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2008年11月13日(木)

外交防衛委員会

  • 外交防衛委員会で麻生総理出席の下、テレビ中継入りで、田母神問題集中審議とテロ新法の審議が行われた。自衛隊内で行われている幹部教育の全容を明らかにし是正するよう総理に迫る

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今回問題となった懸賞論文を募集をしたアパグループの元谷会長と田母神元空幕長の関係の原点は、田母神氏が九八年の七月から九九年の十一月まで航空自衛隊の第六航空団の司令をしていたときにさかのぼります。田母神氏の依頼で小松基地の金沢友の会がつくられて、元谷氏がその会長に就任をしております。

 この元谷氏が昨年の八月の二十一日に小松基地でF15戦闘機に搭乗しておりまして、民間人としては大変異例でありますが、元谷氏が戦闘機に搭乗したというのはこの一回限りだったんでしょうか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 そのとおりであります。

井上哲士君

 私、調べてみたんですが、これは雑誌「正論」の二〇〇四年十一月号に私の写真館というのがあるんですが、この中に元谷氏が登場いたしまして、航空自衛隊小松基地にてF15イーグルに搭乗と、こう写真入りで出ております。日付は平成十一年、九九年四月ということですから、つまり田母神氏が小松基地の司令をしていたときに搭乗をされているんじゃないですか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 今の文献に関しては我々は承知しておりません。そして、もしかすると体験タクシーの可能性もあるので、我々とすると今の現時点ではその件に関しては把握しておりませんので、多分、もしかするとタクシーの可能性もあるのではないかという気がします。

井上哲士君

 服も着替えた写真が出ておりますので、これは調べていただきたいと思うんですね。

 昨年八月に元谷氏の戦闘機搭乗を承認をした理由として、友の会の会長十年間の功績というふうに田母神氏は述べられました。じゃ、九年前はどういう理由になるのかと。九九年四月といいますと、友の会が結成されるよりもまだ半年前のことなんですね。にもかかわらずなぜ便宜供与がされたのかと、こういう問題になっていくわけです。

 元谷さんというのは、単なる自衛隊の後援者ではないんですね。「財界人」という雑誌に登場されてますが、こう言われてます。私のボランティアは一般の人を覚せいすること、極東軍事裁判史観にとらわれたまま日本が国益・国防を考えないでいいのかと言った上で、この友の会というのは、我々の団体は真に日本を憂えて、自衛隊が間違った方向に行かないように、サポートと監理と両面を担ってるんですと、自衛隊を監理するんだということまで言われているわけですね。

 この元谷氏が創設をしたアパグループの懸賞論文を航空自衛隊が全国に紹介をし、そして小松基地が組織的に応募するという異例の対応がされたわけですね。

 私は、特定の理念に基づく人間関係で便宜供与がなされてはならないと思うわけで、こうした田母神氏と元谷氏の関係をさかのぼって私は調べるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 現時点では、その件に関しまして我々とすると調査をする必要性というものを今感じておらないところでございます。そしてまた、逆に言うと、先ほど調べろというそのF15の搭乗の件ですが、体験タクシーというのは要するに滑走路を走るやつなので、その際には当然飛行服も着ますので、その点も含めて調べてみたいというふうに思います。

井上哲士君

 なぜ航空自衛隊が全国に紹介したのか、なぜ小松基地で組織的に募集が行われたのか、この間の質疑の中では調査中、調査中というばっかりなわけですね。全然明らかになってないわけですよ。ですから、それも含めて、私は、きちっと調べることなしにこの問題の解明がないということは強く申し上げておきたいと思います。

 そこで麻生総理にお聞きいたしますが、今日から訪米をされるわけですが、十一日付けのワシントン・ポスト紙は、今、この田母神氏の問題で麻生首相の指導力が問われているということを書いております。そういう問題として答弁をいただきたいんですが、先ほどの答弁で、この田母神氏の問題が不適切だという理由として、幕僚長というしかるべき立場にいる人の発言として不適切だと、こう言われました。

