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2009年3月30日(月)

外交防衛委員会

  • 在外公館法改正案の質疑で、在外公館での自動車の購入や公共工事の随意契約の問題を質した。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今回の在外公館法の改正案には、コソボの大使館の新設が含まれております。コソボについては、国際社会においての議論があり、国家承認についても各国の対応が分かれているという現状でありまして、そこにおいては公館新設は適当とは判断できないことから、我が党は今回の改正案には反対であります。

 その上で、在外公館における調達に関してお聞きいたします。

 まず、外務省全体の問題でありますが、財務省が二〇〇六年の八月に各省にあてた「公共調達の適正化について」と題する通達を発出しております。その中で、「昨今、公益法人等との契約に関する各省各庁の運用には、広範囲にわたり、安易に随意契約を行うなど、必ずしも適切とはいえない事例があるのではないかとの指摘が行われるなど、国民に対する説明責任を十全に果たしているとはいえない状況となっている。」と指摘をしております。そして、競争性のない随意契約の見直しや一層の情報公開を求めておりますが、この見直しは言わば政府の方針だと思いますが、外務省としては、この通達発出以降、適正化のためにどのような取組をされてきたんでしょうか。

外務大臣(中曽根弘文君)

 政府全体で取り組んでおります公共調達の適正化につきましては、外務省としても今までも厳正に実施をしてきておりまして、競争性のある契約への移行に向けて不断の努力を行ってきたところでございます。

 具体的には、相手国の関係から業務の質を確保することについて配慮を要するものなど、随意契約によることが真にやむを得ないものを除きまして、一般競争入札やそれから企画競争、公募など競争性のある契約方式へと移行していくこととしております。公共調達における競争性の確保に向けまして、引き続いてこれは不断の努力を行っていきたいと、そういうふうに思っております。

 また、そういう競争性のある契約へ移行を進めました結果、平成十九年度は、平成十八年度と比較をいたしまして、この競争性ある契約の割合が金額ベースで約二三%、件数ベースで約八%増加したところでございます。

井上哲士君

 会計検査院が昨年の九月に随意契約に関する会計検査についての報告書を発表しておりますが、それによりますと、その時点での最新の統計である二〇〇七年度の各省庁の随意契約の比率は、外務省は七七・二%ということで十三省のうちで二番目に高いわけですね。今十九年度の数がありましたけれども、この二〇〇七年度でいいますと、前年の二〇〇六年度の七二・三%よりも逆に五ポイント近く高くなったという状況もあったわけですね。この調査結果を見る限りでは必ずしも改善が進んでいるとは言えないんではないかと思うわけですが、改めて外務省の取組についてどう評価をされているか、お伺いしたいと思います。

外務大臣(中曽根弘文君)

 先ほども申し上げましたけれども、競争性ある契約への移行を進めてまいりまして、その結果、十九年度は十八年度と比較をいたしまして、競争性ある契約方式の割合が件数、金額とも増加しておりますけれども、外務省といたしましては、随意契約の見直しが着実に進んでいるものと、そういうふうに評価をしているところでございます。

井上哲士君

 数字を見る限り、必ずしもそうではないと思うんですが。

 在外公館の調達について、では具体的に幾つか伺いますが、外務省の本省及び在外公館で使用する公用車は現在約千台あるとのことでありますが、かなりの数です。リース契約も結んでいないということでありますので、すべて外務省が税金を使って購入し、所有している資産だということですね。

 まず、二〇〇七年度、各在外公館が行った公用車の調達契約について、行った公館の数、それから契約の件数、それから契約金額及び一台ごとの平均単価、これについて御報告いただきたいと思います。

外務大臣官房長(河相周夫君)

 御質問の点につきまして、特殊車両、特殊車両という防弾車等の特別なものを除いて、一般車両について申し上げますと、在外公館が行った公用車の調達として、契約した公館数は六十六公館、契約台数は九十二台、契約金額の合計といたしましては四億二百六十万二千六百九十円、一台当たりこれを平均金額にいたしますと四百三十七万六千百十六円ということでございます。

井上哲士君

 これは、随意契約、一般競争はどういう内訳になっているでしょうか。

外務大臣官房長(河相周夫君)

 これについては、結論から先に申し上げますと随意契約で調達を行っております。

 御指摘の在外公館での公用車の調達に関しましては、日本国内とその調達可能な業者などを含めて事情が大きく異なるので、これは法令に基づいて、法令の中で認められているところでございますが、随意契約で行っております。ただ、その際には、可能な限り見積り合わせ、複数の見積りを取って価格をできるだけ下げるというような経費削減の努力は当然のこととして行っているところでございます。

井上哲士君

 外務省から、二〇〇三年度から二〇〇八年度十二月までの在外公館における公用車の調達契約実績の資料の提出を受けておりますが、対象を絞りまして、中国、韓国、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシアの六か国にある在外公館の実績をいただきました。これで見ますと、合計六十七件で、合計の契約額が約二億六千九百九十四万円。見積りとの関係でいいますと、契約額は約九七・五%になっておりますし、このうち四十七件は予定価格と全く同じ金額での契約になっているわけですね。すべてが随意契約だと。

