部隊を増派をしたりして懸命の努力をしているわけでございます。いろいろなテロ対策あろうかと思いますけれども、そういうような形で何をどういうようなやり方がいいかということを模索しながらやっているわけでありまして、我が国も引き続いてそういう国際社会と一緒になってこの問題に取り組んでいくということだと思います。

井上哲士君

 政府の答弁というのは本当にこの一年間、前回の審議のときから全く変わらないわけですが、状況は大きく変わってきておりますし、日々変わっていると思うんですね。

 例えば、今、地方の部族などを重視をするという流れがあるんじゃないかと申し上げました。アフガニスタンとパキスタンの国境地域の有力部族長や宗教指導者が、この二十七、二十八日にアフガン・パキスタン・ジルガというのを開いてこの武装勢力の対応を話し合っておりますが、イスラマバードで開かれて、二十八日にはそのジルガで、地域の平和のためには両国がそれぞれの国の武装勢力と対話することが必要だと、こういう共同声明を発しているわけですね。

 こういうふうに更にアフガンでも対話の流れが進んでいると、こういう中で我が国がどういう対応をするかということは真剣に考えるべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。

国務大臣(中曽根弘文君)

 アフガニスタン政府によります和平の取組というものにつきましては同国に政治的な安定をもたらすと、そういうもので我が国は同国政府の取組を支持しているわけでありますが、他方、タリバン指導部がアフガニスタン政府と交渉していると、そういう報道をタリバンの指導部が否定しているわけでありまして、現地は非常に複雑な状況が続いていると、そういうふうにも承知をしております。

 我が国といたしましては、まずはアフガニスタン政府の主体的な和解の努力、この動向を注視しながら、今後は、同国政府の要請も踏まえながら、どのような効果的な支援ができるかということを検討していく、そういう考えでございます。

 テロとの戦いの一番の中核でありますこのアフガニスタンの安定を実現する上で、アフガニスタンと国境を接しているパキスタンとの協力が極めて重要な要素でありますので、両国間に対話の動きがあるということは喜ぶべきことだと、そういうふうに思っています。

井上哲士君

 同じような答弁が繰り返されるわけでありますが、パキスタン国内の動きも今申し上げましたようなこういうジルガの動きも、本当にここ一か月の間にもう随分大きな変化があるわけですね。ここを見てどう日本が対応するかということが問われているわけでありますから、先ほど申し上げましたきちっとした資料を出していただくことも含めて、本当に今の情勢がどうなっているのか、何が必要なのかということを議論できるような状況に是非強く求めておきたいと思います。そこを見ないままにとにかく軍事的対応への支援を延長するというやり方は間違いでありまして、根本から検討し直すべきだと申し上げておきます。

 その上で、今度は防衛大臣にグアム移転の問題でお聞きいたします。

 グアムのアメリカ海兵隊の新基地建設について、アメリカ海軍省が九月の十五、十六日に米議会とグアム島知事に報告書を提出しております。大変重要な中身でありますが、この報告書では、沖縄からグアムへ移転する対象の部隊の内訳が明らかにされております。

 第三海兵師団司令部、第一海兵航空団司令部、第三海兵兵たん支援群司令部などなど出ておりますが、あそこで出されております移転する部隊の対象というのはこういうことで間違いないんでしょうか。

国務大臣(浜田靖一君=防衛大臣)

 本年九月十五日付けで米軍、米海軍省より米議会に対して、グアムのための国防省による計画策定作業にかかわる報告書が提出されたことは米側よりも聞いております。本報告書には、在沖米海兵隊のグアム移転に関連して、今後、グアムに配置される海兵隊の部隊の名称等が示されている旨も承知しております。そもそもグアムに移転する具体的な部隊については、二〇〇六年の五月のロードマップに従い、現在もその詳細等について米側部内で検討中であると承知しておるところでございます。なお、御指摘の報告書の内容については、今後変更があり得るものとの説明も受けているところであります。

井上哲士君

 政府は、これまで国会では、移転する部隊名などは明らかにされていないという答弁をされてきたわけですね。これがしかし米議会に報告をされたということであります。この十五日の報告書提出を前に、日本政府は説明を受けていらっしゃるんでしょうか。

国務大臣(浜田靖一君)

 聞いております。

井上哲士君

 そうであれば、これまで日本のこの国会でもどういう部隊なのかということも含めて大いに議論になったわけですね。当然それは、防衛省として聞いていたのならば、国会等にも、また国民の前にも明らかにするべきだったんじゃないでしょうか。

国務大臣(浜田靖一君)

 我々とすれば、これはアメリカ側のこともございますので、我々とすると、やはりアメリカ側の了解が取れないとなかなか表に出せないということもありますので、その点は、我々とすれば、その点、向こうからこういった形で出していただくのが、初めて我々の方はそれを認められるということだと思っています。

井上哲士君

 米軍、海軍省が出して議会で報告をされても、これは報道で出されただけでありまして、国会でもこうやって質問をして初めて答弁ということでありますから、それは私は、これまでの経過、そして地元の皆さんのことを考えますと、それは余りにも無責任な答弁だと思います。

 それで、実際中身を見ますと、主力部隊は沖縄に残留をするわけでありまして、実戦部隊がそのままになるわけですね。沖縄の負担軽減には程遠いものだと思いますが、この報告書の中で、日本側の融資で整備をされる電力、それから上下水道、それから廃棄物処理施設など、インフラについて三つの選択肢を示しております。一つは海兵隊専用、二つ目は陸軍、海軍、空軍を含めグアムの米軍全部隊で使用する、三つ目はSPEにグアム州の政府も参加をしてグアム全島で使用するという三つの選択肢が出されているわけですが、この三案に基づく協議に日本も参加をしているんでしょうか。

国務大臣(浜田靖一君)