 じゃ、この発言が外に向かったからいけないのかというだけなのかということをお聞きしたいと思うんですが、私は、この田母神氏が航空幕僚長という職務権限として自衛隊内で行ってきたこと、これが大きな問題だと思います。

 先日の参考人質疑の際に田母神氏は、今年の一月に熊谷基地で行った講演で、専守防衛という国策が正しいのかと、それから日本は侵略のために中国に出ていったのではないと、こういう発言をしていたことを認められました。

 つまり、全国の基地などで職務として隊員を集めて、そして航空自衛隊のトップの職務権限として訓話や講話を行って、その中で今回の論文と同じことを言っておられたと。ですから、一自衛隊員の言論の自由という問題ではないわけですね。職務行為としてこういう教育を行ってきたと、このことを総理、どうお考えでしょうか。

内閣総理大臣(麻生太郎君)

 言論の自由につきましては、日本の場合は言論の自由というのがこれ自衛隊員に限らず確保されているのはもうほかの国と違うところ、他の国というのはそういう自由が保障されていない国もありますんで、そういった意味ではまずそれを押さえた上で、今言われたような職務としてやったと。

 ちょっと、職務としてやったかどうかはちょっと裏が取れてないんで、あなたの話をそのまま取ったという前提に立たないと、いや、あれは職務としてじゃなかった場合もありますんで、職務としてやったという話を前提にした場合は、先ほどの侵略国家の話等々がそのまま言われているとすると立場上いかがなものか、不適切ということになろうと存じます。

井上哲士君

 訓話、講話というのは職務としてやるものだということは先日の防衛大臣の答弁でも明らかなわけです。つまり、そういうものであっても、自衛隊内部のことであっても、職務としてやった場合にこれは不適切だということは改めて確認をいたします。

 そこで、先日、私は、すべての田母神氏が行ったこうした講話、訓話を出すべきだということを求めました。大臣は、すべて確認していないので、今後検討すると、こう言われましたけれども、出していただけますか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 今後速やかに着手したいと思います。

井上哲士君

 これは着手し、国会に提示をしていただくと、そういうことでよろしいですか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 当然、我々とすれば、その部分は着手をして調べて、その後の報告に関しても併せて検討していきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 速やかに、検討ではなくて直ちに出すということを強く求めておきたいと思います。

 それだけではありませんで、田母神氏は、陸海空の三つの自衛隊の幹部教育の中に歴史観・国家観という講義を自分が新設したということを参考人質疑でも認められました。これがその幹部教育のカリキュラムの一部でありますが。(資料提示)

 例えば、現憲法及び教育基本法の問題点、それから大東亜戦争史観と、こういう項目も並びますし、ほかの日では東京裁判史観という言葉も並びます。こういう言葉は、いずれもあの戦争は正しかったとして憲法を敵視をするという主張と結び付いて使われる言葉なわけですね。つまり、今回、田母神氏があの論文の中で明らかにしたような持論に沿ってこの自衛隊内の幹部教育がつくり替えられてきたということだと思います。極めて重大だと思います。

 この国家観そして歴史観の講義がつくられて以来、これを修了した幹部は陸海空ごとに何人になっているでしょうか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 統合幕僚学校の旧一般課程及び幹部高級課程の三幹校合同統合教育におきまして、課目の歴史観・国家観をこれまでに受講した幹部自衛官の人数の合計は、陸上自衛官約百四十名、海上自衛官百三十名、航空自衛官百二十人の合計三百九十人であります。

井上哲士君

 四百人近い幹部がこの講義を受けていると。この年でいいますと、一回十六時間の講義ということになっているわけですね。

 非常に異様なのは、防衛省から出てきた資料は全部講師の名前が黒で塗り隠されているということなんですね。なぜ国家公務員の幹部教育を行う、その講師の名前を秘密にしなくちゃいけないのかと。