 会計法上はあくまでも一般競争入札が原則でということになっているわけですね。いろんな外国での事情はあるとしてもやはり入札方式に切り替えていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

外務大臣官房長(河相周夫君)

 基本的にできる限り競争入札で行うと、これは基本的な方向としてはそういうことだと思っておりますけれども、先ほども申し上げましたように、在外公館につきましては日本といろいろ事情が違う中でやはり限度があると。そして、法令との関係でいいますと、随意契約に関して、外国での契約については随意契約によることができるということが規定されているところでございます。

井上哲士君

 外国では随意契約ができるということでありまして、原則はやはり一般競争入札なんですね。

 いろんな状況を言われますけれども、一口に外国での契約だからと言っても現地の条件はいろいろあると思うんですね。確かに自動車の販売店がほとんどないような途上国の公館もあるでしょう。しかし、先ほど申し上げましたような六か国、中国、韓国などは日本のメーカーも複数進出をしておりますし、たくさんの販売店などもあるというわけですから、すべての公館を一律随意のままにせずに、可能なところではやっぱり入札を導入をして競争性を高めていく、そういう努力ができるんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

外務大臣官房長(河相周夫君)

 御指摘の点につきましては、各地域によって、各国によって状況が違うということは前提として、その中で、先ほども申し上げましたように、見積り合わせという形で可能なところは複数の者から見積りを取って、その中でできる限り安いところ、経費の削減ができるところを選んで契約を行っているところでございます。

井上哲士君

 この在外公館の公用車の調達は、財務省当局からも様々指摘を受けて改善を求められているわけですね。

 二〇〇七年度に実施した財務省の予算執行調査の中でこの問題は次のように指摘をされておりまして、購入に関しては見積り合わせを複数回行うなど値引き交渉の努力を行っているとの説明ではあるが、ほとんどの車両が随意契約により調達されている。特殊装備を必要としない一般館用車を本邦で調達する場合等を中心に、調達の競争性、透明性を向上する余地がある。それから、配備基準の客観性が乏しいものがあり、予算積算を超えた価格で購入しているケースがある。さらに、道路事情が劣悪な途上国においてセダン型の走行距離が伸びていないなどなどの指摘をされております。

 しかし、この指摘を受けて以降の二〇〇八年度もすべて随意契約ということになっておりますが、今先ほどありましたような一台ごとの購入単価で言いますと、平成十七年度が三百九十二万一千円、平成十八年度が四百二十六万六千円、そして、今先ほど答弁ありましたけれども、十九年度は四百三十七万ということでありますから、むしろ単価は毎年上がっていっているという状況があるわけですね。やはり相当まだ改善の余地があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

外務大臣官房長(河相周夫君)

 御指摘のように、私どもの予算、これは厳しい財政状況の中で限られているわけでございますから、私ども自身の問題としてもいかに予算を効率的に使うかと。決して高い車を買いたいわけでは全くございませんので、同じ性能であれば少しでも安いものを買うということは、不断の努力を今後とも続けていく。ただ、それに当たっては、各地域におけるやはり状況というのを踏まえて、合理的な努力を更に進めていくということが必要だと思っておるところでございます。

井上哲士君

 様々指摘と数字も挙げましたけれども、やはり可能なところでの随契も含めて私は改善の余地が相当あると思うんです。

 さらに、金額で大きいのは公共工事でありまして、在外公館の公共工事も随意契約で行われておりますが、例えば、昨年四月にある大手の建設会社の東京本社と契約をした北京の事務所の新営は実に二十二億円を超える大きな工事でありますけれども、これも随意契約でやっているわけですね。非常に額が大きいわけでありますし、こういう外国での公共工事についても競争入札の導入を検討すべきではないでしょうか。

外務副大臣(橋本聖子君)

 在外公館施設の建設工事というのは、やはり大使館の警備や機密保持等の必要性を十分に考慮した上で実施をしていかなければいけませんので、一般競争入札による業者を選定する場合には大変高度な機密情報を公開せざるを得ませんので、一般競争入札は実施をしておりません。

 ただ、工事発注に当たっては、競争性を確保するべく、一定の条件を満たす複数業者の中から技術やまた価格の審査を含む総合的な評価を行った上で適切な業者を選定し、随意契約を行っているというような状況であります。更に競争性を高めるために何ができるか、また何が必要かということを検討しているところでもありますので、この点は明確にしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 在外公館の様々な公共工事について、機密の保持とか様々な問題があることはよく承知をしておりますが、先ほど例を挙げた中国などの場合は日本の大手のゼネコンなどはほとんど進出をしているわけですね。しかも、東京本社との契約をしているわけですから、そういう条件があったとしても私はきちっと入札をするということは可能だと思いますし、それによって、やはり外務省の予算も当然国民の税金でありますから、できるだけのやはり節約を図るということが必要だと思います。

 繰り返しになりますが、会計法上は一般競争入札が原則でありまして、外国の業務だから始めから随意契約で構わないということではやはり国民は納得をしないと思います。会計法上の原則に限りなくやはり近づけていくという努力を強く求めまして、質問を終わります。


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