 米海軍、本年九月十五日付けで出した軍事計画報告書に御指摘の内容が記載されていることは承知しております。そしてまた、今回の在沖米海兵隊のグアム移転に伴って日本の分担するインフラ、民活事業については、二〇〇六年の五月の日米ロードマップに従って現在日米間で実務的な協議を実施しております。日米間で合理的に考え得る様々なオプションについて検討を行っているところであります。

 いずれにせよ、日本の分担するインフラは在沖米海兵隊の移転に伴う需要の増加を賄うものであり、我が国としては日本政府の資金がこの目的に従って使用されることが必要であると考えておりますので、当然この議論には参加をしておるところでございます。

井上哲士君

 様々なオプションについて協議されていると言われましたが、この三つの案に基づいて協議をしているということで確認していいですか。

国務大臣(浜田靖一君)

 検討は、これはあらゆる検討でありますんで、オプションについてこれだけということではないと思います。

井上哲士君

 しかし、アメリカ側はこの三つの選択肢を示しているわけですが、これ以外の選択肢も含めて検討をしているということですか。

国務大臣(浜田靖一君)

 今その三つの案というのが出されてきたというのは分かるわけでありますが、我々とすると、新たなものが出てきたときにも、決して三つに限定するわけではなくて、やはりいろんな場合を想定してまだこれから議論をしていくということだと思っております。

井上哲士君

 日本の国民の税金が使われるわけですからきちっとしていただきたいわけですが、日本が財政支出をする真水部分についてはアメリカの国内法に沿ってアメリカ財務省への振り込みになると、こういうふうに記載されているわけですが、こういう支払方法になるんでしょうか。

国務大臣(浜田靖一君)

 まだその点についても基本的には話合いをしている最中でありますので、アメリカ側はアメリカ側のお考え、いろんなことをお話しになっているようでありますが、我々としてはまだその話合いの最中でありますので、これから我々の決めた、ロードマップで示したもの、ロードマップというか、これで決まったものがあるわけですので、それを我々とすれば主張していくということだと思います。

井上哲士君

 二〇〇六年の五月十八日に行政改革特別委員会で、当時の額賀防衛庁長官にグアム移転の問題で質問をいたしました。その際に、日本側の負担については、「我々が合理化を図り効率化を図った分はその分、その支出、経費が減らされていくことになる」と、こういう答弁をされたんですね。ところが、アメリカ財務省に振り込んでしまえばこういう合理化、効率化の分が減らされるということが成り立たなくなると私は思うんですね。ですから、こういうやり方というのはこれまでの政府答弁とも食い違っていくと思うんですが、いかがでしょうか。

  〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕

国務大臣(浜田靖一君)

 その点につきましても、我々とすれば、これは向こうの方法論を言っているだけのことでありますので、我々とすれば、しっかりとロードマップに沿って我々の方の努力することによって、税金をこれは当然使うことになるわけでありますので、その部分は我々の主張をこれからも協議を通じてしていくということだと思います。

井上哲士君

 我々はそもそもこういう経費を日本が負担するべきでないということでありますが、しかし、今のでいいますと、そうしますと、日本が合理化や効率化を図った分が経費として減らされるということができないような、そういう支払方法については日本は応じないと、こういうことでよろしいですか。

国務大臣(浜田靖一君)

 当然、その部分は今まで我々ロードマップに決まったもので話を進めているわけでありますので、その点は、今おっしゃったように、向こうがこう言うからと言われても我々の方はできないこともあるわけですから、それは当然しっかりと主張していくということであります。

井上哲士君

 更に聞きますが、アメリカ政府の監査院が九月の十六日に、日米が当初合意をした百三億ドルを大きく上回る百五十億ドルになるということを公表いたしました。これは衆議院でも議論になりまして、大臣は、これ検討しているのかという質問に対して、今後話合いをしていくべきだと答弁をされました。これ、検討も含む話合いという意味でしょうか。

国務大臣(浜田靖一君)

 いえ、我々とすると、私がお話を申し上げたのは、要するに、向こうの記載があるのは承知していますけれども、しかし我々はロードマップに従って話を進めているわけですから、その点に関しては、我々は向こうがそういうふうに話をされても、我々は我々の、皆さん方に御説明しているものに沿ってやっぱりやっていくということを明確に言っているわけですから、そういったことも含めて、我々の立場、そしてまた向こうの立場があるわけですから、それを話合いをしていくということでありますので、我々の主張は今のところ変えないということであります。

井上哲士君

 話合いをして今のところは変えないと言われますと、大変不安になってくるわけですね。

 それで、先ほど紹介しました二〇〇六年の額賀防衛庁長官の私への国会答弁は、全容の枠組みは百二・七億ドルで、日本の負担が直接支出と出融資合わせて六十・八億ドルだと言った上で、これらは全部、その上限の数字でございますと、こう言われているんですよ。これ非常に明確に答弁をされました。

 ですから、上限だと国会でも言われているわけですから、それを上回るような話合いとか、そのことを検討するということは、およそその余地がないと思いますが、そのように明言していただけますか。

国務大臣(浜田靖一君)

 当然これ、我々とすれば上限を提示しているわけですから、額賀長官がおっしゃっているように。私が今はと言ったのは、まだこれから議論していくというところで、いろんな提示があると思いますが、我々とすれば上限はこれだということは曲げるつもりはありません。

井上哲士君

 上限だということを曲げるつもりはありませんという答弁をされました。これは大変重要な答弁ですから、是非このことは堅持もされたいと思いますが、我々は、そもそもこういう負担、そもそも外国の土地にある外国の基地のために日本が支出をするというのは一切必要ないし、国際的にもないという立場でありますが、今の余地はないという答弁については重要なものとして確認をさせていただきまして、質問を終わります。


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