 総理、これ異様だと思われませんか。総理、総理。

防衛大臣(浜田靖一君)

 部外の講師の氏名につきましては、部外講師御本人の了解を得ることなく明らかにすることは差し控えたいというふうに思っておるところでございます。

井上哲士君

 なぜ歴史観や国家観の講義をする方の名前を隠す必要があるんですか。国民はよっぽど後ろめたい内容かと疑問を持つと思いますけれども、いかがですか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 御本人の意向を確認してということだと思います。決して今先生がおっしゃったような内容のことではないと思います。

井上哲士君

 それでは全く納得ができません。

 防衛大臣は先日の質疑で、バランスの取れた見解と幅広い視野を得るための講義だと言われました。しかし、この黒塗りで隠された講師を私調べてみますと、新しい教科書をつくる会の関係者が並んでおります。実に偏った講師陣だなと思うんですが、このうち一人、平成十八年の四月十七日の講師は、大正大学の福地惇教授だということが本人が書かれたものがホームページに出ております。

 そこで、この講義の目次も出ておるんですが、例えば第三章、満州事変、満州建国は日本の侵略ではない、第四章、シナ事変も日本の侵略戦争ではない、第五章、偽装歴史観に裏付けられた平和憲法イコールGHQ占領憲法と、こういう言葉が並んでいるわけですね。

 こういう内容、まさに田母神氏が今回論文で明らかにした中身が幹部教育の中で教えられていると。これは、総理、適切と思われますか。

内閣総理大臣(麻生太郎君)

 二つ分けてやらぬといかぬと思いますが、国家観・歴史観という課目があるのがおかしいという話には私は賛成できません、国家観・歴史観というのを教えない方がおかしいと思いますので。その国々によって違いますんで。したがって、その適否を申し上げるということは困難なんですが、大切なのは、その内容であろうと存じます。

 したがいまして、偏向した歴史教育というものに偏ることなく、そういった、歴史というのは客観的にはなかなか難しいところですけれども、そういったものを理解することができるように、これはバランスの取れた内容に努めるということが大事なことだと存じます。

井上哲士君

 それを検証するためにも講師の名前を明らかにすることが必要なんですね。今のこの中身がそういう中身になっているのかと、こういう認識をお尋ねしているんです。

内閣総理大臣(麻生太郎君)

 講師の名前は、講師の了解なしに防衛省の方で一方的にやるのはできないというのもよく理解できるところでもあります。また、その内容につきましてちょっと正直把握しておりませんので、その題目だけ見て、内容をというと、題目と内容はかなり違ったりするのはよくある話ですので、ちょっとその内容までよく見た上でないとお答えのしようがありません。

井上哲士君

 そうであるならば、この中身を明らかにしてもらう必要があります。幹部教育の講師の氏名、そしてすべての内容についての資料の提出を求めるように御協議いただきたいと思います。委員長、お願いします。

外交防衛委員会委員長(北澤俊美君)

 ただいま井上委員からの要請でありますが、私も過日の理事懇談会で申し上げましたが、我が国の自衛官の、しかも幹部教育に講師として招かれたそれぞれの権威ある人たちを黒塗りで出すなんということは、自衛隊として一体どういうことを考えているのか、防衛省の見識を疑っておるんです。それを今、総理大臣まで追認するようなことを言われた。いかがわしいような雰囲気を国民に与えるということは断じて許し難い。私は、是非これを防衛省としては即刻明らかにするべきだと、こういうふうに思っておりますので、理事会でも協議させていただきます。

井上哲士君

 結局、田母神氏が創設をしたこの講座というのは、彼の持論に沿った内容の幹部教育を行って、言わば第二、第三の田母神氏をつくる、そういうものになっているわけですね。田母神氏は論文を発表して更迭された。しかし、それが彼がつくった第二、第三をつくり出す仕組みは残っているんですから、私はこの幹部教育の中身を、全容を明らかにし、総理の責任で是正をするべきだと強く申し上げまして、質問を終わります。

資料


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